緑内障〜早期発見が視界を守る鍵
緑内障にはいくつかの異なる病型がありますが、すべてに共通しているのは、視神経が障害されることにより視野が欠けていく病気であることです。
失われた視野を回復させる治療法は現在、残念ながらありません。
しかし、眼圧(眼球の固さ)を下げることで視野欠損の拡大を止めることが可能です。
平成12~13年にかけて岐阜県多治見市で、40歳以上の一般市民のうち4,000人を対象に緑内障に関しての大規模な調査検診が行われました。
その結果、5.0%の市民に緑内障がみつかり、さらに、その中のなんと89%の人々が緑内障の治療を受けていない、つまり、緑内障が初めて見つかった市民でした(詳細は、日本緑内障学会ホームページを御覧下さい)。
この調査結果から、他の地域でも同様に、緑内障に罹患していることに気付かずに、治療を受けていない住民が多数いると推測されます。
仮に緑内障と診断されると、薬、レーザー治療、手術のなかから、病状の重症度に応じて適した治療を選択、行うことになりますが、多くの緑内障患者さんは、点眼薬の使用のみで治療が可能です。
眼科では、視力、眼圧、眼底、視野検査などを行い緑内障かどうか診断します。
これらの検査はいずれも痛みや苦痛を伴わない検査ですから是非受けてほしいと思います。
ちなみに、血圧と眼圧に関連はありません。また、眼を使うことで緑内障が悪化することはありません。
さまざまな治療を行っても進行を止められない緑内障がまれにあることも事実ですが、ほとんどの緑内障は治療を継続していくことで視野欠損の進行を止めることが可能なのです。
緑内障は、潜在患者数が多い、欠損視野を回復できない、治療で進行を止めることが可能という点から、早期発見早期治療が大切です。
トラウマ(心的外傷)について
精神的に大きなショックを受けた場合、時間が過ぎてもその影響が残ることがあります。そういうショックのことを「トラウマ(心的な外傷)」と言います。ショックによって様々な身体的、精神的な問題が引き起こされるということです。
比較的単純で分かりやすいのは地震などの災害や事故にあった時、犯罪の被害者など、命にかかわるような体験をした場合です。その後に不眠、悪夢、イライラなどが生じたり、急にその時の様子が生き生きと思い出されたりすることがあります。
しかし、家庭内暴力など嫌な体験、ショックが長い期間にわたってくり返されると、上に述べた症状だけではなくて、もっと多くの症状が現れ、それが長く続くことになります。あまりにも以前の状態と変わってしまうので、「身体の状態も心の状態も(自分というそのものが)、以前とはすっかり違ってしまった」というような体験になることがあります。多くのものが失われてしまったと感じられる場合もあります。
さらに、身体的暴力、性的な虐待のほか、情緒的な虐待、不適切な養育(最近は虐待を少し広く考える傾向にあります)などによるショックが幼い頃にくり返し体験される場合、その将来に大きな影響を残すことになります。子供の発育に影響し、人格形成そのものに対しても障害になります。さらには、多くの精神、神経科的な問題の発生にも関与します。様々な身体的不調、抑うつ、不安、恐怖、自傷、自殺、不眠、過食、対人関係の問題、薬物依存、アルコール依存、さらには精神病状態(周囲の状況が良くわからないというような状態や妄想などです)にも関係する可能性があります。将来的にこのような様々な問題が生じる可能性があるということです。
このような場合には、薬物療法や一般的な精神療法のほかに、特殊な治療が必要とされることがあります。
新時代に入ったリウマチ治療
関節リウマチは、手足の関節が腫れて痛み、進行すると関節の機能障害をきたす原因不明の疾患です。
これまでは治療しても十分な改善が得られず、関節破壊を食い止められないこともしばしばでした。
しかし、ここ数年の間に治療効果の高い画期的な薬が次々と開発され、状況が一変しました。
これらは「生物学的製剤」と呼ばれるもので、現在4種類の薬が使われています。
有効率は約80%と、従来の薬に比べてはるかに高く、日常生活に不自由がない程度まで改善することもあります。
また、関節破壊を抑える効果も高いことがわかっています。
ただし、問題点がないわけではありません。
免疫を抑える働きが強いので感染症のリスクが高まること、非常に高価であることなどです。
有効性・安全性・経済性を十分考えて上手に使用すれば、患者さんにとって大きな福音となるでしょう。
歯周病と全身の病気
歯周病菌は、肺炎、心臓病、糖尿病など、さまざまな病気と深く関わっていることがわかっています。
また、喫煙と糖尿病は歯周病の二大リスクともいわれ、禁煙が歯周病予防に役立ち、歯周病ケアが血糖値を下げやすくすることも明らかになっています。
たかが、「歯周病」と思わず、手遅れになる前に検診で歯周病予防のアドバイスを受けましょう。
そして、歯周病で歯を失うことのないよう定期健診を継続して、きれいなお口と健康な身体を維持しましょう。
爪周囲の痛みと治療について
爪が皮膚に食い込んで痛くなったことはありませんか?今回は陥入爪(かんにゅうづめ)のお話です。
長い時間歩いたり、きつい靴をはいたりして、足の親指などが痛くなってきた。家に帰って靴を脱いで見てみると爪の角の部分が皮膚に食い込んで赤く腫れている。こんな時どうしますか?
爪切りで食い込んだ爪を切ると、すぐに痛みは解消するかもしれません。でも、ちょっと待って下さい! 足の指は、いつも下からの力を受けているので、きちんと爪で押さえられていないと、数日位で指先がだんだん盛り上がってきてしまうのです。そしてその盛り上がった皮膚に再び伸びてきた爪が食い込む。つまり、痛む→食い込んだ爪を切る→切った部分の指の皮膚が盛り上がる→爪に食い込む→痛む→爪を切る・・・という繰り返しで、だんだんこじれてきてしまい、皮膚に爪が深く食い込み、自分では切れなくなってしまうのです。
そこで、爪を切らずに痛みを取るための簡単な応急手当てをご紹介します。まず、粘着性の強めなばんそうこうを用意して、幅1センチ、長さ5センチ位に切ります。次に、ばんそうこうの端を爪が食い込んでいる部分の真横の皮膚に貼り、爪と皮膚を離す方向に引っ張りながら指に巻き付けるように貼っていきます(このとき強く引っ張りすぎると指の血のめぐりが悪くなることがあるので注意が必要です)。この手当てによって、爪と皮膚の間に隙間ができて、食い込みがゆるやかになり、痛みも解消されます。さらに、その隙間にガーゼを挟むやり方もあります。
しかし、それでも痛みや腫れが取れない場合は医療機関を受診して下さい。細菌感染を起こしていて、抗生物質が必要な場合があるからです。また以前は手術的な治療が主流でしたが、最近では人工爪やシリコンチューブを用いた、手術によらない方法で治る方も増えてきています。ですから、怖がらずに、お早めに御相談下さい。
うつ病のはなし
うつ病は誰でもが罹(かか)るとてもありふれた病気です。ところが、自分がうつ病であることにさえ気づかず、何年にもわたり暗闇の中でもがき苦しんでいる人が少なくありません。それどころか、その八方ふさがりの状況で死を選んでしまう人さえいるのです。
うつ病は「心の感冒」などと言われていますが、実際には「心の症状」を自覚することは少なく、たいていは「体のだるさ、疲れやすさ、食欲不振、体重減少、頭の重さ」等々の「体の症状」が一番目立つ症状なのです。様々な検査では異常がないにもかかわらず、このような症状が執拗に続き、日々の生活にも支障が出てくるようであれば「うつ病」を疑い、すぐに専門医療機関にご相談ください。「うつ病」であれば、適切な治療により、それまでの苦しみから嘘(うそ)のように抜け出すことができるはずです。
胃潰瘍・胃がんの原因は家族内感染?
胃・十二指腸潰瘍、また胃がんの原因の1つとされている「ピロリ菌」。
ピロリ菌の発見から20年以上経過した現在でも、確実な感染経路は特定されていませんが、最近、ピロリ菌感染の予防対策につながる感染経路が、解明されつつあります。
その感染時期の多くは、胃酸の分泌や胃粘膜の免疫機能の働きが不十分な小児期といわれています。
子供の時に飲用していた井戸水も感染源となる可能性があり、上下水道の整備がされていない国や地域では、家族でピロリ菌感染が多いという報告も多数あります。
また、親が噛み砕いたものを子供に与えるような行為を繰り返されると親子感染が起こり、大人になって胃・十二指腸潰瘍、胃がんのリスクを高めているのです。
今までは、胃・十二指腸潰瘍等にしかピロリ菌の除菌治療は、保険での治療は認められていませんでしたが、今年2月、「胃カメラにおいて胃炎の確定診断がなされた患者」にも、保険適用が拡大されました。
親や兄弟に、潰瘍や胃がんの方がいらっしゃる場合、胃・十二指腸潰瘍や胃がんになる前のピロリ菌の検査は、とても重要です。是非、専門医にご相談下さい。
夏場に多い尿管結石の痛み発作
30~50才といった働き盛りの男性に多い尿管結石ですが、近頃の暑い夏場は発汗が多くなり尿も濃縮しがちとなり結石が育ちやすいため、痛み発作に注意は必要です。
急に転げ回るような激痛が、下腹部から左右どちらかの脇腹や背中にかけての範囲のいずれかの場所に感じたら、尿管結石の痛み発作の可能性があります。
左右どちらかの下腹部だけとか背中だけということが多いです(いわゆる腰痛のようなからだの中心ということはありません)。
治療後5年以内の再発率が20~50%と高率なので、予防や再発防止も重要です。
まずは十分なカルシウム摂取。
昔は結石のもとになるため食べないように言われましたが、逆であることがわかっています。
ほかに重要なのが、十分な水分摂取や就寝前2~3時間は食事をとらないなどで尿の濃縮を防ぐことがありますので、参考にしてみてください。
妊娠時の栄養
今年2月に厚生労働省より、妊産婦のための食生活指針が発表されました。
以前との違いは、
1.エネルギー摂取量がふえた。
2.妊娠を初期「16週未満」中期「16週-28週」末期「28週以降」
に分けそれぞれの時期毎に摂取量を決めています。
普通の生活をおくっている18〜29歳では、
- 初期2100Cal
- 中期2300Cal
- 末期2550Cal
30〜49歳では、
- 初期2050Cal
- 中期2250Cal
- 末期2500Cal
となっています。
これは20歳代、30歳代の女性の朝食を食べないひとが20年前に比べ約2倍近く増えている事。
BMI18.5以下の低体重の女性も同じくらい増えている事。
妊娠中の栄養の摂取も十分ではなく、胎児神経管傷害リスクの軽減のための葉酸の摂取も不十分な事。
低出生体重児の割合が増加している事が理由となっています。
出生時の低体重がその児の将来のメタボリック症候群、虚血性心疾患と関連していることがわかっています。
妊娠中の体重抑制が妊婦高血圧症候群(妊娠中毒症を今はこういいます。)の予防にはならず、むしろ低出生体重児を増加させていると考えられています。
このため妊娠中の推奨体重増加量も設定され、
低体重[BMI18.5未満]で9-12kg。
普通[BMI18.5-25.0]で7-12kg。
肥満[BMI25.0以上]は個別に対応となっています。
食べ過ぎてもだめ。食べなさすぎてもだめとなっては妊婦さんもたいへんです。
自分でカロリー計算して献立を作れる人はそんなににいないとおもいます。
肥満の人以外は一週間に0.3-0.5kgの増加と考えて下さい。
それ以上増えるようならカロリーの取りすぎと思って下さい。
よくわからなければ通院している病院の先生、助産師、栄養士に相談する事です。
尚、BMIとは標準体重のことです。体重kg÷(身長m)×(身長m)であらわします。
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