歯科における院内感染対策
最近、歯科での院内感染拡大を懸念する報道がありました。
「一般歯科診療時の院内感染対策に係る指針」(厚生労働省)を基に衛生管理のチェック項目を考えてみました。
1.患者さんごとにグローブを交換していたか?(スタッフを含む)
2.患者さんごとに治療用イスを清掃していたか?
3.患者さんごとに口腔(こうくう)内に入る器具を滅菌していたか?
4.滅菌できない物、コップやエプロンなどは使い捨ての物を使用していたか?
歯科は血液や唾液に触れる機会が多く、院内感染のリスクが高いと言われ、特にB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVウイルスなどの感染が危惧されます。
衛生管理は患者さんから見えづらいですが、医療の根幹とも言うべき重要な仕事の一つです。
何か疑問点などがあれば、先生やスタッフに尋ねるなど、安心して治療を受けることをお勧めします。
頭痛を見直す
日本では、片頭痛よりも肩こりなどによる緊張型頭痛が多いと言われていましたが、実は片頭痛で悩んでいる方が大勢いることが分かってきました。
日本社会では「頭痛ぐらい我慢しなさい」という雰囲気が強いのですが、我慢しすぎるとかえって鎮痛剤が効かなくなることもあります。早く的確な診断と適切な治療を行うことが大事です。有効な薬も開発されています。
診断には、腫瘍(しゅよう)や脳卒中などの病気がないことを確認しなければなりません。そのためには頭痛に詳しい医師の診察と検査を受けることが大事です。
片頭痛は、小さなお子さんにもあります。その場合、お母さんにも片頭痛があることが多いようです。
お子さんが頭痛を訴えるとき、我慢を強いていませんか?
お母さんご自身も頭痛で悩んでいませんか?
もう一度見直してみましょう。
緑内障について
緑内障は、視神経の障害が進行し、視野が欠けていく目の病気ですが、様々なタイプがあります。
その一つが、突然発症して急激に視神経障害が進行する急性閉塞隅角緑内障(緑内障発作)です。
目を循環している水の通り道が完全に塞がれ、眼圧が急に普段の何倍にも増して、頭痛、眼痛、吐き気、嘔吐、霧視(霧がかかったように見える)、虹視症(光の周りに輪が見える)、視力低下、視野狭窄を生じます。
遠視の中~高齢女性に起きやすいと言われており、薬物や暗所が誘因となることもあります。
この発作が起きた場合には視神経が障害される前に早く治療を行うことが重要です。
強い頭痛を生じる病気には目の病気だけでなく、様々な病気が潜んでいますが、急いで治療が必要な病気も含まれますので、おかしいなと思ったら我慢せず、早めに病院を受診しましょう。
赤くなっても大丈夫:結膜下出血(けつまくかしゅっけつ)
「少しチクッとした後、鏡で見たら白目が真っ赤になっていましたが、見え方に変化はありませんでした」
皆様こんな経験ありませんか?
目やに等がなく「あかんべ」をしても下まぶたの裏側が充血していなければ、それは結膜下出血と言い、あまり心配いりません。
結膜下出血が起こる原因は完全には解明されていませんが、結膜弛緩(しかん)症といって白目が加齢に伴って弛(ゆる)んできたり、内科で血液を固まり難くするお薬を使用していると出血を起こし易いと言われています。放置しても約1~2週間で出血は吸収され、重大な病気の前駆(ぜんく)症状であることは極めて稀(まれ)です。
一つだけ注意が必要なのは白目の充血との区別です。
充血とは血管の中の血液が滞(とどこお)って血管が太く腫れ上がった状態で、眼に炎症が起きている兆候です。この様な症状は眼科での精査が必要となります。
むくみ(浮腫)
「先生、毎年冬が近づくと靴が履けないくらいに両足がぱんぱんにむくむのですが…」と、心臓疾患で通院中のAさんは、困った顔をして聞いてきました。
どうやら、体重も2、3Kgは増えているとのことです。
人の身体の水分量は体重の60%といわれています。
その配分は、細胞内に40%、血管内に5%、組織液に15%となります。
組織液とは、間質液とも呼ばれ、動脈の血管の壁を通り抜けて血管外の間質組織へ出た液体のことです。
血管の外側にある細胞に栄養や酸素を配ったり老廃物を流し去る役割があります。
増えた組織液は静脈の壁を通り血管へ戻り、また戻りきらない水分はリンパ管を通って排水されます。
体重50Kgの人であれば7・5Lもの組織液を保有していることになり、むくみ(浮腫)は、その組織液が何らかの原因で産生量が増加するか排水系に障害が起こる場合に出現します。
浮腫を起こす原因疾患は、心臓疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、妊娠中毒、血管やリンパ管の炎症や閉塞、貧血、脚気などたくさんあります。
Aさんのように心臓疾患がある人が、暑い夏の間に脳梗塞や熱中症の予防目的で水分や塩分を多めに摂っていた場合、秋になり発汗量が減少しているにもかかわらず同様に水分や塩分を多めに摂り続けていると、腎臓からの排尿だけでは摂取した水分量を排水しきれなくなり、身体に水分を貯め込んでしまうために浮腫が起こります。
1日にたった100mlが身体に残ったとしても、1ケ月間続くと3Lの水が身体に残り浮腫として現れ、その時に体重は3Kgも増えていることになります。
このようなケースでは、利尿薬を内服することで改善する場合が多いのですが、まずは摂取水分量の見直しが大事です。
浮腫の予防には、水分塩分を摂り過ぎない、長時間立ち続けるや座り続けることをしない、運動不足にならない、ふくらはぎの筋肉を動かし筋力を維持する、アルコールを摂り過ぎない、寝不足やストレスで自律神経バランスを崩さないなどが重要です。
夏バテしていませんか?
皆さん今年の夏はいかがお過ごしでしたか?
この原稿を書いている時点(8月現在)では夏真っ盛りの暑さで、北海道に住んでいても年々、地球温暖化をひしひしと肌身で感じる今日この頃です。
暑い夏が過ぎて9月に入ると、どっと疲れが出てきて、何となく体がだるい、食欲がない、めまい・ふらつきがある…などの症状が出てくる場合があります。
これが、いわゆる「夏バテ」と呼ばれるものですが、高齢者や糖尿病などの基礎疾患のある方では、放っておくと重篤な病に発展する場合もあります。
たかが夏バテ、されど夏バテ…今から、しっかりと予防法を考えておきましょうね。私たちの身体は、安静にしていても1日に約2,600mlもの水分が失われ、その分飲料水や食事で水分を補給しています。
暑い夏、身体は体内にこもった熱を逃がし体温を調節するため、たくさんの汗をかきます。
たくさん汗をかいた身体には、いつも以上に水分を補給する必要がありますが、ここで、冷たい飲み物や甘い飲み物を多くとると、逆に夏バテの原因になってしまうので要注意!ですよ。
冷たい飲み物の取り過ぎは、暑さで弱った胃腸に負担をかけ食欲不振に陥ってしまいがちですし、甘いジュースは糖分によって疲労回復には効果がありますが、取り過ぎると空腹を感じなくなり、食事による必要な栄養を摂取しなくなってしまいがちだからです。
冷たい飲み物、甘いジュースは適度に摂取するよう心がけましょう。夏バテをしない身体作りのためには、水分補給の量やタイミングも大切です。
人間の身体は、安静にしていても1日に2,600mlもの水分が失われます。
ですから、喉が渇いたと感じるのは、すでに「身体に水分が不足していますよ」というサインが脳から出ているのです。喉が渇いたと感じたら、我慢せず、すぐに十分な水分を補給しましょう。
1日およそ1.8〜2.0リットルを目標にして、とくに、起床時・就寝前・入浴後は水分が不足しているので、水分補給するよう心がけましょう。
また、冷房の効いた涼しい部屋で長時間過ごす人は、身体を冷やしすぎないように上着やひざ掛けなどで体温調節し、温かいお茶などで水分補給すると良いでしょう。
また、暑い日に激しい運動や重労働をすると、体温はさらに上昇し、1〜2時間で3〜5リットルもの汗が出ることがあります。
大量の水分を失った身体には素早く水分補給を行わないと、体温上昇に発汗が追いつかず体温がどんどん上昇し、頭痛やめまい、さらには意識を失って死に至ることさえあります(熱中症)。これを防ぐためには、こまめな水分補給をする他ありませんが、大量に水だけ飲むと血液中の塩分が薄れてしまい、疲れを感じやすくなってしまいます。
水分補給の際には、汗に含まれる塩分も一緒にとるようにしましょう。
最も手軽な方法はスポーツ飲料水です。
スポーツ飲料水は炭水化物(糖質)や体液に近い塩分も含んでいるため、疲労した身体を回復させ、素早く水分を体内に補給してくれます。
以上のポイントをふまえて、水分補給をこころがけ、夏バテをしっかり防いでいきましょう!
ほくろのレーザー治療
レーザー光線治療は形成外科・美容外科の場合、皮膚疾患を高密度の強力な光エネルギーを短時間に照射し、できるだけ周りの細胞や組織に損傷を与えずに治療する方法です。光の波長によって治療する疾患が異なり、ほくろの治療のレーザーと、しみ・しわ・あざを治療するレーザーは異なります。また、照射後の治療経過も異なりますので専門医の説明をお聞きになることが大切です。
ほくろの治療は小さいほくろの場合、以前は電気メスで焼却したりしていましたが、最近は炭酸ガスレーザー治療が行われています。
レーザー治療でも消しゴムで消すようなわけにはいきません。
きれいに治すためには術後の毎日のスキンケアが必要で、治療部位をぬらすことは避けて頂きます。
大きなほくろは切除摘出することが原則ですが、美容的に浅く切除する方法もあります。しかし、再発がありますのでお勧めできません。
春の眼科検診での視力と色覚検査
新学期を迎え、我々眼科医も学校健診のため小・中学校を訪れます。視力検査を含め、目の病気が疑われれば専門医を受診するようにと、健診の結果用紙を子供達は学校から頂いてきます。その中で特に注意しなければならないのが小学校一年生の視力検査の結果でしょう。小学校一年生にとって視力という検査は初めての経験で、そのため本来の視力より低く出ただけということもあります。
しかしこの年齢で結果が悪い場合、遠視や乱視のお子さんも多く見受けられます。そして、遠視や乱視の場合、弱視(じゃくし)や斜視(しゃし)を伴っている場合があり、この一年生の時期を逃すと後でメガネをかけたとしても視力が回復できなくなってしまうこともある、目にとってラストチャンスの時期だとも言えます。
簡単に言うと、近視は少なくとも近くを見ている時にはきちんとピントが合った画像が目に入るので弱視になることはありません。それに対し強い遠視や乱視の場合は近くも遠くもピントが合わず、常にぼやけています。いつもはっきりしない画像しか見えていないため、放置するとメガネで矯正しても視力がでない弱視になってしまったり、また、斜視を来すこともあります。
色覚検査は現在希望者のみ行われています。先天性色覚異常は男児だと、おおよそクラスに1人いる換算になります。
小学校に上がると消防車の写生を全員でしたりと色使いにも色覚異常の児童ははっきりと現れることになります。 美術以外の教科でも先生が黒板に書いた字が見づらい・学校の掲示物が読みづらいなどの不具合が出ることもあります。小学生のうちにぜひ色覚検査も受けてみることを勧めます。
健康診断で視力の結果が悪いときには放置せず、必ず専門医の精密検査を受けましょう。
スクラブ洗顔にご注意
スクラブ洗顔というのをご存じでしょうか。
元々スクラブというのは研磨剤のことです。
洗顔石けんの中に入っている細かい粒が、古くなった角質(かくしつ)を落としてくれてさっぱりするということで女性に人気があります。
でもこの細かい粒がくせ者です。
顔を洗う時には目をつぶっているはずですが、その粒が目に入って上瞼(まぶた)の内側に引っ掛かってしまうとなかなかゴロゴロがとれません。
元々目に入ったゴミは上瞼に引っ掛かると自分では瞼をめくることも難しいためなかなかとれませんが、スクラブ洗顔の場合その粒の大きさも極小さい物なので、瞼をひっくり返せたとしても肉眼で見るのは難しいのです。
幸いその粒はツルツルした球形でゴロゴロする割には角膜に傷はつきませんので、検査用の顕微鏡で見ながらとってあげると痛みもすぐに治まり目薬もいらないことが多いようです。朝起きたら突然ゴミが入ったようにゴロゴロして治らない事があります。
目にゴミは入っていないのですが、角膜の表面の皮=上皮(じょうひ)が数ミリ程度丸く剥(は)がれかかっている事があります。
角膜に傷をつけると一度は直るのですが、そのときできるカサブタのように弱い皮が寝て起きる時に上瞼の裏側と引っ掛かって突然剥がれて痛くなるのです。
この状態は繰り返すことが多く、再発性角膜上皮剥離(さいはつせいかくまくじょうひはくり)と言います。
程度が軽い場合にはヒアルロン酸の点眼薬を処方しますが、重度の場合には剥がれてきている上皮をピンセットで完全に取り除いてから手術用のメスで軽く角膜表面にスジを入れてあげると、後で再生してきた上皮がそのスジの中に入り込んでがっちりくっつくようになるので再発しなくなります。
皮を取り除いたときには寝たままでもつけていられる治療用のコンタクトレンズを2日間くらい乗せてあげるとしっかりした上皮が作られ痛みが無くなります。
新ニキビ事情
ニキビの治療は今まで、1日2回程度の洗顔、消毒用のローションや抗生剤含有クリームを使用し、また、必要に応じてビタミン剤を内服することが一般的治療でした。
最近、ピーリングによる治療が少しずつ広がりをみせてきました。ピーリングは、美白治療として昔からあった健保外治療で、代表的方法としてグリコール酸(AHA)ピーリングがあります。ニキビの顔に強力な酸を塗ることは、少し抵抗があるかもしれませんが、2~3日赤くなり、その後急速に改善します。この治療を2~3週間毎に5回程度行います。この治療は強力な酸を使用するため、十分な医療知識と技術が必要です。また、治療後に紫外線に当たると、とんでもない色素沈着を起こすことなど、紫外線の強い夏には不向きで、秋からの治療が一般的です。この治療を受けるには、必ず、専門医の指導を受けることをおすすめします。









