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脳卒中と遺伝

脳神経外科2019/09/30

 身近な人が病気になったと聞くと、自分は大丈夫だろうかと心配になります。それが、血のつながった身内であれば一層不安です。日常外来でも、しばしば患者さんから「親が脳卒中だったから、自分も不安なので検査してほしい」と言われ、何とか病気の発症前に発見したいと、各種の検査を行います。

 結論から言うと、脳卒中が不安なら、高血圧、高脂血症、糖尿病などに注意して、喫煙や飲酒、運動などの習慣の改善に努めるのがベストです。

 遺伝病として脳卒中が発症するパターンは、ごく限られた特殊な病気で、脳卒中に関連した遺伝子はたくさん発見されていますが、それらだけでは予測できません。脳卒中は、遺伝子だけでなく、環境因子も絡んで複雑な要因で発症するものなのです。

 片親が65歳未満で脳卒中になった場合、子供の危険性は2倍以上になり、片親が65歳未満で脳梗塞にかかった場合、子供の危険性は3倍以上になるという報告があります。くも膜下出血では、一親等の家族に脳動脈瘤(りゅう)の人がいる場合、くも膜下出血の危険性は2.5倍になると言います。脳動脈瘤は家族内に多く発生する事実はよく知られていて、数%から20%台までの発生率が報告されています。このことと、いったん破裂した場合の重大な結果から、脳外科医は未破裂動脈瘤の発見に努めてきました。しかし、ここに挙げた危険性の数字は遺伝子と脳卒中の関係だけを表したものではなく、環境因子も加わったものです。くも膜下出血では、家族にくも膜下出血の人がいなくても、喫煙だけで危険性は3倍以上になります。

 これを読んでも、不安は尽きないかもしれません。脳出血の予測は困難ですが、現在、脳動脈瘤はMRI検査でかなり小さなものも見つけられます(見つけた全ての動脈瘤が治療対象となるわけではありません)。また、脳梗塞は血管に異常が見つかれば、いろいろ対策が取れます。お近くの脳外科医にご相談ください。検査で多少なりとも安心できるでしょう。


Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税( 2019年9月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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