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コラムを読む

片頭痛の新薬

脳神経外科2023/09/25

最近、片頭痛の新しい治療薬がいくつか登場しました。片頭痛の治療薬には、頭痛発作時の頓服と発作の予防薬の2種類がありますが、その両方に新薬が登場しています。

頭痛発作時には、トリプタンというグループの薬が標準的に使われていますが、この薬は使うタイミングが難しく、痛み始めに使うのが良いと言われています。
昔の薬に比べ、よく効きますが、タイミングが悪いと、痛みは止まらず、「この薬は効かない」と判断されたりします。また、使い過ぎると薬のせいで頭痛が強く、しつこくなることもあります(薬物乱用による頭痛は、この薬に限ったことではありません)。

これらの問題に対して、発作時の薬としては、ジタン系薬剤という新しいタイプの薬が登場しました。これは服用するタイミングを選ばないという特徴があり、トリプタン製剤がうまく使えなかった、あるいは効果がなかったという人にお勧めです。

頭痛発作が頻回で長期間続いている人には、予防薬が適用されます。これにも何種類かありましたが、この領域でも新しい薬が出ました。
片頭痛のメカニズムは完全には解明されていませんが、痛みを引き起こしている物質の一つと思われるものをブロックする薬ができました。これは注射薬で、3製品販売されています。月に1回、あるいは3カ月に1回、皮下注射します。慣れれば、自己注射も可能ですので、受診回数も減らせます。

ただし、完全に片頭痛の発作を押さえられるとは限らず、内服薬を減らすことはできても、完全に縁を切るのは難しいことです。また、非常に高価であるという欠点もあります。

どんな薬にも長所や短所がありますが、選択肢が増えることは喜ばしいことです。片頭痛に悩んでおられる方は医療機関でご相談ください。


Text by 函館西部脳神経クリニック 院長 小保内 主税( 2023年9月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

病気と闘う?

脳神経外科2023/03/31

ドラマの主人公が病気の人に「病気と闘うというのは、おかしいと思います。病気と闘うのは医療者であって、患者は闘わなくていいと思います。」と言うシーンがありました。

なるほど、そういう考え方もあるかと感心しましたが、後から「それは違うな」と思い直しました。もちろん、医療関係者は日々、いろいろな疾患と闘っていますが、それぞれの患者さんにも一緒に闘っていただかなければ、病気を克服することはできません。

例えば、リハビリは本人の意欲、やる気がなければ続けられませんし、理学療法士さんにやってもらうという受け身の姿勢では効果が上がりません。医療機関などを離れても、自分一人で続けていく努力が必要です。

糖尿病や高血圧では、きちんと服薬することはもちろん、本人が食事の節制や運動など、日常生活を改善することが必要です。医療関係者に「お任せ」では病気とうまく付き合っていくことはできません。

また別の番組で、病気に悩む人が「頑張れっていうけど、これまでも頑張ってきたのに、これ以上、何を頑張ればいいの?」と泣き叫ぶシーンも記憶にあります。

私の師匠は病棟回診の際、いつも患者さんに「頑張れ」ではなく、「頑張りましょう」と声をかけていました。「私も一緒に頑張りますよ」と伝えているのだと、感心したものでした。

私は、病気とは闘わずに、お付き合いしていくと考えた方がいいと思っています。残念ながら、病気は完全に治すことは難しく、長く付き合って行くことの方が多いと思います。

病気になる前の体に戻ることを目指すのではなく、病気の症状はあるけれど、暮らしていけるというところを目標にすると、悩みが小さくなると思うのです。

人生はマラソンに例えられることがありますが、病気は困った競走相手です。 この相手には勝たなくてもいいので、負けないようにゴールすることを目指しましょう。医療関係者は、そのための伴走者として、一緒に頑張ります。


Text by 函館西部脳神経クリニック 院長 小保内 主税( 2023年3月20日 「北海道新聞夕刊」掲載)

片頭痛の新しい治療薬

脳神経外科2022/09/26

今でも社会には「頭痛ごときで仕事や学校を休むなんて」という空気があると思います。そのために我慢を強いられている方も少なくないでしょう。

片頭痛は慢性頭痛の代表で、日常生活に支障をきたす厄介な病気です。しかし、トリプタン製剤の発売後、片頭痛の治療は随分改善されました。予防薬が3種類ほどあり、選択肢の幅も増えています(新薬ではありませんが、健康保険上の適用が拡大されています)。

ただし、トリプタン製剤は、それまでの頭痛薬に比べ、有効性の高い薬ですが、服用のタイミングを選ぶ(頭痛の早い段階で飲むのが良いとされている)こと、全ての患者さんに有効ではない上に、使いすぎると薬物乱用による難治性の頭痛を起こすことがあります。

予防薬も、万能ではない上に、痛みのない日も毎日服用しなければなりません。

最近、新薬がいくつか発表されました。発作予防のための注射薬は、国内で3製品が出ています。月1回の注射で済みます。

さらに、頭痛発作時の内服薬も新たに出ました。これは従来のトリプタン製剤と異なり、服薬のタイミングを選ばないのが特徴で、痛み始めでも、痛みが強くなってからでも効果があるといいます。

片頭痛のメカニズムはだいぶん解明されてきましたが、根本原因はいまだ不明です。

今の治療は、対症療法的で、完全には発作を予防できませんし、全ての患者さんの痛みをゼロにするには至っていませんが、治療の選択肢が増えたことは、患者さんやわれわれ医師にとって、大変うれしいニュースです。

これまで、頭痛を我慢していた方、従来の薬で満足できずに治療を諦めてしまっていた方は、改めて医療機関で相談することをお勧めします。


Text by 函館西部脳神経クリニック 院長 小保内 主税( 2022年9月20日 「北海道新聞夕刊」掲載)

こむら返り

脳神経外科2022/04/06

「こむら返り」は皆さんご存知でしょう。俗に「足が攣(つ)る」とか「足が攣(つ)った」とかと言いますね。脹脛の筋肉が硬く収縮して痛みを感じます。或いは足のユビが攣(つ)ることも有ります。

なぜ、こんなことが起こるのか、理由は分かっていないようで、色々な教科書を調べてみても、どんな病気の時に見られるかということは書いてありますが、メカニズムの説明は見つけられませんでした。ですから、これから説明する内容は、筆者の個人的考えであって、正解ではないかもしれないことを初めにお断りしておきます。しかし、当たらずとも遠からずと思っています。

患者さんから「足が攣(つ)る」と聞いた場合、血管が専門の医師は下腿静脈瘤を疑います。脹脛に青黒くトグロを巻いたように見える血管の塊りです。スポーツ選手の足が攣(つ)って、チームメートが脹脛を伸ばしてあげる姿を見かけます。この場合は、筋肉に「疲労物質」が溜まって起こると考えます。下腿静脈瘤の場合は、これと同じようなことが起きていると考えられます。つまり、静脈瘤のせいで、足に「血が溜まり気味」になり、運動したのと同じように「疲労物質」が溜まって、攣(つ)るのでしょう。

神経が専門の医師は、「足が攣(つ)る」と聞くと、腰の病気を疑います。「脊柱管狭窄症」などの病気があると、足を動かす神経が腰で障害され、脳のコントロールが効かなくなり、筋肉を収縮させるせいで「こむら返り」が起こると考えます。

「こむら返り」がしょっちゅう、特に夜寝ているときに起こる場合、こういう病気が原因のことがあります。下腿静脈瘤は、超音波エコー検査などで確認できますし、腰の病気はMRI検査で診断できます。いずれの場合にも、有効な治療方法がありますので、心当たりがある方は、医師に相談してみましょう。


Text by 函館西部脳神経クリニック 院長 小保内 主税( 2022年3月22日 「北海道新聞夕刊」掲載)

痛みやシビレとの付き合い方について

脳神経外科2021/12/22

 この原稿を書いているとき、丁度、東京パラリンピックが閉会しました。日本での開催なので、時差がないため、色々な種目をテレビ観戦できて、大変感動しました。

 “失われたものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ。”

これは、パラリンピックの創始者とされるグットマン博士の言葉ですが、今まで、この言葉は知りませんでしたが、神経の病気で機能を失った患者さん達を診てきた私も、同様の言葉を患者さん達に掛けてきました。

 さて、手足が麻痺して動かせないことだけでなく、痛みやシビレがあることも、機能の喪失と考えられます。つまり、患者さん達は「痛みやシビレのために、○○が出来ない」と訴えます。治療に関わる人間は、様々な方法で、その痛みやシビレを取ろうとしますが、残念ながら、完全に痛みやシビレを取り除けることは多くありません。先日、ある鎮痛薬のパンフレットの言葉に目が留まりました。「痛みがなくなることを治療の目標にせず、痛みはあるけれど、○○ができることを目標にしましょう」というものでした。患者さん達の痛みを無くして欲しいという気持ちはよく分かります。でも、完全に症状が無くなることを目標にすると、得てして不満だけが残り、病気が悪化しているような気になってきます。私は最近、患者さん達に、「痛みやシビレがある」今の状況から、「痛みやシビレはあるけど、○○が出来るようになる」ことを目標にするようにお勧めしています。これはまさしくグットマン博士の言葉と相通ずるものがあるでしょう。

 病気で出来なくなった状態を嘆き悲しんでばかりいるのではなく、病気の症状を抱えたままでも、出来ることを増やす努力をしていくことが、充実した生活を送るのに役立つと考えるのですが、どうでしょうか。


Text by 函館西部脳神経クリニック 院長 小保内 主税( 2021年9月20日 「北海道新聞夕刊」掲載)

生活習慣病、メタボリック症候群

脳神経外科2021/07/08

「生活習慣病」や「メタボリック症候群」という名前は、ご存知でしょう。医療者は病気に色々名前をつけますが、診断された人は気持ちの良いものではありません。診察の際に「メタボですから」と恥ずかしそうに、苦笑いを浮かべる人がいます。どうして苦笑いなのでしょう。

「スティグマ」という言葉があります。ギリシャ語で、奴隷や犯罪者に付けられた「印」の意味です(日本でも「島流し」から戻った犯罪者の腕に入れ墨が入れられました)が、現代では、身体的な障害や宗教など、周りとの違いが好ましくないとして区別する「印」として使われます。さて、「生活習慣病」や「メタボ」と診断されると、自身も、周囲の人間も「乱れた生活から、病気になったダメ人間」のレッテルを貼ってしまいます。この「レッテル」がスティグマです。結局、心配なので毎年、健診は受けますが、健診結果を隠し、医師には相談しません。「ダメ人間」のレッテルを見せたくないのです。

最近、糖尿病学会の偉い方の講演をオンラインで聞きました。糖尿病に対する「スティグマ」を取り除きましょうというお話でした。現在、世界中がコロナウイルス感染で苦しんでいますが、糖尿病などの病気を持っている人の死亡数が多いという報道がされています。そのため、糖尿病患者さんの中には「私なんか、コロナにかかったら、一発でお終いですヨネ」などという人がいます。今回聞いた講演によると、これまでに分かっているデータからは、糖尿病でも血糖コントロールが良好な人達では、糖尿病でない人達と死亡率に差はないということでした。

結局、病気であることが悪いのではなく、それをほったらかしにするのがいけないのです。病気は誰かのせいではなく、まして本人の責任でもありません。恥ずかしがることはありません。「生活習慣の悪い人」のレッテルを剥がしましょう、生活習慣病とは、生活習慣の改善でコントロールできる病気だと考えましょう。


Text by 函館西部脳神経クリニック 院長 小保内 主税( 2021年3月29日 「北海道新聞夕刊」掲載)

耳鳴りへの対処の仕方

脳神経外科2020/09/28

 耳鳴りは患者さんにとって、大変つらい症状ですが、医者泣かせの症状でもあります。いろいろ検査しても、原因を特定することはできず、治療薬も全くないと言ってもいいでしょう。何件も医療機関を受診したけど、何処へ行っても原因は分からず、処方された薬を飲んでも、さっぱり改善しないという声をよく聞きます。

 最近、テレビ番組でも取り上げられていましたが、耳鳴りへの対処方法は、耳鳴りを忘れることに尽きます。耳鳴りのある方は、そのために眠れないと訴えますが、耳鳴りがうるさくて眠れないのではなく、「何か悪い病気ではないか」という不安のために眠れないのです。MRI検査を受けたことのある方は御存じでしょうが、MRIの装置はかなり大きな音を出します。初めての方はびっくりしますが、慣れるとその騒音の中でも寝入ってしまう方が多いです。実は、人間は完全な静けさの方が苦手で、寝付けないものです。静かすぎると神経が研ぎ澄まされて敏感になり、眠れないのです。

 一方、耳鳴りに悩まされている方は、耳鳴りの音に気持ちが集中してしまい、気になって仕方がないのですが、そういう方でも、多くの場合、日中、何かに集中している時には耳鳴りを忘れています。世間には色んな音が溢れていますが、それらの音全てに気を使ってはいません。人は、自分が聞きたい音に集中することができます。或いは何かに気を取られると周囲の音は忘れていたりします。これが究極の耳鳴りに対する治療です。つまり、寝るときには耳鳴り以外の音を聴くようにして、耳鳴りから注意を逸らすのです。もしくは、音でなくても、何か別なことに注意を向けて、耳鳴りを忘れることです。

 ただし、此の対処方法は、耳鳴りの原因になる明らかな病気がないことを確認した後の話です。例えば、音を聴く神経に腫瘍があると、耳鳴りを伴うことがあります。そういった病気がないと診断されてからの対応だということを付け加えておきます。


Text by 函館西部脳神経クリニック 院長 小保内 主税( 2020年9月28日 「北海道新聞夕刊」掲載)

片頭痛

脳神経外科2020/03/30

 「働き方改革」が叫ばれるこの頃ですが、昔程ではないまでも「頭痛で仕事を休むなんて」というような社会的空気に負けて、頭痛を我慢している方が、まだまだ多いかもしれません。

 最近は頭痛に限らず、痛みは積極的に治療する傾向にあります。痛みのメカニズムが解明されてきて、我慢した結果、痛みに敏感になることが分かってきたからです。たかが頭痛と思わずに、ぜひ、医療機関に相談して下さい。

 典型的な片頭痛では、脈拍に一致した拍動性の激しい痛みと強い吐き気で、体の動きに伴って痛みが増強するという特徴があり、しばしば仕事や学校を休まざるを得なくなります。しかし、持続は長くても3日、多くの場合は一晩寝れば落ち着いてしまうため、一人で我慢していらっしゃるのではないでしょうか。非常に特徴的に聞こえる症状ですが、頭痛と吐き気という組み合わせは、くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍などの生命に危険を及ぼす病気と似ています。したがって、確定診断には検査で器質的疾患のないことの確認が必要とされています。治療には幾つもの有効な薬があります。但し、それらで片頭痛の痛みが完全に取れる訳ではありません。そこで、痛みが消えない患者さんに「痛いけど、寝込まずに仕事はできる」のような「痛みのためにできなかったことができるようになること」を治療目標にするよう勧めています。

 国際疼痛学会による「痛み」の定義には、体の感覚だけでなく、心が関わるということが書かれています。「痛み」は、体に危険が迫っていることを知らせるサインと考えられますが、その原因や、迫っている危険が分からないことによる不安が「痛み」を強くします。逆に、不安が減れば、「痛み」が軽くなることもあります。片頭痛の本当の原因、メカニズムには未解決のところがたくさんあります。診断がついても、問題解決とはいきませんが、頭痛で困っている方は、一人で悩まずに医療機関に相談することで不安が減るのではないでしょうか。


Text by 函館西部脳神経クリニック 院長 小保内 主税( 2020年3月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

脳卒中と遺伝

脳神経外科2019/09/30

 身近な人が病気になったと聞くと、自分は大丈夫だろうかと心配になります。それが、血のつながった身内であれば一層不安です。日常外来でも、しばしば患者さんから「親が脳卒中だったから、自分も不安なので検査してほしい」と言われ、何とか病気の発症前に発見したいと、各種の検査を行います。

 結論から言うと、脳卒中が不安なら、高血圧、高脂血症、糖尿病などに注意して、喫煙や飲酒、運動などの習慣の改善に努めるのがベストです。

 遺伝病として脳卒中が発症するパターンは、ごく限られた特殊な病気で、脳卒中に関連した遺伝子はたくさん発見されていますが、それらだけでは予測できません。脳卒中は、遺伝子だけでなく、環境因子も絡んで複雑な要因で発症するものなのです。

 片親が65歳未満で脳卒中になった場合、子供の危険性は2倍以上になり、片親が65歳未満で脳梗塞にかかった場合、子供の危険性は3倍以上になるという報告があります。くも膜下出血では、一親等の家族に脳動脈瘤(りゅう)の人がいる場合、くも膜下出血の危険性は2.5倍になると言います。脳動脈瘤は家族内に多く発生する事実はよく知られていて、数%から20%台までの発生率が報告されています。このことと、いったん破裂した場合の重大な結果から、脳外科医は未破裂動脈瘤の発見に努めてきました。しかし、ここに挙げた危険性の数字は遺伝子と脳卒中の関係だけを表したものではなく、環境因子も加わったものです。くも膜下出血では、家族にくも膜下出血の人がいなくても、喫煙だけで危険性は3倍以上になります。

 これを読んでも、不安は尽きないかもしれません。脳出血の予測は困難ですが、現在、脳動脈瘤はMRI検査でかなり小さなものも見つけられます(見つけた全ての動脈瘤が治療対象となるわけではありません)。また、脳梗塞は血管に異常が見つかれば、いろいろ対策が取れます。お近くの脳外科医にご相談ください。検査で多少なりとも安心できるでしょう。


Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税( 2019年9月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

姿勢と眩暈(めまい)

脳神経外科2019/03/25

 眩暈は、体のバランスをとる機能の異常から生じますが、この体のバランスには、耳(内耳というところ)や目の働きに加えて、実は体を支える筋肉も重要な働きをしています。
つまり首や背中、足腰の力の入り加減で、体の重心がどちらに傾いているのか、判断されます。
筋肉は力を出すだけではなく、どのくらいの力が入っているかの情報を脳に送っています。
このために、首のコリや、腰痛から眩暈を生じることがあるのです。

 手に拳大の石を持ったとき、腕を真っすぐに保つと力を入れなくても安定しますが、手首を曲げたり、腕を傾けると、腕や肩に力が入ります。
この状態が長く続けば腕や肩が疲れてしまいます。
デスクワークなどでうつむいてばかりいると、首に力が入りっぱなしです。
年を取ると、背中が丸くなってきますから、前を見ようとして、アゴが突き出て、首は後ろに曲がります。
やはり首の後ろに力が入ります。

 強い力を入れた後、力の加減がうまくいかなくなった経験があるでしょう。
重いものを持った後、字を書こうとするとペンが軽いために文字が大きくなったり、あるいは手が震えたりすることがありますが、長時間、不自然な姿勢を取った後とか、緊張した時間が長かった後など体を支える筋肉群の緊張が異常になり、体がどちらに傾いているのか、分からなくなります。

 明るくて周囲がよく見えれば、体の傾きは目で分かりますが、夜間、床に就いたときなど、体が沈むような感覚や体が回るように感じたりします。
また、トイレに起きて暗い廊下を歩くとき、体の揺れを強く感じる場合があります。
このような眩暈はMRI検査や耳検査をしても異常は見つかりません。
原因がはっきりしない眩暈の中にはこのようなものがあると思われます。

 こんな時、筋肉の緊張を正常に戻すために、デスクワークの合間や、就寝前のストレッチをお勧めします。
また、そうならないために、日ごろから、正しい姿勢を心掛けることが大事です。


Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税( 2019年3月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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