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大腸がん死は大腸内視鏡検査で予防しよう

2016/12/19

 男性131.8、女性136.2は、函館市における大腸がんの標準化死亡比です。
標準化死亡比とは全国平均を100として、年齢を調整した各地域の大腸がん死の割合を示しています。
すなわち、函館市民は大腸がんで死亡する人が全国平均より30%以上多いことになります。
これは道内都市の中でも突出して高く、札幌市は男性109.4、女性108.0です。
最も高い都道府県は、男性は青森県で127.6、女性は岩手県で117.3ですが、函館市はそれも大きく上回っています。
これは函館市民には大変由々しき問題です。

 わが国の大腸がんによる死亡者数は年間約5万人に達し、毎年増加しております。
臓器別では女性で第1位、男性では肺がん、胃がんに次いで第3位です。
全国レベルで予防に取り組む必要がありますが、とりわけ函館市民には重要です。
大腸がん死の予防法は、便潜血反応を使った大腸がん検診を毎年受けること、大腸内視鏡で大腸ポリープをすべて切除することです。
大腸がん検診が大腸がん死を約60~80%減らすという成績があります。
また、米国での大規模研究で、大腸内視鏡で大腸ポリープをすべて切除して20年間追跡すると、大腸がん死が約50%低下することが明らかにされました。
わが国でも同様な成績があります。

 大腸がんは早期に発見すれば治すことができ、助けることができる癌です。
そのため自覚症状がなくても40歳になれば、毎年大腸がん検診を受けることが重要です。
便潜血陽性の場合には、大腸内視鏡を必ず受けて、発見された腺腫性の大腸ポリープはすべて切除してもらうことです。
便潜血が陰性であっても、50歳までに1回は大腸内視鏡検査を受けて、小さい大腸ポリープでもすべて切除してもらうことです。
小さいポリープなら外来で焼灼なしのコールドポリペクトミーで切除できます。
大腸内視鏡検査に不安を持つ方には静脈麻酔薬で眠らせて行うこともできます。
函館市の大腸がん死を減らすために、できるだけ多くの方に大腸内視鏡検査を受けてもらいたいです。


Text by 国立函館病院 加藤 元嗣( 2016年12月19日 「北海道新聞夕刊」掲載)

乳房の検査はどうしたらいいの?

2016/07/25

 今年から、函館市の対策型乳がん検診は、マンモグラフィーのみの検診が推奨となりました。
視触診があるためにためらっていた人や忙しくて時間のなかった人には、気軽に受診することができるかもしれません。
受診者の多くは、検診でほとんどの異常が分かると思って受けにきます。
しかし、全ての人がマンモグラフィーだけで乳がんはわかるのでしょうか?マンモグラフィーは、乳がんの発見には非常に有用な検査法ですが、人によって利点・弱点があります。
乳腺の密度が薄い・乳腺組織が少ない人は、マンモグラフィーだけで小さな乳がんもはっきり分かります。
しかし、高濃度乳腺と言われる、乳腺の密度が濃い・乳腺が発達した乳房の人は、マンモグラフィーでは真っ白に写ってしまうため乳がん(しこり)があっても正常の乳腺との判別が難しくなる場合があります。
特に日本人は、この高濃度乳腺の人が多く、50歳以下では、半数以上の人がこれに相当します。
マンモグラフィーだけでは判断できない人がいることは、通常の検診では時々遭遇することです。

 乳がんの発見には、もう一つ検査法があります。それは、超音波検査(エコー検査)です。
特に、高濃度乳腺でマンモグラフィーでは分かりにくい人には超音波検査が有効です。
しかし、通常の対策型乳がん検診には超音波検査は入っていません。
超音波が検診に必要であるというデータがまだ少ないことや、検査に手間がかかること、費用がかかることなどの理由のため、超音波検査はオプション検査になっています。
自分の乳房がどのような状態なのか?
マンモグラフィーだけで大丈夫なのか?
自分には何が適した検査法なのかを知っておくことは重要です。
高濃度乳腺の人は、自己負担にはなりますが、超音波検査も併用した方がより確実な検査法と言えます。


Text by 北美原クリニック 早川 善郎( 2016年7月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

胃がん予防のためにピロリ菌検査を

2016/06/27

 わが国のがん死亡数(2014年)で、胃がんは男性第2位で女性第3位です。
胃がんの年齢調整死亡率は減少をしていますが、胃がん死亡数は年間約5万人で横ばい状態です。
特に70歳以上の高齢者における胃がん死亡数が急増しています。
胃がんの99%はピロリ菌感染者から発生しており、未感染者における胃がん発生は非常に低率です。
従って、ピロリ菌は胃がんの原因で、胃がんはピロリ菌感染症と称される由縁です。

 胃がんは胃の粘膜に発生して胃の外へ向かって浸潤します。
この浸潤の深さによって早期胃がんと進行胃がんに分けられます。
また、組織像の違いから分化型と未分化型に分けられ、未分化型の方が早く進行します。

 早期胃がんの中には、深達度、大きさ、組織型によっては内視鏡によって切除できるものがあります。
それ以外の早期胃がんや進行胃がんは外科切除となり、他臓器への浸潤があると切除ではなく抗がん剤治療となります。
早期胃がんの予後は非常に良好ですが、進行胃がんの5年生存率はリンパ節転移があると50%、他臓器転移があると5%です。

 胃がんは早期に発見すれば予後が良好なことから、わが国では胃がんの二次予防(早期発見早期治療)としてバリウム検査や内視鏡による検診が行われています。
近年、ピロリ菌の除菌治療が胃がん発生を抑制することが明らかとなり、胃がんの一次予防(原因除去)としてのピロリ除菌が注目されています。
わが国では2013年にピロリ菌感染胃炎に対する除菌治療が保険適用となり、感染者は全員が除菌治療を受けることができるようになりました。
ただ、除菌治療だけでは胃がんを完全には予防できません。
従って、ピロリ菌を調べて、陽性であれば除菌治療を行い、その後定期的な内視鏡検査で胃がんの早期発見を行うことが胃がん予防の最善策です。

 ご自分のピロリ菌感染の有無を調べることが胃がん予防の第一歩です。


Text by 国立函館病院 加藤 元嗣( 2016年6月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

前立腺がん

2013/10/07

 今回は前立腺がんという男性特有のがんについて。

 男性のがんにかかる部位で多いのは、順に、胃、肺、大腸、前立腺で4位。
亡くなるのは肺、胃、大腸、肝臓、膵臓に次ぐ6位です。
かかる率、発見が多いのは食生活の変化もありますが、PSA検査の普及が大きいです。
前立腺がんの発見率が向上し、死亡率が低下していることの一つの要因でもあります。
PSAとは血液検査でわかる前立腺のがんの腫瘍マーカーで、数値が高いほどがんが疑われます。
女性特有の子宮がん、乳がんについてはどこの自治体でも検診の項目として助成されていますが、男性の前立腺がんは簡単なスクリーニングがあるのにそうもいかないのが現状です。
PSAは、どの病院でも検査(保険適用外)できますので、心配な方はかかりつけの医師にご相談ください。


Text by 医療法人社団やまだクリニック 山田 裕一( 2013年10月7日 「みなみ風」掲載)

咽頭癌〜女性患者の増加が懸念されます〜

 我が国の三大死因は癌、心疾患、脳血管疾患ですが癌は最多の30%を占めます。
癌は怖い病気ですが、十分な知識を持ち対処すれば根治も可能な病気です。
頭頸部癌は全癌の約5%を占めます。
癌患者数は300万人を超えると推定されていますので、約15万人の患者さんがいることになります。
頭頸部癌には舌癌、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、上顎癌、唾液腺癌、甲状腺癌などがあります。
今回は頭頸部癌の中でも早期発見で十分治癒が望める喉頭癌についてお話しします。

 1年間に喉頭癌で亡くなられる患者数は約1,000人で、男女比は9:1で男性に圧倒的に多い癌です。
発癌の大きな要因は、喫煙で非喫煙者に対し喫煙者は100倍、喉頭癌になりやすいと言われています。
喉頭癌患者さんの平均的な喫煙歴は1日30本以上、30~40年です。
禁煙区域の拡大、分煙環境の整備が進み全体の喫煙率は低下傾向ですが、それは主に男性の喫煙率の低下で女性の喫煙率は増加傾向がうかがわれますので、今後,女性患者の増加は懸念されます。
道南はまだ喫煙率が男女ともに率が男女ともに高い地域ですので、喉頭癌に十分な知識を持つことは重要です。

 喉頭癌の初期症状で最も多いのは声のかすれで改善しない場合は、ためらわず耳鼻咽喉科を受診すべきです。
喉頭癌のほとんどは扁平上皮癌という癌で放射線がよく効きます。
早期癌であれば放射線療法のみで80~90%で治癒が望めますし、声のかすれも改善します。
放置した場合には、最終的には呼吸困難に陥ります。
進行癌になってしまうと放射線療法のみでは治癒は望めなくなりますので、抗癌剤による化学療法や手術をさらに追加し組み合わせて治療をすることになります。
手術は喉頭全摘出術、永久気管孔造設術を基本的に行いますので、声は失われます。
進行癌になっても頭頸部癌の中では最も治療成績はよいのですが、癌になってしまうと治療のために2~3ヶ月の入院を強いられ、声を失うという機能障害を残す可能性があるわけですから、やはり予防が大切です。
禁煙したその日から発癌の危険性は低下しますので、是非とも禁煙をおすすめします。


Text by 治耳鼻咽喉科 山口 治浩( 2013年9月号 「ダテパー Dr. Dr.プリーズ」掲載)

胃がん撲滅元年

 今年は胃がん診療に大きな動きが2つあり胃がん撲滅元年ともいわれています。
1つ目はヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)診療の保険適応の拡大です。
ピロリ菌は胃の中に住んでいる細菌で、もともとは胃・十二指腸潰瘍の原因菌として発見されました。
その後は血液の病気など多様な病気の原因でもあることが明らかとなり、保険で治療できる病気の種類は増えています。
そんな中、今年の2月には慢性胃炎でもピロリ菌の保険診療が認可となりました。
ピロリ菌は慢性胃炎を引き起こしてそこから胃がんの原因になっていくと考えられています。
従って、胃炎のうちに除菌を行って胃がんの発生を予防し、胃がんの死亡率を下げることが期待されています。
保険診療上の注意点は、事前の内視鏡検査が必須条件となっており、そこで胃炎の存在が確認されたらピロリ菌の有無を調べる検査に進みます。
もし陽性であれば、希望により除菌治療を行うことになります。

 2つ目ですが、特に腹部症状がないなど保険でのピロリ菌診療ができない方は、『ABC検診』(胃がんリスク検診)が推奨されています。
この検診はピロリ菌と、胃粘膜の萎縮を反映するペプシノゲンを同時に測定するもので、血液だけで調べることができます。
検査結果の組み合わせから胃がん発生の危険度によりいくつかのグループに分けられ、除菌を勧めたり、今後の適正な胃がん検診間隔を推奨するなどしてがん予防に生かす方法です。
これまで胃がん検診といえばバリウム検査が主に用いられてきましたが、今後は胃がんになりやすい人とそうでない人を選別してその後の対応を決めていくこの方法が主流になっていく可能性もあります。
函館市では、この検診は今年度から特定健診のオプションとしても受けることができるようになりましたので、是非活用しましょう。
以上の新たな2つの動きは、がんの中で患者数の最も多い胃がんの撲滅に大きく寄与することが期待されています。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男(  「北海道新聞夕刊」掲載)

乳がん

2013/04/08

 乳がんは厚労省の調べによると1994年から女性のかかる癌の第1位になり、20年近くその順位は変わりません。
1年間で6万人ほどが乳がんになり、1 万3千人ほどが乳がんで亡くなっています。
乳がんの予後は他の癌に比べれば一般的に良好といわれています。
早期発見、早期治療をすれば決して怖い病気ではないのです。

 日本乳癌学会では月に1度の自己検診と、自己検診で異常がなくても40歳以上の方は1~2年に1回の定期的な乳がん検診を受診することも推奨しています。

 乳がんは20歳過ぎから認められ、30歳代ではさらに増え、40歳代から50歳代がピークです。若い女性にとっても、乳がんは決して他人事ではありません。

 乳がん検診を受けたことのない方はぜひ1度、受けたことのある方は、受けたことのない方を誘って乳がん検診を受けることをお勧めします。

 平日に忙しい方のために日曜日に乳がん検診を行う病院もあります。


Text by 国立函館病院 小室 一輝 医師( 2013年4月8日 「みなみ風」掲載)

増えゆく大腸がん

 平成23年の日本人の死因の第1位は悪性新生物(いわゆるがん)です。
その内訳をみると、胃がんなどが減少傾向にある一方で大腸がんは増えており、男性で第3位、女性では第1位となっています。
このままいけば男女総計では数年後に胃がんを抜くといわれています。
また地域的にも函館市は北海道の中でも大腸がん死亡率の高い地域となっています。
がんは発症臓器によって悪性度が異なるため、死亡率(単位人口あたりの死亡数)が高いがんが必ずしも罹患率(単位人口あたりの新たにかかる患者数)も高いとは限りません。
しかし大腸がんの場合は死亡率だけでなく罹患率も大変高く増加傾向にあり、2020年には胃がん・肺がんを抜いて第1位になると予測されています。
つまり大腸がんは今後ますます身近で一般的な疾患となっていくのです。

 大腸がんで死亡する方はかかる方の約3割といわれており、これは他のがんに比べて治りやすいがんであることを示しています。
実際大腸がんは手術で完治する可能性が比較的高いがんであり、また手術のできない例や再発例でも近年の抗がん剤治療の進歩により長期生存が可能となっています。
しかし100%確実な治療法が存在しない現状で大腸がんで命を落とさないようにするためにはどうすればよいでしょうか?
大腸がんも他のがんと同様に現在でも発病の原因は分かっていませんが、食生活の欧米化による高脂肪食の摂取や食物繊維の不足、さらに運動不足との関係が指摘されています。
まずは日頃の食生活・生活習慣の注意が必要です。
それと同時に、がん検診を適切に受け早期発見・早期治療の機会を逃さないようにすることも大切です。
大腸がん検診は、便潜血検査といって、肉眼ではわからない程度の血が便に混じっていないかどうかを検査します。
この検査は大腸がんを100%発見できるわけではありませんが、1回のみではなく定期的に受けることで大腸がん死亡率を下げる効果が実証されており、毎年受けることが大切なのです。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男( 2013年2月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

食道がんの基礎知識

2013/01/28

 最近では、指揮者、歌手、役者など食道がんを患ったことが公表されています。
食道がんは、男性では40歳代後半から増え始め、50歳代で急増し、60歳代に多く発生します。

 日本では、年間1万人以上がこのがんになるといわれており、生涯で食道がんにかかるリスクは、男性で52人に1人、食道がんで死亡するリスクは、84人に1人とされています。
食道がんは、同じ消化器の胃がんや大腸がんなどに比べると、手ごわいがんといわざるを得ません。

 食道は、長さ25cmほどの薄い管で、食道の周りには、肺や心臓など重要な臓器が隣接し、すぐ前には気管や気管支があり、後ろには大動脈が走っています。
そのため、早い時期からリンパ節に転移を起こしやすく、また周囲の臓器にがんが食い込んでいく(浸潤)ことが多いのです。
さらに、声を出したり、食べ物を飲み込んだりすることをつかさどる反回神経も近くにあります。
このように傷つけては大変な臓器や血管、神経がひしめく中で神経の周りにあるリンパ節の切除まで同時に行うので、食道がんの手術は、高度な技術を要する手術です。

 また、粘膜下層にとどまる早期のがんでも、胃がんならば90~95%が治るといわれていますが、食道がんの場合は、5年生存率は70~80%にとどまっているといわれています。
そのため食道がんは、早期発見が非常に重要ながんのひとつといわれています。
初期では自覚症状はほとんどなく、食道の粘膜に傷がつくと食べ物を飲み込んだ時チクチクしたり、熱いものがしみたりする程度です。
しかし、こうした違和感も、がんが少し大きくなると消えてしまうことがほとんどです。
そのため、自然と放置してしまうことが多いのです。
さらにがんが大きくなると、のどがつまる、声がかすれるといった自覚症状が出てきます。

 この段階で見つかった場合、ほとんどが、がんはかなり進行しています。
早期の食道がんは、検診の胃バリウム検査で発見されることは、ほとんどありません。
定期的な胃カメラ検査は、胃がんの発見はもちろん食道がんの発見にも役立っています。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2013年1月28日 「北海道新聞夕刊」掲載)

のどの違和感ありませんか?

2012/10/01

 初期には、ほとんど自覚症状がない食道がん。

 食道の付近でわずかにしみる、のどの違和感、などを覚える人もいますが、ほとんどの場合自覚症状がなく、のどの通過障害をを自覚した時にはすでに進行していることが少なくありません。
発症年代別では、40代後半から増え始め、50代で急増し、70代でピークに達します。
食道がんの直接の原因は不明ですが、食道の粘膜を刺激し、炎症を起こすような生活習慣を持つ人は、食道がんのリスクが高いとされています。
特に、喫煙と飲酒の習慣は、リスクを高める要因です。
最近、よく聞かれる「逆流性食道炎(胃食道逆流症)」も、食道がんのリスクの1つです。

 逆流性食道炎の症状は、のどの違和感、胸焼け、ゲップ、お腹の張り、胃もたれ、胃の痛み、1週間以上続く咳などです。逆流性食道炎も、早期の食道がんも、職場で行われている胃バリウムの検査では、なかなか見つけることはできません。
逆流性食道炎により治療中の方はもちろんですが、自覚症状が軽度なため治療をしていない方も、1年に1度の胃カメラでの検査が、早期発見にはとても有効です。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2012年10月1日 「みなみ風」掲載)

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