最近の目の周囲やほうれい線のしわの治療
しわの治療にはRFによる高周波治療や、レーザーピーリングがよく行われています。とくにRFによる高周波治療は、痛みも少なく施術後の赤みも少ないため、化粧ももちろん可能で日常生活に支障はありません。レーザーピーリングはシワのほかに皮膚の肌理(きめ)、にきび跡、毛穴の気になる方に有効な治療方法ですが、痛みがあるのが問題です。
RFの治療を行いながら、従来から行われているヒアルロン酸注入や、ボトックス注射による治療方法を行います。また、部分的に表情筋を引き締める薬用の化粧品を使用します。治療回数は治療方法によって異なりますので、専門医より十分に説明をうけて頂きます。
シワの治療においても、予防は大切です。治療後も紫外線予防と老化予防のスキンケア、ビタミンCを中心にサプリメントを摂取することを心掛けてください。
メディカルスキンケア
美容外科・形成外科では、二重まぶた・眼瞼(がんけん)下垂・フェイスリフト・粉瘤(ふんりゅう)などはもとより、シミシワ・ニキビ・ニキビ痕などの治療においても、IPL,レーザー、レーザーピーリング、そしてRF(高周波)による治療が行われています。このような治療は数週間から数カ月経過を診ていかなければなりません。その間の日常のスキンケア、治療が終了してからのスキンケアは質の高い一貫性を持ったケアが必要になります。
また、医学的スキンケアトレーニングを受けた医療関係者の下、医学的な理論のもとに質の高い一貫性を持った化粧品(老化予防化粧品・美白の化粧品)を提供します。
そしてレーザー、IPLなどの後治療や単独の治療としてメディカルスキンケアが充実している医療機関で相談されることをおすすめします。
新多汗症・ワキガ治療事情
美容形成外科では近年、治療を受けるニーズとして、できるだけ短時間で、傷跡が残らず、創部の固定がなく、日常生活に支障がない治療方法で行われるようになってきました。
治療効果がほどほどで、多汗症や軽度のワキガの方に用いられる方法として、メスを使用しない絶縁針による電気分解法があり、翌日からシャワーも可能で、日常生活に支障をきたしません。
また、最近では注射だけですむ有効期間が6カ月程度の治療方法として、BOTOXなどボツリヌス毒素(ボツリヌス毒素は眼科では斜視の治療に使用され、整形外科では斜頚の治療に使用されている薬剤です)による治療法も行われています。
さらにワキガの強い方や充分な効果をお望みの方は、クアドラカッターを使い数ミリの切開で汗腺を強力に吸引しながら切除する方法が行われています。この治療では10日間程度の患部の固定が必要になりますが、術後の傷が目立ちません。
多汗症とワキガで悩んでいる方は、自分で考えているよりも軽度な症状であることがあります。充分な診察を受けて適切な治療方法を選択することが大切です。
新ニキビ事情
ニキビの治療は今まで、1日2回程度の洗顔、消毒用のローションや抗生剤含有クリームを使用し、また、必要に応じてビタミン剤を内服することが一般的治療でした。
最近、ピーリングによる治療が少しずつ広がりをみせてきました。ピーリングは、美白治療として昔からあった健保外治療で、代表的方法としてグリコール酸(AHA)ピーリングがあります。ニキビの顔に強力な酸を塗ることは、少し抵抗があるかもしれませんが、2~3日赤くなり、その後急速に改善します。この治療を2~3週間毎に5回程度行います。この治療は強力な酸を使用するため、十分な医療知識と技術が必要です。また、治療後に紫外線に当たると、とんでもない色素沈着を起こすことなど、紫外線の強い夏には不向きで、秋からの治療が一般的です。この治療を受けるには、必ず、専門医の指導を受けることをおすすめします。
仮面高血圧(逆白衣高血圧)について
家庭血圧計が普及し、現在3000万台あると言われています。家庭血圧計が普及したことにより、家庭血圧が外来血圧と同じように重要であることが分かってきました。
病院で測ると高い血圧を示す「白衣高血圧」は以前から知られていましたが、最近では病院で測るよりも家庭血圧の方が高い「仮面高血圧」が「白衣高血圧」よりも脳梗塞や心筋梗塞を発症させるリスクが高いことが分かってきました。
「仮面高血圧」には、早朝高血圧、ストレス高血圧、夜間高血圧の三つがあり、なかでも早朝血圧のコントロールが重要であると考えられています。
外来血圧では、140/90mmHg以上を、家庭血圧では、135/85mmHg以上を高血圧と定義します。
自宅で測った朝の血圧が、135/85mmHg以上の時は早朝高血圧が考えられ、より厳重な血圧コントロールが必要になります。
動悸(どうき)-胸がドキドキしたら
動悸とは、胸がドキドキ脈打つのを感じることで、心悸亢進(しんきこうしん)ともいいます。正常者でも不安・興奮・運動時には感じられますが、安静にすると元の状態に戻ります。
問題になるのは平静時でも動悸を感じる場合です。安静にしていても動悸を感じる時は心臓病、呼吸器疾患、甲状腺機能亢進症、貧血、発熱時などが考えられます。一番多いのは心臓病によるものですから24時間Holter(ホルター)心電図、超音波検査、胸部X線写真などで心疾患の有無を確認します。血液検査では貧血の有無、甲状腺機能のチェックを行います。また、明らかな器質的(きしつてき)心疾患が無いにもかかわらず強く動悸を感じる心臓神経症があり、鑑別が必要です。
動悸は重大な病気が原因になっていることもあり、また原因が分かれば治療により改善しますので、動悸が続く時は病院を受診し精査することが必要です。
『胸痛』の原因は、心臓だけではありません!
「胸が痛い」「胸が苦しい」等の症状が起こると、心筋梗塞・狭心症・解離性大動脈瘤(かいりせいだいどうみゃくりゅう)などの、心臓や血管の病気が考えられますから、病院へ行くと、循環器内科での検査を勧められます。しかし、いろいろな心臓の検査をしても原因が分からないことも度々ありますよね。では、こんな時は何が原因で胸痛が起きているのでしょうか?
このような胸痛を「非心臓性胸痛」といいます。日本では、まだ浸透していませんが、欧米の研究では、非心臓性胸痛の原因の約半数は、食道胃逆流症や食道運動異常症などの食道の病気であると言われています。これには、胃カメラや食道内圧検査など、特殊な検査をしなければ診断はできません。
胸痛があるのに、原因が分からなかったり、あるいは、神経症と言われたことのある方は、一度専門医を訪ね、胃カメラ検査を受けてみませんか?
原因が分かれば、お薬の内服や、時には腹腔鏡などの簡単な手術で症状がとても良くなります。
危ない不整脈の症状
正常の脈拍とは、1分間に50~100回打つ規則正しい心拍ですが、これ以外をすべて不整脈と言います。
症状もなく無害な不整脈から突然死んでしまう不整脈まで、いろいろな種類があります。
ドキドキして気持ちの悪くなる不整脈は、命の危険がなくても治療すると生活の質が保たれるように治療をします。
「失神する」「目の前が暗くなる/白くなる」「引きずり込まれるようなめまい」を自覚するときは心臓から頭に血液が送れなくなるような状態で、命にかかわる重症な不整脈の存在を疑わせます。
不整脈が発作のように一時的に出ても時期を逃すと証拠がなくなるため、想像で危険な不整脈かどうか考えなくてはならない場合も多いのです。
正確に診断して危険な不整脈を見つけるためには、「心電図」や、1日中体に電極を貼り付けて心電図を記録する「ホルター心電図」(普段どおりの生活をしながら記録します。
入浴中の心電図をとれる機械もあります)、運動中の心電図をとる「トレッドミル運動負荷心電図」などがあります。
どんな不整脈が出ていたか想像するのに1番助けになるのが、動悸の自覚症状です。
普通は、心臓が動いているのには気がつきませんが、思春期に異性に「好きです」と言うときに感じたようなドキドキ感が速かったり、リズムが狂ってしまったりしたのが動悸です。
「ぽっくり病」と言われていましたが、夜、寝ている間に不整脈のために突然死するブルガダ症候群は30~40歳代の男性に多く、特徴的な心電図変化があることがわかってきました。
初回の発作で死亡することが多いので、不整脈としては非常に危険な不整脈に分類されています。
「動悸がして変だな」と思ったら、「1度きりで繰り返さないし」と自分を納得せずに、まず、病院で病状を話し、心電図を撮ってみて下さい。
1番大事なのは危険な不整脈を予防するように治療を受けることです。
まさかの時は蘇生術を周囲の市民が施行してくれ、AED(除細動器)で電気ショックを用いて心拍を再開させるのを期待することになります。
肥大型心筋症
谷啓が、「ガチョ~~ン」と言いながら前に突き出した手を肩もみのように動かすしぐさをしていましたが、あれは心臓の動きかたに良く似ています。心臓は1センチの厚さの筋肉でできていて、三角すいの形をしています。「ガチョ~~ン」で言うと、手のひらから指先の方に血液がピュッと飛ぶと心臓そのものの働きになります。
心臓の壁の一部がひとりでに厚くなるのが、肥大型心筋症です。ただ心筋が厚くなるだけなら問題はないのですが、危険な不整脈の原因になったり、心不全になったりするのが困ったことです。もし、親指の先が2倍くらいの太さにはれ上がっていたら、「ガチョ~~ン」をした時に、他の指の先に親指がくっついて、手の中に雪球を握れるくらいの丸いすきまが出来ると思います。
心臓でこれが起こると、全身へ出ようとしていた血液が心臓から出られなくなります。こんな風に心臓からの出口が閉まる状態のとき、肥大型心筋症のなかでも特殊な「閉塞性肥大型心筋症」と呼んで、通常の心筋症と区別しています。
閉塞性の場合、上の血圧が130だと心臓の中の圧は230くらいになることもあります。こんな人では、胸が痛くなったり、歩くと息切れを感じる心不全になったりします。これまでは、閉塞性の人は肥大型心筋症のうちの3割くらいだろうと考えられていました。最近、運動した後に心臓の中と大動脈の圧を測ってみると、安静なときにはなかった圧の差が、運動後には50以上に増えることもあることがわかってきました。安静時にはあまり症状がないのに、歩行などの運動をすると息切れや動悸が強い人、心不全を繰り返し起こす人は閉塞性なのかもしれないと考えて検査を行う必要がありそうです。
治療としては、心臓の動きを少し抑える薬を使うか、厚くなって血液の流れを邪魔する心筋を削り取るような治療を行うか2つ以上の選択肢があります。どんな治療がよいかは心臓を詳しく調べて、状態を把握してから決定することになります。
プチ脳梗塞をTIA(一過性脳虚血発作)と言います
血液が脳細胞に届くには、心臓から大動脈へと出て行き、大動脈から分かれた頚動脈を通って頭の方へ流れてゆきます。
先が細くなる廊下を心臓から出て行った先が脳細胞と思って下さい。
血液の廊下である血管は、血液が固まらないようにじゅうたんが敷いてある滑らかな道のようです。
血管がきれいで血液がサラサラなら、血は固まることなく流れてゆきます。
ホテルの長い廊下の両側にはいっぱい部屋が並んでいますが、それと同じように、手を動かす脳の領域、足を動かすところ、目で見たことを理解する所など働きの違う脳細胞の部屋が並んでいます。
心臓の中で血が固まると心臓から流れ出て脳細胞に行く血管を途中で詰まらせることになります。
あるいは、頚動脈に動脈硬化が強ければ、じゅうたんのはげた状態と同じなので、血管のじゅうたんがはげたところで血は固まりを作ります。
この血の塊が脳への血管をふさいで、その先の脳細胞に血液が届かず、脳細胞が壊れてしまうのが脳梗塞です。
詰まった血管の先が手を動かす領域なら、足は動くし、目も見えるのに片手が動かなくなります。
TIAとは脳梗塞の症状がごく軽く出る、梗塞の予告のような病気です。
脳梗塞の症状が1日以内、たいていは、15分程度で良くなります。
ボロッと箸を落として、手が利かなくなったけど、直ぐに良くなった、というような症状の出かたです。
血の塊が小さくて、一旦血管をふさいでも短時間で溶けて流れてしまえば、脳細胞の働きが回復するのです。
軽症で終ればめでたしなのですが、この後に大抵は大きな脳梗塞が起きるので、TIAがあれば、血をサラサラにする薬で、脳梗塞を予防するために治療を開始する必要があるわけです。
動脈硬化が進まないようにするには、高血圧や糖尿病の治療が大事ですし、血管には運動が良いです。
ストレスや生活習慣でドロドロ血液になり易くなります。血液がサラサラかは自分の目で見てください。
MCファンという器械を使って当院で見ることができます。