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脂肪肝に潜む危険

内科2023/08/28

脂肪肝とは肝臓の細胞に脂肪がたまった状態を指し、日本人に大変多く約 2000万人が罹患していると推定されています。

その原因として過度の飲酒は昔から知られていましたが、近年は過食や運動不足による脂肪肝が増加しています。 脂肪肝には大きく 2つの問題があります。
1つ目は、脂肪肝にはメタボリック症候群(肥満・糖尿病・高血圧症・脂質異常症の有無などから診断されます)を伴うことが少なくないことです。メタボリック症候群は日本人の死因の上位を占める脳梗塞や心筋梗塞のような予後に直結する動脈硬化性疾患の発症が多くなります。
もう1つは、脂肪肝は長年良性疾患と考えられていましたが、一部は肝の炎症によって肝硬変や肝がんを発症する危険性があり、実際に脂肪肝を基盤とする肝硬変・肝がんは近年増加傾向にあります。

さらに最近の研究ではメタボリック症候群を合併する脂肪肝は肝硬変や肝がんへ進展するリスクが高いことが分かってきました。
2020年に世界各国の肝臓専門医が集まって議論した結果、「代謝異常に関連する脂肪性肝疾患(MAFLD(マフルド))」という新しい疾患概念が提唱されました。
その診断基準では脂肪肝にメタボリック症候群を合併しているかどうかから診断され、飲酒量やB型肝炎・C型肝炎といった ウイルス性肝疾患の有無も問いません。
分かりやすくいうと、大部分が良性である脂肪肝のうちリスクの高い集団を絞りこんで厳密に経過観察し、最終的に予後の改善を図ろうという取り組みです。 その有用性は今後人間ドックや日常診療によって検証されていきますが、消化器・循環器・内分泌代謝といった内科の複数分野にまたがる視点からの健康管理にも役立つものと期待されています。

両者を合併している方は今後特に注意しましょう。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男( 2023年8月21日 「北海道新聞夕刊」掲載)

血圧が高い方は治療が必要です

内科2023/06/26

血圧が高いといわれたけど、今は困っていないからと放置していませんか?
高血圧は自覚症状がない場合も多いですが、放っておくと将来いろいろな病気の原因になります。

もともと血管には弾力があるのですが、高血圧の状態が長く続くと、血管の壁は次第に厚くなり、硬くなります。これが動脈硬化で、脳出血、脳梗塞、大動脈瘤、腎不全、心筋梗塞などの原因になります。

また、心臓は高い血圧に対応して無理をすることになり、心臓の筋肉が肥大し、心不全になります。ある日突然呼吸困難になったり入院が必要になったり、救急車を呼ぶことになったり、最悪の場合は命に関わります。 こうした合併症を予防するには、血圧を正常化することが必要です。

高血圧の治療は、原因に対する治療、生活習慣の是正、薬物療法が中心となります。
高血圧症の約90%は原因の分からないもので、本態性高血圧症と呼ばれています。
遺伝的な因子や、生活習慣などの環境因子が関与しており、生活習慣病といわれています。

過剰な塩分摂取、肥満、過剰飲酒、精神的ストレス、自律神経の調節異常、運動不足、野菜や果物(カリウムなどのミネラル)不足、喫煙などが関わっています。 塩分をどの程度取っているのかは、自分自身では分かりにくいものです。
「薄味にしている」、「減塩調味料を使っている」という方でも、塩分摂取量が思いのほか多いこともあります。塩分摂取量を算出することで現状を把握することができます。

血圧を上昇させる明らかな病気があるときは、二次性高血圧症と呼ばれています。腎動脈狭窄、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など、手術を行うことで高血圧の治療が期待できるものが含まれます。これらの病気が疑われる場合には、血液検査・超音波検査・CT検査などを行う場合もあります。

薬によって血圧が上昇することもあります。代表的なものとしては、鎮痛薬、甘草という成分を含む漢方薬、ステロイド、抗がん剤などが挙げられます。 なかなか禁煙ができない方には禁煙治療を行う場合もあります。

血圧の異常がある方は自己判断で放置せず、内科で相談するようにしましょう。


Text by 昭和ごとう内科 後藤 洋平( 2023年6月19日 「北海道新聞夕刊」掲載)

脳梗塞後遺症回避のためのゴールデンタイム

内科2023/06/26

脳梗塞は突然やってきます。治療は一刻を争うため、発症からの対応がとても重要です。

脳梗塞とは、脳の血管の中に血栓という血の塊により血管が詰まったり細くなることで、脳に酸素が行き渡らなくなり、脳に障害が起きる病気です。 脳梗塞の発症後、3割は死亡、6割はまひや言語障害などの後遺症が残ります。
発症からなるべく早く診断を受けることで、治療の選択肢が広がり、命が助かり後遺症からも回避できるのです。
脳梗塞の原因の7割は動脈硬化、3割は心房細動という不整脈です。

動脈硬化はほとんど自覚症状がなく、主に50〜60代から進行しますが、最近は高カロリーな食事や慢性的な運動不足、ストレスなどが原因となり30代の若年層の血管の老化も指摘されています。動脈硬化の検査は腕と足の血圧比を測定するABIや頸動脈エコーなどお近くの内科で簡単に検査できるものもあります。

心房細動は心電図で診断することが可能です。動悸や目まいを訴えることもありますが、ほとんど自覚症状がないことも少なくありません。また、心房細動は不規則に出現することもあるため見逃されることも多く、自覚症状がなくとも定期的な心電図検査や動脈硬化の検査も必要です。

脳梗塞の症状は身体の片側が動かせない、力が入らない、ろれつが回らない、話そうと思っても言葉にできない、顔の表情に左右差がある、両目の視野が欠けるなどです。 脳梗塞には本格的な脳梗塞になる前触れTIA(一過性脳虚血発作)が起きることがあります。

脳に一度詰まった血栓が自然に溶けるなどにより血流が再開することがあるのです。 血流の再開により5分から1時間ほどで症状が消失します。TIAを経験した方のうち、2割は90日以内に、10人に1人は2日以内に本格的な脳梗塞を発症しています。TIAを見逃さないことがとても重要なのです。 症状がなくなっても家で休んでいることは危険です。少なくとも当日のうちには専門医の受診をお勧めします。

脳梗塞の治療で最も効果的な治療は、tーPA静注療法、血栓回収療法、またはその組み合わせです。
t-PA静注療法は血栓を溶かす薬を投与することで小さい血栓であれば2〜3割は溶解しますが残りの血栓はカテーテルで脳にある血栓を直接除去します。 ただし、t-PA静注療法は発症後4.5時間以内、血栓回収療法は6時間以内でないと受けられないため、発症後3時間以内には診断を受ける必要があります。

しかし、過去に脳出血を起こしている、脳梗塞の範囲は広い、血圧が高過ぎる方は治療を受けられないので普段からの血圧のコントロールも重要です。 脳梗塞が疑われる症状が出現したときには、自家用車やタクシーではなく、救急車を呼んでください。救急隊の方が診断治療を行える病院へ速やかに搬送します。

今後の治療方針に重要になるため、脳梗塞の症状が出現した時間も伝えられるようにしておくことも重要なポイントです。
自覚症状がなくとも定期的な検査をすること、血圧や動脈硬化を正常にコントロールしておくことが今後の脳梗塞の予防には重要です。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2023年6月19日 「北海道新聞夕刊」掲載)

新型コロナ感染症が5類になりました

内科2023/05/31

5月8日より、新型コロナウイルス感染症が5類になり、これからは医療もウィズ コロナの時代となります。

5類になって、感染者の自宅療養についての法的拘束力はなくなり、自己判断となります。 発症日を0日として5日間、かつ、風邪症状が消失して24時間経過していることが目安となります。感染力の強いウイルスなので、5日間たったから大丈夫ということではなく、症状が改善しているかを考慮しましょう。

この間の、公共の交通機関の利用や買い物などは規制されません。ただし、感染を広げないように、移動・買い物は短時間で済ますこと。ウイルスの排出の少ない不織布のマスクを着用しましょう。 感染後10日間は、マスク着用が推奨され、この間はリスクの高い高齢者との接触は避けましょう。

コロナ感染症は、セルフチェックができます。現在、コロナウイルス感染の抗原検査キットが販売されています。検査キットは、厚生労働省の認可済みのキットを使用してください。ケースに研究用と書かれているものは不可。厚生労働省の認可済みのものは、体外診断用医薬品(第1類医薬品)と表示されています。認可済みのものは、われわれ医師の使っているキットと同じ精度です。

また抗原検査キットの使用についてはこつがあります。熱が出たので心配で…すぐ検査。という気持ちは分かりますが、しっかりと判定するためには、24時間程度時間が経過してからの方が正診率が上がります。発症直後には、ウイルス量が少なく、反応しないことがあるので要注意です。

熱冷ましや風邪薬を使用しても検査には影響がありませんので、熱が出たらまずは仕事を休む。その後検査キットを使用して確認する。キットが陰性でも風邪の症状があるうちはできる限り人と接触しない。会うのはマスクを着用して短時間で。

ウイルスは何も変わっていません。恐れ過ぎず、賢く付き合いましょう。


Text by はら内科クリニック 院長 原 信彦( 2023年5月22日 「北海道新聞夕刊」掲載)

貧血といわれたら

内科2023/02/28

健康診断などで貧血の診断を受けたことがある方もいらっしゃると思います。貧血とは、血液中の赤血球の中にある、酸素を運ぶ役割のヘモグロビンの濃度が低下した状態を指します。

症状としては目まい、立ちくらみ、息切れ、疲れやすい、などがありますが、症状が出るのはかなり進行してからになります。ただしここにあげた症状は貧血でなくてもしばしば起こりうるので、「貧血をおこした」と患者さんが診察室で表現しても実際には本当の貧血はなかった、ということはよくあります。

貧血の原因はいろいろありますが、大きくは①血液そのものの病気(白血病など)、②慢性疾患(腎臓病や肝臓病など)や加齢に伴うもの、③鉄やビタミンなどの血液(赤血球)を作るための原料不足によるもの、に分けられます。

その中で最も多いのは鉄不足による貧血、いわゆる鉄欠乏性貧血で、貧血全体の約60〜80%を占めるといわれています。 鉄不足は偏食による栄養不足や胃切除後の吸収不良などでも起こりますが、これらの特別な事情がなければ、現代の日本で普通の食事をしている限り鉄の摂取不足になることは少ないと考えられます。

むしろ多いのは何らかの出血によって赤血球が減り、その結果赤血球に含まれていた鉄分が体内から失われたケースで、例えば鼻出血、歯茎の出血、痔出血、月経なども原因となります。

特に問題となるのは消化管(胃や腸)からの出血です。目に見える程の出血(吐血・下血)があればすぐに気付いて病院を受診すると思いますが、肉眼では分からない程度の出血がじわじわと続いた結果貧血となり、それがきっかけで進行した胃がんや大腸がんが見つかるケースは決して珍しくありません。

貧血と診断されたら放置せず、一度胃カメラや便潜血検査(大腸がんの検査)を受けることが大切です。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男( 2023年2月20日 「北海道新聞夕刊」掲載)

諦めない胃がんの治療

内科2022/12/27

以前と比べて減少傾向にはあるものの、年間12万人以上発症、毎年4万人が亡くなっている胃がん。20代の若さで発症する方もいますが、50代で急増、70〜80歳で発見される方も年々増えてきています。

平均寿命が延び高齢者人口が増えていることもあり、70歳以上の胃がん患者数は、以前の2倍まで増えています。

以前は年齢で治療を諦めていた胃がんの治療も胃カメラ検査機器の進歩による苦しくない胃カメラで、早期の段階での胃がんの発見もできるようになりました。また、身体に負担のかかりにくい手術や新薬の開発などにより、高齢者でも新しい治療の選択肢が増えてきています。

粘膜にできた胃がんは、進行すると深く潜りリンパ管や血管を通ってリンパ管や肝臓・腹膜など他臓器へ転移します。粘膜にとどまっている早期の胃がんは、手術でお腹を切らなくても胃カメラで粘膜内のがんを切除する「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)」で治療できます。

リンパ節転移が疑われる場合でも腹腔鏡やロボット手術など術後の身体への負担も大幅に軽減されています。 がん治療の薬も、ここ数年で目覚ましい進歩を遂げています。

「HER2タンパク質」を持っていると抗がん剤の他、がん細胞だけを狙い撃ちする「分子標的治療薬」を使用できます。
既に手術できない状態で発見された約2割の方がこのタンパク質を持っているといわれており、この薬が著効できれば手術で病巣を切除することも可能となる場合もあるのです。

このタンパク質を持っていなくても、多種の抗がん剤の組み合わせや最近胃がんへの適用も拡大した「免疫チェックポイント阻害薬」の使用より、治療効果は確実に上がっています。 抗がん剤の副作用を軽減する薬も開発されており、また分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬は、効果が高いだけではなく副作用も起きにくいメリットがあります。 ただし、胃がんは予防も大切です。

胃がんの主な原因はピロリ菌ですが、喫煙や過剰な塩分摂取も発生のリスク要因とされています。
ピロリ菌は 採血・検尿・検便・呼気検査・胃カメラでの病理検査でチェックすることができます。
ピロリ菌がいる場合は1週間の内服薬で除菌しますが、除菌後も安心してはいけません。

除菌前に胃がんにつながる胃炎に進行していると除菌後にも胃がんになることもあるため、除菌後も定期的な胃カメラ検査を受けることが大切です。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2022年12月19日 「北海道新聞夕刊」掲載)

慢性腎臓病ってご存じですか?

内科2022/11/30

腎臓とはどういう臓器でしょうか?腰の辺りに左右1個ずつある握りこぶし程度の大きさの臓器です。血液をろ過して、必要なものを再吸収し、不要なものを尿として排せつする臓器です。

それ以外にも、赤血球を作るホルモンや血圧を調整するホルモンを作ります。慢性腎臓病とは、腎臓が何らかの原因によりダメージを受け、血液をろ過する能力が落ちてしまう病気です。

初期に症状は何も無いため、検査を受けなければ分かりません。「ちょっと血圧が高いけど、まあいいや」「コレステロールが高いけど、何も症状が無いので、様子を見よう」などと、生活習慣病を長年見過ごすことにより、腎臓にダメージが蓄積して発症してしまいます。

このように、わが国の慢性腎臓病は、生活習慣の変化や高齢化を背景にして年々増加し、成人の8人に1人が慢性腎臓病と報告され、日本透析医学会の報告では、令和2年末で34万7千人の透析患者さんがいるそうです。※1

また、この慢性腎臓病は、心筋梗塞や脳卒中といった心血管病や認知機能障害とも深く関わっており、健康寿命を脅かす新たな国民病と呼ばれています。 慢性腎臓病は、血液検査や尿検査を行うことで診断できます。

血液検査で、血清クレアチニン値をもとにした推算GFR(eGFR)と呼ばれる検査値が59以下の場合、慢性腎臓病を疑います。それ以外には、高血圧や高脂血症などの疾患に伴いタンパク尿が出ている場合です。

まさか、ちょっと血圧が高いけど、放置しただけで知らないうちに腎臓が悪くなるなんて…しゃれになりませんよね。最悪の場合、高血圧を放置→慢性腎臓病→腎機能の悪化→慢性腎不全→透析という流れもあり得ます。

これを知っていれば、たかが高血圧とは、いえませんよね。 検診を受けていない人は、ちゃんと検診を受ける。検診結果で、生活習慣病に関わる数値が気になるのであれば再検査を受けるなど、症状が無くても自己判断で放置しないように気を付けましょう。

※1日本透析医学会誌54(12):611-657,2021


Text by はら内科クリニック 院長 原 信彦( 2022年11月21日 「北海道新聞夕刊」掲載)

内視鏡とAI

内科2022/08/31

最近AI(エーアイ)という単語を耳にする機会が増えています。AIとは「人工知能」の略称でコンピューターが人間に代わって思考や判断をするもので、多様な分野でその応用が始まっています。

将棋の名人とAIの対局なども話題になりましたが、医療分野も例外ではありません。AIはすでにレントゲンやCTなどの画像を的確に診断できるようになっており、レントゲンではすでに製品化され導入している医療機関もあります。

そして今、胃や大腸の内視鏡検査の世界にもAI導入の波が来ています。 内視鏡検査では進行がんのような大きな病変はあまり診断に苦労しませんが、早期がんの場合はサイズが小さい上に一つ一つ顔つきも違い、さらに周囲の正常部分との境界が分かりずらいことも珍しくないため、専門医でも発見や診断が困難な場合があります。

それは例えるなら複雑な模様が描かれた絵の中から特別な形を見つけ出す作業であり、長年の経験が必要となります。 人間では膨大な時間を要する多数の症例の画像をAIは効率よく短時間で学習し、診断能力を身につけます。そして検査の時にはモニター画面の画像をAIが分析し医師の診断を補完します。

具体的には1.異常病変の発見、2.発見した病変が良性か悪性かの判定、3.病変の範囲の判定、をリアルタイムに支援することでより早く正確な診断が可能となるため、結果的には患者さんの負担軽減につながっていきます。

学術の世界でも内視鏡検査におけるAIの有用性を報告する論文がすでに多数出ており、その評価は高まってきています。大腸の内視鏡ではすでに製品化が始まっており、胃の製品などは間もなく実現する見通しです。

今後内視鏡のAIが普及していけば、よりすばやく的確にがんを発見・診断できるようになるものと期待されます。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男( 2022年8月22日 「北海道新聞夕刊」掲載)

どっさり・スッキリが基本です

内科2022/06/28

理想の排便は体外に排出すべき便を十分量かつ快適に排便できる状態と定義されています。
腹部膨満感や腹痛を訴え来院された方を診察した時「便秘はありません」と話されていたのに診察で大量のガスや便が腸内に貯留していることは少なくありません。 数日に1度もしくは毎日でもそれなりに排便があると便秘と自覚されてはいないようです。

排便の量が少なかったり残便感がある、コロコロ便、力まないと排便できないのは普通ではありません。
便秘や下痢が継続すると「過敏性腸症候群」を疑います。
運動不足やストレスにより腸の運動・機能障害をおこしお腹が張ったりゴロゴロしたり、また腸の粘膜が過敏となり痛みを伴うこともあります。 長期化するコロナ禍で発生頻度が増えている病気の1つです。

十分な睡眠、規則正しい食生活やストレスの解消の他、脂質やカフェイン、香辛料や飲酒を控えることはもちろんですが、最新の研究では「小腸で吸収されにくい糖質(FODMAP)の制限」も注目されています。 小麦、牛乳、玉ねぎ、りんご、大豆、ヨーグルト、とうもろこし、蜂蜜などです。

これらの食品は小腸で分解・吸収されにくく大腸で異常発酵しガスを発生させることで過敏性腸症候群の症状を悪化させる可能性があります。一般的にお腹に良いとされている食品も含まれていますが、意外にも自分の体質に合わないこともありこれらを食べ過ぎた時に調子が悪くなることがあれば摂取量を控えて様子を見ることも大切です。 便秘や下痢になる命にかかわる病気はやはり大腸がんです。
女性が亡くなる最も多いがんは大腸がんです。

恥ずかしかったり苦痛を伴う不安から大腸カメラを避けている方も多いですが、自宅で下剤を飲むことができたり検査着の改良、鎮静・鎮痛剤の使用、女性医師による検査も増えており以前より苦痛は改善されています。 早期に発見されれば内視鏡の治療で完治できますので40歳を過ぎたら大腸がんの検査(便潜血検査・大腸カメラ)をお勧めします。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2022年6月20日 「北海道新聞夕刊」掲載)

急な下肢の腫れ

内科2022/06/28

函館も気温が上がってきて晴れた日には屋外で過ごしたり、作業したりすることが増えると思います。そこで注意したいのが急な下肢の腫れです。 下肢が腫れる病気は沢山ありますが、今回のキーワードは2つです。まず長時間の同じ姿勢です。例えば家庭菜園でしゃがんだままの作業やほとんど歩かないままで立ちっぱなしの場合です。長距離の車の運転も当てはまります。

次は脱水です。何時間も水分補給していない場合や屋内外を問わず気温が高い時です。このような状態の後に急に発症することがあるのが下肢静脈血栓症です。 静脈という血管の中で血液がうっ滞して血栓(血の塊)で出来る病気です。血液が下肢から心臓に戻りにくくなることで急に下肢が腫れるのです。

特徴は3つあります。第一は急に起こること、第二に片方の下肢の腫れ、そして第三は痛みです。大抵発症は急で、何日の何時頃からと言えます。何週間も前からということはありません。また両下肢が同時に腫れることは稀で、他の人に後ろからふくらはぎを見てもらうと左右差がはっきりわかります。

血栓の出来た範囲によっては大腿部まで腫れてきます。そして痛みはふくらはぎに多く感じられ、正座するように膝を曲げると違和感や痛みが増します。 この病気の合併症には生命に関わる肺血栓塞栓症があり、エコノミークラス症候群とも言われます。

まず正確に診断することが重要で、専門科は心臓血管外科や循環器内科です。
もし整形外科を受診する場合は下肢が腫れるまでの経過をしっかり説明しましょう。


Text by こにし内科・心臓血管クリニック 小西 宏明( 2022年6月20日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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