矯正歯科の認定制度について
昨日、道東にお住まいの患者さんが、地元には大人の矯正治療をしてくれる歯科医がいないと、ご主人に縁のある、函館の当院に来られました。 患者さんが電話帳等で調べたところ「矯正歯科」と表示している歯科医院は多いものの、電話してみると「大人は扱っていない」と断られたようです。
矯正歯科を手がける歯科医でも一部、入会していない方がおられますが、ほとんどの歯科医が入会している日本矯正歯科学会では、「矯正歯科医療の水準を維持し向上を図ることにより国民に適切な医療を提供するため」と謳っており、認定医制度を設け、矯正治療に関して適切かつ充分な学識と経験を有するものを「学会の認定医」として、ホームページに2077名公開しております。
また、日本成人矯正歯科学会では、ホームページで矯正歯科専門医68名についても、閲覧できるようになっております。
医科、あるいは歯科の他の分野では、すでに専門医制度が厚生労働省から認定され、広告その他により告示できるようになっています。
矯正歯科分野では日本矯正歯科学会が最も会員数が多く歴史が長い学会で、認定医制度も最も早くから設立しておりました。
現在、日本矯正歯科学会、日本成人矯正歯科学会、日本矯正歯科協会は、それぞれに専門医制度を定めておりますが、他の学会のように認められてはおりません。
それぞれの学会の、その審査基準は厳しく、過去の治療模型や写真、その他の資料を整え、それぞれの学会で審査が行われております。また、5年に1度、再審査も行われております。
道南地区では、日本矯正歯科学会の認定医は7名、登録されております。矯正歯科分野では、歯科衛生士のための「認定矯正歯科衛生士制度」や一般の方が勉強できる「歯並びコーディネーター」の制度などがあります。
イボについて
小さなお子さんから大人まで、イボに悩まされておられる方が多いと伺っています。
皆さんの身近にもいらっしゃいませんか?
イボには他の部分や他の人にうつるウィルス性のイボと、年齢や紫外線の影響でだんだんに増えてくる種類のイボがあります。
イボは医学用語では疣贅(ゆうぜい)といい、ウィルス性のイボには手足の関節部分や末端に生じる盛り上がっていて少し硬いイボ(尋常性疣贅)や直径1~2ミリの子供に多くでき、潰すと白い塊がでてくるミズイボ(伝染性軟属腫)、手の甲や顔面に多発する扁平性疣贅などがあります。
ウィルスによる病気には『水ぼうそう』や『はしか』など他にもありますが、これらは1度感染すると体に免疫ができるため、通常一生に1回しか罹りません。
しかしイボのウィルスに対しては、すぐには免疫ができません。
治療は古くからある漢方薬のハトムギまたはヨクイニンなどがよく用いられますが、イボが増え続けるときや薬を服用しても治りにくいときは皮膚科を受診してください。
尋常性疣贅や扁平疣贅では少し痛みはありますが液体窒素(-196℃)で凍結させる方法が一般的です。
通常1度では治りませんが週1回位通院して手当てをうけていると次第に治ってゆきます。
治りにくい方や痛みを感じやすい方は局所免疫治療法を選択することもあります。
ミズイボの場合は専用の器具を使い内容を圧出します。
ウィルス性のイボは痛みや痒みがなく、命にかかわる病気でもありませんが、ブツブツは不快なものですし、放置すると増えてきたり他人にうつったりします。
またウオノメやタコと間違えてほじくったりすると、広がってきたり、傷口から皮膚表面にいる細菌が入って二次感染をおこす心配もありますのでご注意ください。
視野の真ん中がぼやける、ゆがむ、暗くみえませんか
物を見る中心部がぼやけて、暗く感じる(中心暗点―ちゅうしんあんてん)、ゆがんで見える(変視症―へんししょう)という症状を自覚される場合、網膜の中心部、黄斑(おうはん)の病気が考えられます。
黄斑とは網膜(カメラに例えるとフィルムに当たる所)の中心にあり、物を見るために大切な部分です。その黄斑に異常をきたす代表的な病気を挙げます。
中心性網膜炎
眼底の中心部黄斑が丸く腫れる病気で、ストレスが多くかかる中年男性によくみられます。治療はストレスからの解放、睡眠をしっかり取ることが第一です。また、内服療法や早く治すためにレーザー治療を行います。ほとんどは半年くらいで治癒(ちゆ)しますが再発することもあります。心身の過労を避けることが大切です。
黄斑上膜
年齢の変化で黄斑の上に膜がはる病気です。中心部に膜がはると収縮し黄斑にしわがより、症状を自覚します。治療は視力低下やゆがみがないときは経過観察となりますが症状が強いときには手術の適応になります。
加齢黄斑変性症
アメリカで中途失明の原因の一位で、黄斑に異常な加齢変化がおこり症状がでる病気です。唯一の危険因子に喫煙があります。大きく二つのタイプがあり、萎縮型は病気の進行は緩やかで高度の視力障害はおこらないため積極的な治療はしません。一方、滲出型(しんしゅつがた)は脈絡膜(みゃくらくまく)から病的な新しい血管(新生血管―しんせいけっかん)が発生し、網膜のほうに進行します。治療は決定的な方法はありませんが新生血管をレーザーで閉塞させる光線力学療法、栄養血管をつぶすレーザー光凝固や黄斑下に出血を伴うときには手術を行うこともあります。
以上のほかにもいろいろな病気があります。目の治療で大切なのは早期発見、早期治療です。自分で少しでも異常を感じたら眼科専門医の診察をうけてください。
白と緑と黒
名前が似ている眼の病気に、白内障、緑内障、黒内障があります。
白内障は、眼球の中にある水晶体(カメラのレンズに相当)が濁る病気で、徐々に視力低下を来たします。
進行を完全に止める薬剤はまだ開発されていませんが、手術をすることで、低下した視力を取り戻すことが可能です。
緑内障は視野が欠ける病気で、末期になると視力も低下します。
40才以上では20人に1人の割合で罹患(りかん)していると報告されています。
失った視野を回復させる治療法はありませんが、適切な点眼加療で進行を止めることが可能ですので、できるだけ早期に治療を始めることが大切です。
一過性黒内障とは、急に片目が見えなくなる、または視野が欠け、数分から数十分で回復する病気です。
首や頭の血管に原因があることが多く、神経内科的、脳神経外科的な検査が必要です。
糖尿病の気がある、と言われていませんか?
日本人は、欧米人に比べインスリン分泌が弱く糖尿病になりやすいといわれ、今や40歳以上の5人に1人は糖尿病かその予備軍であるといわれています。背景としては、ここ10年くらいの総カロリー摂取量は変わらずに、自動車の保有台数と脂肪の摂取量が増えています。つまり、食事量ではなく食事の質が変化し、かつ歩かなくなったことが一因といえます。
糖尿病はどんな病気でしょうか?血糖値が高くなる病気なのですが、全身の細い血管を壊していく病気と思って下さい。長い年月をかけ、あまり症状を出さずに、徐々に血管を傷害していきます。脳に起れば脳梗塞、心臓に起れば狭心症・心筋梗塞、眼に起れば眼底出血のため視力低下し、腎臓に起れば腎不全となり透析が必要になります。これが、サイレントキラーと呼ばれるゆえんです。
それでは、どうすれば糖尿病を早期に発見できるのでしょうか?糖尿病の初期には自覚症状はありませんので、まず採血して調べることです。その採血にもコツがあります。糖尿病の初期の段階では、空腹時には正常で、食後の血糖値だけが高くなることが多いのです。その為、糖尿病が心配で受診される際は、食後1~2時間後の血糖値を調べてもらって下さい。そこで少し高いようならば、改めて糖尿病の精密検査を受けましょう。
糖尿病の精密検査は、糖負荷試験と呼ばれ、空腹で行う検査です。空腹で受診し、空腹時に血糖値を取り、その後甘いブドウ糖液を飲んでもらい、30分後、1時間後、2時間後にそれぞれ血糖値を測定する検査です。合計4回採血され2時間かかる検査ですが、これで糖尿病かどうか診断します。
境界型と呼ばれる糖尿病と正常者の間に位置する人=糖尿病予備軍であれば、体重を5%程度低下させ、1日30分運動すると糖尿病になるリスクを減らすことができます。
最近太り気味で糖尿病が心配な方は、まずは食後血糖から調べてみませんか?
若いときから卵巣を大切にする
思春期を迎えると、脳にある性腺が働きはじめ、卵巣から女性ホルモンが分泌されるようになり、月経が始まります。そして、元気な赤ちゃんを授かるためには、卵巣がきちんと働いて、卵子を十分に成熟させないといけません。卵子は赤ちゃんの基だからです。
ところが、やせ願望から無理なダイエットをすると、卵巣に届く栄養や酸素量が減り、卵巣は老化してしまいます。極端な場合には、数カ月のダイエットで卵巣年齢が五十代まで老化してしまうことさえあります。
ダイエットだけではありません。喫煙も卵巣の働きを低下させます。タバコに含まれる有害物質が卵子の成熟を妨げるのです。冷えも厳禁です。冷えは漢方では「淤血(おけつ)」といって、体内の血液循環が滞ることをいいます。冷えが強いと卵巣への血行が悪くなり、卵巣のエイジング(老化)を加速させてしまいます。
さらにいえば、性体験にも注意が必要です。パートナーからクラミジア感染症を移されると、女性は自覚症状がほとんどないために、感染に気づかないまま卵管に感染が広がり、不妊症の原因になります。
「妊娠したい」と思ったときに妊娠できるためには、若いころから卵巣を大切にする生活習慣を心がけることです。とくに以下のことに十分に注意したいものです。
- 健康な体の基本は食事です。栄養バランスのよい食事を一日三食、きちんと食べましょう。自己流のダイエットはいけません。
- 薄着でおなかを冷やすのはいけません。卵巣と子宮がある下腹部は温めることです。
- シャワーを控え、湯船への入浴で体を温めます。とくに寒い冬の朝にシャワーを浴びたり、シャンプーをするのは控えることです。
- タバコはやめましょう。家族の喫煙も間接喫煙によって、女性の卵巣機能を低下させます。家族みんなで禁煙したいものです。
- 性体験のある女性は、ぜひ、婦人科で定期健診を受け、健康を確かめましょう。
加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)に対する新しい治療
眼科では最近、加齢黄斑変性に対する新しい治療が始まっています。
加齢黄斑変性とは加齢が原因で眼のフイルムの働きをする網膜に変性が起こることで、「歪んで見える」「中心が暗い」などの症状を引き起こします。これまで光線力学的療法というレーザー治療が行われてきましたが、今年の3月より日本でも加齢黄斑変性治療薬であるラニビズマブの硝子体注射による治療が始まりました。
ラニビズマブは大多数の患者さんで視力の維持だけでなく視力の回復が証明された初めての薬剤で大いに期待されています。治療は通院にて月1回ラニビズマブを白眼の部分から眼の中心の硝子体という場所に注射し、これを3カ月間繰り返します。その後は、検査結果や症状をみながら必要に応じて注射することになります。
気になる症状がありましたら眼科医へ相談してみて下さい。
まだまだ、しもやけの季節です
しもやけは寒さによる末端の血行障害で、厳冬期よりも昼夜の温度差が10度以上ある初冬と初春に多いといわれています。
特に足指や耳、頬が赤く腫れ、時に水疱(すいほう)となり、温めると痛みや痒(かゆ)みが強くなります。
治療は血行を促す外用剤を優しくマッサージしながら、1日に数回塗布します。
炎症が強い場合には、ステロイド剤を使用することもあります。
重症の場合はビタミンEや漢方薬を内服することもありますが、症状が出る前の秋から始めると、予防効果があるといわれています。
手洗いや発汗後の水分が蒸発することで熱が奪われ、しもやけになりやすくなりますので、タオルで水分をしっかり拭き取ったり、靴下を交換することが大切です。
発熱や関節痛を伴ったり暖かい時期でも症状が続く場合には、他の疾患のこともありますので、その時は皮膚科受診をお勧めします。
雪目・目の日焼け
紫外線の暴露が原因
大量の紫外線を浴びた目は急性の角膜炎をおこし、目が充血したり、強い痛みが出たりすることがあります。いわゆる「雪目」がこの状態で「目の日焼け」と言われることもあります。顔に日焼け止めを塗るだけではなく、目の紫外線(UV)対策も忘れてはいけません。夏に比べて紫外線量は少ない冬でも、目にとっては危険がいっぱい潜んでいます。特に危ないのは雪山です。目に入る紫外線量を夏の浜辺と冬の雪山で調べたところ、沖縄県のビーチより石川県のスキー場のほうが2・5倍も高いことが分かったという調査があります。
また、溶接作業を防護マスクなしで行うと同じような症状を起こすことがありますが、これも紫外線の短時間での大量暴露が原因です。角膜炎だけではなく「強い紫外線を浴び続けると、白内障や翼状片になるリスクが高まる」とも言われています。紫外線の害は蓄積するため、紫外線量が少なくても安心はできません。
紫外線は反射する
浜辺における紫外線の反射率は約25%ほどですが、雪面では80%以上と高率で反射します。顔の形に合わないサングラスでは紫外線が隙間から入り込むため、冬の雪道では夏のビーチでサングラスをつけていない時と同じくらいの紫外線量を目が浴びていることも分かっています。
紫外線暴露軽減にゴーグルやサングラス、眼鏡が効果的
目を保護するのにもっともいいのはゴーグルですが、サングラスならしっかりと目を覆うものを使うといいようです。UVカットのコンタクトレンズや帽子も一緒に使えばさらに予防できます。雪が積もれば雪山だけでなく街中でも同じことです。雪の降る冬は日ごろから目のUV対策を考えた方がいいでしょう。
「目がごろごろして涙が出る」などの症状が気になる方は、一度、眼科医にご相談ください。
尿酸値と生活習慣病
「先生、いったい尿値はどのくらいまで下がればよいですか?」と、高血圧と糖尿病で通院しているAさんは神妙な顔で聞いてきました。
どうやら、以前に痛風の病歴があり整形外科の先生から尿酸値を下げる薬を処方してもらっているのだが、もう足は痛くないので薬をやめてみたいとの相談でした。
尿酸は体の中で産生されて尿中へ排せつされることによって、その量は常に一定に保たれています。
しかし、産生と排せつのバランスが崩れ血液中の尿酸値が上昇し7・0㎎/㎗以上の状態が持続すると、尿酸は関節内に結晶として出現し、蓄積した尿酸結晶は激痛を伴う痛風発作を引き起こします。
尿酸は温度が低いほど血液中に溶けきれなくなるので、足先などの体温が低い部分の関節に痛風発作が多いわけです。
体温が35度以下になっても尿酸がしっかり血液に溶けている状態を維持するためには、尿酸値を6・0㎎/㎗以下にすることが勧められます。
また、尿酸は血管壁を障害するため、動脈硬化による疾患(心筋梗塞や脳梗塞)、腎臓病、心不全などとも関連しています。
尿酸値の高い人が高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を合わせ持っていると、尿酸による血管障害をさらに増悪させることが分かっています。
しかし高血圧や糖尿病では、尿酸値が低すぎても心筋梗塞や脳梗塞の発症が増加すること(Jカーブ現象)も知られています。
そのため、尿酸値の管理目標値は5~6㎎/㎗とするのが最適です。
まさにAさんのような場合は、高血圧と糖尿病などの生活習慣病の治療と並行して尿酸値のコントロールがとても重要です。
夏場は水分を多めに取ること、野菜や海草を取り尿をアルカリ化させること、アルコールやプリン体を取りすぎないこと、適度な運動をして減量することなどに努め、必要時には適量な薬剤を服用し、食生活、運動、薬物治療などの総合的な治療管理を継続していくことが大切です。









