■ご訪問者数:29821610
在宅クリニック函館日吉  カワムラ歯科クリニック  たからまち総合診療クリニック 

コラムを読む

皮膚症状は全身の鏡 ~発疹から隠された病気を見つける~

皮膚科2021/12/22

 皮膚は全身を覆い包む一つの臓器です。その面積は1.6㎡(畳1畳分の大きさ)、重さは9㎏もあり、内臓で最も重い肝臓の2倍に相当します。そして皮膚は免疫機能を持つ細胞(リンパ球と称される細胞)が最も集まってくる臓器でもあります。よって体内で起こる現象(病気)に対して、皮膚の中で免疫反応が生じ、発疹を生じることがあります。ゆえに注意深く皮膚を診察すると、隠された内臓の病気を発見できたりします。

 私が30年の臨床の場で経験したケースをいくつか記します。

 足底一面にぶ厚い鱗屑がある酷い水虫の方、足底が固くなり深い亀裂がなかなか治らないと受診された方、下肢全体が丸太のように腫れた方(蜂窩織炎)は、重度な糖尿病をみつけました。何度も身体に痛みを伴う発疹が出る帯状疱疹を経験した方には血液のガンである悪性リンパ腫をみつけ、早期治療につながりました。治療にてこずった慢性湿疹の方をよく調べると胃癌が見つかり、胃癌治療後には湿疹が消失したケースも経験しました。

 また、脱毛と手の爪がもろくなったことを訴えて受診された方の原因を腸の病気と疑い内科で大腸の内視鏡をしたところ、クロンカイト・カナダ症候群(胃や大腸にポリープが無数に広がって生じる難病)と言う非常に稀な病気をみつける貴重な経験もしました。

 このように皮膚症状は、まさに全身の鏡です。

 発疹から、その背後に隠されている重大な病気を見つけ出し、それぞれの専門医にコンサルトすることも皮膚科医、特に総合病院に勤務する者としては大切な責務です。

 皮膚病でお困りの方、また通院中でも満足な治療効果を得られていない方がいましたら、遠慮なく当科を受診してみて下さい。


Text by 真鍋 公 皮膚科医長( 2021年10月18日 「北海道新聞夕刊」掲載)

粉瘤(ふんりゅう)

皮膚科2020/02/17

 粉瘤はニキビの大きくなったようなもので、炎症がないときは皮下にコロコロしたしこりができる皮膚の病気です。ときに細菌によって炎症が起き赤く、熱を持って腫れてきます。治療方法は小さければ、炭酸ガスレーザー、大きくなったときは切除です。

 初期症状でしこりに白い内容物があり、ニキビをつぶす感覚で、自分で内容物を取り出す方がいます。このようなことを繰り返すと細菌が繁殖して大きな膿瘍(膿の塊)を形成して痛みが出現して、治療に時間がかかり、日常生活に支障をきたします。治った後も赤黒い外見上支障のある傷跡を残したりします。

 もし、「粉瘤かな」と思ったら、病院を受診することをお勧めします。手術になることもありますが、薬で治めることもあります。


Text by 五稜郭大村美容形成クリニック 院長 大村 勇二( 2020年2月17日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)

皮膚科2018/03/26

 軟性線維腫というのは、ポリープ状に皮膚が隆起している良性の皮膚腫瘍です。
 30歳代以降にできてきます。原因は摩擦や日光など皮膚の老化によります。
 首、ワキ、そけい部(脚の付け根)、大腿の内側など比較的やわらかい部分にできることが多いものです。
 初めは小さな皮膚の突起ですが、徐々に大きくなってポリープ状で茎のある、やわらかい皮膚の腫瘤(しゅりゅう)になってきます。
 スキンタグといって、頚部(けいぶ)やワキに小さいイボのようなものが多数できることもあります。
 肥満した方や中年以降の方に多く見られ、皮膚の老化と考えられています。これも軟性線維腫の一種です。
 大きくなってくるとくびれができて、皮膚にぶら下がったような形になってくることもあります。
 やわらかい良性の皮膚腫瘍で、悪性化することもありませんから、そのまま様子を見ていても良いのですが、ゆっくりとですが大きくなってきます。
引っかけて出血するなど、邪魔になる場合は治療が必要です。

 治療は小さいものでは、ハサミで切ったり、焼いて取ったりすることもできます。
大きいものは、くびれた部分の根元の皮膚を含めて切除します。
そうすると縫合が必要になりますが、きれいに取れます。


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡( 2018年3月26日 「北海道新聞夕刊」掲載)

ウオノメについて

皮膚科2017/12/07

 足の裏に痛みを感じることはありませんか? 今回はウオノメのお話です。

 皮膚は強い力で圧迫が繰り返されると硬くなる性質を持っています。例えば鉄棒の練習をしたり、重いカバンを長く持っているとその部分が硬くなってマメができます。あるいは、書き物が多い方ですと中指の皮膚が厚くなり、いわゆるペンダコができます。足の裏側は常に体重がかかるため、どこかに重みが集中するとその部分が硬くなってきます。この時点では痛みはないのですが、圧迫が繰り返されているうちに硬い皮膚が押されて、奥深くに入り込んでいきます。そして神経に触る厚さにまで成長すると、痛み始めてしまいます。丸く見えるためウオノメ(魚の目)という名前がついています。一旦、ウオノメができてしまうと、歩行の度に押されてさらに奥に入り込み、進行することはあっても自然には治りにくいものです。

 治療方法はウオノメを柔らかくする絆創膏が市販されていますが、すでに厚みがあって奥にはまり込んだ部分が取れにくい場合には、専用の器具で取り除きます。痛そうなイメージがあるかもしれませんが、ウオノメには神経がきていませんので治療に苦痛は伴いません。ご自分でハサミやナイフで切ってみたという方もいらっしゃいますが、足の裏は意外と手も目も届きづらく、かえって怪我をしてしまう場合があります。また足の裏にはウイルス性のイボや粉瘤などウオノメと別なものが発生することがあり、これらは治療法も異なります。

 ウオノメの原因は立ち方、歩き方などで1カ所に重みが集中することですので、治療しても長年の習慣を変えることは困難であるため繰り返しやすいものです。しかし放置していると痛みは増しますし、痛い部分をかばって体重のかけ方を変えて生活していると、今度は体が歪んでしまい、腰まで痛くなってしまう場合もあります。


Text by みなとまち皮膚科 菊地医院 菊地 誠一( 2017.10.17発行 「青いぽすと」掲載)

鼻のホクロの切除

皮膚科2017/09/25

 ホクロの手術法は普通は紡錘形(ぼうすいけい・木の葉のような形)に切除して縫合します。また小さいものでは、くり抜くように切除してそのまま治したり、焼いたりします。ホクロの部位や大きさによって切除の方法も異なってきます。皮膚が厚い部位では紡錘形よりも円形や楕円形にくり抜いて縫合した方が傷が短く目立たないこともあります。

 鼻はホクロの切除としてはちょっと特別な場所です。鼻の部分は鼻根部(鼻の上部、目の間)鼻背部(鼻すじ)鼻尖部(鼻のとがった先端部)鼻翼部(小鼻)に分けられます。

 鼻根部は皮膚が薄いので普通通り紡錘形に切除して縫合します。鼻背部、鼻尖部は皮膚が厚いので円形や楕円形にくり抜いて縫合します。その方が傷が短くなり皮膚の盛り上がりも少なくて目立ちにくくなります。鼻翼部は鼻の穴の縁になるので、鼻の変形がもっとも目立ちやすい場所です。そこで、縫合の方向を変えて変形が起こりにくいようにします。また、三角形に切除して縫合するなど周囲の変形が少ないような縫合法を行うこともあります。

 このようにして、鼻のホクロとして最も多い3~7ミリくらいの大きさのホクロを切除できます。それ以上の大きさのものに関しては周囲から皮膚を移動させたり、皮膚を移植する植皮の必要が出てきます。また、小さいものに関してはくり抜いてそのままにしたり、焼いたりします。

 また、ホクロに似た悪性腫瘍として、悪性黒色腫(メラノーマ)があります。

 その識別も必要になります。
(保険が適用されない場合がありますので、病院にてご確認下さい)


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡( 2017年9月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

汗管腫(かんかんしゅ)

皮膚科2017/03/27

 汗管腫というのは眼の周りに多発するブツブツとした発疹です。
女性に多く、主に思春期以降にできてきます。
大きさは米粒くらいで、数個からもっとたくさん集まってできることもあります。
色は皮膚と同じ色です。
眼の周り、特に下のまぶたに多く見られますが、額や頬にできることもあります。
特に痛みやかゆみなどの症状はありませんが、自然に治ることもありません。
悪性ではないですし、悪性化することもほとんどないので治療しなくてもよいのですが、多発して細かいブツブツになるため、整容的な面で問題になることもあります。

 治療法は、焼いてしまうという方法があります。
ただ、麻酔が必要になりますし、1回で取れないこともあります。
広い範囲の場合には何回かに分けて治療することもあります。
焼いてしまった場合、2週間くらいカサブタになって取れますが、しばらく赤みは残ります。
化粧はできますのである程度隠すことはできます。

 汗管腫に似たものとしてエクリン汗嚢腫(のうしゅ)というものがあります。
これは、女性に多く、やはり眼のまわりに米粒くらいの大きさのブツブツがたくさんできます。
でも、汗管腫は一年中変化しませんが、エクリン汗嚢腫は冬は良くなりますが、夏になると出てくるという特徴があります。
エクリン汗嚢腫は、焼いてもまた出てきたりして、汗管腫よりも治療は困難な事が、多いようです。
やはり似たものとして、稗粒腫(はいりゅうしゅ)というものもあります。
これも女性の眼の周りに多く見られますが、単発していることが多いようです。
これは、小さく切開して、中の袋を出してしまうと取れます。
麻酔をしなくてもできます。


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡( 2017年3月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

陥入爪(かんにゅそう)

皮膚科2016/09/26

 陥入爪というのは、爪の端が食い込んでいることで痛くなる病気です。
多いのは足の親指の爪です。
爪が食い込んでいるために痛みが出たり、爪を切るときに端まで切ることが出来ずに爪の端が尖って残ってしまい、そこが刺さって痛くなってきます。
ひどくなると肉芽(にくげ)という組織が盛り上がってきて、痛くて歩行にも支障を来すようになります。

 軽度であれば、爪の切り方に気をつけて爪を伸ばすようにしたり、テープで爪の端をとめて爪と皮膚の間を広げるようにすると痛みが出にくくなります。
また、ワイヤーを爪につけて伸ばす方法もありますが、時間がかかったり、再発することもあります。
爪の食い込みが強い場合や、何回も繰り返す場合には手術をしなくてはなりません。
手術の方法にもいくつかあります。
爪母という爪を作っている組織が爪の根元にあります。
食い込んでいる部分の爪母をフェノールという薬品で焼いてしまう方法や直接切除してしまう方法があります。
こうすると爪は多少細くなりますが、食い込んだ部分の爪は生えなくなり痛みは出なくなります。
フェノールで焼く方法は簡単なのですが、再発することもあります。
切り取ってしまう方法は手術後は疼痛がありますが、確実な方法です。
術後は1~2日でぬらしたりできます。
また、巻き爪というのもあります。
これは爪の端だけでなく爪全体が丸まってくるもので、正確には陥入爪とは異なります。
巻き爪は変形は強いのですが、痛みがないことも多いのでそのままにすることもあります。
上から押さえたりして疼痛があるとき手術をすることもあります。
手術は爪全体を一度取ってしまって爪床という部分を平らになるようにしなくてはなりません。
少し大変な手術になります。


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡( 2016年10月26日 「北海道新聞夕刊」掲載)

マダニ(ダニ)感染症

外科-皮膚科2016/07/04

 夏、野山に出掛ける機会が増えますが、マダニに刺されることで発症するマダニ刺症を帽子や肌の露出がない着衣で予防することが大切です。
日本のマダニ感染症は、抗菌薬が効く細菌感染と、治療法が確立していない重篤なウィルス感染があります。
道南地域のイヌにダニ媒介脳炎ウィルス分布が判明しています。
全てのマダニが病原体を有するわけではありませんが、注意は必要です。
刺された直後はダニの唾液の麻酔作用で気付かず吸血で虫体が大きくなり炎症も併発し気付きます。
好発部は主に頭頸部です。
1日以上経過後は分泌するセメント物質で固着し皮膚ごと虫体の切除が必要ですので、皮膚科や外科を受診してください。
3週間程度で、発熱、発疹、関節痛などの症状出現時は医療機関を受診してください。

詳細は、「マダニ対策、今できること」で検索し、国立感染症研究所ホームページを参照してください。

国立感染症研究所ホームページ


Text by 函館渡辺病院 伊坂 直紀( 2016年7月4日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

化膿した粉瘤(ふんりゅう)の治療

皮膚科2016/03/28

 粉瘤というのは、皮膚の下にお粥(かゆ)のようなあかが貯まった袋ができる良性の皮膚腫瘍です。
体中どこでもできますが、多いのは顔、背中、お尻、脚のつけ根などです。
化膿していなければ、コロコロとした丸い塊が触れるだけで痛みもありません。
皮膚の表面に小さな穴があると、押すとそこから悪臭のある内容物が出てくる事もあります。
化膿していなければこの小さな穴と、中の袋を取って縫合すると再発はしません。
でも、化膿してしまうと、中に膿(うみ)がたまって急に大きくなって赤く腫れてきます。
さらに痛みも出てきます。
そして、痛みが出てから来院される方が多いようです。
しかし、こうなると化膿して膿がたまっていますから、中の袋を取ることはできません。
そこで、局所麻酔をして、皮膚を切開し、中の膿を出すだけになります。
切開は皮膚の表面の小さな穴がはっきりしていれば、その穴を含めて皮膚を一部切除して穴を開けておきます。
そうする事によって膿が中にたまらず、きちんと外に出てくれます。
そして、粉瘤の袋が残っていれば可能な限り取り除きます。
これを残すといつまでもジクジクして、治りが悪くなったりします。
縫合はできません。
そして、週2~3回程度時々通院しながら炎症が治まって小さくなるのを待ちます。
消毒しなくて良くなるのには、大きさにもよりますが、10日から2週間位です。
元になる小さな穴が残っていると、再発してくる事も考えられます。
また、炎症が治まらないうちに切開した入り口が閉じてしまうと、中で肉芽腫といってくすぶった状態が続き、炎症を繰り返す事もあります。
ですから、粉瘤は化膿しないうちに取ってしまう方が、簡単で早く治る方法なのです。


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡( 2016年3月28日 「北海道新聞夕刊」掲載)

ピアスのトラブル

皮膚科2015/09/28

 最近はピアスをする方が増えています。
それに伴って、ピアスのトラブルも増えているようです。
よく見られるピアスのトラブルを挙げてみます。

①炎症
 ピアスのトラブルで多いのが炎症です。
原因は、ピアスホールの中を傷つけて化膿することが多いようです。
軽度ですと、きちんと消毒すれば治まりますが、ひどくなればピアスを一度外さないと治らないこともあります。
また、耳の軟骨部分にピアスを開ける人もいます。
軟骨部分は炎症を起こすと耳介(じかい)が変形したりすることもあります。
ですから、特に軟骨部分のピアスで炎症を起こしたときは早めの処置が必要です。

②ピアスの皮下埋入
 ピアスホールに炎症を起こして、腫れが悪化すると、ピアスや留め金が皮膚の中に埋まってしまったりすることもあります。
完全に埋まってしまうと局所麻酔をして、切開して取り出さなくてはならないこともあります。

③ピアスホールが裂ける
 ピアスホールが完成してからも、重いピアスを続けていると徐々にピアスホールが裂けてきて、ついに耳たぶの下まで裂けてしまうこともあります。
その場合には手術によって縫合しなければなりません。

④ピアスケロイド
 これは体質にもよるのですが、ピアスの穴がふさがったあとにケロイドになって、硬く盛り上がってきて徐々に大きくなってくることがあります。
ピアスケロイドといいますが、大きなものは手術によって切除します。
再発することも多く、術後の内服や、圧迫が必要となります。


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡( 2015年9月28日 「北海道新聞夕刊」掲載)