その症状、白内障かも!!
人間の目はカメラに似ていて、レンズにあたるのが水晶体です。
水晶体は加齢とともに濁ってきて、それが『老人性白内障』です。
50歳を過ぎると5人に1人くらい、80歳ではほぼ全員が白内障になります。
以下のいずれかの症状がある時は、白内障の可能性があります。
①遠くも近くも、かすんで見える
②明るい所でギラギラしたり、物が見づらい
③今まで老眼鏡が必要だったのに、急に近くが見やすくなる
④物がだぶって見える
最近はアトピー性皮膚炎や糖尿病との合併による50歳以下の若い年齢での白内障も増えてきています。
白内障は、進行を遅くする点眼薬がありますが、この点眼で水晶体の濁りをなくすことはできません。
あくまでも進行を少しゆっくりするだけなので、いずれは手術で濁った水晶体を取り除き、かわりに人工水晶体を入れることになります。
濁っている部分や程度は個人差があります。
ひとりひとり手術するべき時期は違うので、眼科医とよく相談して治療方法のアドバイスを受けて下さい。
抗生物質~正しく飲んでいますか?
耳鼻咽喉科には中耳炎、風邪、急性鼻炎、副鼻腔炎、咽喉頭炎、気管支炎などの多くの感染症の患者さんがいらっしゃいます。
ほとんどが細菌感染ですので抗生物質を処方することが必要になります。
病状によって原因菌を推定し有効と思われる抗生物質を処方しますが抗生物質にも作用の面で特徴があります。 その特徴は大きく次の2つに分かれます。
例えば①の特徴のあるものは1日量を一度に服用した方が有効ですが1日量を分けて服用してしまうと抗生物質の血中濃度が十分に上がらず同じ1日量を服用しても効かないことになります。
従って、効果を十分に発揮するためには指定された服用回数は変えないことが大切です。
鼻の調子が悪く、いつまでも治りません。単なる風邪ではないのでしょうか?
症状が2週間も続くならアレルギー性鼻炎の可能性も。
子どもの場合には続発する中耳炎も心配。早期受診が大切
冬といえば風邪の季節ですが、その中で一見風邪の症状だと思っていたものが、実はアレルギー性鼻炎による症状の悪化である場合が意外と多く見られます。
風邪だと思っても、症状が2週間も続くようであれば何らかの慢性的な状態が考えられます。
また、必ずしもアレルギー性のものではない場合もあるため、いずれにしても医療機関で検査してみる必要があります。 通年性のアレルギーは基本的にハウスダストやダニが原因で、すでに鼻は過敏な状態にあります。
そこに冬場は寒暖差や湿度差が激しいなどの物理的刺激が多くなるため、鼻の調子が悪くなりがちになるのです。
経験的に秋口から寒くなって、乾燥が進む季節に入ると調子を悪くして不安定な状態に陥る人が多いので、その季節から注意が必要です。
ただアレルギー性鼻炎の発症を予防することは難しく、すでにアレルギー性鼻炎と診断されている人であれば、事前に薬を飲むなどの対策もとれますが、既往症がない人ではいかに初発症状を見逃さず、少しでも早く専門医を受診することが大切といえます。 特に注意しなければならないのは、子どものアレルギー性鼻炎で、意外と放置された状態のままの子どもが多いのです。
鼻の状態が悪いと風邪をひきやすく、またアレルギーなどで鼻の状態が常に悪ければ、いずれ鼻の機能がまったく失われてしまいます。
例えば鼻から空気を吸った際に、鼻の中で粉塵(ふんじん)や細菌を取ったり、空気を加湿化し肺に送るという大事な機能がまったく破綻してしまうわけです。
当然あらゆる感染症にも罹りやすくなってしまいます。 さらに鼻の状態が悪いと、結果的に中耳炎にも罹りやすくなるのです。
中耳炎が子どもに多いのも、そういったことが関係していて、多くの場合、風邪から鼻の調子を悪くしてしまい、続発的に中耳炎を起こしているのです。
そのため中耳炎の発症も冬場に多く見られます。
その意味では、中耳炎の治療のポイントは、鼻の状態のコントロールにあるということがいえるわけです。
また、治療には抗生物質の適切な使用が重要です。
一般的風潮として抗生物質は敬遠されがちですが、特に幼少期に起こす中耳炎や鼻炎の細菌の種類は決まっていますので、その動向を見極めて適切な抗生物質を選び使用することで、それぞれの症状も速やかに改善されます。 耳鼻科は基本的に感染症外来です。風邪も感染症ですので、鼻の調子が悪いなどの症状が長く続く場合や、特に学童期以下の子どもの場合には、まず耳鼻科への受診をお勧めします。
裂肛(れっこう)[きれ痔]
便秘がちな女性に多くみられる痔です。主に硬い便を無理して出した時に、肛門が裂けて出来ますが、激しい下痢(げり)でも出来ることがあります。
症状は、排便時の出血と痛みです。初めは軽い痛みですが、くり返すと次第に痛みが強くなります。痛みが強くなると、便意をがまんする様になる為、便秘になり、ますます便が硬くなります。この硬い便が出る時に、また切れるという悪循環をおこします。
更に肛門の弾力性が失われる為に、肛門が硬く、狭くなり便も出にくくなります。慢性化し、肛門潰瘍(こうもんかいよう)になると排便後も強い痛みが長く続く様になり肛門ポリープ等も出来てきます。
この様な状態になると手術が必要になりますので、早めに治し、くり返さない様にすることが大切です。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)について
「掌蹠膿疱症」という病気をご存知でしょうか? 最近、ある芸能人がこの病気にかかったという話が、テレビや雑誌で取り上げられていましたので、この病名を耳にされた方も多いのではないでしょうか?
さてその症状は、手のひらと足の裏に、菌の関与がない、膿をもったブツブツ(無菌性膿疱=むきんせいのうほう)が出て、皮膚が赤くなったり(紅斑=こうはん)、皮が剥けたり(鱗屑・落屑=りんせつ・らくせつ)するというものです。そしてこれらの症状は、良くなったり悪くなったりを繰り返し、慢性的な経過をたどります。手のひらを「手掌(しゅしょう)」、足の裏を「足蹠(そくせき)」と呼ぶことからこの病名がついています。
この病気の原因は、はっきりとわかっていません。再発を繰り返す扁桃炎(へんとうえん)や虫歯・歯周炎、副鼻腔炎(ふくびくうえん)などの細菌感染との関連や金属アレルギーとの関連が指摘されていますが、現段階では確実とは言えません。しかし、扁桃腺の摘出や歯科金属の除去・変換といった歯科治療などで、症状が改善する方がいらっしゃるのも事実です。
一般的な治療は、外用療法になります。ステロイド外用薬やビタミンD3外用薬を使用します。時として内服治療を行う場合もあります。エトレチナートやシクロスポリンという薬を使用したり、ミノサイクリンという抗菌薬を服用したりすることもありますが、副作用の心配があり、その使用にあたっては慎重に検討する必要があります。ビチオンというビタミン剤や漢方薬の内服が有効な場合もあります。また病変部に紫外線のA波を照射する治療方法(PUVA=プーバ)もあり、良好な治療成績を挙げています。
「掌蹠膿疱症」は、水虫や手荒れと間違えられることがあります。治りづらい症状がある場合、一度皮膚科を受診してみてはかがでしょうか。
ホワイトニングについて
初対面の人に会ったときに1番アピールできるのは何だと思いますか?
それは口元からつくられるきれいな笑顔ではないでしょうか。
その笑顔も口元から真っ白い歯がのぞいていれば最高のものとなるのではないでしょうか。“ホワイトニング”という言葉は、最近では雑誌やTVなどでも度々取り上げられ、よく聞き慣れた言葉になってきましたが、歯を削らずに薬を使って歯を白くする(漂白:ブリーチング)方法で薬は主として過酸化水素や過酸化尿素(口の中では過酸化水素に分解されます)を使います。
これらの薬の作用は有機性の着色物質のみに作用するため、96~98%の無機質からなるエナメル質(歯の1番外側の組織)に対しては、侵襲(外部からの刺激)は非常に少ないと考えられています。
従って“ホワイトニング”は、ほかの歯を白くする方法(ラミネートベニアやセラミック冠など)と違って歯に対する侵襲を最少にすることのできる審美治療と言えます。
次に“ホワイトニング”のやり方は大きく2つあり(と)、どちらも長所、短所があり、各々の特徴を以下にまとめます。
歯科医院で行う「オフィスホワイトニング」
患者さん自身が家庭で行う「ホームホワイトニング」オフィスホワイトニング
- 高濃度の薬を使うため疼痛が出やすい。
- 短期間、短時間で効果が得られるが後戻りが早く、透明感が失われやすい。
- 漂白効果が低い。
ホームホワイトニング
- カスタムトレー(個々人の歯型にあったトレー)を使う。
- 効果が出るまでに時間がかかるが後戻りが遅く、透明感のある白さが得られる。
- 継続して使用しないと効果が出にくいことがある。
以上ホワイトニングについて書きましたが、患者さんがホワイトニングを希望してもできない場合があり、ラミネートベニアやセラミック冠などを選択しなければならない場合もあります。歯科医院の先生に相談してみてはいかがでしょうか。
運動のススメ
「忙しくてできないけど、運動不足だなぁー」と、後ろめたい気持になっている人は多いことと思います。
一念発起してジムに通い始めても、3〜6カ月もすると、「行かなくなってしまった」ということで、せっかく減った体重がもと以上に増えていることもあります。
残念なことです。「健康日本21」など、政府の「運動をしよう」と呼びかけるキャンペーンもありましたが、習慣的に運動をするのは、3人に1人程度だそうです。
動脈硬化は、高血圧や糖尿病などでどんどん進みますが、運動が唯一進行を防ぐ手段です。
動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞の原因です。
「仕事や余暇で体を動かす人は心筋梗塞や脳卒中の発症が少ない」といわれていますが、若い時に運動競技をやっていても、運動を続けていないと、この保護効果は無くなってしまいます。
「昔は野球をやっていたから大丈夫」と思っていても、普段から運動をしていないと「中年以降には動脈硬化が進んでしまっている」ということはよくあります。JAMAという米国医学雑誌に載った論文で、アメリカ人の真の死因にもっとも影響していることを調べた研究では、死因に関係する要素の第1位は「喫煙」ですが、第2位に「過食と運動不足」が入っていました。
運動不足はメタボの原因でもありますが、それ自体が死に至る病気ということになります。
日々、手ごろにできる運動を、飽きずに繰り返して続けることが肝心です。
簡単にいつでも思いついた時にできる運動として、ウォーキングを勧めています。
週に4回以上、1回20〜30分間、額にうっすらと汗がにじむ速さでの速歩が良いです。
肩甲骨が動くように手を動かすと上半身も使った全身運動ができます。
同程度の運動としては、自転車こぎ15分、バレーボール20分、ゴルフ15分、水泳7分があります。
「病気の予防のため」とか「健康のため」と考えるよりは、「好きな運動をやっているだけ」という方が続くと思われるので、何か好きな運動を見つけてしましょう。
飛蚊症(ひぶんしょう)
実際は何も無いのに、視界のなかにふわふわ邪魔なものがみえる症状が飛蚊症です。
細かなゴミのようだったり、点やひも、又はうすい雲の様だったりと、形はさまざまです。
飛蚊症のほとんどは、40~60才代に多くみられる後部硝子体剥離という治療の不要な加齢現象です。
悪化しませんが無くなることもなく、付き合っていかなければなりません。
しかしまれに、網膜剥離(緊急に手術しないと失明する)の前段階である網膜裂孔や、適切な治療を要するぶどう膜炎、硝子体出血などの危険性があるため、精密眼底検査を受けて確認しておくことが必要です。
精密眼底検査では、散瞳剤を点眼して瞳孔をひろげます。
散瞳効果は点眼後3~4時間持続し、その間眩しく感じたり、焦点があわずものがみづらくなりますから、細かい作業や運転をしないでよい準備をしたほうがいいでしょう。
感染性胃腸炎に注意しましょう
感染性胃腸炎はウイルスや細菌などの微生物が原因となって起こる感染症で、発熱、腹痛、嘔吐、下痢が主な症状です。食物が原因の場合は「食中毒」とか「食あたり」などともよばれますが、嘔吐で空気中に飛散したり人の手への付着を介して微生物が口から入って起こる場合もあります。原因微生物としては黄色ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、ウエルシュ菌、ロタウイルスなど多くの種類がありますが、中でも感染力の強いノロウイルスはウイルスの数が10~100個という少数でも感染が成立するとされておりしばしば食中毒の集団発生の原因となります。最近では新型コロナウイルスも原因の一つにあげられます。報告により差がありますが概ね新型コロナウイルス感染者の5%程度が胃腸炎症状を呈すると考えられ注意が必要です。
どの微生物が原因であるかは、食べた物の内容や摂取から発症までの時間などの情報からある程度推定できる場合もありますが、確定するには便から微生物を検出する必要があります。しかしほとんどの感染性胃腸炎は自然に治る傾向が強く数日で治癒する場合が多いので、特に成人の場合多くは実際には検査は行われていません。
治療は整腸剤の内服や水分補給・点滴など対症治療が基本となります。胃腸炎における嘔吐や下痢は生体の防御反応でもあるので、無理にそれらを止める治療は行わない方が良いとされています。抗菌薬が有効な細菌が原因の場合でも全例で投与するわけではなく、小児や高齢者のような悪化しやすい方や重症例で必要に応じて投与を検討することになります。なおウイルスに有効な薬剤は今の所ありません。
夏は感染性胃腸炎が多い季節です。予防のために手洗いは石鹸でこまめに行い、食品の衛生管理には十分気をつけましょう。
空気が乾燥しています。ドライアイにご注意
冬になり空気が乾燥してくるとお肌もかさかさしてきますが、目もシブシブ・ショボショボして疲れやすくなってきます。これは目を潤している涙が奪い取られてしまうためです。このような状態をドライアイ(乾き目)といいます。症状がひどくなると表層角膜炎(ひょうそうかくまくえん)や結膜炎を起こして目の表面に傷をつけた状態にもなってしまいます。疲れ目を訴える人の約6割はドライアイが関係しているという調査もあります。
「目が疲れやすい/目が乾いた感じがする/目がしょぼしょぼする/目がゴロゴロする/目が重い/目が痛い/なんとなく目に不快感がある/目ヤニが出る/目が赤い/まぶしい/目がかゆい/物が霞んで見える/涙が出る」このうち五つ以上あてはまれば、ドライアイかもしれません。
ドライアイには次のような要因があげられます。○空気の乾燥(目の表面から涙液が蒸発しやすくなります)○瞬きが少ない(読書やパソコン操作に集中していると、瞬きの回数が減ります)○コンタクトレンズの装着(コンタクトレンズが水をはじくために、目が乾燥することがあります)○シェーグレン症候群(中年の女性に多い病気で、目や口、鼻などの粘膜が乾燥し、関節痛が起きることもあります)
ドライアイの治療には、○点眼薬で目を潤す。(保水効果のあるヒアルロン酸や涙を増やすという薬を点眼する)○涙点とよばれる涙を鼻に排出する小さな穴に特殊なプラグを刺し込む手術をして塞いでしまえば、涙を眼球表面に長く留めることができます。○フード付き眼鏡の利用(眼鏡の脇から涙が蒸発するのを防ぎ、小さな加湿器タンクがついているドライアイ専用眼鏡カバーで涙の蒸発を防ぎます)、などがあります。









