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コラムを読む

不妊治療における人工授精(AIH)の位置づけ

産科婦人科2017/06/12

 不妊検査→タイミング法(+排卵誘発)→人工授精(AIH)→体外受精(IVF)というのが現在の不妊治療の一般的な流れだと思います。
AIHは費用、手技の面でタイミング法とIVFの中間的な位置にありますが、運動精子を子宮に入れるだけでその後は自然妊娠と変わりないので、対象を選んで行わないと無意味な治療になってしまいます。
当院ではAIHの対象を
①頸管粘液の性状不良
②精液所見不良(重症例除く)
③ヒューナーテスト(性交後試験)不良かつ抗精子抗体陰性
④性交障害に限定し、原因不明不妊にはAIHより腹腔鏡による原因検索を優先します。
IVFでは卵は卵巣→体外(受精)→子宮と腹腔内を通らず着床に向かうことができるので、卵管因子、子宮内膜症など腹腔内の不妊原因や抗精子抗体の他、顕微授精を併用し重症の男性因子にも対応できます。
妊娠に至らなくても受精の有無がわかるので、受精障害の診断としても有用です。


Text by 産婦人科 ほんどおりクリニック 工藤 隆之( 2017年6月12日 「産婦人科 ほんどおりクリニック 工藤 隆之」掲載)

不妊症の検査

産科婦人科2016/11/21

 避妊せず1年間妊娠に至らなければ不妊症と診断します。
まず基礎体温を測定・記録して、原因検索のため検査を行います。
必須項目は①内診・超音波・子宮がん検診・クラミジア抗原(初診時)②ホルモン・子宮内膜症マーカー(月経中)③子宮卵管造影(月経後)④頸(けい)管粘液検査・ヒューナーテスト(排卵期)⑤黄体機能検査(高温期)⑥精液検査です。
必要に応じホルモン負荷試験、クラミジア抗体、子宮内膜組織診、子宮鏡、抗精子抗体などを追加します。
卵巣予備能をみるAMHというホルモンが話題になりましたが、その値が低くても治療法はなく、体外受精の排卵誘発時に参考にする程度です。
 子宮内膜症性不妊には腹腔鏡検査が治療効果もあり有効です。
不妊期間が短い方はブライダルチェックとして①を受け、基礎体温でのタイミング法を指導してもらうとよいでしょう。


Text by 産婦人科 ほんどおりクリニック 工藤 隆之(  「産婦人科 ほんどおりクリニック 工藤 隆之」掲載)

緊急避妊をご存知ですか?

産科婦人科2012/03/31

「避妊」とは妊娠を望まない性交渉の時に妊娠を避ける手段です。
日本で最も広く使われている方法はコンドームです。
コンドームのよい点は、コンビニ、スーパー、ドラッグストアなど身近で安価に入手可能で、性感染症の予防にもある程度有効なのですが(コンドームをきちん と使用していてもうつる病気はあります)、反面、使い方が正しくなければ破れたり、はずれたりで失敗し、妊娠してしまう例は後を断ちません。
女性が行う避妊法のうち、経口避妊薬は、飲み忘れさえ気をつければ失敗も少なく、月経も軽くなり、卵巣腫瘍や卵巣癌、子宮体癌などが 減るという副効用も多く、持病のない若い女性にはお勧めなのですが、産婦人科を受診して処方してもらう必要があるためか、敷居が高く、日本ではまだあまり普及していないのが残念なところです。
また、避妊をしなかった、避妊に失敗した、性犯罪の被害にあった場合に使うのが 「緊急避妊」で、緊急避妊専用の薬がノルレボ錠です。

使い方は非常にシンプルで、妊娠を望まない性交渉後72時間以内に1回内 服するだけです。
黄体ホルモン剤で受精卵の着床を阻害する作用です。
妊娠阻止率は81~84%と言われており、海外でも標準的に使われている薬です。
日本ではノルレボ錠が認可される前は、中等量ピルを高用量で使用し、緊急避妊薬として代用していましたが、吐き気、嘔吐、 頭痛などの副作用が多いことが問題でした。
ノルレボ錠認可後は、ノル レボ錠の使用で以前のような副作用は格段に減っています。
しかし緊急避妊に健康保険は使えないため、診察料と薬代合計で最低15,000 円程度はかかります。
このような急な出費を避けるには、妊娠を望まない方は、女性が自分で自分の身を守るために、日常から経口避妊薬や子 宮内避妊具を使用する方が結果的には安心安価なのです。
避妊に失敗して妊娠するのは女性だけですからね。


Text by 湯の川女性クリニック 小葉松 洋子( 2012年4月号 「湯の川女性クリニック 小葉松 洋子」掲載)

不妊症検査によって妊娠することがあります。赤ちゃんが欲しい方は早めに検査を受けましょう

産科婦人科2012/03/19

 女性の基本検査には、ホルモンの検査のほかに、卵胞(卵子を包む袋)の発育を診る超音波卵胞測定、卵管や子宮の内部を調べる子宮卵管造影検査、精子の通過性を調べるフーナーテストなどがあり、これらの検査をきっかけに妊娠する方も少なくありません。

●超音波卵胞測定
 低温期に超音波検査で卵巣内の卵胞の数や大きさを測ります。
卵胞の大きさが18mmを超えた時点でホルモン検査を行い、E2(エストロゲン)が300、LH(黄体形成ホルモン)が10以下なら排卵となります。

排卵日を正しく予測でき、妊娠しやすい性交のタイミングを指導できます(タイミング療法)。

●子宮卵管造影検査
 低温期に造影剤を使ってX線撮影をします。
排卵が順調でも、卵管に狭窄や閉塞があると不妊の原因となるため、必須の検査です。
この検査で卵管の軽い狭窄が解消し、検査後に妊娠することがあります。
検査は排卵前なので、造影剤やX線の影響は心配ありません。

●フーナーテスト
 排卵に合わせて性交してもらい、子宮頸管に精子がどのぐらいいるかを調べます。
医師が排卵日を正確に予測するので、この検査で妊娠することがあります。

また、フーナーテストは男性不妊の検査を兼ねます。
一定数以上の精子が子宮頸管にいれば、造精機能(精子を作る働き)に問題はないと分かります。

 産婦人科で不妊症の検査を受ける前に、基礎体温や市販の排卵検査薬を使って妊娠しやすい日を選ぶのもひとつの方法です。
しかし、排卵日の特定は難しく、タイミングが分からない、タイミングを選んだのに妊娠できないなど、ストレスを感じる場合もあります。

 医師が行うタイミング指導は、科学的根拠に基づく高度な医療テクニックです。
自己流の性交タイミングとは全く異なります。

 赤ちゃんが欲しい方は、勇気を出して産婦人科を受診するのが早道でしょう。


Text by 美馬産婦人科 美馬 博史( 2012年2月27日 「美馬産婦人科 美馬 博史」掲載)

顕微鏡下精巣内精子回収法など、男性不妊の治療法は飛躍的に進歩しています

産科婦人科2011/08/29

 不妊症の原因の半数は男性側にあります。
男性不妊、とくに精液の中に精子が存在しない無精子症の場合、通常の顕微授精(顕微鏡下で卵子の中に直接精子を注入して受精を促す治療法)では、受精卵を作り、妊娠に結びつけることは非常に難しいのです。 しかし、無精子症であっても、精巣(せいそう/睾丸のこと)の中には精子が存在することも多く、精巣から精子を採取することで顕微授精が可能です。
精巣内精子を回収する方法をTESE(テセ)といいますが、より高度な治療法として、顕微鏡下で精子を回収するMDーTESEが注目されています。 精子は精巣内の精細管(せいさいかん)で作られます。顕微鏡で精細管を緻密に観察し、状態の良い精細管を選ぶことで、受精能の高い精子を回収する確率が高くなります。 無精子症の原因はさまざまです。
大きくは閉塞性無精子症(精巣内では精子は作られているが、精子を運ぶ輸送管が閉塞している場合)と、非閉塞性無精子症(精巣内で精子を作る働きがないか、非常に低い場合)に分類されます。 さて、比較的ポピュラーな男性泌尿器の病気に、精索(せいさく)静脈瘤があります。
精巣内の静脈に血液が逆流して静脈がコブ状になる病気で、精巣の温度が高くなるため、精子を作る働きが低下して男性不妊の原因になることがあります。
精索静脈瘤には手術治療があります。
非閉塞性無精子症と診断された方のなかには、精索静脈瘤が見つかり、手術治療を受けたあとに精子が作られるようになり、顕微授精で赤ちゃんを授かるケースもあります。 以上のように男性不妊は原因も治療法も多種多様です。重要なのは、不妊原因は男性側にあることも多いと認識し、不妊治療で通院中の産婦人科から泌尿器科の検査を勧められた場合は、積極的に受けることです。


Text by 美馬産婦人科 美馬 博史( 2011年8月29日 「美馬産婦人科 美馬 博史」掲載)

赤ちゃんがなかなかできません。不妊治療はどのような治療法がありますか?

産科婦人科2011/03/07

原因に伴いさまざまな治療法があります。
高度不妊治療は安全性が高く確立された治療法です
 不妊治療の現状から見ると、ほとんどの患者さんが、若いうちに子どもができなくても、いつかできると思い、自分が不妊症である現実を自覚せず、その結果治療が遅れ、30代後半になりあわてて診察に訪れる傾向にあります。
早めに不妊症を発見し適切な治療を受けることは、妊娠できる可能性が高まることにつながります。 原因に伴う治療法はさまざまですが、不妊治療の主な内容は、性交タイミング指導と人工授精の一般不妊治療、体外受精や顕微授精などの高度不妊治療に分かれます。 性交タイミング指導は、基礎体温やホルモン検査、超音波検査による卵胞計測などにより、排卵日を予測したり、人工的に排卵させるなどして、排卵に合わせて性交のタイミングを指導する治療法です。
この治療法の重要なポイントは、排卵時期を正確に見極めることです。 人工授精(AIH)は、パートナーの精液を洗浄濃縮した後、細い管で精子を直接子宮の中に注入する治療法です。
AIHの目的は、「受精が行われる場である卵管膨大部に到達する精子の数か少ない場合、子宮の内腔に直接、精子を送り込んであげることで、卵子に到達する精子の数を増やす」ことです。
性交タイミング指導と同様に、排卵時期を正確に特定することが重要です。 これらの一般不妊治療で良い結果が得られなかった場合には、体外受精や顕微授精といった高度不妊治療に移行します。
体外受精は簡単に言うと、卵巣から卵子を体外に取り出し、培養液の中でパートナーの精子と受精させ、その受精卵を子宮に戻し妊娠を試みる方法です。 体外受精や顕微授精というと、理解不十分から人為的に遺伝子を操作するものと誤解する人が少なくありません。
しかしこの過程は、体内で行われる自然受精・妊娠となんら変わりはありません。 国内では、1983年に体外受精第1号赤ちゃんが誕生以来、高度不妊治療の進歩は目覚ましく、2007年には生まれた赤ちゃんの約50人に1人、1万9595人が誕生しています。
日本産婦人科学会生殖内分泌委員会の報告では、体外受精児の奇形発生率は自然妊娠児と差がなく、さらに6~13歳までの追跡調査を行った研究でも、予後に自然妊娠の子と差がないことが明らかになっています。「体外受精で誕生した赤ちゃんは、自然妊娠児となんら変わりません」ということです。


Text by 美馬産婦人科 美馬 博史( 2011年3月 「美馬産婦人科 美馬 博史」掲載)

クラミジア感染症について

産科婦人科2011/03/03

 以前にも「クラミジア感染症」をテーマに書いたことがありますが、依然として10代~30代の女性に多い疾患なので、もう1度書きたいと思います。「クラミジア感染症」とは、「クラミジア・トラコマティス」という微生物(細菌)が主に性行為により感染する病気のひとつです。
恐ろしいことに自覚症状がほとんどないため、感染に気がつかない人が少なくありません。
そのため知らないうちに病気が進行したり、パートナーを感染させてしまいます。
放置しておくと、男性では尿道炎から精巣上体炎(副睾丸炎)になることがあります。
女性では感染がお腹の中に広がり、子宮頸管炎から卵管炎をおこし不妊症の原因となったり、妊娠後も子宮外妊娠や流産・早産の原因にもなります。
出産時に感染していると母子感染をおこし、赤ちゃんが結膜炎や肺炎になる可能性があります。 さらにエイズや淋菌などの性感染症にかかりやすくなるといわれていますので、注意が必要です。 男性では、尿道からの分泌物や排尿時の痛み、尿道のかゆみ・不快感、精巣上体の腫れ、発熱など。
女性では、おりものの増加、不正出血、下腹部痛、性交痛などの症状がありましたら、検査を受けたほうが良いと思われます。 検査は採血や子宮頸管の分泌物を採取して簡単に調べることができますので、何かいつもと違うとか症状はないけれど気になるという方は、受診をおすすめします。 治療は、抗菌薬を医師や薬剤師の指示に従って正しく服用することで、通常は完治させることができます。
感染を繰り返さないためにも必ず、パートナーの方も一緒に検査・治療を受けましょう。


Text by 櫻田芳弘( 2010年12月17日 「櫻田芳弘」掲載)

精子・受精卵の凍結保存は、男性不妊の妊娠率上昇につながります

産科婦人科2011/02/28

 不妊の原因は女性、男性の双方にあります。
男性不妊の原因の多くは「突発性造精機能障害」といって、受精能のある完成精子を作る力が弱いことにあり、妊娠しにくい夫婦の場合、初診の段階から精液検査は必須です。 精液検査で造精機能障害が疑われる場合、治療法の第一選択肢はAIH(配偶者間人工授精)ですが、治療の最初からICSI(卵細胞質内顕微授精)が必要になる場合があります。
どちらも治療に合わせて一定数の完成精子を準備する必要がありますが、射精直後の新鮮精子の採取が難しい場合は、精子の凍結保存を行います。

■単身赴任などで治療スケジュールに合わせて精子を採取できない場合/前もって精液を採取し、精子の凍結保存を行います。
■精子数が少ない場合/AIHや体外受精では一定数の精子が必要です。数回分を凍結保存した上でAIHや体外受精を行います。

 ICSIでは極端にいえば1個の精子があれば受精も可能です。
万一、射精精液中に完成精子がいない場合には、精巣上体から発育途中の精子を採取し、完成精子まで培養してからICSIを行うこともできます。 さらに、体外受精やICSIで得た受精卵を凍結保存し、女性側の子宮の受け入れ態勢が整う時期を選んで凍結受精卵を融解し、子宮に戻すことも可能です(凍結融解胚移植)。
このように、精子または受精卵の凍結保存は妊娠率の上昇に大きく寄与しています。 ときには柔道やスノーボードなどのスポーツによる怪我によって、後天的に造精機能や射精機能が障害される場合があります。
このような場合、ED(勃起不全)を補助する薬剤が無効な場合に、前立腺への電気刺激による治療法で射精が可能になる場合があります。 重症の男性不妊であっても、現在ではさまざまな治療法が施行されています。
あきらめることなく、積極的に医療機関に相談することが赤ちゃんを授かることにつながります。


Text by 美馬産婦人科 美馬 博史( 2011年2月28日 「美馬産婦人科 美馬 博史」掲載)

体重減少性無月経

産科婦人科2011/02/24

 最近若い女性に、急激なダイエットにより月経がなくなる方が増えています。
TV、週刊誌にあふれるダイエットの宣伝。
スリムであることが可愛いという考え方。
社会生活の変化による過食、美食、運動不足による肥満の増加等が無理な、あるいは不要なダイエットを強いているようです。 女子高生の調査では標準体重[(身長-100)×0.9kg]の10~20%少ない方のうち4割、20%以上のやせの方の1割が「まだやせたい」と思っています。
このように若年女性のやせたいという願望は、極めて強い反面、それに伴う月経不順についてはあまり知られていません。 神経性食欲不振、ストレス、環境の変化、美容上の理由による本人の意志での減食等により急激(3ヶ月~1年)な体重減少(標準体重の80%以下)で、今まで順調であった月経周期が、不順あるいは無月経となった場合を体重減少性無月経といいます。
但し内科的な疾患による場合は除外します。 体重減少性無月経は、ダイエットによるものを単純性体重減少性無月経、精神的なものが主体の神経性食欲不振症。
その違いは、食行動の異常(過食、拒食、隠れ食い)があれば食欲不振症、なければ単純性と診断されます。 治療は共に第一は体重の回復で、90%以上に回復すること。
性ホルモンの補充療法で排卵誘発を行います。
月経が回復するのに一年以上かかることも多く、早期に、また、気長に治療を続ける事が大事です。
但し、神経性食欲不振症では、精神的なものが強くあり、体重回復の指導に抵抗する事が多く、
心療内科や精神科の治療も必要となります。


Text by 松浦 敏章( 2000年 「松浦 敏章」掲載)

月経とは

産科婦人科2011/02/24

婦人科を受診する方の、約3分の1が月経の異常(量が多い・少ない・長く続く・短い・遅れてこない・不定期)不正性器出血を訴えて来院します。 最近出血があれば、量、持続日数等に関係なく、全て月経なんだと思いこんでいる方が、数人続いて受診し、月経に関する知識不足とい
う事で今回は月経について書いてみたいと思います。 月経とは、一定の周期をもって反復する子宮体内内膜よりの出血と定義されています。 月経周期とは、月経出血開始日より、次回月経開始日前日までの日数をいい、25日~36日の周期で繰り返す方が大部分です。 月経持続日数は99%の方が3日~7日で止血します。 月経量は月経開始2日目に量が最多となり、その後減少止血します。 排卵があるか?という事は、周期・量等から判断する事は困難です。 月経の異常がある時は、ホルモンの働きに異常があるか、子宮筋腫・子宮内膜症はないか、又内科的な症状はないのか、精神的なトラブルはないのか等を調べることが必要です。 自分の女性ホルモンの働きは正常なのか?と心配している方は基礎体温を付けることが必要です。婦人体温計という特殊な体温計があり、これで毎朝目が覚めたら、体を動かす前に体温を計り、記録していくことで、卵巣ホルモンの状態、排卵の有無がわかります。 付け始めは忘れる事もあると思いますが、忘れたらその日は、空白のまま次の日より又始めれば大丈夫です。2・3ヶ月つけて、婦人科医に相談して下さい。


Text by 松浦 敏章( 2000年 「松浦 敏章」掲載)

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