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中学生のピロリ検診はとても重要

消化器内科2018/10/29

 胃がんの主な原因はピロリ菌です。胃がんの99%はピロリ菌の感染者または既感染者から発生しており、未感染者の胃がん発生は非常に低率です。2014年にWHO(世界保健機構)は、胃がん予防策としてピロリ菌除菌を世界に向けて推奨しました。わが国では胃がん予防として胃がん検診が行われています。胃がんの早期発見・早期治療で胃がん死亡者を減らすことができても、胃がんの発症は防げません。

 胃がんの発症を防ぐには、原因であるピロリ菌を除去することが必要です。13年にピロリ感染胃炎に対して除菌治療の保険適用が拡大され、医療機関でピロリ除菌を受ける方が急増しました。しかし、ピロリ胃炎が進行していると、除菌で胃がんリスクを半分以下にしても、胃がん発症を完全に抑えることはできません。ピロリ胃炎が進行する前にピロリ除菌を受けることが重要です。

 函館市では16年から中学2年生を対象に若い世代のピロリ菌検査事業が行われています。この事業では尿でピロリ感染を調べて、陽性者は指定の医療機関にて二次検査として呼気で本当の陽性者を調べます。函館消化器病懇談会でこの2年間の調査をしたところ、残念なことに、ピロリ検査を受けた生徒は半分にとどまり、本当の陽性者のうち除菌治療を受けた生徒は40%にとどまっています。この時期に除菌することは個人の胃がん発症を予防するだけではなく、生徒たちの子供へのピロリ菌感染を防ぐことができます。

 最近、若くして胃がんで亡くなった有名人の報道が続いていますが、40歳以下の若年者胃がんを予防するのは、この時期に除菌するのが有効です。函館市が胃がんで将来苦しむ市民を減らそうとして始めた事業です。この機会を逃さないで、すべての中学生にピロリ検査を受けてもらい、感染者と分かった場合はできるだけ早く除菌治療を受けるようにご理解をお願いします。


Text by 国立病院機構 函館病院 加藤 元嗣( 2018年10月29日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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