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災害に備える、病気に備える

その他2016/03/28

 「喉元過ぎれば、熱さ忘れる」。
あの未曾有の犠牲者を出した震災から5年が経ちました。
さまざまな反省から防災、減災対策が提案されているようですが、皆さん、災害への備えは出来ていますか?

 さて、10年ほど前から、「病気」を一つの「災害」に見立てて、「ハザードマップを作る」ことにならい、健康状態チェックを勧めていましたが、日常診療の場では、初診患者さんの中に、健康診断で異常を指摘されていたのに、何の手も打たずにいる方が大勢います。
自分の体に危ないところが見つかったのに放置している姿に、5年前の震災での一連の出来事を連想するのは飛躍していると思われるかもしれませんが、危険性に目をつぶり、対策を怠ったために被害を拡大させた、「考えの構造」は同じではないでしょうか?

 また、「自分は、今まで病気などしたことがない」という方もよくいます。
それは、病気にかかったことがないのではなく、病気であることを知らずにいただけのことだと思います。
たとえば、血圧が高くても自覚症状はありませんから、自分では健康だと思っているのですが、何かのキッカケで高血圧を指摘されてビックリするというパターンはよくあります。
こういう「病気知らず」の方に、特定健診をお勧めします。
40歳以上の方が対象で、はやりの「メタボ」のチェックを中心としたものですが、健康状態をみる目安として十分だと思います。
また、何か病気を治療している方は、かかりつけのお医者さんに、治療中の病気以外の項目のチェックもお願いして見るといいでしょう。
検査の経済的な負担が心配かもしれませんが、特定健診には、健康保険から補助が出ますので、ご自分の負担は大きくありません。

 自分に都合の悪い事実を知ることは怖いものですが、昔から「災いは忘れた頃にやって来る」といわれています。
震災から5年の今年、健康診断で自分の健康「ハザードマップ」を作り、対策を検討して「防災」に努めてはいかがでしょうか?


Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税( 2016年3月28日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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