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魔法の注射?

脳神経外科2013/03/25

 突然ですが、ボールを投げる動作を思い出してください。
投げる方の腕は円を描くように伸び、反対側の腕は肘を曲げて折りたたまれています。
このようにある動きをするとき、左右の手足は無意識にバランスを保った動きをします。
さらに、関節の曲げ伸ばしにも、曲げる筋肉と伸ばす筋肉が同時に働きます。
肘を曲げる時には、脳は「曲げろ」という命令を腕の前側(力こぶを作る筋肉)に出す一方、腕の後ろ側には「伸ばせ」という指示を出します。
これにより動きがスムーズになります。このように脳が、左右のバランスや、曲げ伸ばしのように相反する動きの調整をしています。

 多くの脳卒中では、体半分が動かなくなる障害(片麻痺といいます)が残ります。
このとき、単に片側の手足が動かないだけではなく、左右のバランスや、曲げ伸ばしの調節も変化して、片麻痺からの回復に影響します。
典型的には、病気になった腕は肘が曲がり、足は伸びて突っ張ったような形になり、アチコチの筋肉は固くなります(痙縮[けいしゅく]といいます)。
痙縮は、その後の回復を妨げ、日常生活にも差し支えます。

 片麻痺は、リハビリテーションにより改善しますが、発症から半年を過ぎると回復の速度は鈍り、ほとんど回復が止まります。
この原因の一つが痙縮です。
半年以上経った脳卒中後の麻痺が、ボツリヌス菌という細菌から作った注射薬で再び改善していく様子がテレビで放送され、その「注射」についての問い合わせが増えました。

 テレビでも、薬の作用は説明していましたが、「改善」が「治る」というように解釈され、あたかも注射だけで片麻痺が治ると考えられているようです。
注射は「痙縮」には有効ですが、麻痺を治す「魔法の注射」ではありません。
固くなった手足を伸ばし、リハビリを行うことで、再び改善する可能性が出て来ます。
注射とリハビリの組み合わせが大切です。
この注射をどこで受けられるかはインターネット上で調べられますので、「脳卒中後遺症、痙縮」で検索してみてください。


Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税( 2013年3月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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