ドライアイ
まばたきをしないで10秒間、目をあけていられますか?
できなければドライアイかもしれません。
目の表面はいつも涙でおおわれていなければなりません。
なぜなら涙はただの水ではなく、目に必要な栄養や、外界の雑菌をやっつける成分を含んでいて、目にとって大変重要な役割を果たしているからです。
ドライアイとは、この大切な涙の産生が不足して、または、涙に含まれる成分が変化することにより眼表面での分布が不安定になり、どんどん蒸発した結果、目の表面がただれている状態のことをいいます。
【ドライアイの原因】
年齢を重ねると涙を作りだす涙腺の機能が低下し、分泌量が減少することがあります。
また、涙の成分構成が変化して蒸発が速まる場合があります。
現代はドライアイになりやすい環境がそろっています。
集中してPCやゲーム機のモニターを見ることでまばたきの頻度が低下します。
今年は例年に無い残暑でしたが、職場や車のなかではエアコンが効いていて、体は快適でも目には過酷な環境となっています。
血圧を下げる薬や、精神疾患薬のなかには涙の分泌を減少させるものがあります。
目薬にも目の表面をただれさせるものがあり、特に緑内障の薬を使用している場合は定期的な観察が必要です。
膠原病や関節リウマチなどの全身疾患ではドライアイを併発することがあります。
【ドライアイの治療】
人工涙液とよばれる涙の成分に近い点眼薬や、目の表面を保護するヒアルロン酸ナトリウム点眼薬がよく使われます。
また最近、眼表面での涙液の安定性を高める点眼薬も使われ始めました。
涙点プラグ挿入術は、涙が鼻の奥に流れ出ていかないよう、涙の排水口にふたをする治療法です。
少ない涙液分泌量でも貯留量を増やすことができ、ドライアイの状態を改善させることができます。
点眼薬は作用が強い弱いではなく、どれが最も効果的かということが一番重要です。
我々眼科医は、一度の処方ですぐに決めるのではなく、眼所見の変化をみながら薬を取捨選択し、決定していきます。
眼瞼下垂(がんけんかすい)について
眼瞼下垂とは目をあけても上まぶたが十分に開かない状態のことをいいます。眼瞼下垂があると、視覚の発達期にある小児では弱視、斜視、屈折異常の発生に関係し、高齢化社会の今日しばしばみられるようになった加齢性眼瞼下垂も、高度になると日常生活に不便を来たし生活の質を低下させます。
眼瞼下垂は生まれつきまぶたをあげる機能が弱い先天性眼瞼下垂と、後天的な要因で生じる後天性眼瞼下垂に分かれます。
先天性眼瞼下垂では、まぶたを上げる筋肉[上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)]の力がかなり弱いか、上眼瞼挙筋が欠損しているため十分にまぶたが上がらなくなっています。
後天性眼瞼下垂症には、腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)、神経原性眼瞼下垂(しんけいげんせいがんけんかすい)、筋原性眼瞼下垂(きんげんせいがんけんかすい)、腫瘍性病変によるものなどがあります。まぶたを上げる神経の障害(動眼神経麻痺や脳梗塞後遺症など)、筋肉自体がこわれてしまう病気(筋緊張性ジストロフィーや重症筋無力症など)では原疾患の治療にて改善が期待できることもありますが、薬物治療などで改善が認められない場合には患者さんの状態に応じて手術を行うことがあります。
後天性眼瞼下垂のなかで腱膜性眼瞼下垂は、加齢や化粧、アレルギー性結膜炎、コンタクトレンズの長期間使用などでまぶたがこすれることにより、まぶたの板[瞼板(けんばん)]とまぶたを上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の間をつないでいるすじ(腱膜)が瞼板からはずれてゆるんでしまうことにより生じます。この結果、まぶたを開けようとして上眼瞼挙筋が収縮しても、その力が十分に瞼板に伝わらなくなるため眼瞼下垂になります。この症状があると、これを補うために眼瞼挙筋に付随している筋肉(ミュラー筋)を収縮させてまぶたを開けることになります。ミュラー筋が収縮するためには自律神経の交感神経が緊張する必要があり、交感神経が常に緊張していると頭痛や肩こり、手足の冷え性、不眠などを生じることがあります。治療はゆるんではずれてしまった腱膜を瞼板にとめなおす手術を行います。
また、まぶたが開けにくい患者さんの中には、まぶたが痙攣をする病気(眼瞼痙攣)を伴っていることがあり、治療は痙攣を抑える作用をもつ薬をまぶたの筋肉に注射します。
このように眼瞼下垂には原因がさまざまあるので、治療法もさまざまです。まずは眼科医を受診して眼瞼下垂の原因を見つけることが先決です。脳動脈瘤など他の病気の影響だったり予兆だったりする場合はこちらの治療が優先となります。医師に相談し原因を見つけて適切な治療を受けましょう。
血液内科にご相談を
血液に関する病気と言えば、白血病など重篤な病気を思い浮かべるかもしれませんが、貧血、あざや内出血、鼻血など身近な症状も血液内科の専門分野です。
血液の中にはさまざまな成分が含まれており、そのひとつに赤血球があり、その中のヘモグロビンが体内に酸素を運ぶ重要な働きをしています。
ヘモグロビンの合成には鉄が必要です。鉄の欠乏は、供給量と需要量のバランスが負に傾くことによって生じます。
鉄が不足するとヘモグロビンが産生できず鉄欠乏性貧血になります。
貧血の90%以上がこの鉄欠乏性貧血です。
鉄は体内で生成することはできないので、食事で効率よく摂取しなければなりませんが、非常に吸収率が悪く、過剰摂取は良くないと体が分かっているので少しずつしか吸収できないようになっています。
鉄分のサプリメントもありますが、食材から摂取する方が吸収効率はよいです。
ほうれん草や小松菜、レバーなどの鉄分を多く含む食材を取り入れながら、バランスの良い食事を毎日心がけていれば、自然と必要な鉄分が摂取でき、貧血予防・改善が図れます。
よく、めまいや立ちくらみが貧血の代表的な症状のように言われますが、実は貧血の主な症状は「息切れ」です。
酸素不足になると、もっと呼吸をして酸素を取り込もうとして息切れしやすくなるのです。
日常的に息切れを自覚されている方は貧血を疑った方がいいかもしれません。
息切れ以外の症状としては、爪が割れる、口内炎ができやすい、肩こり、冷え性、頭痛、むくみなどが貧血のサインと言えます。
普通に生活をしていて、「血液がおかしい」と思われる方は少ないと思いますが、息切れなど気になる症状がある場合は、血液が危険信号を発信しているサインなのかもしれません。
一度、血液内科で相談または、診てもらった方が安心です。
解熱剤の有効な使い方
風邪を引いて高熱が出るとまず解熱剤を使用したくなりますね。
以前は発熱は身体が衰弱するので直ぐに解熱剤を使用して熱を下げなくてはいけないという考えがありました。
しかし現在は解熱剤の使用をなるべく控えるように指導しています。
その理由の一つに風邪のウイルス等は体温が低い方が繁殖し易い、つまり体温が高い方が増えにくいのです。
また体温が上がった方が免疫担当細胞の活性が上がりやすく細菌やウイルスをやっつけ易くなります。
他にも色々な理由がありますが体温が高い方が悪い病原微生物をやっつけ易くなると言うことです。
しかし高熱で辛そうにしている状態をそのままにしておくことも出来ません。
では解熱剤はいつ使ったら良いでしょう。
私は解熱剤の使用するタイミングを体温ではなくて状態を優先しましょうとお話ししています。
高熱でも元気にしている子がいるかと思えば、たいした熱で無くてもぐったりしている子もいます。
特に乳幼児は自分の状態をうまく話せません。
こういった場合、その子の食欲やご機嫌で判断します。
高熱でも元気で食事がとれている子は解熱剤の使用は必要ありません。
水分を取らせ冷たいタオルでクーリングしていれば良いのです。
解熱剤の目的はただ体温を下げる為に使用するのでは無く、水分や栄養がとれる様に、薬が飲める様になる為に使うといっても良いでしょう。
発熱直後はまだ体力も十分にありますので多少食欲が落ちていても無理に体温を下げる必要はありません。
それよりも病原微生物と戦う為の生体防御反応としての発熱ですので無理に下げてしまうことの方が結果的に病気を長引かせる可能性があると言うことを理解しましょう。
また、高熱によりなかなか寝付けないでいるような時にも使用すると良いでしょう。
どうしても体温をめどに使いたいときはなるべく38.5℃以上になってから使用するようにしましょう。
解熱剤の使用については主治医の先生の説明を良く聞くようにして下さい。
小学校入学前にもMR(麻しん・風疹混合)ワクチンを打ちましょう
今年は、予防接種のやり方に大きな変化がありました。それは、小学校入学前の一年間(年長さんの時)に、MR(麻しん・風疹混合)ワクチンをするようになったことです。今年の四月にこれまで一歳から七歳半までが対象だった麻しんと風疹のワクチンが、一歳から二歳までのMRワクチンに変更になりました。
この時に、年長さんの時にもう一回MRワクチンを打つことが定められたのですが、四月の時点では一歳から二歳の間にMRワクチンを打った人だけが対象と、打つ子供の制限がありました。全国の小児科医はこの変更に猛反対をし、六月に急きょ、これまで麻しんワクチンや風疹ワクチンを単独で受けたお子さんにも対象を広げることが決まりました。
最近、麻しんや風疹の流行はほとんどなくなりました。しかし、流行がほとんどなくなったために、ワクチンを一回打ったら一生大丈夫ではなくなりました。ワクチンを受けた子供が何年か経って抵抗力が落ち、麻しんの流行にさらされる危険性が増しています。このため、もう一回ワクチンを打って抵抗力をつけなければなりません。
麻しんは今でもインフルエンザ以上に子供の命を奪う恐ろしい感染症です。
また、風疹の流行があると、生まれてくる赤ちゃんに心臓や目、耳の病気をもたらすことが知られています。
これらの流行をなくするためには、ひとりひとりが自分を守るためと、まだ見ぬ命を守るためにワクチンをしていかなければなりません。
行政は広報に努めましたが、年長さんの接種率はまだまだ低いようです。
来年の就学前までに忘れずにワクチンを受けるようにしてください。たとえば北斗市や七飯町ではワクチンの接種券が郵送されています。函館市のお子さんは各医療機関に接種券がありますので、それを利用すればワクチンは無料です。
役場に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
あなたの大切なお子さんをぜひこのワクチンで守ってあげてください。
新型コロナ感染症が5類になりました
5月8日より、新型コロナウイルス感染症が5類になり、これからは医療もウィズ コロナの時代となります。
5類になって、感染者の自宅療養についての法的拘束力はなくなり、自己判断となります。 発症日を0日として5日間、かつ、風邪症状が消失して24時間経過していることが目安となります。感染力の強いウイルスなので、5日間たったから大丈夫ということではなく、症状が改善しているかを考慮しましょう。
この間の、公共の交通機関の利用や買い物などは規制されません。ただし、感染を広げないように、移動・買い物は短時間で済ますこと。ウイルスの排出の少ない不織布のマスクを着用しましょう。 感染後10日間は、マスク着用が推奨され、この間はリスクの高い高齢者との接触は避けましょう。
コロナ感染症は、セルフチェックができます。現在、コロナウイルス感染の抗原検査キットが販売されています。検査キットは、厚生労働省の認可済みのキットを使用してください。ケースに研究用と書かれているものは不可。厚生労働省の認可済みのものは、体外診断用医薬品(第1類医薬品)と表示されています。認可済みのものは、われわれ医師の使っているキットと同じ精度です。
また抗原検査キットの使用についてはこつがあります。熱が出たので心配で…すぐ検査。という気持ちは分かりますが、しっかりと判定するためには、24時間程度時間が経過してからの方が正診率が上がります。発症直後には、ウイルス量が少なく、反応しないことがあるので要注意です。
熱冷ましや風邪薬を使用しても検査には影響がありませんので、熱が出たらまずは仕事を休む。その後検査キットを使用して確認する。キットが陰性でも風邪の症状があるうちはできる限り人と接触しない。会うのはマスクを着用して短時間で。
ウイルスは何も変わっていません。恐れ過ぎず、賢く付き合いましょう。
成人の視力障害原因の第1位は?
現在、成人の視力障害の第1位は糖尿病網膜症です。
糖尿病網膜症は糖尿病に伴う3大合併症の1つで、その程度は様々ですが、場合によっては失明することもあります。
眼の網膜は細い血管で構成されていて、糖尿病により血液中の糖分が増え粘度が高くなると、網膜血管がつまってしまいその結果、網膜に血液が循環されなくなります。
これが原因となって網膜に出血や浮腫を起こしたり、硝子体に出血を起こし、視力が低下すると考えられています。
糖尿病網膜症にならないための一番の予防は血糖のコントロールです。
糖尿病網膜症の進行スピードは人それぞれ異なりますが、血糖のコントロールが悪ければ悪いほど、悪い期間が長ければ長いほど、糖尿病網膜症は早く進行することが知られています。
また、高血圧や高脂血症も糖尿病網膜症の進行の危険因子であることが知られています。
これらを改善するためには内科へ定期通院し、全身管理を継続的に行うことが大事と考えられています。
我々、眼科医は採血データの中でHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を指標にして、網膜症の進行を予想しています。
眼科と内科の連携には糖尿病手帳というものがあり、HbA1cも記載されますので、是非利用してください。
糖尿病網膜症は初期には自覚症状に乏しく、視力の低下など自覚症状が出てきた時には病気がかなり進行していることがあり、場合によっては視力の回復が難しいことがあります。
しかし、早期から眼科を定期的に受診し眼底検査をしていれば、必要な時点でレーザー治療を行え、病気の進行をある程度予防することが可能です。
糖尿病になったら、たとえ自覚症状がなくても、定期的に眼科を受診してください。
また、血糖のコントロールが落ち着いていても、糖尿病網膜症は数十年してから発症することもありますので、最近通院されていない方もこれを期に一度眼科を受診されてはいかがでしょうか。
さまざまな「痛み」の改善に努める 患者個々人に最も適した疼痛治療を実施
産業道路の花園十字街にほど近い「やなづめ医院」は1990年に開設。
診療では主に神経痛や慢性頭痛、がん性疼痛、帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、線維筋痛症など、痛みを伴うさまざまな疾患に対応し、ペインクリニック(疼痛)外来を開設している。
「どこの病院に行っても原因がわからず、慢性的な痛みに悩んでいる患者さんが多くいます。
痛みを自然に止める経路に、疼痛下行性抑制経路というのがありますが、それが弱くなると、ごくわずかな刺激でも痛みを伴うことがわかってきました。
まず日常の生活など患者さんの話をよく聞いた上で診断し、個々人に最も適した治療を選択するよう心がけています」と、簗詰泰彦院長は話す。 治療では局所麻酔による神経ブロック(注射)や消炎鎮痛剤、痛みの性質に応じた薬物療法、低周波治療器などの理学療法などを駆使しながら改善を図っていく。
また漢方を併用することもある。院内はバリアフリー対応で車いす用トイレも完備している。
ウオーターベッドやローラーベッドなど血液循環を向上させ、腰痛や肩こり、不眠、ストレスを解消させるリハビリ機器も備えている。「帯状疱疹など神経痛は改善することができます。何科を受診していいのかわからない方などは気軽にご相談ください」と話す。
ペットボトル症候群
糖尿病の急性合併症の一つに糖尿病ケトアシドーシスがあります。
ケトンという酸性の物質が体の中にたまって血液が通常より酸性(アシドーシス)になった状態で、嘔き気(はきけ)・嘔吐(おうと)や倦怠(けんたい)感が出たりします。
放置すると意識障害を起こし、命にかかわることもあります。
糖尿病の患者さんが糖分を含む清涼飲料やスポーツドリンクなどを大量に飲むと、血糖値が上昇するため喉の渇きが強まり、さらに清涼飲料を飲んで血糖値が上昇するという悪循環に陥ります。
その結果、著しい高血糖とケトアシドーシスを来します。
糖尿病の人はもちろんですが、糖尿病の自覚のない隠れ糖尿の人にも起こることがあり、この人達がペットボトル入りの清涼飲料をたくさん飲んでいたことからペットボトル症候群と名付けられました。
特に肥満の若年男性に多いといわれています。ご注意を!
スマホ老眼が急増!!
人間の目の構造は、カメラに似ています。
水晶体はカメラのレンズにあたり、遠くを見る時は薄くなり近くを見る時は厚くなるように調節しています。
老眼とは、この調節力が衰えてくる状態で40歳前後から始まります。
しかし、最近は近くが見づらい、かすんで見える、夕方になると物が見づらい、頭痛、肩凝りなどの老眼の症状が小学生から30代までの若い方にも出てきているのです。
スマホの普及によりスマホゲームをやる人も多く、若い人は1日平均7時間以上、10人に1人は15時間以上もスマホを見ているとの調査結果もあります。
こんなに長時間スマホを見ていると、調節力が衰えて老眼と同じ症状が出る、いわゆる「スマホ老眼」になってしまいます。
また、下向き姿勢で頬やあごもたるみ、老け顔になるとも言われています。
ぜひ眼科で正確な視力検査を受けてみましょう。









