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コラムを読む

飛蚊症

眼科2021/12/23

 視覚とは、外界からの光刺激を受容し、対象の形・明るさ・色などの性状が“見える”という感覚です。対象に当たって反射した光がまず角膜と水晶体というレンズを通して眼球内の網膜上に像を結び、光刺激の情報が電気信号に置き換えられ、視神経を伝わります。信号が大脳の視覚野に送られることにより“見える”という感覚が生じます。

 今回は飛蚊症についてお話しようと思います。眼には眼球内腔を満たす硝子体という透明なゼリー状の構造があります。役割として、眼球の形態の保持や透明性の維持、外界からの衝撃の緩和などがあります。硝子体に何らかの原因で濁りが生じると、その影が網膜に写り、蚊が飛んで見えたり線あるいは黒い丸が動いて見えるといった現象が起きます。これを飛蚊症と言います。

 主な原因は後部硝子体剥離です。詳しく機序を説明しますと、硝子体は元々若い頃はゲル状で硬くてしっかりしていますが、加齢に伴いゲル状だった硝子体が液化します。このため後部硝子体膜と網膜の間が剥離し、硝子体の線維の濁りの影が飛蚊症の症状として現れます。加齢に伴う生理的な見え方であるため、点眼薬や手術で治すことができません。

 飛蚊症は年齢とのお付き合いになりますが、液化した後部硝子体膜による網膜の牽引により裂孔原生網膜剥離や硝子体出血、黄斑円孔などの眼底疾患を伴うことがあります。見え方の変化などがあればこのような合併症の初期症状である可能性があるため、すぐ眼科を受診し眼底検査を受けて下さい。

なお、眼底検査の際は瞳孔を拡げる点眼薬を使用ししばらく見づらさが出ますので受診する際はお手数ですが車の運転を控え、ご家族の方に送迎して頂くか、バス・タクシーなどの公共機関のご利用するようお願い致します。


Text by 江口眼科病院 親富祖 さやか( 2021年8月23日 「北海道新聞夕刊」掲載)

目薬でも改善しない目の不快感は?

眼科2021/12/22

 目の乾き、かすみ、涙目、ゴロゴロする、しょぼしょぼする、などの不快感は、60歳以上になるとほとんどの方が感じているようです。実は、これは涙と深い関係があります。

 健康な目は、下まぶたにたまった涙が、まばたきによって持ち上げられ、眼球の表面を覆います。歳を取ると、涙の量が少なくなったり、涙の質が悪くなったりするために、充分に眼球表面を潤すことができなくなるのが「ドライアイ」です。目の乾きがあると、こすれる原因になり、先に述べたような不快感が出るので、眼球表面を保護、または抗炎症の点眼をつけなくてはなりません。「ドライアイ」は、目をつぶっていると症状が軽く感じるのがポイントです。

それに比べて、目をつぶってもずっと不快感がとれない病気に「結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)」というものがあります。

人は一日に1~2万回もまばたきをしているので、歳を取るにつれ、結膜(白目の表面の薄い膜)のたるみができてしまうのです。この結膜のたるみができてしまうと、このたるみが邪魔して、下まぶたに涙がたまることができなくなり、涙があふれたり、涙が正常に眼球表面を覆えなくなり、乾き目になったりします。

 この「結膜弛緩症」は、軽い症状の場合は、ドライアイと同じような点眼治療でも効果がありますが、不快感が続いている場合には、たるんだ結膜を縮める手術が効果的です。表面麻酔をして痛みを感じなくしてから、たるんだ結膜の部分に熱を加えて縮ませることができます。これは、切開して縫い縮める方法よりも術後の痛みも少なく、外来で10分前後で終了する手術方法です。

 下まぶたのすぐ内側に透明な膜のような物がたるんで見える方・目の不快感が取れない方は、結膜弛緩症かもしれませんので、一度眼科を受診してみて下さい。


Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子( 2021年11月22日 「北海道新聞夕刊」掲載)

空気が乾燥しています。ドライアイにご注意

眼科2021/12/22

 冬になり空気が乾燥してくるとお肌もかさかさしてきますが、目もシブシブ・ショボショボして疲れやすくなってきます。これは目を潤している涙が奪い取られてしまうためです。このような状態をドライアイ(乾き目)といいます。症状がひどくなると表層角膜炎(ひょうそうかくまくえん)や結膜炎を起こして目の表面に傷をつけた状態にもなってしまいます。疲れ目を訴える人の約6割はドライアイが関係しているという調査もあります。

「目が疲れやすい/目が乾いた感じがする/目がしょぼしょぼする/目がゴロゴロする/目が重い/目が痛い/なんとなく目に不快感がある/目ヤニが出る/目が赤い/まぶしい/目がかゆい/物が霞んで見える/涙が出る」このうち五つ以上あてはまれば、ドライアイかもしれません。

 ドライアイには次のような要因があげられます。○空気の乾燥(目の表面から涙液が蒸発しやすくなります)○瞬きが少ない(読書やパソコン操作に集中していると、瞬きの回数が減ります)○コンタクトレンズの装着(コンタクトレンズが水をはじくために、目が乾燥することがあります)○シェーグレン症候群(中年の女性に多い病気で、目や口、鼻などの粘膜が乾燥し、関節痛が起きることもあります)

 ドライアイの治療には、○点眼薬で目を潤す。(保水効果のあるヒアルロン酸や涙を増やすという薬を点眼する)○涙点とよばれる涙を鼻に排出する小さな穴に特殊なプラグを刺し込む手術をして塞いでしまえば、涙を眼球表面に長く留めることができます。○フード付き眼鏡の利用(眼鏡の脇から涙が蒸発するのを防ぎ、小さな加湿器タンクがついているドライアイ専用眼鏡カバーで涙の蒸発を防ぎます)、などがあります。


Text by 清水眼科クリニック 院長 清水信晶( 2021年10月18日 「北海道新聞夕刊」掲載)

心地よい見え方をしていますか?

眼科2021/12/15

スマホやノート型パソコンの普及により、いつでもどこでも労働時間を超えて目を酷使する機会が増えています。

そのせいで、目の疲れを訴えて受診する患者さんは多く、眼精疲労(疲れ目)は国民病の1つになりつつあります。

疲れ目が原因で、肩こり、頭痛、吐き気、眼痛、イライラや不安感、ひどい場合は抑うつ状態になることもありますし、夜寝る前にスマホを見すぎると、不眠症になることもあります。

メガネやコンタクトレンズを装用している場合、「よく見える」と「装用して疲れない」ことは別の問題です。「よく見えるメガネ」は、過矯正(強すぎ)なことがあります。

眼鏡店に行く前に、眼科で他の病気がないかどうか確認のうえ、「疲れないメガネ」を処方してもらいましょう。また、日本で約2000万人といわれているドライアイの患者さんの70%以上が疲れ目を訴えており、疲れ目とドライアイは密接な関係があります。

通常まばたきは、1分間に約20回ですが、読書で半分、VDT作業やゲームでは4分の1まで減少するのです。まばたきが減ると目の表面が乾き、目の痛みが出てくることもあります。

パソコンのディスプレイを真正面ではなく、少し下の方に置くことで、目の表面の露出が減り、乾燥感が減ります。ヒアルロン酸の点眼液も乾燥予防に有効です。

また、目の周りがかゆい時、顔につけるステロイド軟膏では強すぎて、かえって赤みが増すことが多いので、目に入っても大丈夫な眼軟膏を眼科で処方してもらいましょう。

「疲れない・痛くない・かゆくない」というような心地よい見え方こそが快適な生活につながりますので、お気軽に眼科で相談して下さい。


Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子( 2021年5月24日 「北海道新聞夕刊」掲載)

春の眼科検診での視力と色覚検査

眼科2021/07/21

新学期を迎え、我々眼科医も学校健診のため小・中学校を訪れます。視力検査を含め、目の病気が疑われれば専門医を受診するようにと、健診の結果用紙を子供達は学校から頂いてきます。その中で特に注意しなければならないのが小学校一年生の視力検査の結果でしょう。小学校一年生にとって視力という検査は初めての経験で、やり方も良く理解できないかも知れません。そのため本来の視力より低く出ただけということもあります。

しかしながらその年齢で結果が悪い場合、遠視や乱視のお子さんも多く見受けられます。そして、遠視や乱視の場合、弱視(じゃくし)や斜視(しゃし)を伴っている場合があり、この時期を逃すと後でメガネをかけたとしても視力が回復できなくなってしまうこともある、目にとってラストチャンスの時期だとも言えます。

簡単に言うと、強い遠視や乱視の場合は近くも遠くもピントがあわず、常にぼやけています。いつもはっきりしない画像しか見えていないため、放置するとメガネで矯正しても視力がでない弱視になってしまったり、また、斜視を来すこともあります。

色覚検査は現在希望者のみ行われています。念のため一人ひとりが別々に検査を受けられるようになっています。先天性色覚異常は男児だと、おおよそクラスに1名いる換算になります。

小学校に上がると消防車の写生を全員でしたりと色使いにも色覚異常の生徒ははっきりと現れることになります。

美術以外の教科でも先生が黒板に書いた字が見づらい・学校の掲示物が読みづらいなどの不具合が出ることもあります。小学生のうちにぜひ色覚検査も受けてみることを勧めます。

健康診断で視力の結果が悪いときには放置せず、必ず専門医の精密検査を受けましょう。


Text by 清水眼科クリニック 院長 清水信晶( 2021年4月23日 「北海道新聞夕刊」掲載)

アトピー性皮膚炎

眼科2021/06/03

 眼科の診察では眼とその周囲を重点的に観察しますが、そこでアトピー性皮膚炎に関連した所見がみつかったり、関連がありそうな症状の訴えを聞くことは多々あります。代表的なものとして、まぶたの皮膚の乾燥や赤み、結膜炎による慢性的なかゆみ、擦過や眼瞼内反症に伴う角膜のキズや微生物の感染などが挙げられます。皮膚に慢性的な炎症があると、それに引き続いて眼にもトラブルが波及する場合があるのです。では眼科ではどうするか。まず、まぶたの表側(つまり皮膚)のトラブルは、アトピー性皮膚炎の管理の基本に則ってまず清潔と保湿を意識することを勧めます。それでも不十分ならば副腎皮質ステロイド(いわゆるステロイド)入りの軟膏を使用します。そしてまぶたの内側(結膜)のトラブルには抗ヒスタミン薬やステロイド入りの点眼液を主に使用します(程度によってはさらなる治療が必要な場合もあります)。このように眼科でもまぶたの治療は行うものの、先述のとおりアトピー性皮膚炎においては眼の状態は皮膚のコンディションに大きく影響されますので皮膚科の受診も要検討です。

 過去に色々とアトピー性皮膚炎の治療を試したが奏功せず諦めたという方も少なくないと思いますが、「アトピー性皮膚炎は大人になってからでは治療できない」という誤った認識を捨て、現代の標準的な治療アプローチでもう一度治療に取りかかることも一案です。また、治療のキープレイヤーとなる点眼液や軟膏などの局所投与用ステロイドはその使い方のルールを守り、定期的な監視を怠らなければ有効かつ安全に使用できますので、やみくもに忌避することは有益ではありません。眼の健康を保つためにも、信頼できる皮膚科医をみつけ、地道なケアを根気強く継続することが肝腎と言えます。


Text by 江口眼科病院 佐々木 功( 2021年2月22日 「北海道新聞夕刊」掲載)

ステイホームでスマホ老眼が急増!!

眼科2021/02/25

 人間の目の構造は、カメラに似ています。水晶体は、カメラのレンズにあたり、遠くを見る時は薄くなり、近くを見る時は厚くなるように調節しています。老眼とは、この調節力が衰えてくる状態で40歳前後から始まります。しかし、最近は、近くが見づらい・かすんで見える・夕方になると物が見づらい・頭痛・肩こりなどの老眼の症状が、小学生から30代までの若い方にも出てきているのです。

 去年からのコロナ禍によりステイホーム時間が増え、スマホに触れる時間が増えているようで、若い人の10人に1人は、15時間以上もスマホを見ているとのことです。こんなに長時間スマホを見ていると、調節力が衰えて老眼と同じ症状が出る、いわゆる「スマホ老眼」になってしまいます。また、下向き姿勢で頬やあごもたるみ、老け顔になるとも言われています。ぜひ眼科で正確な視力検査を受けてみましょう。


Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子( 2021年1月22日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

新型コロナウィルス対策=眼科医の立場から

眼科2020/11/30

 新型コロナウイルスの感染症の患者数が再び全国的に増加する中、感染拡大防止には各自が感染しない・感染を広めないという意識を更に強く持って行動することが大変重要です。ウイルスは目に見えないので本当に怖いです。誰が感染者か見えません。私達も知らぬ間に感染しているのに症状が出ていないだけかもしれません。感染経路は、飛沫感染(咳・唾)と接触感染の2つに分けられ、眼を介して感染する可能性もあります。感染時には眼症状として、結膜炎が数%の頻度で出ることが報告されています。発症前でもウイルスが排出されている可能性があり、どこからウイルスが付着しているのかわかりません。そのため、よく手洗いし・他人と接する場所にマスクの着用をするのは、うつらない・うつさない為のマナーです。

 眼科分野で言えば、コンタクトレンズ(CL)の使用が感染リスクを高める証拠はありませんが、CLは手指で触り、目から出し入れするので、CL装用者は、特に気をつけるべきで、石鹸を用いた手洗いを外す時にも必ず行って下さい。入れる前は洗っていても、外す前に手を洗う意識が少ない方が多いようです。また、従来通りCLケースの乾燥・CL保存消毒液を毎回交換することも徹底して下さい。

 ウイルスは、涙や鼻・口の粘膜から感染する場合もあります。マスクを外して食事をする際に口の汚れを手で拭ったり、うっかり鼻や目をこすったり、顔をいじる癖のある方は危険です。

 結膜炎+風邪症状が強い場合は、眼科受診をされても、ウイルスが見えるわけではなく、流行り目との区別もつかないのが現状ですから、むしろ外出を控えて下さい。とにかく頻回の手洗いをし、会食に参加しないことが感染予防に効果的です。


Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子( 2020年11月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

怖い充血

眼科2020/11/16

 朝起きて、鏡を見たら目が真っ赤に充血していた…誰しも一度は経験があると思います。前の日の夜更かし、目がかゆくてこすっていた、昨日の屋外作業など心あたりがあることも多いでしょう。充血は目の血管が拡張することによって起こりますが、白目の内側、外側、深い部分といった充血の場所ごとに原因が異なり、また白目の細い血管が破裂しての出血も家庭で見る際には強い充血に見えるでしょう(結膜下出血といいます)。

 充血の主な原因として細菌・ウイルスによる結膜炎やドライアイ、アレルギーが多いです。しかし中には、ぶどう膜炎といって目の中に強い炎症を生じ、視力が低下する病気もあります。ぶどう膜炎は全身の病気が原因となることもあり、眼科に限らず内科でも詳しく調べてもらう必要があります。多くの病気で出てくる充血は目の不調のサインであり、中には緊急に治療が必要な病気もあるため、おかしいな、と思ったら一度眼科の受診をお勧めします。


Text by 江口眼科病院 甘利 達明( 2020年11月16日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

遠近コンタクトレンズと老眼

眼科2020/10/26

 僕が眼科クリニックを開業したのがまだ30歳代頃になりますが、そのころから遠近両用コンタクトレンズ(以下CL)はこれから使う方が増えてくるだろうと考えていました。ですが、いかんせん、その当時は自分はまだ老眼ではなかったものですから、テストレンズをつけてみてもよく見えているのかどうか実感がありませんでした。ところが、45歳にもなってくると自分でも急に老眼になってきました。
  そこで自分でもCLの老眼対策をしなくてはならないこととなり、もう一度遠近両用CLを試してみました。するとどうでしょう。今度は遠くはもちろん近くも見やすくなっているではありませんか。改めて遠近CLを見直してみました。
 遠近両用CLはあの小さいコンタクレンズの中に、遠くが見える度数と近くが見える度数を並べています。そこで、遠くにピントのあう光と近くにピントのあう光の常時二つの光が目に入ってくるのですが、遠くを見ようと思った時、近くを見ようと思った時、それぞれに目的の光情報を頭の中でピックアップして、いらない光情報を半分カットしています。それゆえ逆にピントの合っていない光情報も、常に目の中に入っているためちょっとずつにじんだ感じを感じられてしまいます。ですからレンズの大きな普通の眼鏡に比べて全てがすっきりというわけにも行かないのが実情です。
 それでも、普通のCLから遠近両用CLに替えたときにCLを付けた時以上に感動しました。
 最近はゴルフをするのに初めてCLを使いたい、近くを見るとき老眼鏡を鞄から取り出して掛けるのが恥ずかしいなど、遠近両用コンタクトを最初から希望しますという、50代になってCLを初めて使う方も増えてきました。


Text by 清水眼科クリニック 院長 清水信晶( Array 「北海道新聞夕刊」掲載)

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