オシッコの我慢は、とても優れた膀胱健康法
おしっこが近い。
夜中に何度も起きてしまう。
トイレのことが心配で外へ出歩けない。
歳のせいとあきらめる前に膀胱訓練を試してみましょう。膀胱訓練とは、トイレに行きたくなっても我慢をする訓練のことです。おしっこの我慢は膀胱炎になるとか腎臓に悪いといわれた時代もありました。しかし現在は、さまざまな医学的研究から、排尿の我慢で病気にはならないことが確認されています。我慢を続ける時間は特に決まっていませんが、数分程度の我慢から始めて無理のない範囲で時間を延ばしていきましょう。毎日繰り返すことで徐々に排尿の間隔が開いていきトイレの回数が減少します。ただし膀胱炎や尿路感染症の方は膀胱訓練が禁止されています。明らかな排尿痛や下腹部痛、肉眼的血尿を自覚される方は、膀胱訓練を開始する前に必ず泌尿器科へ相談してください。
我慢しようとするけどすぐに漏れてしまう。
漏れるのが心配で膀胱訓練ができない。
頻尿症状が進むと、ほんのわずかな時間でもトイレの我慢ができなくなります。そのような場合には、一時的におむつを利用して我慢をする、または濡れても大丈夫なようにあらかじめトイレで排尿の準備をした状態で我慢をするのも良いでしょう。肛門を強く締めるようにすると我慢しやすくなります。
困ったときには、気軽に泌尿器科を受診しましょう。
どうしても膀胱訓練ができない場合や症状が強い時には、膀胱訓練に合わせて薬を飲んだ方が良い場合があります。また、頻尿の原因はさまざまであり中には排尿障害や膀胱がんなど重大な病気が原因となっていることもあります。膀胱訓練を続けても症状が改善しない時や、排尿困難や残尿感、痛みや出血など頻尿以外の症状がある場合には、泌尿器科を受診しましょう。問診と超音波検査などの簡単な検査により診断、治療が可能です。お困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
歯磨き粉の選び方について
薬局に並ぶ多くの歯磨き粉から自分に合った物を選ぶのは迷うものです。
今回は、歯磨き粉の選び方について書かせていただきます。
歯磨き粉には大きく分けて、歯磨き類(化粧品)と薬用歯磨き粉(医薬部外品)の2種類があります。
前者の歯磨き類は、基本成分のみの物で比較的安価です。
後者の薬用歯磨き類は、基本成分にプラスして薬用成分配合ですので予防や症状改善が期待できます。
少し高価にはなります。
また、
(1)虫歯が気になる方はフッ素濃度が高い歯磨き粉とフッ素のジェルとの併用
(2)歯周病が気になる方は殺菌・消炎・血行促進作用のある物
(3)白い歯にしたい方は、清掃剤・研磨剤・ステイン除去剤がある物など、ニーズに合わせて選択するのも良いと思います。
しかし、(4)口臭が気になる方は、特化した物はないので(1)か(2)プラス洗口剤の使用をお勧めいたします。
自分の現在の口腔内で注意しなければいけないことをかかりつけの歯科医院でお聞きになり、自分に合った物を使用することをお勧めいたします。
思春期の貧血
思春期のお子さんが慢性的な疲労や集中力低下を起こしていることはないでしょうか。
また中学に進学してから学力が伸び悩んでといったことも・・・。
その場合は貧血が隠れている可能性も考えなくてはなりません。
思春期は心も体も大きく成長する時期です。
そのため、酸素を全身に供給するために血液もこれまで以上に増やさなくてはなりません。
ところが女の子は月経も始まりますから出血により鉄分を失ってしまいます。
しかも不適切なダイエットなどをすると更に貧血も進行してしまいます。
思春期の女性のおよそ10%が治療を必要とする貧血、注意が必要な予備軍は20〜30%にものぼると考えられています。
思春期の貧血は意外と多いのです。
鉄分はもともと体内に吸収されにくい栄養素です。
鉄分は2種類あり、肉類や魚介類に含まれているヘム鉄と野菜類に含まれている非ヘム鉄があります。
ヘム鉄は吸収力がよく食べた量の15〜25%が吸収されます。
非ヘム鉄は吸収率は5%と低いのですが、ビタミンCと一緒にとると吸収されやすくなります。
ほうれん草などの青菜類やブロッコリーなどは鉄とビタミンCを両方多く含むのでお勧めです。
また思春期の貧血では「スポーツ貧血」というものがあります。
これは運動によって何度も繰り返し激しい衝撃が加えられることで、赤血球が破壊されて起きる溶血性貧血という状態です。
何度も足の裏に強力な衝撃が加えられるスポーツと言えば長距離走や剣道、バスケットボールやバレーボールなどです。
思春期にある中高生は部活動での運動も活発になるためにスポーツ貧血も考慮しなくてはなりませんし、その場合は運動の休止をすることが貧血の改善につながることがあります。
運動を休みたくないという気持ちもあるかもしれませんが、貧血を改善することで結果としてスポーツの記録向上につながるかもしれません。
気をつけて!! 簡単に買えてしまう、おしゃれなカラーコンタクト!!
近年、おしゃれ目的の度無しカラーコンタクトレンズ(以下:おしゃれカラコン)が雑貨屋、洋服店、ディスカウントストア、薬局などで販売されており、コンタクトの使い方を知らないまま、手軽にそのカラコンを初めてのコンタクトレンズとして装用している若者が増えています。
しかも、それらのおしゃれカラコンによる目の障害が増加し続けていることは本人達にはあまり知られておらず、本当に目が痛くなって初めて眼科に来て、カラコンの障害の恐ろしさに気づくようです。
本来コンタクトレンズは、眼科で検査を受けて自分の目の形に合ったレンズを選んでもらい、使い方の指導を受けてから装用を開始するべき高度管理医療機器です。
では、眼科以外で販売されているおしゃれカラコンは何がまずいのでしょうか?
①眼科受診をせずに店で簡単に購入し、目に入れてしまうので形が自分の目の形に合っていない場合がある。
②コンタクトレンズは高度管理医療機器なので必ず厚生大臣の承認が必要なのに、おしゃれカラコンは未承認の物が多い(承認と書いてあっても実は嘘であることが多い)。
③角膜への酸素供給が極めて少ない昔の安い素材で作られている。
④レンズが厚く、さらに着色部分の凹凸で角膜に傷をつけてしまう。
⑤着色部分の色素(金属)が溶け出して角膜に傷をつける。
以上のような色々な原因が重なって、本当に目が痛くなってからやっと眼科を受診してくるのです。
2014年の国民生活センターのおしゃれカラコンユーザー1000人へのアンケート調査では、約24%が最近1年間に目の調子が悪くなったと回答しています。
ソフトコンタクトレンズは自覚症状が出にくく、重症になって初めて痛みを感じることもあるので、痛みが無くても異物感や充血を感じたら早めに眼科を受診してください。
角膜障害を放置すると傷から細菌感染を起こし、視力が低下し、最悪の場合は失明になるほどの炎症がおきてしまうこともあるのです。
今では医療用のカラコンも種類が豊富です。
危険なおしゃれカラコンではなく、眼科で安全なカラコンを作りましょう。
口腔清掃不良の意外な落とし穴
歯に付いている白いもの、つまりプラーク(歯垢)。
これは主に口腔内細菌と食べ物の残りかすからできています。
この中にはミュータンス菌(Streptococcus mutans)と呼ばれる虫歯を引き起こす細菌が含まれています。
ミュータンス菌は非水溶性グルカン(歯面にくっつく接着剤のようなもの)を産生し、歯面に強く付着する能力を持ち、虫歯を発生させます。
その他にコラーゲン結合タンパクも保有し、血流に乗って心臓まで到達した後に心臓軟組織に付着して、感染性心内膜炎を起こす起炎菌としても知られています。
最近の研究報告では、ミュータンス菌がこのコラーゲン結合タンパクを保有することで、お口から入ったミュータンス菌が脳血管の傷ついたところにくっつき、局所的な炎症を起こし、また出血を止める役割である血小板の凝集阻害を起こして、脳出血を起こすのではないかと考えられています。
歯周病菌細菌が動脈硬化や糖尿病などと関連があるのは以前お伝えしてきましたが、歯周病に罹患していなくとも、口腔清掃を怠るとこういった虫歯菌は増えていくことになります。
このような細菌が重大疾病に関連があるのは驚くべきことです。
私たちは毎日ブラッシングを行い、また歯間ブラシやフロスなどの補助清掃器具を細かく上手に歯面に当て、お口の健康を保っています。
また、歯間ブラシやフロスなどの補助清掃器具を細かく上手に歯面に当て、お口の健康を保っています。
また、萌出したての乳歯や永久歯をもつ子どもにはフッ化物を用いることが有効となります。
しかし、歯科医院へ来院し、口腔清掃やフッ化物塗布などをしなくとも虫歯に罹患せず、いわゆる「歯医者いらず」の方もいらっしゃいます。
虫歯の罹患しやすさは歯質の強さや食習慣など個人差があります。
このような虫歯になりにくい方でも、ご自身で清掃できなかった部分を歯科医院でキレイにしてもらうことは、健康の維持に有益であると思われます。
歯並びは変化し続けています
不正咬合(悪い歯並び、かみ合わせ)は、治療する必要があるのでしょうか?
放っておいてはいけないのでしょうか?
不正咬合は、つぎのような問題を引き起こすキッカケとなります。
①虫歯や歯周病、②口臭、③顎関節症(あごの病気)、④歯ぐき・粘膜・舌を傷つける、⑤発音不明瞭、⑥肩こり、腰痛、頭痛⑦コンプレックス、など・・・。
一方、歯並び、かみ合わせは悪いが虫歯もないし、今のところ不便は感じていないmという方もおられます。
しかし、油断は禁物です。
歯並びも人間の体の一部、一生を通じて変化しています。
お子さんの時期は成長、そして大人になると老化という変化が生じます。
不正咬合は不安定で、年齢を重ねていくうちにさらに崩れていく傾向にあります。
中高年以降は歯周病にもかかりやすくなり、不正咬合の悪化が歯周病を悪化させるという悪循環におちいり、体調不良や全身の病気の引き金となったりもします。
また、不正咬合がヒドイとしっかりした歯科治療が受けられないことも多く、歯の寿命を短くしてしまう可能性が増すので注意が必要です。
若い頃はあまり気にならない不正咬合でも、年齢とともに悪化し、虫歯や歯周病など、お口の中の病気だけではなく、全身の病気のキッカケとなりうることも知っておく必要があります。
「生活の質」を向上させ、健康で快適な人生を送るためには、整った“歯並び”、バランスの取れた”かみ合わせ”であるということは非常に重要なことです。
健康には気を付けている方でも、正しい知識をもって、歯やお口の中の健康増進に取り組んでいない方がおられると思われます。
今現在、歯並びやかみ合わせがあまりきにならない方でも、お口の中に関心を払い、できれば歯科医院へ定期的に通院し、虫歯・歯周病予防に努め、歯並び、かみ合わせの維持に努めることが望ましいです。
歯並び、かみ合わせに不安や疑問を抱いている方は、1度、矯正歯科医にご相談されることをお勧めします。
トイレが近いのは年のせいかと思っていました
「治療前はトイレが心配でバスにも乗れませんでした。今では買い物中にしたくなっても家に帰るまで我慢ができます」
これは当院を受診されたある女性の言葉ですが、トイレに困って泌尿器科外来を受診された多くの方が同じような治療体験をされています。
急に尿意をもよおすからトイレのない場所へは行けない。
間に合わなくて時々漏らしてしまうことがある。
夜間何度もトイレに行くから眠れない。
年のせいとあきらめないで、また恥ずかしいとためらわないでぜひ1度泌尿器科へ相談してください。
頻尿や尿失禁の原因にはさまざまなものがありますが、細かな症状の確認と超音波検査などの簡単な検査で正しく診断することができます。
現在は原因に応じた治療方法も確立しているため多くの方が治療によって症状が改善しています。
「トイレの心配がなくなったから旅行に出かけられるようになりました」
「台所で見ずに触れても我慢ができるようになりました」
「夜あまり起きなくなったのでよく眠れるようになりました」
ただし治療効果が出るのに時間がかかる場合や薬だけでは良くならないこともあります。
「前に泌尿器科にかかって1カ月薬を飲んだけれど全然良くならないからやめました」
ときどきこのような話を耳にします。原因によっては効果が出るのに数カ月以上かかることもあります。
また、薬の治療以外にもトイレを我慢する膀胱訓練や、いくつかの運動療法、睡眠時間を適正にするなど生活習慣の改善を同時に行うことで初めて効果が得られる場合もあります。
過去に治療をしてうまくゆかなかった方も、あらためて泌尿器科を受診して治療がうまくゆかなかった原因を調べてみることをおすすめします。
あなたも過活動膀胱かもしれません
前ぶれもなく起こる急な尿意を感じたら泌尿器科へ!
過活動膀胱は男性、女性、若年、高齢にかかわらず誰もがなりうる病気です。
40歳以上では8人に1人が過活動膀胱の症状を持つと言われています。
間に合わずに漏れそうになる、人よりもトイレに行く回数が多い、夜何度もトイレに行くので眠れない、おしっこをした後なんとなく気持ち悪い、などの症状があればそれは過活動膀胱かもしれません。
泌尿器科には行きたいけどちょっと恥ずかしいし、どんな検査をされるのか不安。こんな思いをされている方は多いと思います。しかし排尿に関する医療の進歩により、難しい検査をしなくても診断や治療ができるようになりました。
泌尿器科を初めて受診された場合、まず症状や普段の状況を詳しくうかがいます。
そして、病気に関連するいくつかの質問をさせていただき診断を導きます。
診断が確定できない場合には検査を行うことになりますが、その場合も尿検査や超音波検査など苦痛の少ないものを優先的に行うので心配はありません。
治療が始まった後も、その後の症状の変化を確認しながら無理なく続けられる治療方法を相談しながらすすめてゆくので不安なく継続してゆくことができます。
悩むよりはまず泌尿器科へご相談ください。
大腸がん死は大腸内視鏡検査で予防しよう
男性131.8、女性136.2は、函館市における大腸がんの標準化死亡比です。
標準化死亡比とは全国平均を100として、年齢を調整した各地域の大腸がん死の割合を示しています。
すなわち、函館市民は大腸がんで死亡する人が全国平均より30%以上多いことになります。
これは道内都市の中でも突出して高く、札幌市は男性109.4、女性108.0です。
最も高い都道府県は、男性は青森県で127.6、女性は岩手県で117.3ですが、函館市はそれも大きく上回っています。
これは函館市民には大変由々しき問題です。
わが国の大腸がんによる死亡者数は年間約5万人に達し、毎年増加しております。
臓器別では女性で第1位、男性では肺がん、胃がんに次いで第3位です。
全国レベルで予防に取り組む必要がありますが、とりわけ函館市民には重要です。
大腸がん死の予防法は、便潜血反応を使った大腸がん検診を毎年受けること、大腸内視鏡で大腸ポリープをすべて切除することです。
大腸がん検診が大腸がん死を約60~80%減らすという成績があります。
また、米国での大規模研究で、大腸内視鏡で大腸ポリープをすべて切除して20年間追跡すると、大腸がん死が約50%低下することが明らかにされました。
わが国でも同様な成績があります。
大腸がんは早期に発見すれば治すことができ、助けることができる癌です。
そのため自覚症状がなくても40歳になれば、毎年大腸がん検診を受けることが重要です。
便潜血陽性の場合には、大腸内視鏡を必ず受けて、発見された腺腫性の大腸ポリープはすべて切除してもらうことです。
便潜血が陰性であっても、50歳までに1回は大腸内視鏡検査を受けて、小さい大腸ポリープでもすべて切除してもらうことです。
小さいポリープなら外来で焼灼なしのコールドポリペクトミーで切除できます。
大腸内視鏡検査に不安を持つ方には静脈麻酔薬で眠らせて行うこともできます。
函館市の大腸がん死を減らすために、できるだけ多くの方に大腸内視鏡検査を受けてもらいたいです。
おたふくかぜ難聴って知っていますか?
おたふくかぜウイルスで発症するおたふくかぜはワクチンで防ぐことのできる病気です。
函館市内近郊では今年5月末から流行が始まりました。
過去には、平成8年と9年、15年、22年から23年にかけて流行がみられました。
今回は5年ぶりの流行となります。
おたふくかぜは2~3週間の潜伏期ののちに耳の下にある耳下腺や顎下腺などが腫れてくる病気です。
感染しても症状が現れない不顕性感染者が30%程度いることが知られており、症状が出なくてもおたふくかぜに対する抗体ができたり、合併症が知らない間に出ていたりということがあり得る病気です。
耳下腺や顎下腺が腫れてから5日間経つと人に感染する力がなくなるとされており、全身状態がよければ仮に腫れが残ったとしても登園や登校が可能です。
よく知られている合併症は髄膜炎や睾丸炎、卵巣炎などですが、子どもたちにとって一番心配なのは難聴がみられることがあるということです。
難聴の合併症は病気の始まりから3週間程度までに発症します。
その頻度は多くの報告がありますが、およそおたふくかぜにかかった人の千人に一人程度とされています。
ただ、耳下腺の腫れない不顕性感染でも起こることが知られています。
難聴になると治療法がなく回復は期待できませんから、一生難聴を抱えて過ごすことになります。
子どもの片方だけの難聴は生活にはあまり支障がないことが多いですが、まれに両方難聴になることがありますので、予防をしっかりするということが肝要です。
おたふくかぜの予防はワクチンを2回接種することです。
1歳のお誕生日にMRワクチン、水痘ワクチンと一緒にぜひ受けてください。
その次は年長さんのMRワクチンと一緒に接種をしましょう。
今は流行期ですから、1回接種の後1~2年で2回目を接種するという選択でも構いません。










