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大腸がんを予防しよう

消化器科-2017/02/27

 2012年の北海道の男性大腸がん死亡率(人口10万人あたりの死亡者数)は全国平均より高く、さらに道南は北海道の中でも死亡率がひときわ高い地域です。女性も函館市を含む南渡島では全国・全道平均より高くなっています。では、大腸がんで命を落とさないようにするにはどうすればよいでしょうか?

 がんの予防は、がんにならないよう食事や環境を整える1次予防と、がんになっても早期に発見して治す2次予防に分けられます。まず1次予防ですが、大腸がんのリスクを高めるといわれているものには、加工肉(ソーセージなど)、脂質(油物)、過度の飲酒、喫煙、肥満、が挙げられています。反対に、食物線維、野菜、果物、牛乳を適切に摂取すること、適度に運動すること、これらはリスクを減らすといわれています。一般に食事の欧米化が進むと大腸がんが増加しますが、食事の内容から特定の食物や成分を評価することは困難な場合も多く、必ずしも全ての研究で同じ結果が得られているわけではありません。しかし可能性を考えて日頃これらに気をつけることが大切です。次に2次予防、つまりがんになっても治せる段階のうちに発見するには検診を受けることです。大腸がんの発見には肛門からカメラを入れる大腸内視鏡検査が最も優れていますが、前処置(下剤をかけるなどの検査の準備)が大変だったり、検査中の苦痛の度合いが大きい場合もあり積極的に受けたいと思う方が少ないのが難点です。そのため大腸がんの検診としては便に血が混じっていないかを調べる便潜血反応検査が第一段階の検査として全国的に採用されています。検査で陽性の場合は内視鏡検査に進むことになります。便潜血反応検査は毎年受けることにより大腸がん死亡を60%以上減らすことが証明されています。函館市の場合は年1回40歳以上の方は低額の自己負担で、70歳以上の高齢者の方等は無料で受けることができますので積極的に活用しましょう。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男(2017年2月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

腸内細菌叢〈そう〉(腸内フローラ)とプロバイオティクス

消化器科2017/02/20

 最近「腸内細菌叢(腸内フローラ)」や「プロバイオティクス」などの話題が、健康との関わりからメディアなどでよく取り上げられるようになりました。
医療の世界でも、腸内細菌叢と炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)や大腸がん、さらに脂肪性肝炎(NASH:ナッシュ)などとの関わりが明らかにされつつあり、プロバイオティクスの有用性が報告されています。
ヒトの腸内には約1000種類、100兆個の実に多くの細菌が生息しているとされ、これらは植物が群生している様子に例えられ、腸内フローラ(植物群、叢〈そう〉)とも言われます。
これらの腸内細菌のうち、善玉菌と呼ばれる乳酸菌とビフィズス菌は、乳酸や酢酸などを作り腸の働きを整えます。
さらにビタミン類を作ったり、免疫細胞を活性・協調化させアレルギーを軽減する作用も知られています。
一方、悪玉菌と呼ばれる大腸菌やウェルシュ菌は腐敗物質を産生し、さらに発がん性を有する胆汁酸やニトロソアミンを作り出します。

 さて「プロバイオティクス」とはなんでしょうか。プロバイオティクスとはアンチバイオティクス(抗生物質)の反対の用語で、“共に”(pro-)“生きる”(-biosis)、つまり「共生」という意味からきています。
定義としては「腸内細菌叢のバランスを改善し、人体に良い影響を与える微生物またはそれらを含む食品」のことです。
具体的には動物の乳を発酵させる「乳酸菌」や「ビフィズス菌」などがあり、その食品がヨーグルト、乳酸菌飲料などです。
さらに植物性乳酸菌が作る漬け物、納豆(納豆菌)などもプロバイオティクス食品とされます。
また、食事では善玉の腸内細菌の栄養になる食物繊維(水溶性および不溶性)や、果物などに含まれるオリゴ糖(小糖類、プレバイオティクス)を摂取して、腸内細菌叢のバランスを整えることが健康にとって大切です。


Text by 山城消化器科内科クリニック 山城 雅明

胃ろう(PEG)について

高齢化社会を迎え、嚥下障害などにより、食事摂取が困難な方や、誤嚥を繰り返したことにより肺炎(誤嚥性肺炎)を繰り返される方が最近増加していることが実感されます。
いろいろ工夫され、嚥下食の改善、経管栄養、補液の補助などさまざまな試みがなされております。
これらの治療後、どうしてもうまくいかないなどの理由で、胃ろうの造設を依頼されることがあります。
胃ろうは体表から胃内に直接栄養を送り込むための入り口を、腹部に設けるものです。
通常は内視鏡を胃内に挿入したうえで、体表から穿刺したうえで、造設いたします。
合併症には出血、腸管損傷による腹膜炎、術後感染などが報告されており、栄養状態や全身状態の悪い方に行うので慎重に施行する必要もあります。
最近はいろいろ新聞やTVなどでも胃ろうの功罪についての記事や特集を目にします。
胃ろうを他院で造設したが、1回も使わなかったので抜いてほしいとの相談も受けました。
介護施設の入所のために、胃ろう造設が要件であったり、社会的な面で要求されることも増えてきております。
患者さんは判断できない場合が多いですので、ご家族が十分検討、考慮したうえで造設するかどうかを決めていただきたいと思います。


Text by 函館渡辺病院 太田 知明(2013年11月18日 「みなみ風」掲載)

胃がん撲滅元年

消化器科-2013/08/26

 今年は胃がん診療に大きな動きが2つあり胃がん撲滅元年ともいわれています。
1つ目はヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)診療の保険適応の拡大です。
ピロリ菌は胃の中に住んでいる細菌で、もともとは胃・十二指腸潰瘍の原因菌として発見されました。
その後は血液の病気など多様な病気の原因でもあることが明らかとなり、保険で治療できる病気の種類は増えています。
そんな中、今年の2月には慢性胃炎でもピロリ菌の保険診療が認可となりました。
ピロリ菌は慢性胃炎を引き起こしてそこから胃がんの原因になっていくと考えられています。
従って、胃炎のうちに除菌を行って胃がんの発生を予防し、胃がんの死亡率を下げることが期待されています。
保険診療上の注意点は、事前の内視鏡検査が必須条件となっており、そこで胃炎の存在が確認されたらピロリ菌の有無を調べる検査に進みます。
もし陽性であれば、希望により除菌治療を行うことになります。

 2つ目ですが、特に腹部症状がないなど保険でのピロリ菌診療ができない方は、『ABC検診』(胃がんリスク検診)が推奨されています。
この検診はピロリ菌と、胃粘膜の萎縮を反映するペプシノゲンを同時に測定するもので、血液だけで調べることができます。
検査結果の組み合わせから胃がん発生の危険度によりいくつかのグループに分けられ、除菌を勧めたり、今後の適正な胃がん検診間隔を推奨するなどしてがん予防に生かす方法です。
これまで胃がん検診といえばバリウム検査が主に用いられてきましたが、今後は胃がんになりやすい人とそうでない人を選別してその後の対応を決めていくこの方法が主流になっていく可能性もあります。
函館市では、この検診は今年度から特定健診のオプションとしても受けることができるようになりましたので、是非活用しましょう。
以上の新たな2つの動きは、がんの中で患者数の最も多い胃がんの撲滅に大きく寄与することが期待されています。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男(「北海道新聞夕刊」掲載)

胃潰瘍・胃がんの原因は家族内感染?

消化器科2013/06/03

胃・十二指腸潰瘍、また胃がんの原因の1つとされている「ピロリ菌」。
ピロリ菌の発見から20年以上経過した現在でも、確実な感染経路は特定されていませんが、最近、ピロリ菌感染の予防対策につながる感染経路が、解明されつつあります。
その感染時期の多くは、胃酸の分泌や胃粘膜の免疫機能の働きが不十分な小児期といわれています。
子供の時に飲用していた井戸水も感染源となる可能性があり、上下水道の整備がされていない国や地域では、家族でピロリ菌感染が多いという報告も多数あります。
また、親が噛み砕いたものを子供に与えるような行為を繰り返されると親子感染が起こり、大人になって胃・十二指腸潰瘍、胃がんのリスクを高めているのです。
今までは、胃・十二指腸潰瘍等にしかピロリ菌の除菌治療は、保険での治療は認められていませんでしたが、今年2月、「胃カメラにおいて胃炎の確定診断がなされた患者」にも、保険適用が拡大されました。

親や兄弟に、潰瘍や胃がんの方がいらっしゃる場合、胃・十二指腸潰瘍や胃がんになる前のピロリ菌の検査は、とても重要です。是非、専門医にご相談下さい。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子(2013年6月3日 「みなみ風」掲載)

増えゆく大腸がん

消化器科-2013/02/25

 平成23年の日本人の死因の第1位は悪性新生物(いわゆるがん)です。
その内訳をみると、胃がんなどが減少傾向にある一方で大腸がんは増えており、男性で第3位、女性では第1位となっています。
このままいけば男女総計では数年後に胃がんを抜くといわれています。
また地域的にも函館市は北海道の中でも大腸がん死亡率の高い地域となっています。
がんは発症臓器によって悪性度が異なるため、死亡率(単位人口あたりの死亡数)が高いがんが必ずしも罹患率(単位人口あたりの新たにかかる患者数)も高いとは限りません。
しかし大腸がんの場合は死亡率だけでなく罹患率も大変高く増加傾向にあり、2020年には胃がん・肺がんを抜いて第1位になると予測されています。
つまり大腸がんは今後ますます身近で一般的な疾患となっていくのです。

 大腸がんで死亡する方はかかる方の約3割といわれており、これは他のがんに比べて治りやすいがんであることを示しています。
実際大腸がんは手術で完治する可能性が比較的高いがんであり、また手術のできない例や再発例でも近年の抗がん剤治療の進歩により長期生存が可能となっています。
しかし100%確実な治療法が存在しない現状で大腸がんで命を落とさないようにするためにはどうすればよいでしょうか?
大腸がんも他のがんと同様に現在でも発病の原因は分かっていませんが、食生活の欧米化による高脂肪食の摂取や食物繊維の不足、さらに運動不足との関係が指摘されています。
まずは日頃の食生活・生活習慣の注意が必要です。
それと同時に、がん検診を適切に受け早期発見・早期治療の機会を逃さないようにすることも大切です。
大腸がん検診は、便潜血検査といって、肉眼ではわからない程度の血が便に混じっていないかどうかを検査します。
この検査は大腸がんを100%発見できるわけではありませんが、1回のみではなく定期的に受けることで大腸がん死亡率を下げる効果が実証されており、毎年受けることが大切なのです。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男(2013年2月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

たかが便秘、されど便秘

消化器科2012/08/27

 便が硬い、出づらい、なかなか出ない、などいわゆる便秘症は罹患している方の大変多い疾患といえます。
高齢者に多く、またホルモンや体の構造の影響から男性よりも女性が多くなります。
便秘はその原因から続発性便秘と特発性便秘の二種類に大別されます。
続発性便秘は薬剤の副作用や大腸癌など特定の原因があるもの、特発性便秘は大腸に目に見える異常はなく腸の動きや機能の異常が原因のものです。

 便秘になった時まずなにより大切なことですが、大腸癌など大腸の通過障害が原因の場合は腸閉塞になる危険が迫っているサインのため、専門医を受診してそのような異常がないことを確認する必要があります。
特に、最近急に便秘になった、便が細くなった、血便がある、などの場合は大腸癌の症状の可能性がありますので早急に専門医を受診しましょう。
続発性便秘の原因となりやすい薬剤の種類は広範囲に及びますが、精神・神経系に作用する薬剤などではその頻度が高くなります。
他にも甲状腺ホルモンや電解質異常などの隠れた病気が便秘の原因の場合もありますので、担当の先生とよく相談しましょう。

 一方便秘の大多数は目に見える異常のない特発性便秘ですが、これはその方の体質だけでなく生活習慣とも密接な関係があります。
水分や野菜・果物・穀物など繊維分の多い食物を十分にとり便の性状を良くする、十分な運動をして腸の動きを高める、などが大切です。
それでもうまく便が出ない場合は下剤を服用することになります。
下剤は大きく分けて塩類下剤(便を柔らかくする薬)と刺激性下剤(腸を刺激して動かす薬)に分類されます。
それぞれの方の便秘の性状によって使い分けることが有効ですが、両者を併用することもあります。

 便秘が高度になると、糞便性イレウスといって硬くなった便自体が原因となって腸閉塞となり重症化することもあります。
「たかが便秘」と軽く考えず毎日排便があるよう日頃から調整を心がけましょう。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男(2012年8月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

逆流性食道炎

消化器科2012/07/23

 逆流性食道炎は、胃酸の食道への逆流により、食道の粘膜が炎症を起こす病気です。

 主な症状は、胸焼けですが、その他に呑酸(どんさん:口まで酸が上がってくる)、のどの不快感、咳などがあります。

 胃酸の逆流は、食道下部の括約筋の働きが悪くなって起きますが、その原因は、偏った食事、過食、アルコール、加齢、肥満など色々です。

 診断は、症状の問診と上部消化管内視鏡(胃カメラ)での、食道炎症所見の確認で行います。

 治療は、内服薬により胃酸の分泌を抑える方法が一般的です。
これにより多くは、症状の改善を認めます。
ただ胃酸の分泌は抑えても、胃からの逆流は、変わりません。
内服薬でも、症状のとれない患者さんには、逆流防止の手術が適応となることもあります。

 逆流性食道炎は、不快な症状を伴うだけでなく、食道がんとの関係も否定できません。
適切な診断と治療をお受けになることを、お奨めします。


Text by 函館渡辺病院 森本 茂男(2012年7月23日 「みなみ風」掲載)

胃がんになりやすい人って?

消化器科-2012/05/28

 漠然と「胃がんになったらどうしよう」と考えたことはありませんか?
最近、どの程度胃がんになりやすいかを検査できるようになりました。
胃がんリスク検診=ABC検診といいます(健康保険は対象外)。
現在、群馬県全域・東京都の一部の区で実地されています。

 血液を調べて,胃がんの原因といわれるピロリ菌に感染しているかどうかと、胃の老化をペプシノーゲンⅠ・Ⅱという物質で検査します。

A群:ピロリ菌もいない・胃の老化もない状態。この場合ほとんど胃がんの発生がありません。

B群:ピロリ菌がいるけれど、胃の老化は始まっていない。この場合1000人に1人の割合で胃がんの発生があるといわれます。

C群:ピロリ菌がいて、胃が老化しているものでは、400人に1人。

D群:ピロリ菌が住めないくらい胃の老化が進んでいるものでは80人に1人と言われています。

 この検診で胃がんリスクを考え、A群の方は5年に1度程度、B群は3年、C群は2~1年、D群は毎年胃カメラでの精密検査が推奨されています。
この検診結果から分かるように、基本的にピロリ菌に感染しているならば、まず除菌することが勧められます。
ただし、除菌治療は胃潰瘍や十二指腸潰瘍など健康保険で賄(まかな)えるものは限られており、自費で行われる方が多いのも事実です。
また、この検診でA群と診断されても実はピロリ菌に感染していた方も混入することもあったり、胃がん以外の悪性腫瘍(2%前後)、ピロリ菌の感染が背景に無い胃がんがごくわずかに存在することもあります。
この検診は、今胃がんになってるかどうかの判定ではありません。
あくまでも胃がんのなりやすさであり、結果を鵜呑みにすることなく、何か症状があったり不安であれば消化器科専門医に相談してくださいね。


Text by はら内科クリニック 原 信彦(2012年5月28日 「北海道新聞夕刊」掲載)

ピロリ菌は万病の元?

消化器科2012/03/19

 「かぜは万病の元」。ささいな病気でも軽く考えず早目に治さなければ、より重大な病気をひきおこすと警鐘を鳴らした言葉です。
胃潰瘍の原因菌として一躍有名になったピロリ菌(正式にはヘリコバクター・ピロリ菌)は1983年にヒトの胃から発見されました。
胃液中の酸はその殺菌作用によって細菌感染に対する防御機構として機能すると考えられており、「胃の中に細菌は存在しない」という当時の医学常識を覆す画期的な発見でした。
日本人は人口の約50%が感染しており、除菌療法が2000年に胃潰瘍と十二指腸潰瘍に、その後胃MALTリンパ腫、早期胃がんの粘膜切除術後の胃などにも保険適用となりました。

消化器系疾患では他にも胃がん、胃ポリープ、萎縮性胃炎などとの関連性が判明しています。

 一方、最近の研究でピロリ菌は、意外な疾患にも関係することが分かってきました。
特発性血小板減少性紫斑病という血液の病気でピロリ菌陽性例に除菌治療を行うと半数以上で病状が改善するため、現在は治療の第一選択となり保険適用にもなりました。
また原因不明の慢性じんま疹はピロリ菌を除菌すると 30%前後の例で症状が改善するとされています。
その他にも、心筋梗塞などの虚血性心疾患、パーキンソン病・アルツハイマー病などの神経疾患、肺がんなどの呼吸器疾患、鉄欠乏性貧血、糖尿病、自己免疫疾患、眼科疾患、婦人科疾患など、当初の想定を超えた広範囲な疾患でピロリ菌感染との関連性を示唆する報告があります。
これらの関連性は現時点ではまだ確定的ではないものもあり、保険適用もない疾患が多いですが、今後の研究が期待されるところです。

 ピロリ菌の除菌療法は一週間の内服ですが、最近は耐性菌の増加により成功率が70%前後に低下しています。
しかし一回目で不成功の場合も二次除菌として有効な治療薬が保険適用となっており、最終的には90%以上の方で除菌は可能です。
除菌を希望する場合は専門医とよく相談するのが良いでしょう。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男(2012年2月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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