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脳梗塞後遺症回避のためのゴールデンタイム

内科2023/06/26

脳梗塞は突然やってきます。治療は一刻を争うため、発症からの対応がとても重要です。

脳梗塞とは、脳の血管の中に血栓という血の塊により血管が詰まったり細くなることで、脳に酸素が行き渡らなくなり、脳に障害が起きる病気です。 脳梗塞の発症後、3割は死亡、6割はまひや言語障害などの後遺症が残ります。
発症からなるべく早く診断を受けることで、治療の選択肢が広がり、命が助かり後遺症からも回避できるのです。
脳梗塞の原因の7割は動脈硬化、3割は心房細動という不整脈です。

動脈硬化はほとんど自覚症状がなく、主に50〜60代から進行しますが、最近は高カロリーな食事や慢性的な運動不足、ストレスなどが原因となり30代の若年層の血管の老化も指摘されています。動脈硬化の検査は腕と足の血圧比を測定するABIや頸動脈エコーなどお近くの内科で簡単に検査できるものもあります。

心房細動は心電図で診断することが可能です。動悸や目まいを訴えることもありますが、ほとんど自覚症状がないことも少なくありません。また、心房細動は不規則に出現することもあるため見逃されることも多く、自覚症状がなくとも定期的な心電図検査や動脈硬化の検査も必要です。

脳梗塞の症状は身体の片側が動かせない、力が入らない、ろれつが回らない、話そうと思っても言葉にできない、顔の表情に左右差がある、両目の視野が欠けるなどです。 脳梗塞には本格的な脳梗塞になる前触れTIA(一過性脳虚血発作)が起きることがあります。

脳に一度詰まった血栓が自然に溶けるなどにより血流が再開することがあるのです。 血流の再開により5分から1時間ほどで症状が消失します。TIAを経験した方のうち、2割は90日以内に、10人に1人は2日以内に本格的な脳梗塞を発症しています。TIAを見逃さないことがとても重要なのです。 症状がなくなっても家で休んでいることは危険です。少なくとも当日のうちには専門医の受診をお勧めします。

脳梗塞の治療で最も効果的な治療は、tーPA静注療法、血栓回収療法、またはその組み合わせです。
t-PA静注療法は血栓を溶かす薬を投与することで小さい血栓であれば2〜3割は溶解しますが残りの血栓はカテーテルで脳にある血栓を直接除去します。 ただし、t-PA静注療法は発症後4.5時間以内、血栓回収療法は6時間以内でないと受けられないため、発症後3時間以内には診断を受ける必要があります。

しかし、過去に脳出血を起こしている、脳梗塞の範囲は広い、血圧が高過ぎる方は治療を受けられないので普段からの血圧のコントロールも重要です。 脳梗塞が疑われる症状が出現したときには、自家用車やタクシーではなく、救急車を呼んでください。救急隊の方が診断治療を行える病院へ速やかに搬送します。

今後の治療方針に重要になるため、脳梗塞の症状が出現した時間も伝えられるようにしておくことも重要なポイントです。
自覚症状がなくとも定期的な検査をすること、血圧や動脈硬化を正常にコントロールしておくことが今後の脳梗塞の予防には重要です。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2023年6月19日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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