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加齢黄斑変性治療の現況

眼科2018/02/26

 加齢黄斑変性は欧米で多い疾患でしたが、わが国でも増加し、現在視覚障害の原因の第4位です。
眼に入った光の情報は角膜、水晶体、硝子体を通って網膜に像を結びます。
網膜の中心にある黄斑は視覚をつかさどる重要な細胞が集中し、ものの形や大きさ、色などを識別しています。
加齢黄斑変性はここに新生血管が生じ、視機能が低下します。

 これまで治療法はありませんでしたが、2005年から光線力学的療法(PDT)が始まりました。
これは薬剤を静脈注射し、黄斑にレーザーを照射することで薬剤が反応し、新生血管だけを退縮させる治療です。

 08年からは血管内皮増殖因子(VEGF)の働きを抑える薬を眼に注射し、新生血管を抑制する抗VEGF療法が行われています。
これはPDTよりも視機能の改善の効果があり、現在治療の中心となっています。
薬剤が高価であることや再発に対して繰り返し投与しなければならないことが今後の課題です。

 12年に人工多能性幹(iPS)細胞の研究がノーベル賞を受賞しました。
14年にそれを臨床応用し、自分のiPS細胞から作られた網膜細胞の移植が1例行われ、悪性化や拒絶反応はなく、術前矯正0・1程度の視力が維持されているとのことです。

 昨年には他人のiPS細胞から作られた網膜細胞の移植が5例行われました。
これも安全性を確認する臨床研究ですが、そのうち1例で合併症を認めました。
今後、この治療のさらなる開発、改善が期待されますが、視機能の改善が認められ、広く行われるようになるまでにはまだ時間がかかると思われます。

 現況としては早期から現在の抗VEGF療法を開始し継続することが望ましいでしょう。


Text by 江口眼科病院 森 文彦( 2018年2月26日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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