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血液検査でがん早期発見の時代へ

2019/02/25

 「がんは血液検査で分からないんですか?」患者さんにそう尋ねられることが時々あります。現在血液検査には腫瘍マーカーと呼ばれるがん診断に関する項目があります。しかし、この検査はすでにがんの治療を受けている方の経過観察には有用ですが、残念ながらがんを早期に発見することは困難です。腫瘍マーカーはがん細胞の表面にある物質で、がんがある程度大きくなってから一部が死んで血液中に漏れてきたものを見ているので、もともと早期がんの発見には向いていないのです。胃カメラなど手間や苦痛を伴う検査を受けなければ分からないのが現状です。

 その限界を打破する新技術の開発プロジェクトが国立がんセンターなどを中心として現在進行中です。エクソソームと呼ばれる細胞から出される膜に包まれた物質の中にある、マイクロRNAという物質ががんの増悪や転移に深く関わっていることが近年分かってきました。エクソソームは血液、尿、唾液などの体液中に含まれており、これを抽出してマイクロRNAを測定してみると、がんの人と健康な人とでその内容・種類が異なることが分かりました。さらに重要な点はこれらの異常ががんの超早期から見られることで、早期の卵巣がんがこの手法で100%近い診断率であったという驚くような報告もあります。現在は13種類のがんについて診断薬として問題ないか多数例で検証する段階に入っており、数年以内の実用化を目指して研究が進んでいます。

 この技術には現在のがん検診・診断の体系そのものを根底から変えるほどの大きなインパクトがあります。長年続く画像診断を中心としたがん検診の時代から新時代の検診スタイルに進化すると思われます。早期発見されるがんが増えることになれば、最終的にがんの死亡率改善が期待されます。1日も早い実用化を期待したいところです。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男( 2019年2月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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