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冬の入浴と血圧

内科2011/12/19

「先生、昨晩お風呂から出たところで胸が苦しくなりました」と、高血圧のために通院中のAさんは心配そうに言いました。話をよく聞くと、いつも入浴前に自分で測定する家庭血圧が、最近は夏ごろより高くなっていたとのことです。

 冬は血圧管理に注意が必要な季節です。冬の寒さで血管が収縮し、血圧を上昇させ脳卒中や心筋梗塞を起こすことがあります。特に入浴時には十分な注意が必要です。なぜなら脱衣所の寒さにより血圧が上昇し、浴室も寒い場合には浴槽に首や肩まで深く浸かろうとするため水圧によりさらに血圧が上昇します。また寒い時には長湯になりがちになるため脱水傾向となり、身体が温まり血管が拡張したころに浴槽から出ることで血圧の急降下が起こります。血圧が急上昇すると脳出血が、急降下すると脳梗塞や心筋梗塞、狭心症が起こりやすく、またそれらにより危険な不整脈も誘発され、高齢者が入浴中に突然死する大きな原因であるとも考えられています。

 冬の入浴の注意点としては、脱衣所や浴室の室温を暖めておき、部屋との温度差を小さくします。お湯の温度は40度位とし、首まで深く浸からず胸から上は水面上へ出して長湯は避けます。特に高齢者が一番風呂に入る場合などは、ご家族の方があらかじめ浴槽のふたを開けておいたり、シャワーで洗い場の床を暖めておくことで温度差は小さくなります。また高齢ではない人でも、運動直後、食事直後、飲酒後などの血圧が下がっている時の入浴は避け、運動後なら適量の水分を摂ってから、食後や飲酒後なら適度な時間をおいてからが良いでしょう。

 高血圧と共に高血糖、高コレステロール血症、喫煙、肥満などの動脈硬化促進因子を合わせもっている人は、血圧の変動が大きくなりやすいので、特に注意が必要です。

 Aさんのように入浴時に症状が出た場合は、危険な疾患の前兆の可能性がありますので担当医にすぐに相談してください。


Text by 関口内科 関口 洋平( 2011年12月19日 「北海道新聞夕刊」掲載)

血液の病気について

内科2011/12/13

血液は白血球、赤血球、血小板という3つの血球成分とそれを浮かべている血漿、血清という液体成分で成り立っています。
白血球は主に外部から体内に侵入した細菌、ウイルス等に対する防衛(免疫といいます)の役割を行っています。
赤血球は主に身体に必要な酸素を各部分に運ぶ役割をしています。
血小板は出血を止める働きや出血を防ぐ役割をしています。
これら3つの血球は骨の中(骨髄)で作られています。さて、血液の病気には多くの種類がありますが、1番よく耳にする貧血についてあげてみましょう。
貧血の症状としては動悸、息切れ、眩暈、ふらつきなどがありますが、その原因は様々です。
鉄不足による鉄欠乏性貧血、ビタミン不足による悪性貧血、造血障害による再生不良性貧血などです。また、白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫といったような血液悪性疾患が隠れている場合もあります。
疾患によっては化学療法、造血幹細胞移植を行う事によって治癒の可能性が高くなります。
血液疾患を疑う具体的な症状として

  1. 特にぶつけた覚えがないのに身体にいくつもあざができる
  2. はぐきの出血が止まらない
  3. 毎日のように鼻血がでる
  4. 首のまわり、脇のした、鼠径部に腫れもの、グリグリがいくつも出来てきてだんだん大きくなる
  5. 検診などで白血球が多い、あるいは少ないと言われた
  6. 貧血、多血症と言われた
  7. 血小板が少ない、あるいは多いと言われた
  8. 身体のたんぱく質が多いと言われた

、といったものです。思い当たる事があれば迷わずに血液内科を受診することをお勧めします。
また当院は血液内科の専門治療の一方で、松陰町の飯田内科クリニック共々在宅療養支援診療所として24時間365日の往診体制を実施しています。
同デイケア、ショートステイでは併設である当院の特性を活かして医療依存度の高い方でもご利用いただけます。
診療、往診、デイケア、ショートステイについてもお気軽にご相談ください。


Text by 飯田内科クリニックいしかわ 伊達 基( 2011年12月16日 「青いぽすと」掲載)

不整脈に気をつけて

内科2011/11/28

 急にドキドキしたり、何となく胸がおかしくなったりしたことはありませんか? こんな時、脈のリズムをチェックしてみてください。
規則正しく早いだけとか、何拍かに一度脈が飛ぶものであれば、あまり心配ないのですが、脈がまったくバラバラなものにはご注意ください。
心房細動(しんぼうさいどう)という不整脈かもしれません。
この心房細動は、心臓が一定のリズムを打たずに震えるような状態になるもので、心臓の中で血の塊(血栓)ができやすくなり、その結果、脳梗塞を引き起こすことで有名です。
あの巨人軍の長嶋茂雄さんが脳梗塞になったのもこの心房細動が原因でした。 心房細動は、発作的に繰り返す方と慢性的に続く方がいるのですが、どちらも同じ確率で脳梗塞を発症します。
具体的には、CHADS2スコアといって、C:心不全、H:高血圧、A:75歳以上の高齢、D:糖尿病、を各々1点、S:脳卒中を2点、として合計点を算出します。
2点で5年後の脳梗塞の発症率は約13%、3点では約25%にもなります。
治療について、以前は不整脈を抑え込もうとする治療が主体でした。
しかし、脳梗塞になる方は減りませんし、むしろ不整脈のお薬の副作用が起きたりしたため、現在では、2点以上の方は、まず脳梗塞~血栓を予防する治療を行い、脈が早くなりすぎないように抑えるのが主流です。 この脳梗塞の予防で有名な薬が、ワーファリンです。この薬はビタミンKと相性が悪いため、納豆・クロレラ・青汁(いずれもビタミンKの含有量が多い)を食べることが出来なくなります。
またこのお薬自体が食事や他の薬との相性の善し悪しがあるため、毎月採血で効果をチェックしなければいけません。
最近では、このワーファリンに代わる薬も出てきました。
プラザキサといって、食事や他の薬との変化がないため食事への注意がなく、他の薬との相性もあまり気にしないでよい薬です。 いまだ新薬なので2週間しか処方が出来ないこと、腎臓が悪いと使えないこと、非常に高価であることが難点です。 このように治療薬も進化しておりますのでしっかり治療をしましょうね。


Text by はら内科クリニック 原 信彦( 2011年11月28日 「北海道新聞夕刊」掲載)

それはもしかして胆のうや膵臓(すいぞう)の症状ではありませんか?

内科-2011/08/29

 みぞおちあたりの痛みや不快感は誰もが一度は経験したことのある症状だと思います。
そんな時、皆さんはどこが悪いと考えますか?
「胃の調子が悪い」と考える方が大多数だと思いますが、本当のところはどうなのでしょうか? 病院で胃カメラ検査を受けた結果、胃炎や胃潰瘍など目に見える(この場合は胃カメラで見える)病気が見つかる人もいます。
一方見た目に何も異常がない場合は、胃腸運動の機能的なアンバランスからくる「機能性胃腸症」(いわゆる神経性胃炎)という診断名になることが多くなります。
しかしみぞおちの症状の場合、ここで超音波検査(エコー)を追加して行うと胆のうや膵臓などに異常が見つかる人もいます。
そしてそのような方たちの中には「自分は胃が弱いから」と長年思いこんでいた方が意外に多いのです。 人間の体の中で胆のうは胃よりも右側、膵臓は胃よりも背中側にありますが、近接していて同じような場所に症状がでるために上記のようなことがおこります。
胃の病気の方が世間一般にはなじみが深いため、病院に行って胃カメラ検査だけを受けて「どこも異常ないですよ」と言われ、なんとなくすっきりしないままうやむやになってしまうことが多いのが実情です。 胆のう癌、膵臓癌は癌の中でも特に予後不良でいずれも近年増加傾向にあり、早期発見は大変重要です。
また胆石症や膵炎も重症例では生命の危険があるだけでなく、癌を合併する危険性が高まる疾患のため軽視は禁物です。
これらは胆のうや膵臓の代表的疾患であり他にも様々な疾患があります。 診断は超音波検査と血液検査を組み合わせて行い、異常が見つかればさらにCT・MRI検査なども行われます。
必要に応じて精密検査として超音波内視鏡やERCPと呼ばれる特殊な内視鏡検査を行ったり、同時に内視鏡的に治療まで行う場合もあります。
このように、みぞおちに症状がある場合は必ず専門医を受診して胃カメラと超音波検査の両方を受けることが大切です。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男( 2011年8月29日 「北海道新聞夕刊」掲載)

ペットボトル症候群をご存知ですか?

内科2011/07/25

 ここ数日、湿度が高く暑い日が続いていますね。
こんな時、冷たい飲み物をたくさん飲みたくなります。 糖分の多い清涼飲料水を大量に飲み続けると「ペットボトル症候群(正式名称: ソフトドリンク・ケトーシス)」になることがあります。
血糖値を一定に保つホルモンのインスリンの働きが、一時的に低下してしまうことで起こる症状です。 意識がもうろうとしたり、倦怠感が続き、時には、昏睡状態に陥ることさえあります。
糖分の過剰摂取で血糖が急激に上がると、それを薄めようとしてさらに水分が欲しくて喉が渇き、尿の回数も増え、喉の渇きに任せてさらに甘い飲み物を飲む・・、という悪循環に陥ります。 一般的な清涼飲料水には、1リットル当たり100グラム前後の糖分が含まれています。
角砂糖1個が5グラムだとすると、1リットルの清涼飲料水をがぶ飲みすると、角砂糖20個をかじっているのと同じくらいに相当します。
身体にいいと思われているスポーツ飲料やフルーツ果汁の入った野菜ジュースにも糖分が含まれているため、例外ではありません。
夏場に中高生が部活動で水代わりに大量に清涼飲料水を飲んだりすることにも、十分に注意が必要です。 お茶・お水などの糖分の入っていない飲み物でこまめに水分補給をし、下痢・嘔吐後や大量に汗をかいたときなどは、スポーツ飲料を薄めて飲むこともいいでしょう。

 糖尿病や糖尿病予備軍と呼ばれる人たちは、インスリンの働きが悪く、よりリスクが高まります。最近では、経口2型糖尿病治療薬としては、10年ぶりに新薬も発売され、糖尿病の治療の選択肢も増えています。 糖尿病は、早期に発見し、適切な対応や治療をすることで上手に付き合っていける病気です。
自覚症状がなくても、糖尿病の検査をしておくことが大切です。
特に、中年以降の方で急激に血糖が高くなった場合、膵がん、肝がんなどの悪性腫瘍が原因となっていることもあります。
また、2型糖尿病では、大腸がんの発生率が高いことも報告されています。
定期的な血糖の検査、そして血糖値が高いことを指摘されたときは、エコー検査やCT検査など、がんの検査もとても重要となります。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2011年7月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

失神

内科2011/06/27

「先生、今朝の朝礼で長い時間立っていたら倒れてしまいました。頭を打ってすぐに気がついたのですが…」と、心配そうに言うAさんの額には、失神時に床にぶつけて出来た内出血による大きなこぶがありました。

 失神は、救急外来を受診する患者さんの3.5%と言われ、再発率も20―30%と、けっして稀な疾患ではありません。失神の原因は多く、

①心原性(不整脈、器質的心疾患)
②神経調節性失神症候群(神経調節性失神、血管迷走神経反射、頸動脈洞過敏症候群、咳嗽[がいそう]、排尿、排便など)
③起立性低血圧(自律神経障害、薬剤、アルコール、出血、下痢など)
④脳血管性(盗血症候群、過呼吸)

などがあります。

 これらの中で特に危険なのは①の心原性失神です。心室頻拍や心室細動などの頻脈性不整脈による失神は、突然死する危険性も高いため除細動器を体に植え込むことでその予防ができます。ブロックなどの除脈性不整脈による失神には、ペースメーカーを植え込む治療法もあります。失神をおこす器質的心疾患には、狭窄性弁膜症、心筋梗塞、心筋症、心房粘液腫、大動脈解離、大動脈炎、心タンポナーデ、肺塞栓症などの致死的な疾患もあり、精密検査が必要になります。

 一方、②③④は比較的軽症で、頻度の多い神経調節性失神症候群は、長時間の立位姿勢、痛み刺激、肉体的または精神的ストレスなどが誘因となりますが、予後の良い場合が多く過度に心配する必要はありません。

 失神の原因疾患が軽症だったとしてもAさんのように失神時に頭部を強打した場合は、CTやMRIなどで頭頚部の精密検査が必要になります。前駆症状から失神を予知できる場合には、その場でしゃがみこむことで転倒による外傷を最小限に防ぐことができます。

 失神の再発予防としては、日常生活の睡眠不足や運動不足の防止、過度の減量の防止、アルコールを控えることなどが大事です。また降圧薬を服用している場合には、薬の種類、量、内服時刻などの調節が必要になりますので担当医へ必ず相談してください。


Text by 関口内科 関口 洋平( 2011年6月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

これからは、細いだけじゃない、よく見える内視鏡

内科2011/06/06

 ここ数年、特殊光観察による強調画像を用いた胃・大腸カメラが普及してきました。
血液中のヘモグロビンに吸収される波長の光を照射することにより、食道・胃・大腸の粘膜表面の細かい血管構造を描き出し、正常粘膜とがんとをカメラで区別することができるようになりました。 すなわち、いままでの胃カメラや大腸カメラでは、見逃されることが多かった小さな病変が、この新しいカメラを使用することによって見つけやすくなったばかりでなく、がんを含めた腫瘍の大きさの範囲、深さ(進行度)が、詳細にわかるようになってきました。
胃カメラが、直径5~6mm程度の細さになっただけではなく、胃カメラ・大腸カメラの性能もこのように日々進歩しています。 一般のクリニックでもここまで精密な検査ができるようになったことに驚き、感謝しながら診療を続けている毎日です。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2011年6月6日 「みなみ風」掲載)

かくれ糖尿病は大丈夫ですか?

内科2011/05/30

ゴールデンウィークも終わり、体重計に乗ってため息をついている方はいませんか?健康診断で、血糖値が少し高めの方はいませんか?血糖値は常に変動しているので1回の血糖測定で正しい判定はできません。
一般的に糖尿病の初期では空腹時血糖が正常であることが多いため空腹時の血糖値だけでは大丈夫とはいえません。
「糖尿病が心配だ~ひょっとすると…」と思って悩んでいる方はブドウ糖負荷試験という精密検査を受けてみませんか?これは早朝空腹時に行う検査です。
ご飯を食べない状態で病院に来ていただき、はじめに空腹時の尿検査・採血(血糖値)を行います。
その後すぐに砂糖水(ブドウ糖水溶液)を飲み、その30分後、1時間後、2時間後にそれぞれ同様に尿検査と血糖値の採血を行います。
砂糖水を飲んだ30分後には、みんな血糖値が上がります。
その後1時間→2時間と時間が経過すると正常な人は血糖を下げるインスリンの働きで血糖値が下がってきます。
逆に糖尿病の人は1時間→2時間と血糖値が上がってきます。
境界型糖尿病の人は(いわゆる糖尿病予備軍)1時間、2時間ともに糖尿病ほど血糖値が上がりはしないものの正常に低下しない状態になります。
ブドウ糖負荷試験の正常値は、空腹時で血糖が110mg/dl未満かつ2時間値が140mg/dl未満です。
空腹時で126mg /dl以上、もしくは、2時間値で200mg/dl以上であれば糖尿病型と診断します。
どちらにも属しなければ境界型(予備軍)となります。
このようにして正常か糖尿病なのかを区別する検査です。
糖尿病であれば早期に治療に取り組めますし、もし糖尿病予備軍と分かれば、まじめにダイエットに取り組むいいチャンスと思って下さい。また糖尿病および予備軍ではコレステロールや血圧の管理基準が通常より厳しくなりますので、なおのこと「糖尿病なのかどうか?」白黒はっきりつけてみてはいかがでしょうか?


Text by はら内科クリニック 原 信彦( 2011年5月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

高血圧気味と医師から指摘されました。どのようなことに気をつけるべきでしょうか?

内科2011/03/07

まずは生活習慣の見直し・改善が重要です
リラックスした家庭での血圧測定も大切です
 高血圧はほとんどの方が症状がないので、サイレントキラー(静かなる殺人者)ともいわれています。
血圧が高いのをそのままにしていると、脳卒中、心筋梗塞、心疾患、慢性腎臓病などの罹患率及び死亡率が高くなります。
このような合併症を起こしてから加療を開始しても後遺症が残ったりしたままの生活を余儀なくされたり、脳卒中などであれば寝たきり状態、半身麻痺などになり、非常に生活の質が低下する場合があります。 血圧高値は、最近話題となっているメタボリックシンドロームの要素のひとつでもあります。
高血圧はわが国では約4000万人いるといわれています。ある調査によると、30歳以上の日本人男性の47%、女性43%が血圧高値または降圧薬内服中といわれています。
つまり中年者以後の約半数が高血圧といわれることになり、珍しい病気ではないのです。
高血圧は本態性高血圧と原因が明らかである二次性高血圧に分けられます。
本態性高血圧とは原因が明らかである二次性高血圧を除外した原因不明の高血圧で約90%が本態性高血圧といわれています。
原因がハッキリしている二次性高血圧については原因加療が主体となりますが、原因不明の本態性高血圧は血圧管理が必要となってきます。
高血圧症はそのほとんどの人がほぼ無症状であり、健康診断や他の病気で病院を受診した際の血圧測定で発見されることが多いようです。 現在の高血圧の基準は2009年のガイドラインによると、下記の表のようになっています。
高血圧と診断されれば、すぐに薬の加療をしなければならないということではありません。
まず大事なのは生活習慣の改善です。減塩(6g/日未満・現在の日本人は約11g程度摂取しているといわれています)、適度な運動、節酒、禁煙です。
これらの生活習慣を改善しても血圧高値が持続するようであれば、薬による加療が必要と考えられます。
現在血圧に対する内服薬はさまざまな種類があります。血圧の薬も徐々に新しくなり、現在は1日1回の内服薬でよい薬、合剤といって異なる種類の薬を一粒にした薬も増えてきており、以前に比べ内服の継続もしやすくなってきています。
健康診断で血圧が高いといわれたことのある方は、ぜひ家庭での血圧を測定してみてください。
健康診断などでは緊張などで血圧が高くなっているだけの方も多いのです。
家庭での血圧が高ければ、減塩、適度な運動などの生活習慣の改善をしてみてください。
それでも血圧高値が持続するようであれば、合併症が起こり、あとで後悔する前に医療機関への受診をお勧めします。


Text by 斉藤内科消化器科医院( 2011年3月 「ホームドクター」掲載)

私の血管は何歳?…

「先生、血管年齢って何ですか? 私の血管は何歳ですか?」と、Aさんは聞いてきました。どうやら、健診を受けた夫の血管年齢が実際の年齢より10歳も高かったので、とても心配になったとのことでした。

 ウィリアム・オスラーの「ヒトは血管とともに老いる」という名言があるように、人の血管は年齢を重ねるごとに老化していきます。その老化現象はいわゆる動脈硬化と言われ、自分では気づかないうちに静かに進行し、血管の壁が硬くなり弾力性も失い、内腔は狭くなり詰まることもあります。

 老化=動脈硬化の進展度を評価診断するには、いくつかの方法があります。血管造影による狭窄(きょうさく)度評価、血管内視鏡や血管内超音波による血管壁の質的評価、頚(けい)動脈超音波法による頚動脈硬化の量的、質的評価などです。また造影CTにより、冠動脈の狭窄を簡便に検出することも可能です。Aさんの夫が受けたのは脈波検査といわれるもので、動脈の波動が心臓から動脈の末梢へ伝導する速度を検出することで、動脈硬化の度合いを血管年齢としても評価できます。これは仰向けになって5分間ほどで測定できるとても簡便な検査で、下肢動脈の狭窄も同時に評価できます。非侵襲的な検査ですので年1回の測定による経年変化の観察が可能で、これにより老化の速度を評価することができます。

 日本人の死亡原因の三分の一は脳卒中や心疾患などの動脈硬化と強く関連する疾患です。その動脈硬化の原因には遺伝の要素もありますが、他の大きな要因には喫煙、肥満、運動不足、睡眠不足、ストレス、高血圧、糖尿病、脂質異常症(LDL=コレステロールや中性脂肪が高値)などの生活習慣病があります。これらの要素を複数併せ持っている人は、何も持っていない人の数倍も心血管病(脳卒中や心筋梗塞)を発症しやすいと言われています。

 Aさんのように自らの血管年齢を知ろうとすることは、日常の食習慣や運動習慣の是正に心がけるようになることにつながるので、とても良いことだと思います。


Text by 関口内科 関口 洋平( 2010年12月20日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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