手のひら・脇の多汗症
緊張したときに手のひらや脇にかく汗で悩んでいる方は意外と多いのです。
この精神性発汗の異常亢進を掌蹠(手のひら)多汗症や腋窩(えきか)多汗症とといいます。
この症状は精神的に緊張しやすいから発汗しやすいのではなく、わずかな緊張でも発汗してしまうという汗の腺の発汗閾値の低さ(汗のかき易さ)が原因で、精神的な緊張を若干和らげた程度の薬剤の内服では症状の回復は難しく、悩んでいるが諦めている方も多い疾患です。
汗の腺は交感神経であるコリン作動性神経の刺激で発汗するため、ボツリヌスA型毒素による治療は有効です。
この治療は有効期間には個人差はありますが、数カ月の効果があります。
この治療は少量の薬液を皮下に注入する方法で、短時間(30分程度)で治療が可能なことです。
治療方法、効果期間、治療費、注意事項など十分にお聞きになって治療をお受けになってください。
お薬の管理について
お薬の管理はどのようにしていますか?
長期にわたり通院や複数の医療機関に通院している方は、お薬の種類も多くなりがちです。
通院がなかなかできないから、とたくさん処方してもらって、たくさんのお薬が残っていませんか?
お薬の中には湿度が高い状態を苦手にしているものもあります。自宅での長期間の保管はお薬の性状を変える可能性もあります。
一度残っているお薬を確認してみてください。
また、医療機関を受診する際は「お薬手帳」を必ず持参してください。
お薬の重複やよくない飲み合わせを未然に防止でき、より安全にお薬を処方することができます。
この「お薬手帳」にはドラッグストア等で購入した一般用医薬品や健康食品なども、自分で記載しておくと受診時に、よくないお薬の組み合わせや食べ合わせが思いがけず見つかることがあります。
「お薬手帳」は、いつも携帯してください。
旅行先で病気になった時や災害時に避難した時、また救急外来を受診した時などに飲んでいるお薬を正確に伝えられます。
また飲んでいるすべてのお薬を「1冊に」記録することが大切です。
病院ごと薬局ごとで別々に「お薬手帳」をもらっている方は、一冊にまとめましょう。
お薬の管理が難しく、飲み忘れや、飲んだことを忘れて2回服用してしまうことはありませんか。
また、きちんと内服できていても、毎日の管理が大変と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
お薬の管理が自分で困難な場合は、薬剤師がご自宅に訪問してお薬の設置支援を行うことも可能ですし、介護サービスをうまく利用して服薬介助を受けることも可能です。
また処方日数や剤型等の変更が可能なことがありますので、まずは主治医に相談してみてださい。
『強迫性障害(きょうはくせいしょうがい)』について
日常、頭の中にはいろいろな考えや、記憶、イメージが浮かんでは消えているのが普通です。
何かに集中している時には浮かびにくく、そうでない時には浮かびやすいものです。
一時的にはいろいろな事が頭の中に浮かびますが、特に気に留めるひまもなく消えて行っているわけです。
しかし、ある考えがくり返し浮かんできてしかもそれが容易には消えず不快に感じられる時、その考えを「強迫観念」と言います。
たとえば「(バイ菌や汚れ、洗剤、殺虫剤などに)汚染される」、「鍵をかけ忘れたのではないか」、「ストーブの火を消し忘れたのではないか」、「誰かを傷つけてしまうのではないか」、「不吉な事が起こる」など様々な考えが頭の中を占めてしまい、不安、心配、恐れ、罪の意識などを感じることがあります。
一般的にはこのような考えがあまり現実味のないものであり、不合理であることはわかっているのですが、どうしても浮かんでしまうというのが普通です。
そしてこれらの考えにもとづく不快を何とか楽にしようとして行う行動(くり返し手を洗う、何回も鍵を確認したり、ストーブの火を確認する、誰かを傷つけていないかくり返し聞く、など)を強迫行為と言います。
これは多かれ少なかれ誰にでもあることかも知れませんが、日常生活に支障があるほど強い場合には「強迫性障害」と呼ばれ、治療の対象になります。
治療には薬物療法と心理療法があります。薬物療法としては、ある種の抗うつ剤、精神安定剤が使われます。
心理療法としては、不快を避けようとせずに耐える訓練をしたり、不快を感じさせる観念とそれに伴う不快をむしろ意識的に細かく観察し、積極的に体験する方法などがあります。
健康な肌のためのサプリメント外来
肌のしみやくすみ、なかなか治らない肌のトラブル、難治性のニキビや湿疹などで悩んでいる方の中には栄養バランスが極度に悪い方が存在します。
また、極度のストレスで栄養状態が悪くなると免疫が低下して、一番外界と接している肌にトラブルが生じます。
立ちくらみ、めまい、肩こり、頭痛、生理前の不調など症状のある方、肉や卵は食べず、豆腐や納豆など、野菜中心の方ダイエットのためスポーツをする方、またアルコールをよく飲み、口内炎ができやすい方は、鉄、たんぱく質(アミノ酸)、ビタミンB群の欠乏が予想され、これらの欠乏により、しみ、くすみ、難治性の肌のトラブルを起こすことがあります。
サプリメント外来はこのような肌の症状があり、また日常生活で上記の症状がある方に対して血液検査を行い、栄養状態を判断して、その方にあった適切なサプリメントを提供します。
20歳代後半から40歳代の目の下のくすみや顔の色調の悪さに悩んでいられる女性の方は鉄やビタミンB群の欠乏が予想されます。
また、ストレスが多く、眠れない方、自律神経が不安定な方はタンパク質(アミノ酸)、ビタミンB群の欠乏が予想されますが、より生理学的に判断するためには血液検査が必要となります。
当クリニックでは栄養状態がよくないとスピード感のある治療はできません。
砂漠に光を当てても草木が生えないように、オアシス化した状態で初めて草木は育ってくるのです。
『医食同源』とよく言われることですが、いろいろな治療においても栄養環境が悪いと迅速な良い結果は期待できないことがあります。
『肌の状態で健康状態が分かる』、『健康状態を肌は表している』、バランスの良い食事を取らないと、健康如いては肌の状態も悪くなります。
赤あざ
赤あざ(単純血管腫、イチゴ状血管腫、毛細血管拡張症)の治療にはVビームという色素レーザーを使用します。
このレーザーは冷却システムがあり肌を守りながら治療するのでレーザー照射時の痛みは輪ゴムで弾かれた程度です。
赤あざへのVビーム治療には保険が適用されます。
単純血管腫は赤あざの一種で肌の表面の毛細血管が広がった病気です。
子供のころから現れ、大人になっても小さくなりません。
イチゴ状血管腫は生まれた時はないのですが、生後1カ月ぐらいから出てきて肌が赤く盛り上がりイチゴのように見える血管の病気で7歳頃までに75%の人で小さくなってくるといわれています。
ただ、色は薄くなりますが、肌質の問題から最近では早いうちからのレーザー治療を開始することをお勧めします。
毛細血管拡張症は赤ら顔ともいわれ肌の表面に細い血管が拡がっている症状でいろいろな原因があります。
Vビームレーザー治療は1回の治療で終了するのではなく期間をあけて治療を繰り返すことで目立たなくなってきます。
心不全について
日本では、がんが死因のトップです。しかし、高齢者では心臓病・脳卒中で亡くなる人の数は、がんとほぼ同じで、超高齢者になると、心臓病・脳卒中で亡くなる人の方が、がんより多くなります。
男性の平均寿命は81歳、女性では87歳と、世界2位の高さです。介護を受けずに、元気に生活できる健康寿命は、男性で9年、女性だと12年、平均寿命より短くなります。人生の最後に、10年近く、誰かの介護を受ける必要があるのですが、その原因の第一位は脳卒中で、心臓病と合わせると、要介護になる原因の4分の1を占めています。
心臓病が悪くなると、(元の病気は心筋梗塞、弁膜症、心筋症などいろいろですが)心不全になります。心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。全国で、心不全のために入院する人は、2017年には年間26万人でした。35年には、132万人になると推計されています。日本の人口は減少していますが、超高齢化が進むために、心不全の人は増えていきます。心不全の治療は進歩しているのですが、5年生存率は60%程度で、良くならない種類の病気です。
心不全は、4段階のステージに分類されています。
(A)危険因子はあるが、心臓病のない人
(B)心臓病はあるが、心不全症状のない人
(C)心不全症状がある人
(D)軽い動作で心不全症状が出る人。
ステージCやDでは、息苦しさや疲労感などの症状が軽くなることを目指すので、治癒するということはありません。
AやBの段階で、病気が進むのを予防するのが、心不全の治療としては良い方法です。危険因子とは、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などです。普段からかかりつけ医とよく相談しながら、減塩をする、体重を管理する、適度な運動習慣を身に付ける、適切な薬の処方を受けることが肝心と思われます。
重い病気になると、治療は難しくなりますが、予防的な治療は、毎日根気よく続ければ、重病になるのを防いでくれます。
大人のメガネ
屈折異常の種類は主に3種類あります。
最初は近視。
近視は、遠くはぼやけますが手元ははっきり見えます。
現代の生活では近くを見ることの方が多いため、メガネが不要な状況も多いです。
メガネをかけたまま近くの作業をしていると逆に疲れやすいかもしれません。
ただし、自動車の運転時は遠くをはっきり見るため、必ずメガネを使用して下さい。
二番目は遠視。
遠視の方は、子供の頃の視力が2.0~1.5で、目に自信を持っていることが多いです。
でもそれは、若い時の柔軟性が遠視を打ち消していただけで、物を見るためには過剰な緊張が必要です。その緊張が、眼の奥が痛い、肩こりなどの原因になります。
症状がある方は、メガネを常用しましょう。
最後は乱視。
比較的視力に影響しませんから通常メガネが不要です。
度が強い場合は視力低下、疲れの原因になるのでメガネの使用を考慮するとよいでしょう。
健診のススメ
コロナの影響で、昨年は、職場の健康診断や、特定検診、または、定期的に受けていた検査が延期や中止になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特定検診は、指定された病院やクリニックで、国民健康保険に加入されている40歳以上の方であれば、無料で受けることができます。
健康診断で必ず行われる身長・体重測定。そこから「BMI」を計算することができます。
「BMI」とは、成人の肥満や低体重の指標です。BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
厚生労働省では、BMIの目標値を、18歳~49歳で18.5~24.9、50歳~64歳で20.0~24.9、65歳歳以上、21.5~24.9と定めています。
日本人での平均寿命を調査したデータでは、最も寿命が短いのが18.5未満のやせ型の人であったという発表もあります。もちろん、肥満は生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)のリスクが高まりますので注意が必要ですが、やせすぎも問題になりますので食事や生活習慣を見直すことも大切です。
人間の身体は、体内で起こっている変化をなるべく表に出さないようにする性質があります。これを「ホメオスターシス(恒常性の維持)」といいます。身体の様々な臓器の変化も、初期の状態では、身体のホメオスターシスが働き、症状を感じることはありません。症状が出てきたということは、症状が隠し切れない程、病状が進んでいる可能性があるということです。
がんの治療で、最も大切なことは、「早期発見・早期治療」です。そして、早期発見のためには、症状が何もない時こそ、健康診断を受けておくことが大切です。
最近でも、自覚症状のない芸能人の方たちが、テレビの特番での健診で、がんや様々な病気の早期発見をされて無事に早期に治療に進めたというニュースもありました。
確かに、レントゲンや採血だけで、病気の全てが見つけられるわけではありません。
しかし正常範囲であっても、昨年よりは悪化していたりすることで、次回の検査まで、生活習慣の改善を考慮するきっかけとなるでしょう。
また、普段、定期通院されていない方も、健康診断の医師との問診時に、日頃気になっている症状を相談することによって、不安が解消されたり、隠れていた病気を見つけることができるかもしれません。
脳梗塞(のうこうそく)予防に禁煙を
今年、法律の改定で、禁煙が保険診療の対象となりました。何故、今、「禁煙」なのでしょうか?
脳梗塞と喫煙の関係から考えてみます。
欧米では、喫煙により脳梗塞の危険が二倍以上に増えると言われています。日本の研究では、脳梗塞をラクナ梗塞(小さな梗塞のことで、無症状の場合に“隠れ脳梗塞”とテレビでは呼んでいるようです)、アテローム血栓性梗塞(主に太い動脈にコレステロールが溜まって発生します)、心原性塞栓症(しんげんせいそくせんしょう―不整脈などの心臓病が原因の脳梗塞)の三つのタイプ別に発症率を調べたところ、ラクナ梗塞でのみリスクの上昇が明らかでした。
喫煙は動脈硬化を進行させ、血液粘度も上昇させる(いわゆる、“血がドロドロになる”)ために、脳梗塞を生じやすくすると考えられています。細い血管が詰まって生じるラクナ梗塞との関係が深いことから、喫煙によるリスクの上昇は血液粘度の上昇などの影響が大きいと考えられています。
ところが、血液粘度は禁煙により改善することが可能なのです。
欧米の研究によると、脳卒中のリスクは禁煙後二年以内に急速に低下し、五年以内に非喫煙者と同じレベルになるといわれています。最近、コレステロールなどによる動脈硬化は、薬を長期に服用することで、ある程度改善するといわれていますが、禁煙は薬の要らない、即効性のある脳梗塞の予防手段なのです。
医療費を削減したい政府にとって、格好の方法だということがお分かりでしょう。禁煙は政府にだけ都合がいいのではありません。愛煙家にとっても、お金がかからず(むしろ日々のタバコ代が浮きます)、健康になれる絶好の方法なのです。
昔、喫煙を注意された高校生の父親が、呼び出した教師がタバコを吸うのを見て、「いい大人がタバコを吸うなんて○○じゃないの。タバコなんてものは、子供がいたずらするもので、大人になったら止めるものだ」と言うコントがありました。
皆さんはどう思いますか?
(○に当てはまる文字はご自分でお考え下さい)
老眼の方! いいですよ! 遠近両用コンタクトレンズ!!
早い人では40歳代になると、老眼が始まります。
老眼とはカメラに例えれば、オートフォーカス機能が壊れてきて、遠くにも近くにもピントが合わなくなっている状態です。
そこで、遠くも近くも見やすくなるように助けてくれるのが遠近両用メガネです。
しかし、いろいろな事情でメガネだけでは困る方には、遠近両用(多焦点)コンタクトレンズ(以下CL)があります。
これは、2週間タイプと1日タイプがあります。
ただし、乱視が強い方は、乱視&遠近両用を兼ね備えたCLは存在しないので、見えづらいかもしれません。
老眼を感じ出したら、まずは眼科を受診し、老眼鏡や遠近両用メガネを処方してもらいましょう。
それから、遠近両用(多焦点)CLを試してみるのはよいと思います。
CLは、心臓のペースメーカーと同じ高度管理医療機器ですから、専門の眼科医にご相談下さい。









