眼瞼下垂(がんけんかすい)を治して明るい視界を!!
眼瞼下垂とは、上まぶたが下がり視界が狭くなり、物が見づらくなる状態をいいます。先天性と後天性があり、後天性では神経・筋肉・腱膜の異常で起こります。アトピー・逆さまつげ・花粉症・長時間のパソコン使用・女性のメイクなどで目をこする人に早く現れます。
症状が悪化すると、額の筋肉を使って、まぶたを上げようとするため、額のしわも深くなるし、首から肩にかけての筋肉も緊張し、頭痛・肩こり・吐き気・めまいなども起きてきます。
視界を邪魔するほどの下がり具合の場合は手術が必要となることがあります。手術後1週間で傷も落ち着き、まぶたが自然に上がるようになり、視界が明るくなります。
チェック方法として、目をつぶり、両人さし指で両方の眉毛の上を強く押さえて、まぶたがうまく開かなければ、眼瞼下垂の可能性があります。眼瞼下垂手術を行っている眼科を気軽に受診し、相談して下さい。
糖尿病がある方の感染症対策 〜インフルエンザを中心に〜
ウイルス感染を防ぐためには、一般の方と同じく
- 石けんを使った手洗い(十分な手洗いができない場合はアルコール消毒液)
- 水でうがいをする
- ドアノブや手すりなどの拭き掃除
心がけましょう。
血糖値が高いとウイルスに対抗する「抗体」が体内で十分に作られなくなってしまいます。
このため症状が長引いたり重症になったりしがちです。
したがって普段の血糖コントロールを十分よくしておくことが重要です。
また、腎臓の機能が低下している人や神経障害を起こしている人は、さらに抵抗力が弱くなってしまいます。
感染してしまった場合、血糖が一時的に上がりやすくなります。
飲み薬(経口血糖降下薬)を安易に中止しない、などの注意点があります。
あらかじめ医師に確認しておきましょう。
予防接種は、もし感染してしまっても重症になることを防ごうとするものです。
今年の新型インフルエンザに関しては国が中心になり対象者を定めて接種が順次進められています。
デイサービス、デイケアの違いについて
デイサービスはデイサービスセンターや特別養護老人ホームなどに通って、入浴、食事、機能訓練、レクリエーションを行います。
特に家にこもりがちな方は、他の利用者との交流により、気分転換を図ることができますし、家で介護されているご家族にとっても日中に自由な時間を作ることができます。
デイケアは介護老人保健施設や病院などに通って、主治医の指示を受けた専門スタッフが理学療法、作業療法、言語聴覚療法などのリハビリテーションを行います。
心身機能の維持回復、排せつや入浴をはじめとする日常生活をできるだけ自分で行えるようにするためであり、機能訓練が必要な方に適しています。
ただし、最近では入浴や食事のないリハビリに特化したデイサービスもありますので、利用される方は担当のケアマネージャーとよく相談をしてご利用ください。
禁煙について
平成18年2月に「ニコチン依存症管理料」が新設され、禁煙治療が保険適応されました。
- タバコ依存症スクリーニングテストで5点以上
- 1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上
- 直ちに禁煙することを希望している
などの条件を全て満たした方が対象となります。
喫煙が肺癌や咽頭癌等の癌、また心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の原因になることはよく知られています。
また副流煙の方が主流煙よりも有害物質を多く含んでいるため喫煙している人ばかりではなく側に居る人にも害をもたらすこともよく知られています。
タバコは嗜好品でありストレス解消手段という側面もあると思われますが、禁煙を希望する方々も多いことと思います。
一度禁煙治療を実施している医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。
目の乾きや不快感が続いています。ドライアイについて教えてください。
空気が乾燥しやすい冬は特に注意が必要です。
角膜障害をきたす場合もあるため、早期診断・治療が大切 冬になり空気が乾燥してくるとお肌もカサカサしてきますが、目もシブシブ・ショボショボして疲れやすくなってきます。
これは目を潤している涙が奪い取られてしまうためです。
このような状態をドライアイ(乾き目)といいます。
疲れ目を訴える人の約6割はドライアイが関係しているという調査もあります。
これからの季節には特に注意が必要です。 主な症状として、目が疲れやすい、目が乾いた感じがする、目がショボショボする、目がゴロゴロする、目が重い、目が痛い、なんとなく目に不快感がある、目ヤニが出る、目が赤い、まぶしい、目がかゆい、物がかすんで見える、涙が出るなどがあり、これらのうち5つ以上あてはまれば、ドライアイかもしれません。 ドライアイには次のような要因があげられます。 一つには空気の乾燥です。秋から冬にかけて空気が乾燥してくると、目の表面から涙液が蒸発しやすくなります。 二つ目には瞬きが少ないということがあげられます。
読書やパソコン操作に集中していると、瞬きの回数が減ります。
最近では携帯のメールを打つときにも多く見られVDT症候群と呼ばれています。 三つ目はコンタクトレンズの装着によるものです。
コンタクトレンズが水をはじくために、目が乾燥することがあります。 四つ目はシェーグレン症候群が原因によるドライアイです。
中年の女性に多い病気で、目や口、鼻などの粘膜が乾燥し、関節痛が起きることもあります。 ドライアイの治療は、保水効果のあるヒアルロン酸という薬を点眼して、眼の表面を潤すことが基本的な治療法となります。
また、涙点(涙を鼻に排出する小さな穴)に特殊なプラグを刺し込む手術による治療法もあります。
涙点を塞いでしまえば、涙を眼球表面に長く留めることができるというものです。
さらに、フード付き眼鏡を利用する方法もあります。
眼鏡の脇から涙が蒸発するのを防ぎ、小さな加湿器タンクがついているドライアイ専用眼鏡カバーで涙の蒸発を防ぐというものです。 ドライアイは、涙液の量的な不足などが原因で起こりますが、症状がひどくなると、表層角膜炎(ひょうそうかくまくえん)や結膜炎を起こして目の表面に傷をつけるなど、さまざまな角膜障害をきたす状態にもなってしまいます。
単なる疲れ目や目の乾き程度と考えず、角膜障害の早期発見という意味でも早めに眼科医に受診するとよいでしょう。
膵臓がんと糖尿病の関係
先日、元プロ野球監督の星野仙一さんが膵臓(すいぞう)がんで亡くなったと報道がありました。
膵臓がんは日本人のがんの死亡原因として臓器別で男性は第5位、女性は第3位となっており、年々増加傾向にあります。
また解剖学的にがんが周囲に広がりやすい特徴があり、早期発見や治療が難しい手ごわい腫瘍です。
ところで、膵臓がんと糖尿病の関係についてご存じでしょうか。
まず、糖尿病にかかっていると、いろいろな臓器にがんの発生が多くなります。
国内外で発表された研究によると、糖尿病の方はがんになるリスクが20%ほど高いことが報告されており、日本人では特に大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが高いとされています。
そのうち膵臓がんについては健常者に比べて1・8倍なりやすいと報告されています。
その原因ははっきりとは分かっていませんが、糖尿病の多くを占める2型糖尿病の方はインスリンが効きにくくなっている状態のために逆に血液中のインスリン濃度が高くなっており、血液中の過剰なインスリンががん発生に関与する可能性があ
ると考えられています。
その反対に、膵臓がんから糖尿病を新しく発症した、あるいはそれ以前からあった糖尿病が悪化したと考えられる場合もあります。
膵臓がんと診断された時点で、その前2年以内に糖尿病を新しく発症した方が約半数と高率に認められます。
また、高齢で糖尿病を新しく発症した患者さんは、その後3年以内に1%の方が膵臓がんになったという報告があります。
これらは、膵臓がんが糖尿病の発症や経過に影響を与えたと考えられます。
そのため、高齢者で新たに糖尿病を発症した場合や、糖尿病の治療中に急激な血糖コントロールの悪化が見られた場合には、積極的に膵臓の検査を受ける必要があります。
このように、膵臓がんと糖尿病は深い関係にあるので注意が必要です。
子供の火傷(やけど)の予防と初期治療
火傷(やけど)は年齢によって原因が違います。15歳以下では8割が高温の液体、15歳以上では火災が50%以上です。今回は子供の火傷についてお話しします。
家庭内の乳幼児のケガで一番多いのが火傷です。見落としがちな乳幼児の火傷の特徴は成人より皮膚が薄いため火傷になり易いことです。
『0-1歳の火傷の危険度ランキング』は1位:みそ汁、めん類(カップラーメン等)、シチューなど(つかまり立ちを覚えた赤ちゃんがテーブルクロスを引っ張る)、2位:ストーブ、3位:電気ジャーポット、4位:花火、5位:電気アイロン。意外と危険なのは低温火傷です‼心地よく感じる(40~50度)のものに長時間皮膚が接することで重症の火傷が起こります。電気あんか、電気毛布を使用するときは注意しましょう。また冷却・消臭スプレーガスによる引火にも気を付けましょう。
日常の予防としてはテーブルクロスの使用は控える、熱いものはテーブルの中央に置くようにしましょう。
まず、子供の場合「火傷かな」と思ったらとにかく流水で10分程度水洗浄しましょう。衣服を着ている場合は無理に脱がせずそのまま水洗です。赤み、水泡の有無、火傷の大小にかかわらず近くの医療機関に受診してください。 (消費者庁調べにより)
手の血管
「手の血管がふくらんで見えるんです。」と相談されることがあります。まず自分で簡単に確認してみましょう。手を高く上げて下さい。ふくらんでいた血管が萎みましたか?次に手を下ろして下さい。またふくらみましたか?それは静脈という血管です。もし手を上げても下ろしてもふくらみが変わらない場合やドクドク拍動している場合は動脈かもしれません。確認するために病院で診てもらいましょう。循環器内科、心臓血管外科が専門科です。
もし静脈だとわかった場合は必ずしも病院で相談する必要はありません。それは単なる血管の拡張であり、加齢や体質によるものです。若い時に比べて血管周囲の脂肪などの組織が減ってきて相対的に浮き出て見えやすくなります。また体質的に表面に沢山血管が走行している人もいます。さらにスポーツや仕事で腕の筋肉を過度に使用する場合、静脈が発達して太く見えやすくなります。
一方、静脈瘤という病気があります。静脈の中にある静脈弁が壊れてしまったもので、特に下肢に出来る静脈瘤は妊娠や出産を経験した女性に多く見られます。しかし手には静脈瘤はほとんど発生しません。何故なら普段の生活で立ったり座ったりする状態で手はほぼ心臓と同じ高さにあるため、静脈弁に圧力が掛からず弁が破壊されることは稀だからです。
手の静脈の拡張は治療を要する病的な意義はありません。手を見せることを職業とする場合など特殊なケース以外は治療しません。むしろ手の血管をつぶしてしまうと将来大きな病気になった時、採血や点滴をする時に大変困ります。将来への備えとして手の血管は大切にしましょう。
念のためにトイレに行くのは悪い習慣!?
家を出る前に念のためおしっこをしておこう。途中で出たくなったら困るから列車に乗る前にトイレに寄っておこう。
実はこれ、頻尿の原因となる悪い習慣であることが分かってきました。膀胱は主に筋肉でできており、尿を出すのも貯めるのも、この筋肉の運動によって行われます。まだもよおしてもいないのに念のためにトイレに行く、言い換えれば非常に少ないおしっこでトイレに行くということは、膀胱の尿を貯める筋肉運動をさぼっていることになるのです。
それともうひとつ悪い習慣があります。おしっこがしたくなったらすぐにトイレに行く習慣です。念のためトイレに行く場合に比べればまだ少しは貯めていると言えますが、おしっこがしたいと感じる尿量は約200mlです。成人膀胱の最大容量は約500mlですから、この場合もやはり尿を貯める筋肉運動をさぼっていることになります。
このように膀胱の尿を貯める運動をさぼり、少ないおしっこで排尿する習慣が毎日のように繰り返されると、当然のことながら膀胱の尿を貯める筋肉は衰え、やがておしっこが十分に貯められない状態、つまり頻尿になってしまいます。
念のためトイレに行かない、おしっこがしたくてもすぐには行かない、そしておしっこを少し我慢してからトイレに行くようにする。おしっこの我慢は「膀胱訓練」とも呼ばれ膀胱機能障害の治療にも用いられています。頻尿にならないようにするためにも、あるいはすでに頻尿で困っているならなおさらのこと、おしっこの我慢を始めてみましょう。ただし注意も必要です。おしっこの我慢も極端にし過ぎると痛みや排尿困難などトラブルを生じることがあります。余裕のある範囲の我慢から始めてください。また、頻尿の原因はさまざまであり、中には排尿障害や膀胱癌など重大な病気が原因となっていることもあります。我慢を続けても症状が改善しないときや排尿困難や残尿感、痛みや出血など頻尿以外の症状がある場合には泌尿器を受診しましょう。問診と超音波検査などの簡単な検査により診断、治療が可能です。
コロナ禍におけるがん検診とこれから
新型コロナウイルス感染症は今だに終息のきざしが見えません。その影響をうける医療上の問題は救急患者の受け入れ制限や待機的手術の延期などにも波及しますが、もう一つ懸念されているのはコロナ感染症への不安からがん検診を控えることによる発見の遅れです。
がんは初期段階では症状がないことが多いことが特徴です。がん検診を定期的に受診し、早期発見・早期治療することにより、多くの方は助かることが分かっています。しかし、コロナを理由に受診を見送り次の受診までの期間が空いてしまうと、早い段階で発見できたはずのがんが進行した状態で見つかる可能性が高くなります。がんはコロナの収束を待ってはくれませんので、コロナ禍であってもがん検診は定期的に受診することが推奨されます。
現在国として推奨し各自治体で実施されているがん検診は胃・大腸・肺・子宮・乳腺の5つになりますが、それぞれの対象臓器によって検診方法は異なります。胃がんのように最初から内視鏡やバリウムのような苦しい検査を必要とするがんもあり、他のがんでも検診で陽性に出た場合はさらに追加で様々な検査を受ける必要があります。そのような中、2014年から国立がん研究センターを中心に研究が始められているマイクロRNA測定に期待が寄せられています。この方法では1滴の血液から13種類のがんを早期の段階から発見可能で、さらにその発見精度も95%以上というまさに夢のような検査手法です。現段階では数年以内の実用化を目指して有効性を検証する作業が急ピッチで進められています。この手法が医療現場に登場した場合はがん検診が一変する可能性を秘めており期待されるところですが、それが実現するまでの間は、命を守るためにコロナ禍であってもきちんとがん検診をうけておくことが大切です。









