泌尿器科

採血による前立腺ガンの診断

前立腺にガンがないかどうかを調べる目的で血液中の前立腺特異抗原(略してPSAと呼ばれています)という物質を測定する検査が一般的になっています。

 しかし、前立腺ガンの診断にあたり、PSAの感度は優れていますが、完全ではないということを知っておく必要があります。PSAが正常値の範囲内にあっても前立腺ガンである場合がありえるからです。

 このPSAは、どろどろした精液をさらさらにする役目があり、前立腺にだけ存在する物質なのです。しかし、正常な状態でも約0.1%が血液中に漏れています。加齢、前立腺肥大、前立腺の炎症や射精の後など前立腺ガン以外の原因でもその血液中の量は、正常の上限を越えて上昇してきます。PSAが正常値を越えて上昇した場合、その数値の程度によっては前立腺ガンの可能性を考えて前立腺の組織を一部採取し診断を確定するための前立腺生検(せいけん)という検査を行うことになります。

 しかし、PSAの値にもよりますが正常値の三倍程度までの上昇なら65%から75%の人でガンの組織は認められず良性という結果が出てくる場合が多いのです。これはPSAが前立腺という臓器にだけ存在する物質ではあるが、前立腺ガンだけの影響を受けてその血中濃度が変化するのではないことを示しています。

このような場合、本来は前立腺にガンがなく前立腺生検を受けなくてもいい人までPSAの数値のために生検を受けさせられていることになります。このようなことを少しでも減らすために、PSA値が高い人の中で、いかにして前もってガンのない人を識別し、不要な生検を省略できるか、様々な工夫が行われています。中でもPSA値の変化を時間の経過とともに追跡するのも一つの有効な方法です。 ガン組織の量が増大するにつれてPSAの値も上昇することが多いからです。

乃木クリニック泌尿器科
院長 佐々木 正人
佐々木 正人
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