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眼科医は何を診るか

眼科2023/08/28

眼科へ受診すると必ず、台に顎を乗せ、光を浴び目を診察を受けます。その診察中に眼科医が何を診ているかについてお話しします。

目は前眼部と後眼部に大きく分かれます。簡単にいうと目の表面と奥です。前眼部の診察は眼瞼(まぶた)、結膜(白目)、角膜(黒目)、虹彩(黒目の中にある茶目)を診ていきます。
「目が痛い」「目やにが出る」「充血する」「かゆい」「ゴロゴロ」などの原因はこの前眼部にあることがほとんどです。

次に後眼部の診察では、水晶体、硝子体、網膜、視神経を診ていきます。
それぞれ説明すると水晶体は年齢を重ねることでご存知の白内障を引き起こす部位です。また硝子体は目の中のゼリーのようなものです。そして網膜はカメラでいうフィルムにあたり物を見る部位で、最後に視神経は網膜で見た映像を脳に伝えます。
「見えにくい」「かすむ」「視野が欠ける」「何かが飛んで見える」などの症状はこの後眼部に原因があることも多いです。

前眼部は遮るものがないのでいつでも診察が可能ですが、後眼部に関してはそうはいきません。虹彩という茶目が遮り、後眼部は通常だと一部しか観察できません。
そのため後眼部の詳細な観察が必要と判断した場合は、茶目を一時的に開かせる目薬をし、後眼部の観察を詳しく行います。

ここで注意すべきことは、茶目が開いた状態だと目に入ってくる光の量が増し、元に戻るまでまぶしさを感じます。おおよそ5時間ほどで茶目は元通りに戻りますが、その間は少し見えにくくなるので車を運転することは危険です。
後眼部の症状がある方は車以外で受診するか、時間を空けて帰宅することをお勧めします。

今回は診察台での話をしましたが、眼科では他にも素晴らしい最新の検査機器も多々あるので、それらと共に皆さまの目をわれわれの目で診ていきます。


Text by 江口眼科病院 栗山 卓也( 2023年8月21日 「北海道新聞夕刊」掲載)

脇汗と手汗に悩まされていませんか?

皮膚科2023/08/01

汗にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺から出る2種類の汗があり、エクリン汗腺はほぼ全身の皮膚に分布し、体温調節の役割を担っています。

日常生活で困るほど汗の量が多い状態を「多汗症」と呼び、甲状腺疾患など別の病気が原因で起こる「続発性」と、明確な原因が不明な「原発性」に分類され、脇の下や手のひら、足の裏など汗腺が多い部位に生じる「局所多汗症」の9割以上が原発性といわれています。

原発性局所多汗症の診断は、多量の汗が明らかな原因のないまま6か月以上みられ、①最初に症状が出るのが25歳以下である。②左右両方で同じように発汗がみられること。③睡眠中は発汗が止まっていること。④1週間に1回以上多汗の症状が出ること。⑤家族にも同じ疾患の患者さんがいること。⑥汗によって日常生活に支障を来すこと、の6症状のうち2項目以上当てはまる場合に診断されます。

多汗で悩まされる場面としては、手を上げにくい、夏場でも薄着になれない、紙が汗でにじんでしまう、握手ができない、汗でスマートフォンやパソコンの操作がしにくい、スポーツや楽器などが制限される、などがあると思います。
多汗症は10~50歳代が多いため、労働生産性・勉学生産性が低下し、経済損失も大きいのはもちろんですが、精神的なストレスにつながり、うつなどを併発してしまうケースもあります。

3年前に脇汗を抑える外用剤が、そして今年の6月に手汗を抑える外用剤が発売されました。
脇汗が多い方は531万人、手汗が多い方は493万人とかなり多い割には受診される方が少ないのが現状です。
新型コロナが第5類に移行し、人と接触する機会も増えました。効果を実感できるのは2週間から6週間後ですので、悩まれているならば、早めに皮膚科を受診して下さい。


Text by うめき皮膚科 院長 梅木 薫( 2023年7月18日 「北海道新聞夕刊」掲載)

昼間は大丈夫なのだけど夜が近い

泌尿器科2023/08/01

泌尿器科診療をしていると毎日必ず耳にするフレーズです。夜のトイレの話です。
泌尿器科患者さんの受診理由で最も多いのが夜間頻尿です。夜間頻尿にはいくつか原因がありますが半数以上の患者さんに夜間多尿がみられます。夜間多尿とは、夜間につくられる尿量が増える病態です。言い換えれば昼間に効率よく尿をつくることができない病態ともいえます。

主な原因の一つとしてふくらはぎの筋力低下が挙げられます。ふくらはぎは第2の心臓といわれ、その動きで下肢の静脈やリンパの流れを生み出します。筋力低下を来せば流れは停滞して下半身にたまりやすくなり、その分だけ日中の尿量が減少します。
そしてもう一つ、食塩摂取も大きく関わっています。余分な塩分は水分と一緒に尿として排出されますが、夜間多尿では塩分排せつが低下しているため食塩摂取が多いほど日中の尿量が減少します。 昼間に十分な尿をつくれないまま夜眠りに就くと、下半身にたまった水分が上半身へ戻り腎臓を経て尿量が増えます。
また、上半身の体液量が急に増えることで、それを是正するために脳や心臓から利尿ホルモンが分泌されて夜間の尿量がより急速に増えることになります。

では、これを改善させるにはどうしたら良いか。まずは下肢筋力低下を補うため筋肉を積極的に動かすことが必要です。
かかとを上げ下げする体操が効果的です。1分間に20~30回のリズムで上げ下げします。立って行うのが難しい方は椅子に座ったままでも効果があります。
併せて行うのが塩分制限。目安は1日食塩6g未満。食品表示を参考にしながら少しずつ塩分を減らしましょう。

ただし、下肢のむくみや頻尿は夜間多尿と関連しない場合もあります。持病のある方や症状が改善しない場合には、主治医やかかりつけ医に相談してください。


Text by たんだ泌尿器科 田崎 雅敬( 2023年7月18日 「北海道新聞夕刊」掲載)

血圧が高い方は治療が必要です

内科2023/06/26

血圧が高いといわれたけど、今は困っていないからと放置していませんか?
高血圧は自覚症状がない場合も多いですが、放っておくと将来いろいろな病気の原因になります。

もともと血管には弾力があるのですが、高血圧の状態が長く続くと、血管の壁は次第に厚くなり、硬くなります。これが動脈硬化で、脳出血、脳梗塞、大動脈瘤、腎不全、心筋梗塞などの原因になります。

また、心臓は高い血圧に対応して無理をすることになり、心臓の筋肉が肥大し、心不全になります。ある日突然呼吸困難になったり入院が必要になったり、救急車を呼ぶことになったり、最悪の場合は命に関わります。 こうした合併症を予防するには、血圧を正常化することが必要です。

高血圧の治療は、原因に対する治療、生活習慣の是正、薬物療法が中心となります。
高血圧症の約90%は原因の分からないもので、本態性高血圧症と呼ばれています。
遺伝的な因子や、生活習慣などの環境因子が関与しており、生活習慣病といわれています。

過剰な塩分摂取、肥満、過剰飲酒、精神的ストレス、自律神経の調節異常、運動不足、野菜や果物(カリウムなどのミネラル)不足、喫煙などが関わっています。 塩分をどの程度取っているのかは、自分自身では分かりにくいものです。
「薄味にしている」、「減塩調味料を使っている」という方でも、塩分摂取量が思いのほか多いこともあります。塩分摂取量を算出することで現状を把握することができます。

血圧を上昇させる明らかな病気があるときは、二次性高血圧症と呼ばれています。腎動脈狭窄、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など、手術を行うことで高血圧の治療が期待できるものが含まれます。これらの病気が疑われる場合には、血液検査・超音波検査・CT検査などを行う場合もあります。

薬によって血圧が上昇することもあります。代表的なものとしては、鎮痛薬、甘草という成分を含む漢方薬、ステロイド、抗がん剤などが挙げられます。 なかなか禁煙ができない方には禁煙治療を行う場合もあります。

血圧の異常がある方は自己判断で放置せず、内科で相談するようにしましょう。


Text by 昭和ごとう内科 後藤 洋平( 2023年6月19日 「北海道新聞夕刊」掲載)

脳梗塞後遺症回避のためのゴールデンタイム

内科2023/06/26

脳梗塞は突然やってきます。治療は一刻を争うため、発症からの対応がとても重要です。

脳梗塞とは、脳の血管の中に血栓という血の塊により血管が詰まったり細くなることで、脳に酸素が行き渡らなくなり、脳に障害が起きる病気です。 脳梗塞の発症後、3割は死亡、6割はまひや言語障害などの後遺症が残ります。
発症からなるべく早く診断を受けることで、治療の選択肢が広がり、命が助かり後遺症からも回避できるのです。
脳梗塞の原因の7割は動脈硬化、3割は心房細動という不整脈です。

動脈硬化はほとんど自覚症状がなく、主に50〜60代から進行しますが、最近は高カロリーな食事や慢性的な運動不足、ストレスなどが原因となり30代の若年層の血管の老化も指摘されています。動脈硬化の検査は腕と足の血圧比を測定するABIや頸動脈エコーなどお近くの内科で簡単に検査できるものもあります。

心房細動は心電図で診断することが可能です。動悸や目まいを訴えることもありますが、ほとんど自覚症状がないことも少なくありません。また、心房細動は不規則に出現することもあるため見逃されることも多く、自覚症状がなくとも定期的な心電図検査や動脈硬化の検査も必要です。

脳梗塞の症状は身体の片側が動かせない、力が入らない、ろれつが回らない、話そうと思っても言葉にできない、顔の表情に左右差がある、両目の視野が欠けるなどです。 脳梗塞には本格的な脳梗塞になる前触れTIA(一過性脳虚血発作)が起きることがあります。

脳に一度詰まった血栓が自然に溶けるなどにより血流が再開することがあるのです。 血流の再開により5分から1時間ほどで症状が消失します。TIAを経験した方のうち、2割は90日以内に、10人に1人は2日以内に本格的な脳梗塞を発症しています。TIAを見逃さないことがとても重要なのです。 症状がなくなっても家で休んでいることは危険です。少なくとも当日のうちには専門医の受診をお勧めします。

脳梗塞の治療で最も効果的な治療は、tーPA静注療法、血栓回収療法、またはその組み合わせです。
t-PA静注療法は血栓を溶かす薬を投与することで小さい血栓であれば2〜3割は溶解しますが残りの血栓はカテーテルで脳にある血栓を直接除去します。 ただし、t-PA静注療法は発症後4.5時間以内、血栓回収療法は6時間以内でないと受けられないため、発症後3時間以内には診断を受ける必要があります。

しかし、過去に脳出血を起こしている、脳梗塞の範囲は広い、血圧が高過ぎる方は治療を受けられないので普段からの血圧のコントロールも重要です。 脳梗塞が疑われる症状が出現したときには、自家用車やタクシーではなく、救急車を呼んでください。救急隊の方が診断治療を行える病院へ速やかに搬送します。

今後の治療方針に重要になるため、脳梗塞の症状が出現した時間も伝えられるようにしておくことも重要なポイントです。
自覚症状がなくとも定期的な検査をすること、血圧や動脈硬化を正常にコントロールしておくことが今後の脳梗塞の予防には重要です。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2023年6月19日 「北海道新聞夕刊」掲載)

目の周りの劣化を防ぐために!

眼科2023/06/01

患者さんから、次のような質問を、度々されます。

①目の周りの皮膚がカサカサなので市販軟こうを塗っていますが、いいですか?
②顔用の軟こうを塗っても目の周りが真っ赤になりますが、続けて使っていいですか?
③疲れ目なので目の周りのつぼを押していますが、いいですか?
④目の周りがたるんできたので一生懸命アイクリームを塗ってマッサージしていますが、効果はありますか?
⑤眼球をグルグル動かして疲れを取る体操をしていますが、いいですか?

いずれの答えも「NO!」です。

①②→目の周りの皮膚は身体中で1番薄い皮膚です。普通ならばゴシゴシ洗う必要のない部位なのですが、最近は、落ちづらいアイメイクを落とすためにクレンジング剤を使用してコットンなどで強く拭き取ってしまうので、細かな傷がつき、その傷から感染し、皮膚炎になっている方もいます。

まつげのエクステや、つけまつげの接着剤、マスカラやアイラインによる皮膚炎も増加してきています。このような時は、原因と思われる製品の使用をやめて、眼科の抗菌点眼や抗菌軟こうで治療すると治ることが多いです。

③④⑤→目の皮膚の下には目の開閉を行う眼輪筋という薄い筋肉がありますが、「つぼ押し」や「マッサージ」などで強い力が加わると、筋肉が伸びてしまい、かえってまぶたがたれ下がったり、皮膚の弾力線維が壊されて目の周りのしわが増えたりすることになります。

「マッサージ」をすればするほど、目の周りの筋肉は劣化し目の周りはたれてくると思って下さい。むやみに「グルグル目を動かす体操」をすると、網膜に穴が開きやすい薄くなっている所があった人にとっては、穴が開くきっかけになる場合もあります。

このように、目の周りをいつまでも美しく保ちたいならば目の周りはそっと洗い、マッサージなどしない、自己判断の軟こうはつけない、むやみに眼球運動をしないこと!です。

もし、目の周りの皮膚炎や、見え方の変化など、目に関係する何かが起きた場合には、たとえ皮膚症状であっても自己流の治療をしないで、必ず眼科を受診して下さい。


Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子( 2023年5月22日 「北海道新聞夕刊」掲載)

新型コロナ感染症が5類になりました

内科2023/05/31

5月8日より、新型コロナウイルス感染症が5類になり、これからは医療もウィズ コロナの時代となります。

5類になって、感染者の自宅療養についての法的拘束力はなくなり、自己判断となります。 発症日を0日として5日間、かつ、風邪症状が消失して24時間経過していることが目安となります。感染力の強いウイルスなので、5日間たったから大丈夫ということではなく、症状が改善しているかを考慮しましょう。

この間の、公共の交通機関の利用や買い物などは規制されません。ただし、感染を広げないように、移動・買い物は短時間で済ますこと。ウイルスの排出の少ない不織布のマスクを着用しましょう。 感染後10日間は、マスク着用が推奨され、この間はリスクの高い高齢者との接触は避けましょう。

コロナ感染症は、セルフチェックができます。現在、コロナウイルス感染の抗原検査キットが販売されています。検査キットは、厚生労働省の認可済みのキットを使用してください。ケースに研究用と書かれているものは不可。厚生労働省の認可済みのものは、体外診断用医薬品(第1類医薬品)と表示されています。認可済みのものは、われわれ医師の使っているキットと同じ精度です。

また抗原検査キットの使用についてはこつがあります。熱が出たので心配で…すぐ検査。という気持ちは分かりますが、しっかりと判定するためには、24時間程度時間が経過してからの方が正診率が上がります。発症直後には、ウイルス量が少なく、反応しないことがあるので要注意です。

熱冷ましや風邪薬を使用しても検査には影響がありませんので、熱が出たらまずは仕事を休む。その後検査キットを使用して確認する。キットが陰性でも風邪の症状があるうちはできる限り人と接触しない。会うのはマスクを着用して短時間で。

ウイルスは何も変わっていません。恐れ過ぎず、賢く付き合いましょう。


Text by はら内科クリニック 院長 原 信彦( 2023年5月22日 「北海道新聞夕刊」掲載)

当院のコロナ診療

外科2023/04/25

2023年3月13日、ついに日本でもマスク着用義務が緩和され、社会はウィズコロナへと進み始めました。5月には、新型コロナウイルスはインフルエンザなどと同等の5類感染症という扱いになる予定です。今年は、例年にも増して春を感じられそうです。

当院では、主に軽症、中等症の患者様を中心に診療を行ってきました。20年の春から現在に至るまで、新型コロナの入院患者様の数は大きく変動し、その都度通常診療の制限を行ったり、解除したりを繰り返してきました。

時には検査や治療の延期などでご迷惑をおかけすることもありましたが、皆様のご協力のおかげで、ここまで診療を続けてくることができました。今後、新型コロナの診療がどのように変わっていくかは分かりませんが、地域の中で役割を果たしていけるよう努めてまいります。

また、当院では21年2月から、医療従事者を対象にmRNAワクチン(ファイザー社製)の接種を開始し、その効果について研究を行ってきました。その研究結果について、22年11月に韓国・ソウルで行われた国際学会で発表し、高い評価を頂きました。

ワクチン接種によって、感染の予防や重症化の抑制は期待できるものの、決して「感染しなくなる」というわけではありません。また、ワクチンの効果は、時間経過とともに下がっていく可能性があります。

「ワクチンを打っているから大丈夫」と油断せず、これからも感染拡大には注意しつつ、新たな春を満喫したいところです。


Text by 国立病院機構 函館病院 大塚 慎也 呼吸器外科医師( 2023年4月17日 「北海道新聞夕刊」掲載)

春の眼科検診での視力と色覚検査

眼科2023/04/25

新学期を迎え、われわれ眼科医も学校健診のため小・中学校を訪れます。視力検査を含め、目の病気が疑われれば専門医を受診するようにと、健診の結果用紙を子供達は学校から渡されます。

その中で特に注意しなければならないのが小学校一年生の視力検査の結果でしょう。小学校一年生にとって視力検査は初めての経験で、やり方もよく理解できないかも知れません。そのため本来の視力より悪く出ただけということもあります。

しかしながらこの年齢で結果が悪い場合、遠視や乱視のお子さんも多く見受けられます。そして、遠視や乱視の場合、弱視や斜視を伴っている場合があり、この一年生の時期を逃すと後で眼鏡をかけたとしても視力が回復できなくなってしまうこともあります。目にとってラストチャンスだともいえます。

簡単にいうと、近視は少なくとも近くを見ている時にはきちんとピントが合った画像が目に入るので弱視になることはありません。それに対し強い遠視や乱視の場合は近くも遠くもピントが合わず常にぼやけています。

いつもはっきりしない画像しか見えていないため、放置すると眼鏡で矯正しても弱視になってしまったり、また、斜視を来すこともあります。 先天性色覚異常は男児だと、おおよそクラスに1名いる割合です。

小学校に上がると消防車の写生などの色使いにより色覚異常の生徒ははっきりと現れることになります。図工以外の教科でも先生が黒板に書いた字が見づらい・学校の掲示物が読みづらいなどの不具合が出ることもあります。

小学生のうちにぜひ色覚検査も受けることを勧めます。 健康診断で視力の結果が悪いときには放置せず、必ず専門医の精密検査を受けましょう。


Text by 清水眼科クリニック 院長 清水信晶( 2023年4月17日 「北海道新聞夕刊」掲載)

『ストレスと栄養』と『腸活』の深い関係

整形外科2023/03/31

ストレス(心や感情の乱れ)は脳がつくり出すものです。脳は数千億個の脳神経細胞の集まりで、それぞれ脳神経細胞のその働きによって情報伝達物質が違います。

感情や感覚の伝達情報を受け取る神経細胞は興奮系(ドーパミン、ノルアドレナリン)、抑制系(セロトニン、メラトニン)、調整系(γ-アミノ酪酸⦅GABA⦆)がありおよそこの3つのバランスによって心や感情が複雑にコントロールされています。

これらの伝達物質は普段の食事で摂取するタンパク質(プロテイン)やアミノ酸などからつくられ、ストレスが生じた時にこれらのアミノ酸は激しく消費されます。

そのためこれら伝達物質をつくる栄養(タンパク質や必須アミノ酸、グルタミン、ビタミンC、B群、ミネラル)をより多く摂取する必要があります。

しかし、極度の疲れやストレスの時は胃腸の状態も悪く、なかなか食事も取れない状態も多く、肉や豆腐(大豆)などのタンパク質ではなく、早急に吸収されやすい必須アミノ酸を摂取することを勧めます。

この必須アミノ酸は体の中でつくることができない9種のアミノ酸で、食事やサプリメントでしか取れません。

しかし、肉や豆腐などを食事で取っても胃腸の分解酵素で分解されない限り体には吸収されません。そのため早急に吸収される必須アミノ酸の摂取が合理的です。

必須アミノ酸は朝、夕など他の食べ物と一緒に取らない方が吸収されやすく、その時にビタミンB群を一緒に摂取することを勧めます。そしてストレスで睡眠が浅い時には分岐鎖アミノ酸(BCAA)を寝る30分前に摂取することを勧めます。

そして、同時に『腸活』が必要です。腸内環境も悪化しているので、整えることでタンパク質や必須アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどが吸収される環境をつくりましょう。ω-3(DHA、EPA)、ビタミンDを摂取することを勧めます。


Text by 五稜郭大村美容形成クリニック 大村 勇二( 2023年3月20日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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