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あなたは、あと何年目を使いたいですか? 〜角膜内皮細胞〜

眼科2013/10/31

 洞爺に行ってきました。今朝(10/14)、洞爺湖越しに見える羊蹄山はきれいに雪化粧していました。
 ところで…羊蹄山から出た光は私の眼のなかの、角膜、前房水、水晶体、硝子体を通過したのち光を感じる網膜に到達し、網膜から脳に信号が届けられます。
光の情報が正確に網膜まで届くためには角膜、前房水、水晶体、硝子体は透明でなければなりません。
ちなみに水晶体が濁った状態が白内障です。

 今回の主役、角膜内皮細胞は、角膜を透明に保つ役割を担った細胞です。
角膜の主成分はコラーゲンで、コラーゲン線維が整然と並ぶことで透明性を維持しています。
角膜の裏側には前房水があり、常に角膜内に前房水からの水分がしみこんできます。
角膜内の水分が過剰になるとコラーゲンの並びがくずれ透明性を失うため、過剰な水分を角膜内皮細胞せっせと排出しています。

 角膜内皮細胞は生まれた直後には35万~40万個あるとされ、年齢とともにゆっくり減少していきますが、眼が障害を受けると大きく減少します。
角膜内皮細胞には再生する能力はないため、障害を受けるたびに減る一方です。
正常眼では1平方mmあたり3000個ありますが、減少して500個以下になると角膜は透明性を失い、濁ります。
角膜内皮細胞は、角膜を透明に保つ役割を担っているのに、再生しないという点で、最も大切にしなければいけない細胞のひとつなのです。

 角膜内皮細胞を減らす原因は、眼のけが、緑内障発作やぶどう膜炎などの病気、眼の手術、コンタクトレンズの不適切な使用が知られています。
最近、コンタクトレンズのなかでもカラコン(カラーコンタクトレンズ)による眼障害問題になっています。
一般的なコンタクトレンズは眼に悪影響の少ない材質になっていますが、現在中高生のあいだに広まっているカラコンは粗悪なつくりのものが多く、よほど厳密に管理していかないと角膜内皮細胞を減らしていきます。

 そうはいうものの、未成年者は将来のことよりも今現在のことを重視するのはある程度理解できます。

 子供達の眼を守るのは、子供達の将来を考えられる家族、教育関係者、医療従事者の責任です。


Text by くどう眼科クリニック 工藤 勝利( 2013年11月号 「ダテパー Dr. Dr.プリーズ」掲載)

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