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ノロウイルス感染症

内科2016/02/08

 例年この時期になりますと、インフルエンザやノロウイルスの発生がちまたで多くなります。
保育園や老人保健施設などで、ノロウイルスの感染に伴う罹患者の集団発生も報道されます。
症状は嘔吐(おうと)や下痢などであり、数日で治まるものですが、小児や高齢者では脱水や誤嚥(ごえん)による肺炎などを引き起こすこともあり、注意が必要です。
この時期に頻繁な嘔吐や下痢があるときは、まず、ノロウイルス感染を疑うことが肝要です。
吐物や排せつ物にはむやみに触れず、手袋やマスク、可能ならガウンを使用し感染の拡大を防ぐことが必要です。
ウイルスも変異してきており、感染力も変化してきております。
これがまた爆発的な流行の一因にもなります。
治療は、脱水を防ぐために点滴や補水液の飲用などを行い、整腸剤などでの対処になります。
下痢止めは病原性大腸菌感染などと同様に投与しないことが多いです。
トイレの便座、吐物や排泄物の消毒(次亜塩素酸ナトリウムの希釈液など使用)も大切です。


Text by 函館渡辺病院 太田 知明( Array 「北海道新聞みなみ風」掲載)

家庭血圧の値のバラツキ=血圧変動

内科2016/01/25

 「先生、家庭血圧の値のバラツキが大きくなったのは、私の機械が壊れているのでしょうか?」と、高血圧で通院しているAさんは首をかしげて聞いてきました。
どうやら、毎朝きっちりと同じ時刻、同じ姿勢で家庭血圧を測定しているのに、季節が秋に入った頃から、測るたびに血圧の値が大きく違うようになり、自分の家庭血圧計が信用できないとの相談でした。

 血圧の値は測定する度にバラツキがあるものです。
これを血圧変動といって、病院で測る診察室血圧も家庭で測る家庭血圧にも必ず変動があります。
以前は、測定器の機械的誤差や測定方法が丁寧でないことなどが、血圧変動の主な原因と考えられていました。
しかし2010年頃から、血圧変動が大きいことが脳卒中の発症と関係があるとの研究結果が報告されるようになり、血圧変動は老化や動脈硬化の進行とも深く関係があると考えられるようになりました。

 血圧変動には、夏に低く冬に高くなる「季節変動」、病院の定期受診時に測定する度に違った値となる「受診間変動」などがあります。
さらに近年は家庭血圧測定が普及したことによって、毎日測定すると毎日違う値となる「日間変動」、朝と夜などの1日の中で違う値となる「日内変動」、さらに1機会に複数回測定した場合に違う値となる「測定間変動」などが容易に調べられるようになりました。

 最近はそれらの変動に関して幾つもの研究がされるようになり、血圧を下げる薬の中でも特にカルシウム拮抗薬が、「受診間変動」を小さくすることで、脳卒中を予防する可能性がある事が分かってきました。

 Aさんのように気温が寒くなり始める秋頃から血圧変動が大きくなる人は、動脈硬化が進行していると思われますので、冬期間は気温の低い場所に突然出ることを避けるなど気温の変化に注意することで、血圧変動を大きくさせない生活をおくることがとても大事です。


Text by 関口内科 関口 洋平( 2016年1月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

血液内科にご相談を

内科2016/01/14

 血液に関する病気と言えば、白血病など重篤な病気を思い浮かべるかもしれませんが、貧血、あざや内出血、鼻血など身近な症状も血液内科の専門分野です。
血液の中にはさまざまな成分が含まれており、そのひとつに赤血球があり、その中のヘモグロビンが体内に酸素を運ぶ重要な働きをしています。
ヘモグロビンの合成には鉄が必要です。鉄の欠乏は、供給量と需要量のバランスが負に傾くことによって生じます。
鉄が不足するとヘモグロビンが産生できず鉄欠乏性貧血になります。
貧血の90%以上がこの鉄欠乏性貧血です。
鉄は体内で生成することはできないので、食事で効率よく摂取しなければなりませんが、非常に吸収率が悪く、過剰摂取は良くないと体が分かっているので少しずつしか吸収できないようになっています。
鉄分のサプリメントもありますが、食材から摂取する方が吸収効率はよいです。
ほうれん草や小松菜、レバーなどの鉄分を多く含む食材を取り入れながら、バランスの良い食事を毎日心がけていれば、自然と必要な鉄分が摂取でき、貧血予防・改善が図れます。
よく、めまいや立ちくらみが貧血の代表的な症状のように言われますが、実は貧血の主な症状は「息切れ」です。
酸素不足になると、もっと呼吸をして酸素を取り込もうとして息切れしやすくなるのです。
日常的に息切れを自覚されている方は貧血を疑った方がいいかもしれません。
息切れ以外の症状としては、爪が割れる、口内炎ができやすい、肩こり、冷え性、頭痛、むくみなどが貧血のサインと言えます。
普通に生活をしていて、「血液がおかしい」と思われる方は少ないと思いますが、息切れなど気になる症状がある場合は、血液が危険信号を発信しているサインなのかもしれません。
一度、血液内科で相談または、診てもらった方が安心です。


Text by Array( 2015年11月13日発行 「青いぽすと」掲載)

便秘の定義

内科2015/12/21

 今年の10月、米国消化器学会(AGA)は慢性便秘に関する患者向けガイドラインを発表しました。

 便秘とは、「排便回数が1週間で3回未満の状態」と定義されます。

 この状態が3カ月以上続くと慢性便秘といい、米国では成人の16%、60歳以上では3分の1が慢性便秘を経験していると報告されています。

 主な症状は、排便時のいきみ、残便感、排便に時間がかかる(目安は5分以内です)、硬便、肛門裂傷、腹痛、腹部膨満や腹部不快感などです。

まずAGAが推奨している便秘の解消法は次の五つです。

①果物・野菜など繊維の多い食品を取る。
②速足で歩く、自転車に乗るなど中等度の運動を週に最低2時間半行う。
③水分を多く取る。女性は1日最低コップ9杯、男性は最低13杯(体格の違いを考慮すると、日本人ではやや多い印象です)。
④便意は食後に起こりやすいので、食後の排便時間を確保する。
⑤便意を我慢しない。

 他にも、朝の起きがけにコップ1杯のお水を飲むこと、朝食をきちんと取ることも腸の働きを刺激してくれます。
排便後のウォシュレットでの強すぎる水流や長時間の使用はお勧めできません。
また、適量の油の摂取も、腸での潤滑油となり便を出しやすくしてくれます。
理想の便は、細めのバナナ状の形と軟らかさです。

 下剤を内服して、形のない状態で便が出ている方は、下剤の量が多いのかもしれません。
下剤も、塩類下剤(便を軟らかくする薬)と、刺激性下剤(腸を刺激して動かす薬)に分類され、漢方薬の選択肢もあるのでそれぞれの便秘の状態で使い分ける事が大切です。
便秘の原因として薬剤、特に精神・神経系の薬剤を使用すると便秘の頻度は高くなります。
また、痔(じ)や甲状腺、糖尿病、脱水や電解質異常などが原因となる事があります。
食事や生活習慣を改善しても解消しない便秘の時、軟らかい便、細い便が続く時、便に血が混じる時は、ひそかに大腸がんが進行しているかもしれません。
特に、進行した直腸がんの患者さんの60%以上は、痔が原因と自己判断をして放置していた方たちです。
最近増加傾向にある大腸がんや直腸がんは、早期に発見できれば、がんの中でも内視鏡や手術で完治する可能性が高いがんの一つです。
恥ずかしいと思わずに、気になることがあれば、消化器専門医にご相談ください。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2015年12月21日 「北海道新聞夕刊」掲載)

忘年会を乗り越えろ!(糖尿病編)

内科2015/11/30

 年の瀬も差し迫り、忘年会のシーズンがやってきました。
忘年会・クリスマス・お正月とこれからのシーズンが糖尿病の悪化しやすい時期です。
まずは、毎日の体重測定から行いましょう。
できるだけ1日2回測定し、朝と夜の体重差を1㎏以内に抑えましょう。
血糖を自分で測る器械がない方は、自分の状態の良し悪しは、体重測定が一番です。
毎日体重を測定すると、体重が増えた時に、「やばい! 体重増えた!? なんでだろう??」と自分の生活を見直すきっかけになります。
食事の取り方にもコツがあります。
まずは、野菜が先!野菜を先に取ることで、食物繊維がコレステロールの吸収を抑え、糖質の吸収を遅らせます。
結果血糖値の上昇を抑えてくれます。
また野菜を食べる習慣も付き、早食いの食生活改善、そして食事の量が少し減るようになります。また糖質を取り過ぎないこと。
糖質とは、ごはん・パン・麺類などの主食・イモなどの根菜類・果物・お菓子などです。
ジュース類は糖質の量が多く、しかも急速に吸収され血糖値が急上昇します。
最近では果物も糖度が高く、リンゴ・梨などは、半分が1日量とされていますが、甘みが強ければそれよりも少なくしてみましょう。
お菓子は、できるだけ食べないのが原則ですが、食べるのであれば、毎日3時に漫然と食べるのではなく、1日おきにする・何か体を動かしたときだけにするなどのメリハリが必要です。
この時期は、その日だけ食べ過ぎることがあると思います。
その後よくあるのが、朝抜き・昼そば・夜ドカ食い、のパターンです。
食べ過ぎたので、つい食事を抜いたりして血糖値が上がらないようにと、気持ちは分かりますが、糖尿病の薬を飲んでいる場合、低血糖になりかねません。
また、食事を抜くとどこかでおなかがすいて、やはり最後は食べ過ぎることが多くなります。
この時期は、痩せろとは言いませんが太らないように体重管理に気を付け楽しく年末年始を送りましょう。


Text by はら内科クリニック 原 信彦( 2015年11月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

C型肝炎の治療は新時代へ

内科2015/08/31

 肝臓病の原因は数多くありますが、B型肝炎・C型肝炎に代表されるウイルス性の慢性肝炎は特に気を付けなければならない病気です。
これらは主に輸血など血液を介して感染しますが、感染ルートが不明の場合も少なくありません。
この病気の怖いところは、感染後長年症状のないまま肝硬変や肝臓がんになっていくことです。
今から30年ほど前までは有効な治療法がなく、肝機能をできるだけ維持する治療を行うのが精一杯の時代が続きました。
1980年代にウイルスの排除(追い出すこと)を目的とするインターフェロン治療が始まりました。
しかしインターフェロンは長期間頻回の注射を必要とする上に副作用も多く、その上ウイルス排除の成功率も低かったため満足できる状況とは言えませんでした。
B型肝炎については2000年頃よりウイルスの増殖を抑える内服治療が登場し現在も多く使われていますが、C型肝炎の方はインターフェロンを必要とする時代が長く続きました。

 しかし昨年その状況に風穴があくことになりました。
C型肝炎に対して副作用も少なくウイルス排除の成功率が85%から100%という内服治療薬が登場したのです。
インターフェロン時代の苦労を考えるとまさに夢のような数字といえます。
C型肝炎ウイルスにはいくつかの型があり、発売当初は日本人に最も多い1型に対する薬でしたが、今年に入って2型に対する治療薬も登場し日本のC型肝炎のウイルス型をほぼ網羅できるようになりました。
さらに治療期間も当初の6カ月間から3カ月間に短縮されつつあるなど、次々に新薬が登場しています。
C型肝炎はまさに治る時代に入ったといえるでしょう。

 医療の進歩というよりメーカーの開発競争の成果としての側面も大きいわけですが、結果として多くの患者さんがその恩恵をうけ健康を取り戻せるようになります。
治療には国や道の医療費助成を受けることができますので、消化器病・肝臓病の専門医によく相談しましょう。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男( 2015年8月31日 「北海道新聞夕刊」掲載)

血液疾患の症状

内科2015/07/21

 血液疾患の症状は多くの場合あいまいで、これといった特徴がみられません。
つまり、その症状だけでは体のどこの病気かほとんどわかりません。
しかし、1つの症状だけで間違いなく血液疾患とわかることはないにしても、特定の症状がいくつかみられる場合は血液疾患の可能性が疑われます。

 そういった一連の症状は、血球の減少と関係していることが最も多く、赤血球数の減少(貧血)、白血球数の減少(白血球減少症)、血小板数の減少(血小板減少症)などがあります。
たとえば、疲労感や脱力感、息切れがある場合は貧血の可能性があります。
また、発熱や感染がみられる場合は、白血球が少なくなっている可能性があります。
さらに、出血やあざが起きやすい場合は、血小板が少なくなっている可能性があります。
ときには、血球数の増加に伴って症状が発生する場合があります。
たとえば、赤血球数が増加したり(赤血球増加症)、白血球数が増加したりすることによって血液が濃くなる(血液粘度が増す)と、息切れ、頭痛、めまい、意識障害などの症状が現れることがあります。
また、多発性骨髄腫でみられるように、免疫に関係するタンパク質が増えることによっても血液が濃くなることがあります。

 その他に、血液凝固を正常に保つ物質(凝固因子)に異常が生じると、血液が固まりにくくなって生じる症状(あざや出血がひどくなったり、皮膚に小さな赤色ないし紫色の斑点として現れたりする)、あるいは異常な血のかたまりができて生じる症状(脚の一部が痛みや熱を持ったり、息切れや胸痛が突然生じたりする)が現れる場合があります。
これらの凝固因子が十分つくられない場合、つくられた凝固因子が異常な場合、これらの凝固因子をあまりにも早く使い果たしてしまった場合などには、このような障害が発生する可能性があります。

 気になるところがある方は、医療機関の受診をおすすめします。


Text by 飯田内科クリニックいしかわ 伊達 基( 2014年5月15日 「青いぽすと」掲載)

新鮮な魚ほど危険?寄生虫アニサキス

内科2015/06/29

 アニサキスの幼虫は、体長は2~3cmの半透明の糸ミミズのような体形をしており、アニサキスの幼虫が付着した生の魚介類を食べたとき、ほとんどがそのまま排せつされますが、まれに人の胃や腸壁に侵入し、食後2~8時間後に激しい腹痛や嘔気(おうけ)・嘔吐(おうと)・アレルギー症状を引き起こします。
胃粘膜に進入する「胃アニサキス症」は、一番頻度が高く、胃・十二指腸潰瘍の症状と酷似しています。
腸の粘膜に進入する「腸アニサキス症」は、急性虫垂炎の症状と酷似し、まれに腸穿孔(せんこう)や腸閉塞(へいそく)を併発すると開腹手術となることもあり注意が必要です。
「アニサキスアレルギー」では、じんましんや血圧低下、呼吸不全などアナフィラキシー症状を来した症例も報告されています。
主に寄生しやすい魚は、サバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマ、ホッケ、タラ、マスで、養殖魚にはほとんど認められていません。
これらの魚の内臓に寄生しているアニサキス幼虫が、漁獲後に筋肉に移動します。

 予防方法は、
①60℃で1分以上加熱する(70℃以上では瞬時に死滅します)
②マイナス20℃で24時間以上冷凍する
③内臓は生では食べず、魚を丸体で購入する際は、新鮮なうちに内臓を取り除く
④冷凍魚ではなく新鮮な魚を生で食べる場合は、調理の際、目視で確認し、除去する。
また、料理で使う程度の量や濃度の醤油、ワサビ、ショウガ、ニンニク、酢では、死滅しないので、注意が必要です。

 経過と症状から、胃アニサキス症が疑われる場合は、胃内視鏡を行い、アニサキス幼虫を鉗子(かんし)でつまみ、取り除くことで、速やかに症状は改善します。
アニサキス症は、昔は漁村などに発生する風土病と言われていましたが、生の食材が新鮮な状態で提供されるようになった現在、アニサキス症は増加傾向にあります。
今や、年間7000件以上の報告があり、もはや人ごとではありません。

 魚介類を生で調理、食べるときは十分注意し、また、アニサキス症が疑われるときは、できるだけ胃を空っぽにして、緊急で胃カメラができる状態で専門医を受診する事が大切です。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2015年6月29日 「北海道新聞夕刊」掲載)

貧血について

内科2015/06/08

 貧血とは、血液の中で身体の各組織に酸素を運搬する役割の赤血球、詳しくはその中の血色素(ヘモグロビン)が不足して、運ばれてくる酸素が減るために組織が酸欠状態となる病気です。動悸(どうき)、息切れ、倦怠(けんたい)感などの症状で出現するのですが、徐々に進行した場合には、かなり悪化するまで気が付かないこともあります。いろいろな原因で赤血球は減少しますが、最も多いのが赤血球の主要な原料である鉄分の欠乏による鉄欠乏性貧血です。この鉄分の欠乏にも、食事での摂取量の不足、腸での鉄分の吸収障害、慢性出血による損失などの原因があります。生理による出血、偏食などで若い女性に出現することも多いのですが、その他では、消化管のがんなどで引き起こされることもあり、放置せずに検査治療を受ける事をお勧めします。


Text by 函館渡辺病院 森本 茂男( 2015年6月8日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

本当にただの脂肪肝ですか?

内科2015/05/25

 GWはいかがお過ごしでしたか? まさか体重が増えたりしていませんよね?

 そろそろ健康診断の検査等が行われると思いますが、脂肪肝と書かれそのままにしていませんか?

 たかが脂肪肝でも進行する脂肪肝があります。まずは、脂肪肝でお酒を飲む方は、飲み方を変えましょう。健康飲酒量は、缶ビールは500mℓ、日本酒・ワインは1合、焼酎は25度なら0・6合、ウイスキーはダブル60mℓが適量と言われています。少なく感じるかもしれませんが、これに近づける努力は必要ですし、場合によっては、休肝日を週に1~2日設ける必要もあります。
お酒を飲まない・ただ少し太っているだけという脂肪肝の多くは、単純性脂肪肝と言って進行しないものが多いのですが、中には非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼ばれ、痛くもかゆくもなく、徐々に、肝硬変・肝臓がんと知らないうちに進行する肝炎も隠れていますので気を付けなければいけません。日本での検診受診者を100とすると脂肪肝が35%そのうちNASHは2%程度といわれています(※1)。病態については、生活習慣病が基本にあり、内臓脂肪の蓄積から肝臓の細胞にも脂肪沈着が起こり、脂肪肝となり、そこに鉄の代謝障害・酸化ストレス・脂質過酸化等の要素が加わり悪循環を形成し、NASHという進行性の肝障害がおこると考えられています。頻度は多くありませんが、症状がなく気が付くと進行しており確立した治療法がいまだにありません。まずは、減量が一番効果的です。肥満大国アメリカのガイドラインでは単純性脂肪肝は3~5%の減量・NASHの時は、10%の減量を目標にします。薬物ではEPA製剤(青魚の油)・ビタミンE(抗酸化治療薬)・インスリン抵抗性改善薬等の治療報告はあるもののいまだ内服治療のみでは十分な治療効果はなく、減量を行ったうえで内服治療を行うと効果が表れやすいようです。まずは、節酒・減量・そして検診結果を放置せず、再検査・定期検査を忘れずに!

(※1 日本消化器病学会誌47 2012年)


Text by はら内科クリニック 原 信彦( 2015年5月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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