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コラムを読む

『肺炎球菌ワクチンについて』(2026年3月 ハコラク掲載)

内科2026/02/19

 皆さん肺炎球菌はご存知ですか?名前の通り肺炎の原因となる細菌で、特に市中肺炎(日常生活を送る健康な人が発症する肺炎)で最も多い原因菌が肺炎球菌です。肺炎球菌は肺炎のほかに中耳炎や副鼻腔炎の原因、生命を脅かすリスクの高い髄膜炎や敗血症といった侵襲性肺炎球菌感染症を発症することもあります。

 これまで函館市では肺炎リスクの高くなる満65歳(または基礎疾患のある満60〜64歳)の方に対して肺炎球菌ワクチン接種の助成を行っていました。令和8年度から定期接種で使用される肺炎球菌ワクチンが、これまでの「23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス)」から「20価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー20)」へ変更されます。

 ニューモバックスは2006年に発売され、23種類の肺炎球菌に対応しており幅広い型をカバーできる点が特徴です。一方で免疫記憶が形成されにくく、年数がたつと予防効果が弱まるため5年毎の接種が推奨されていました。

 新採用のプレベナー20は名前の通り20種類の肺炎球菌に対応しています。これまでのワクチンより対応する型の数が少ないですが、より重症化しやすい型に対応しており、以前と比べて免疫の記憶が長く残りやすいのが特徴です。25年9月時点では安全性・効果ともに従来のワクチンと同等と報告されています。また接種間隔については免疫の記憶が残りやすいこともあり、26年1月時点では明確な定めはありません。

 使用ワクチンの変更を機に、この4月からワクチン接種の自己負担額は従来の費用から増額される見込みです。詳しくは市のホームページ、または助成対象者に送付される案内をご参照ください。

 肺炎球菌ワクチンだけで全ての肺炎を予防できるわけではありません。日頃の規則正しい生活習慣やマスクなどの感染予防も心掛けましょう。医療の世界は日進月歩で次々と新しいワクチンが登場しています。自身の健康のためにも、かかりつけ医と相談しながら予防接種についてご一考いただければ幸いです。


Text by たからまち総合診療クリニック  院長 玉城 耕平( 2026年3月 「ハコラク」掲載)

『制御性Tリンパ球(Treg)について』(2026年2月 ハコラク掲載)

内科2026/02/03

 2025年のノーベル医学・生理学賞を、大阪大学・坂口志文教授(ほか2人)が受賞されたことは、大変喜ばしいことでした。坂口先生の業績は、人体の免疫応答をつかさどる、抑制性Tリンパ球(Treg)の存在を提唱し、それを証明したことです。

 血液には、赤血球、白血球、血小板があり、白血球は好中球、リンパ球、単核球、好酸球、好塩基球に分類され、病態に応じてその出現が異なります。リンパ球は生体の免疫応答に重要な役割を果たしますが、主にBリンパ球、Tリンパ球、NKリンパ球に分類されます。Bリンパ球は、主に抗原刺激に対して形質細胞を動員し特異的抗体を作り、生体の防御に関与する一方、Tリンパ球は、ヘルパーTリンパ球(免疫を亢進させる働き)、キラーTリンパ球(免疫を抑制する働き、ほぼTregを意味します)があり、病態に応じてバランスよく働きます。マウスの実験でリンパ球が多く存在する胸腺を取り除くと、1型糖尿病や関節リウマチ、多発性硬化症などの自己免疫疾患を発症し、さらには各種のがんを引き起こすことが判明しており、Tリンパ球が免疫に深く関与していることが推測されています(がん細胞はTregを利用して、生体の免疫による攻撃から逃れるように働くので今後、がん治療への応用も期待されます)。

 Tリンパ球の中でもTregは免疫応答のブレーキ役として、過剰な免疫を抑制し免疫のバランスを保ち、先述した自己免疫疾患を防ぐ重要な細胞であることが判明しており、今後の治療への応用が期待されます。

 坂口先生はTリンパ球の特異的分子マーカーであるFoxp3が、Tregの活性化に重要な役割を果たすことを証明し、ノーベル賞の受賞につながりました。

 6年前、マウイ島での日米がん合同会議に参加した際、坂口先生の特別講演を拝聴する機会を得ました。そのころ、まだあまり認知されていなかったTregでしたが、先生の情熱的な講演を聴いて、素晴らしいお仕事だと感心したことを思い出します。

 今後、Tregがますます注目されることが期待されます。


Text by 平田博己内科クリニック  理事長・院長 平田 博己( 2026年2月 「ハコラク」掲載)

年に1度は健康チェックを(2025年6月ハコラク掲載)

内科2025/06/13

新年度になり約1カ月。雪も融けて白一色だった函館の風景にも新しい生命が芽吹き、花や木々の色彩が戻ってきまし
た。クルーズ客船の入港も増えてきており、西部地区では至る所で外国語を耳にするようになりました。

新年度といえばいろいろな健康チェックの案内が届きます。主に「健康診断(健診)」と「検診」の2種類あり、異なる意味合いを持ちます。「健診」は全身の健康状態を調べるもので、病気の予防や健康増進を目的たしたものになります。「検診」は特定の病気の早期発見をするための検査になります。どちらも重要なものには変わりません。

主な健康診断としては、会社勤めの方であれば会社主導で行われる一般健康診断や、40歳以上の方に届く特定健診があります。年齢で多少変化ありますが、項目は主に①身体計測②胸部レントゲン③心電図、④血液検査(貧血・肝機能・コレステロール)⑤尿検査で構成されています。それぞれの検査項目の意味を理解することが健康を守るために大事です。もし項目や数値について分からないことがあれば、かかりつけ医に遠慮なく相談しましょう。

また、健康診断は毎年受けることをおすすめします。生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)は発症初期や予備軍の段階では自覚症状がほぼないため、健康診断を積極的に受けていないと見逃されてしまうことが多いからです。
毎年受けることで数値の変化を比較することができるため、生活習慣病もしくはほかの病気の早期発見に繋がることがあります。

検診にはがん検診や歯科検診があります。特にがんの初期は無症状で経過することがあるため、早期発見・早期治療するには、定期的な健康診断と併せてがん検診もご利用ください。函館市では年齢によって無料クーポン券も配布しています。
新年度明けは歓送迎会や花見そして大型連休といったイベントが多く、どうしても飲食・飲酒の機会の多い時期になります。5月はそういったイベントも一段落する頃です。この一息つけるタイミングでご自身の健康にも目を向けてみませんか?


Text by たからまち総合診療クリニック 院長 玉置 耕平( 2025年6月 「ハコラク」掲載)

今年の感染症の振り返り(2024年12月ハコラク掲載)

内科2024/12/13

新型コロナ5類感染症移行して約1年半。函館市内の観光名所には活気が戻ってきました。大型客船入港や円安の影響もあってか訪日観光客も見かけます。普段の生活でマスク着用する方も少なくなり、新型コロナ流行前の「いつもの日常」が戻ってきた、そんな感じがします。2024年も年末に差し掛かりました。今年の函館の感染症流行を振り返ると大人は新型コロナの流行が主体でした。小児は溶連菌性咽頭炎、咽頭結膜熱、新型コロナなど多数みられましたが、特に手足口病の流行が印象に残っています。

手足口病は3〜5日間の潜伏期間を経て口の粘膜・手のひら・足の甲または裏などに2〜3㎜の水疱性の発疹が現れます。発熱は約3分の1にみられ、一般的には軽症で経過し、発疹も3〜7日程で痂皮(かさぶた)を残さずに消失します。感染予防には手洗い、咳エチケットが有効です。発疹が消えた後も3〜4週間は便にウイルスが排泄されるため、特に手洗いは重要です。函館では8月〜9月頃に一度流行がみられましたが、函館保健所の報告では10月時点でも警報継続となっています。2回かかってしまったという方もいらっしゃるので、一度かかったとしても注意が必要です。

また、各医療機関でインフルエンザワクチン接種も開始となっています。今年の特徴として鼻にスプレーするタイプのワクチンが国内でも正式に接種できるようになりました。適応は2歳以上19歳未満となっています。函館では接種可能な医療機関が少なく、ワクチンの種類や費用など従来のワクチンと異なる部分があります。接種を考えている方は一度かかりつけ医療機関にご相談ください。

これからインフルエンザ流行時期に入っていきます。23年度の冬は2種類のインフルエンザに加え新型コロナも流行しました。中にはその3つ全てにかかってしまい苦労された方もいらっしゃると思います。今年度の冬がどのようになるかまだまだ予想がつかない状態ですが、手洗い・咳エチケット・必要であればマスク着用など十分な感染対策を行っていきましょう。


Text by たからまち総合診療クリニック 院長 玉置 耕平( 2024年12月 「ハコラク」掲載)

新型コロナとインフルエンザの動向(2024年4月ハコラク掲載)

内科2024/04/13

2023年5月、新型コロナが季節性インフルエンザと同等の5類感染症に位置付けが変わりました。なかなか会うことのできなかった家族や友人との交流ができるようになり、国内・国外問わず大勢の観光客が多く訪れるようになり、函館に活気が戻ってきたように感じます。
 
さて、新型コロナが5類感染症になって初めての冬がきました。函館では23年7月〜9月にかけて新型コロナの流行(いわゆる第9波)があり、12月頃から感染者数が再度増加し24年2月時点でもその勢いが続いています。一般的な風邪症状(のど・せき・はな)に加えて倦怠感や節々の痛みを伴うことが多く、インフルエンザとよく似ています。感染数は大人の割合が高めですが、子どもは罹患しないというわけではないので注意が必要です。

また、インフルエンザは22年度から増えはじめ、今年度はコロナ禍前に匹敵する勢いとなっています。今年は複数のインフルエンザが相次いで流行していることが特徴で、これまでに少なくとも2種類のA型と、24年2月時点で主流となっているB型の計3種類が確認されています。インフルエンザは種類が異なると再度罹患してしまうことがあります。A型の後にB型に罹患する可能性はもちろん、同じA型でも種類が異なれば罹患する可能性があります。「今年は1度かかったら大丈夫」という訳にはいかないようです。

更に今年は溶連菌性咽頭炎の感染も広がっています。小児の感染が主ですが、その両親にも感染する例が多いです。症状としては「38度以上の発熱」、「のどの痛み」を伴うことが多く、子どもが食事を嫌がるといった声がよく聞かれます。
もし溶連菌性咽頭炎と診断された場合は、処方された抗菌薬をしっかり飲み切ることが重要です。症状がなくなったから途中で止める、といったことがないようにご注意ください。

24年2月時点での流行情報に基づき記事を作成しています。流行状況については市のHPに掲載されているため、気になった方は確認してみてください。もし発熱症状が出た場合は最寄りの医療機関にご相談いただければ幸いです。


Text by たからまち総合診療クリニック 院長 玉置 耕平( 2024年4月 「ハコラク」掲載)

脂肪肝に潜む危険

内科2023/08/28

脂肪肝とは肝臓の細胞に脂肪がたまった状態を指し、日本人に大変多く約 2000万人が罹患していると推定されています。

その原因として過度の飲酒は昔から知られていましたが、近年は過食や運動不足による脂肪肝が増加しています。 脂肪肝には大きく 2つの問題があります。
1つ目は、脂肪肝にはメタボリック症候群(肥満・糖尿病・高血圧症・脂質異常症の有無などから診断されます)を伴うことが少なくないことです。メタボリック症候群は日本人の死因の上位を占める脳梗塞や心筋梗塞のような予後に直結する動脈硬化性疾患の発症が多くなります。
もう1つは、脂肪肝は長年良性疾患と考えられていましたが、一部は肝の炎症によって肝硬変や肝がんを発症する危険性があり、実際に脂肪肝を基盤とする肝硬変・肝がんは近年増加傾向にあります。

さらに最近の研究ではメタボリック症候群を合併する脂肪肝は肝硬変や肝がんへ進展するリスクが高いことが分かってきました。
2020年に世界各国の肝臓専門医が集まって議論した結果、「代謝異常に関連する脂肪性肝疾患(MAFLD(マフルド))」という新しい疾患概念が提唱されました。
その診断基準では脂肪肝にメタボリック症候群を合併しているかどうかから診断され、飲酒量やB型肝炎・C型肝炎といった ウイルス性肝疾患の有無も問いません。
分かりやすくいうと、大部分が良性である脂肪肝のうちリスクの高い集団を絞りこんで厳密に経過観察し、最終的に予後の改善を図ろうという取り組みです。 その有用性は今後人間ドックや日常診療によって検証されていきますが、消化器・循環器・内分泌代謝といった内科の複数分野にまたがる視点からの健康管理にも役立つものと期待されています。

両者を合併している方は今後特に注意しましょう。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男( 2023年8月21日 「北海道新聞夕刊」掲載)

血圧が高い方は治療が必要です

内科2023/06/26

血圧が高いといわれたけど、今は困っていないからと放置していませんか?
高血圧は自覚症状がない場合も多いですが、放っておくと将来いろいろな病気の原因になります。

もともと血管には弾力があるのですが、高血圧の状態が長く続くと、血管の壁は次第に厚くなり、硬くなります。これが動脈硬化で、脳出血、脳梗塞、大動脈瘤、腎不全、心筋梗塞などの原因になります。

また、心臓は高い血圧に対応して無理をすることになり、心臓の筋肉が肥大し、心不全になります。ある日突然呼吸困難になったり入院が必要になったり、救急車を呼ぶことになったり、最悪の場合は命に関わります。 こうした合併症を予防するには、血圧を正常化することが必要です。

高血圧の治療は、原因に対する治療、生活習慣の是正、薬物療法が中心となります。
高血圧症の約90%は原因の分からないもので、本態性高血圧症と呼ばれています。
遺伝的な因子や、生活習慣などの環境因子が関与しており、生活習慣病といわれています。

過剰な塩分摂取、肥満、過剰飲酒、精神的ストレス、自律神経の調節異常、運動不足、野菜や果物(カリウムなどのミネラル)不足、喫煙などが関わっています。 塩分をどの程度取っているのかは、自分自身では分かりにくいものです。
「薄味にしている」、「減塩調味料を使っている」という方でも、塩分摂取量が思いのほか多いこともあります。塩分摂取量を算出することで現状を把握することができます。

血圧を上昇させる明らかな病気があるときは、二次性高血圧症と呼ばれています。腎動脈狭窄、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など、手術を行うことで高血圧の治療が期待できるものが含まれます。これらの病気が疑われる場合には、血液検査・超音波検査・CT検査などを行う場合もあります。

薬によって血圧が上昇することもあります。代表的なものとしては、鎮痛薬、甘草という成分を含む漢方薬、ステロイド、抗がん剤などが挙げられます。 なかなか禁煙ができない方には禁煙治療を行う場合もあります。

血圧の異常がある方は自己判断で放置せず、内科で相談するようにしましょう。


Text by 昭和ごとう内科 後藤 洋平( 2023年6月19日 「北海道新聞夕刊」掲載)

脳梗塞後遺症回避のためのゴールデンタイム

内科2023/06/26

脳梗塞は突然やってきます。治療は一刻を争うため、発症からの対応がとても重要です。

脳梗塞とは、脳の血管の中に血栓という血の塊により血管が詰まったり細くなることで、脳に酸素が行き渡らなくなり、脳に障害が起きる病気です。 脳梗塞の発症後、3割は死亡、6割はまひや言語障害などの後遺症が残ります。
発症からなるべく早く診断を受けることで、治療の選択肢が広がり、命が助かり後遺症からも回避できるのです。
脳梗塞の原因の7割は動脈硬化、3割は心房細動という不整脈です。

動脈硬化はほとんど自覚症状がなく、主に50〜60代から進行しますが、最近は高カロリーな食事や慢性的な運動不足、ストレスなどが原因となり30代の若年層の血管の老化も指摘されています。動脈硬化の検査は腕と足の血圧比を測定するABIや頸動脈エコーなどお近くの内科で簡単に検査できるものもあります。

心房細動は心電図で診断することが可能です。動悸や目まいを訴えることもありますが、ほとんど自覚症状がないことも少なくありません。また、心房細動は不規則に出現することもあるため見逃されることも多く、自覚症状がなくとも定期的な心電図検査や動脈硬化の検査も必要です。

脳梗塞の症状は身体の片側が動かせない、力が入らない、ろれつが回らない、話そうと思っても言葉にできない、顔の表情に左右差がある、両目の視野が欠けるなどです。 脳梗塞には本格的な脳梗塞になる前触れTIA(一過性脳虚血発作)が起きることがあります。

脳に一度詰まった血栓が自然に溶けるなどにより血流が再開することがあるのです。 血流の再開により5分から1時間ほどで症状が消失します。TIAを経験した方のうち、2割は90日以内に、10人に1人は2日以内に本格的な脳梗塞を発症しています。TIAを見逃さないことがとても重要なのです。 症状がなくなっても家で休んでいることは危険です。少なくとも当日のうちには専門医の受診をお勧めします。

脳梗塞の治療で最も効果的な治療は、tーPA静注療法、血栓回収療法、またはその組み合わせです。
t-PA静注療法は血栓を溶かす薬を投与することで小さい血栓であれば2〜3割は溶解しますが残りの血栓はカテーテルで脳にある血栓を直接除去します。 ただし、t-PA静注療法は発症後4.5時間以内、血栓回収療法は6時間以内でないと受けられないため、発症後3時間以内には診断を受ける必要があります。

しかし、過去に脳出血を起こしている、脳梗塞の範囲は広い、血圧が高過ぎる方は治療を受けられないので普段からの血圧のコントロールも重要です。 脳梗塞が疑われる症状が出現したときには、自家用車やタクシーではなく、救急車を呼んでください。救急隊の方が診断治療を行える病院へ速やかに搬送します。

今後の治療方針に重要になるため、脳梗塞の症状が出現した時間も伝えられるようにしておくことも重要なポイントです。
自覚症状がなくとも定期的な検査をすること、血圧や動脈硬化を正常にコントロールしておくことが今後の脳梗塞の予防には重要です。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2023年6月19日 「北海道新聞夕刊」掲載)

新型コロナ感染症が5類になりました

内科2023/05/31

5月8日より、新型コロナウイルス感染症が5類になり、これからは医療もウィズ コロナの時代となります。

5類になって、感染者の自宅療養についての法的拘束力はなくなり、自己判断となります。 発症日を0日として5日間、かつ、風邪症状が消失して24時間経過していることが目安となります。感染力の強いウイルスなので、5日間たったから大丈夫ということではなく、症状が改善しているかを考慮しましょう。

この間の、公共の交通機関の利用や買い物などは規制されません。ただし、感染を広げないように、移動・買い物は短時間で済ますこと。ウイルスの排出の少ない不織布のマスクを着用しましょう。 感染後10日間は、マスク着用が推奨され、この間はリスクの高い高齢者との接触は避けましょう。

コロナ感染症は、セルフチェックができます。現在、コロナウイルス感染の抗原検査キットが販売されています。検査キットは、厚生労働省の認可済みのキットを使用してください。ケースに研究用と書かれているものは不可。厚生労働省の認可済みのものは、体外診断用医薬品(第1類医薬品)と表示されています。認可済みのものは、われわれ医師の使っているキットと同じ精度です。

また抗原検査キットの使用についてはこつがあります。熱が出たので心配で…すぐ検査。という気持ちは分かりますが、しっかりと判定するためには、24時間程度時間が経過してからの方が正診率が上がります。発症直後には、ウイルス量が少なく、反応しないことがあるので要注意です。

熱冷ましや風邪薬を使用しても検査には影響がありませんので、熱が出たらまずは仕事を休む。その後検査キットを使用して確認する。キットが陰性でも風邪の症状があるうちはできる限り人と接触しない。会うのはマスクを着用して短時間で。

ウイルスは何も変わっていません。恐れ過ぎず、賢く付き合いましょう。


Text by はら内科クリニック 院長 原 信彦( 2023年5月22日 「北海道新聞夕刊」掲載)

貧血といわれたら

内科2023/02/28

健康診断などで貧血の診断を受けたことがある方もいらっしゃると思います。貧血とは、血液中の赤血球の中にある、酸素を運ぶ役割のヘモグロビンの濃度が低下した状態を指します。

症状としては目まい、立ちくらみ、息切れ、疲れやすい、などがありますが、症状が出るのはかなり進行してからになります。ただしここにあげた症状は貧血でなくてもしばしば起こりうるので、「貧血をおこした」と患者さんが診察室で表現しても実際には本当の貧血はなかった、ということはよくあります。

貧血の原因はいろいろありますが、大きくは①血液そのものの病気(白血病など)、②慢性疾患(腎臓病や肝臓病など)や加齢に伴うもの、③鉄やビタミンなどの血液(赤血球)を作るための原料不足によるもの、に分けられます。

その中で最も多いのは鉄不足による貧血、いわゆる鉄欠乏性貧血で、貧血全体の約60〜80%を占めるといわれています。 鉄不足は偏食による栄養不足や胃切除後の吸収不良などでも起こりますが、これらの特別な事情がなければ、現代の日本で普通の食事をしている限り鉄の摂取不足になることは少ないと考えられます。

むしろ多いのは何らかの出血によって赤血球が減り、その結果赤血球に含まれていた鉄分が体内から失われたケースで、例えば鼻出血、歯茎の出血、痔出血、月経なども原因となります。

特に問題となるのは消化管(胃や腸)からの出血です。目に見える程の出血(吐血・下血)があればすぐに気付いて病院を受診すると思いますが、肉眼では分からない程度の出血がじわじわと続いた結果貧血となり、それがきっかけで進行した胃がんや大腸がんが見つかるケースは決して珍しくありません。

貧血と診断されたら放置せず、一度胃カメラや便潜血検査(大腸がんの検査)を受けることが大切です。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男( 2023年2月20日 「北海道新聞夕刊」掲載)