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コラムを読む

痛風と高尿酸血症について

整形外科2013/04/02

 「通風」はかつては「美食病」ともいわれごく一部の人の病気と思われてきました。

 しかし1970年代以降、食事の欧米化に伴い、日本でも急速に痛風の患者さんが増えてきています。
「痛風」の原因は血中の尿酸という成分が増加し、それが関節に尿酸結晶として出現する事が主因です。
この結果、「痛風発作」といわれる急性関節炎が発症します。
「痛風発作」は足の母趾に起きることが非常に多く、かなりの激痛のため、歩行困難になることもあります。

 「高尿酸血症」は尿酸値7.0mg/dl以上のものをいい、「痛風発作」がなければほとんど自覚症状がありません。
しかし尿酸値8.0mg/dlを超えると急に「痛風発作」を発症する割合が増加します。
まだ症状が出ていなくても、尿酸値のコントロールを開始したほうがいいでしょう。

 「高尿酸血症」は痛風の原因となるだけではなく、腎機能障害、尿路結石症の原因にもなります。
さらに高血圧症、高脂血症、肥満のいわゆる「メタボリック症候群」とも密接に関係していると言われています。
加えて「高尿酸血症」そのものが、狭心症などの心血管系の疾患のリスク要因となるという報告もあります。

 結論として現在、尿酸値は6.0mg/dl以下を目標にして治療しています。治療は生活指導と薬物療法を並行して行います。
生活指導の基本はアルコール摂取の制限と肥満の予防です。
特に内臓脂肪型肥満と尿酸値上昇との間には密接な関係があると言われています。

 薬には尿酸生成抑制剤と尿酸排泄促進剤とがあり、症状でとくに腎機能を評価した上で使い分ける必要があります。
 「痛風発作」がなくても「高尿酸血症」は放置せず、合併症を予防するためにも適切に治療しましょう。


Text by 八木原整形外科クリニック 八木原 一英(2013年4月号 「Dr.Dr.プリーズ」掲載)

ロコモティブシンドロームを知っていますか?

整形外科2012/10/01

 内科での「メタボリックシンドローム」は誰でも一度は聞いたことがあると思います。
その意味は内蔵脂肪型肥満を主因とする様々な成人病の危険性を高める状態といわれています。

 それと同様の考え方で、運動器(骨、関節、筋肉)の障害により、自立した生活ができなくなったり、介護が必要となる危険性を高める状態を「ロコモティブシンドローム」といいます。
これは2007年に日本整形外科学会が提唱した新しい概念です。

 実際、75歳以上の高齢で介護が必要となる原因の中で、運動器疾患は24%で脳血管障害とほぼ同率となっています。
「ロコモ」(略して)では先ず「起立」や「歩行」の障害として症状が始まります。
歩く為には、先ずバランスよく「起立」しなければなりません。
更に「歩行」という運動は単純な動作に見えますが、実はかなり複雑に、神経系、骨格、筋肉の総合的な機能が関与しています。
特に歩行時には、短時間ですが片脚で立たなければならない動きがあります。
これが不可能になると高齢者によく見られる「ひきづり歩行」となります。

 そこで「ロコモ」の予防のために最も有効な運動の一つとして「片脚起立運動」が勧められます。
ふらつきがある場合には何かにつかまっていてもいいのですが、片脚で1分間立ち左右3回繰り返すだけです。
室内で簡単にできますが、転倒には十分注意して下さい。

 筋力に自信のある方、40〜50代の方は更に「片脚スクワット」や「片脚つま先立ち」を加えてもいいと思います。

 高齢化は、これからもどんどん進み、医療、介護の将来も厳しいものがあります。
40〜50代から「ロコモ」の予防をして、更に親の世代にもアドバイスなどができれば介護の負担が減る可能性もあります。


Text by 八木原整形外科クリニック 八木原 一英(2012年10月号 「Dr.Dr.プリーズ」掲載)

整形外科

整形外科2012/09/29

 整形外科は、姿勢を保持する首から腰にいたる背骨と、手足の運動器官を主な対象とし、それらを構成する脊椎・骨・関節・筋肉・腱・神経などが治療の対象になります。
その内容も肩こり、腰痛や脊椎・末梢神経を原因とする手足のしびれ、スポーツ、交通事故などによる四肢、背骨のけが、五十肩などの関節痛、股・膝関節などの変形性疾患、リウマチ、炎症性疾患、代謝、奇形、腫瘍、特発性疾患など、実に多岐にわたります。

 高齢化社会を迎えて痛みを伴わず歩いたり、身の回りのことが自分でできるように身体的機能を保って老後の快適な生活が送れる生活の質(Quality of life)の維持・改善という点で、腰痛や変形性膝関節症などの関節痛、骨粗鬆症やそれに伴う骨折の予防治療など、我々整形外科医がお手伝いさせていただくことはますます増えています。

 また、スポーツの普及とともに大勢の各年齢層の方が、それぞれのレベルでスポーツを楽しむようになって、スポーツによるけがや使い過ぎなどの障害も増加しています。
特に成長期におけるスポーツ障害は、そのためにスポーツを続けることが難しくなったり、後遺症を残すことがあり我々専門医のもとで早期に診断、適切な治療を受けられることが大切だと思います。
御父兄、指導者の方々と協力をして、楽しくより高いレベルでスポーツが続けられるよう貢献できればと思います。こうした時代・社会の変化とともに、今後ますます専門医として我々整形外科医の役割・責任が大きくなっていくのではないかと考えています。


Text by こが整形外科クリニック 古賀弘道(2012年9月14日 「青いぽすと」掲載)

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の新しい治療薬(テリパラチド)について

整形外科2012/06/18

 人の骨の中では、常に古い骨が破壊、吸収され、新しい骨が造られています。
これを「骨のリモデリング」といいます。このバランスがくずれ「破壊と吸収」の方が「形成」より亢進(こうしん)すると骨粗鬆症になってしまいます。

 今までの骨粗鬆症治療薬は骨吸収を抑制するものがほとんどでしたが、最近、副甲状腺ホルモン誘導体のテリパラチドが使用可能となり、骨形成促進剤として注目されています。

 研究によると、テリパラチドの24カ月投与で腰椎骨密度は13%上昇し、椎体骨折の発生率を65~80%減少させたとのことです。

 実際に私が使用した経験では、かなり早期から腰背部痛の軽減がみられ、日常生活動作が改善しています。
テリパラチドの使用法は毎日自己注射するタイプと1週間に1回、病院で注射するタイプがあり、患者さんの条件により選択することができます。


Text by 八木原整形外科クリニック 八木原 一英(2012年6月18日 「みなみ風」掲載)

地域に根差した整形外科を目指して

整形外科2012/05/14

整形外科は、上肢・下肢・脊椎の3つの分野に分かれています。

治療技術は日進月歩で、それぞれの分野で治療方針は多岐にわたるため整形外科医の中でも上肢・下肢・脊椎に専門が分かれています。
上肢は肩から手まで、下肢は股関節から足まで、脊椎は頸から腰までといったように分かれていますが、症状は様々な部位に出るため、一概に一つの分野だけで治療を行うことは難しいです。
代表的な疾患を挙げると、上肢では肩周囲炎(いわゆる四十肩、五十肩)、肘部管症候群・手根管症候群(手のしびれ)、ばね指等。下肢では、変形性関節症(動き始めの膝、股関節の痛み)、捻挫やスポーツによる膝、足首の靱帯損傷。
脊椎では頸椎症(くびの痛み)、腰部脊柱管狭窄症(何分か歩くと足がしびれる)、急性腰椎症(ぎっくり腰)、首や腰のヘルニア等が挙げられます。
保存的治療(内服薬、外用薬、リハビリ等)で改善が認められない場合は、かかりつけ医の先生と相談していただき、一度、専門としている整形外科の先生を受診してみてはいかがでしょうか?


Text by 大村病院 大村 健久(2012年5月14日 「みなみ風」掲載)

成長期のスポーツ障害について

整形外科2012/03/31

成長期、特に10〜15歳位までの数年間は骨格や筋肉の発達の目覚ましい時期です。

この時期の子供の骨には「骨端線」という部分があり、主として軟骨細胞で構成されています。
「骨端線」は関節の近くにあり骨の成長を担っています。
構造的に弱い為に、スポーツによる障害を受けやすく、その結果、機能障害を残してしまうこともあります。

それではスポーツ障害の中で頻度の高いものを分かり易く説明していきます。

少年野球における「野球肘」はスポーツ障害の代表的なものと言えます。
「野球肘」には上腕骨小頭の壊死を生じる「外側型」と、上腕骨内上顆の骨端線離開を生じる「内側型」があります。
両型とも投球時の肘関節痛が初期の症状です。
進行すると肘関節の屈曲、伸展が制限され後遺症として関節の変形を残すこともあります。
最悪の場合、手術が必要となる場合もあります。
障害を残さない為には早期診断が大切で、治療の遅れは選手生命を損なう可能性もあります。

ランニングやジャンプを伴うスポーツでは「オスグット病」という膝関節の下部にある頸骨粗面の骨端線が腫れて痛みを生じます。
特にサッカー選手に多いようです。
急性期には安静が必要ですが、軽傷例では専用サポーターを使用し、経過をみていきます。

成長期の腰痛の原因の一つに、「腰椎分離症」があります。
腰椎後方の椎間関節の一部に疲労骨折が起こり、分離症に進行すると言われています。
特にバレーボール、バスケットボール、柔道の選手に多く見られます。

分離症の腰痛は後屈時に強くなることが大きな特徴です。
放置されると分離部の骨癒合は困難になるので、早期の診断、特にCT検査が必要です。

以上、「成長期のスポーツ障害」の早期診断の為には、まず周囲の大人が症状に気付いてあげる事が大切で、そこから治療の第一歩が始まると言っても過言ではありません。


Text by 八木原整形外科クリニック 八木原 一英(2012年4月号 「ダテパー Dr. Dr.プリーズ」掲載)

X線検査

整形外科2012/03/19

福島の原発事故で改めて放射能放射線に対し不安をもった方も多いと思います。
最近X線検査をはじめ医療被曝に関してご相談を受けることがあります。
X線は電磁波の放射線で画像診断検査にはX線写真CT透視シンチグラフィーPETなどがあり、また癌の治療に用いる放射線治療があります。
X線検査は病気を発見診断し治療を行うため大変重要な情報を提供してくれます。

X線被曝は確かに人体に有害ですが一方で患者さんに大きな利益(メリット)を与えてくれます。
逆にいえば患者さんの利益が放射線による障害やリスクより十分に大きいと考えられる場合のみX線検査は実施されます。
我々は大地空気食べ物や宇宙線から年間平均2.4mSvの自然放射線を浴びながら問題なく日常生活を送っています。
200mSv以上のX線を1度に全身に浴びない限り身体に何らかの症状は現れません。
これはX線検査でありえない線量ですし例えば手のX線検査で他の内臓への影響はほとんどありません。

医療被曝に関しては(A)被曝量(B)被曝の影響が重要です。

(A)被曝量:X線検査で正面の頚椎0.03mSv(以下同単位)腰椎0.49股関節0.55大腿骨0.05胸部0.05程です。

(B)被曝の影響
①ある程度の線量(しきい線量)を超えると影響が出るもの≪確定的影響≫:影響の種類臓器によって異なり白内障、白血球減少などがあります。

胎児への影響は臓器が作られる妊娠2~8週に100~200mGy被曝するとありえます。
通常のX線検査でこれを超えることはありませんが妊娠の可能性がある女性は事前に必ず医師にお申し出ください。

②≪確率的影響≫:被曝線量に応じて影響がありうるもので発癌、白血病、遺伝的影響などが考えられていますが今のところ通常検査の被曝で明らかな影響がでた確実な報告はありません。
もちろん医師や医療機器メーカーは医療被曝を軽減させるため真剣に努力すべきですし慎重でなければなりません。

X線検査を受ける前に少しでも不安や不明な点があれば遠慮なく医師にご相談ください。


Text by こが整形外科クリニック 古賀弘道(2012年3月16日 「青いぽすと」掲載)

手のしびれについて

整形外科2011/10/24

上肢のしびれの原因は多岐にわたり、脳から脊髄の中枢神経、さらに頸部から手までの末梢神経のいずれの部位の異常でも「しびれ」は生じます。ただ手に限った「しびれ」であれば「手根管症候群」と「肘部管症候群」が頻度も高く、代表的な疾患です。「手根管症候群」は女性に多く、手作業の多い職種の方によく見られます。
母指(親指)から示指(人差し指)、中指のしびれが主症状ですが、急性期には痛みを伴うこともあります。
正中神経が手関節の掌(手のひら)側で圧迫されることが原因です。「肘部症候群」は男性に多く、重労働の職種で変形性肘関節症を合併している場合が多くあります。
小指のしびれから始まり、進行すると握力の低下や手指の運動障害が生じます。
尺骨神経が肘関節内側で圧迫されることが原因です。
両疾患とも正しい早期診断と手指の機能障害を来さないように適切な治療が必要です。


Text by 八木原整形外科クリニック 八木原 一英(2011年10月24日 「みなみ風」掲載)

ロコモ(ロコモティブシンドローム、運動器症候群)

整形外科2011/10/04

 整形外科は運動器を主な対象としています。
運動器は、手足や背骨など体を支えて思い通りに動かす(運動や移動)、骨・関節・靭帯・軟骨、脊椎・脊髄、筋・腱、末梢神経、脈管系などから成る運動に係わる器官で、身の回りのことを含めて社会生活を送るために不可欠なものです。ご存じの通り日本は65歳以上の人が人口の20%以上を占める高齢化社会を迎え、今後この比率はさらに増加すると予想されています。運動器の障害で整形外科を受診される65歳以上の方は少なくありません。ロコモ(ロコモティブシンドローム)とは、主に加齢による運動器障害のため、移動能力の低下をきたして(足腰が弱った状態)要介護になる危険が高い状態です。
要介護や寝たきりになった方の4人に1人は運動器障害が原因だと言われます。
ロコモをきたす代表的な疾患は

  1. 脊柱管狭窄による脊髄・馬尾・神経根障害
  2. 変形性関節症・関節炎による下肢の関節障害
  3. 骨粗鬆症それにともなう骨折

などがあります。
背骨や関節の変形は加齢とともに生じ、運動痛や関節の働きの低下をきたし、そのまま進行すると寝たきりになることもあります。
そしてこれは、けがや疾患と異なり、程度の差こそあれ年齢を重ねればすべての人に起こりうる問題です。以下の項目のどれかに該当すればロコモです。

  1. 家の中でつまずいたり滑ったりする
  2. 階段を上るのに手すりが必要である
  3. 15分ほど続けて歩けない
  4. 横断歩道を青信号で渡りきれない
  5. 片脚立ちで靴下がはけない
  6. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
  7. 家のやや重い仕事(掃除機、布団の上げ下ろしなど)が困難である

ロコモの予防としては各種のトレーニングが大切ですが、運動器はやり過ぎると損傷され不足しても衰えてきます。
内容や程度が大事です。
心当たりの方は我々整形外科医にどうぞご相談ください。


Text by こが整形外科クリニック 古賀弘道(2011年9月16日 「青いぽすと」掲載)

ヒアルロン酸

整形外科2011/09/13

 最近“ヒアルロン酸”という言葉をよく耳にします。
 ヒアルロン酸(ヒアルロナン)はN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸が繰り返し連結した構造をして数百万の高分子量をもっています。
保水力に優れ、1gで2~6リットルの水を保持します。
また、非常に強い粘性(ねばりけ)と弾性(元の形に戻ろうとする性質)を持っています。 人体の中では関節、へその緒、皮膚、目の硝子体に多く存在しますが、年齢と共に減少します。関節内の関節液、関節軟骨にはヒアルロン酸が多く含まれています。
潤滑作用(滑りをよくして曲げ伸ばしを楽にする)、緩衝作用(クッション)があり関節の働きを助けます。ヒアルロン酸に関する最近の研究で、①軟骨に直接作用して軟骨の破壊進行の抑制や修復・再生に役立つ ②関節液中の炎症物質や軟骨破壊酵素を抑制して間接的に軟骨を保護するなどの働きが明らかになっています。 これらの性質を利用して、我々整形外科では、変形性膝関節症、五十肩、関節リウマチの関節痛の治療に(厚労省の認可した医薬品として)ヒアルロン酸の関節内注射を行っています。
炎症や痛みを和らげたり、変形の進行を抑制する効果があります。関節内に注射されたヒアルロン酸は約48~72時間で関節内から消失してリンパ・循環系を経て肝臓で分解され呼気中に排出されます。
しかし、関節内の滑膜・軟膏・半月板・靭帯などの組織に長時間残存して効果を発揮します。 最近、“飲むヒアルロン酸”に関する質問をよく受けます。
問題は口から摂取したヒアルロン酸が確実に関節の中まで届いて有効に働くかです。
現時点では、痛みの自覚症状が軽くなったという報告は一部あるものの、X線検査や動物実験などの科学的データーに基づいた有効性は(関節内注射薬と違って)まだ明らかではありません。
そのため現在、飲むヒアルロン酸は薬として認可されず、健康食品、サプリメントとして販売されています。
まだまだ今後の研究が必要で、服用に関しては“ご本人の判断におまかせします”というのが現状です。


Text by こが整形外科クリニック 古賀弘道(2011年3月15日 「青いぽすと」掲載)

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