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どうしても私たちは自分の経験を基に自分の頭で考えて判断してしまうため、なかなか違う立場の人間のことを理解することは難しいと思います。産婦人科医を二十数年やってそれなりに本も読み、医学的には一応経験も知識もあるつもりですが男性である私は女性の本質について、ほとんどよく分かっていないのではないかと思います。
そんな中最近考えるのですが、子供を産む役目を持って生まれた、またそのために性ホルモンのめまぐるしい変化にさらされる女性のほうが生物として基本形であり、男性は女性のその役目を補佐するのが仕事であり、その延長上に社会というものが創られて来たのかもしれない。そうすると今の少子少産傾向は社会の失敗を示しているとも考えられます。
話を戻しますが、実際女性の体調は性ホルモンに大きく左右されます。月経後から排卵までの間は活動的ですが、着床期の頃はだるくなったり頭痛がしたりイライラしたりといった不調が表れることが多くなります(病的なものは月経前症候群)。妊娠初期のまだ赤ちゃんが不安定な時期にはさらに吐き気なども加わり活動性は著しく低下します(病的なものは妊娠悪阻)。しかし、このような変化は妊娠の継続には有利に働きます。また性ホルモンが急速に減少する時期にも不調が表れます。産後の不調もそれが原因になる部分がありますが、やはり典型的なものは更年期障害でしょう。妊娠が可能な体から不可能な体へ大きく変化するわけですので喪失感も伴うし、うまく順応するのは困難な方が多いのです。さらに親の病気や子供の独立をはじめとした周りからの影響も重なり、心理面でも追い詰められていきます。当然本人のパーソナリティーも関係します。
この更年期障害を良くしてゆくには医療サイドの行う薬による治療だけでは不十分な場合が多く、ありきたりですが、やはりご家族―特に夫という立場の男性の理解と協力が大きな意味を持ってくるようです。
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