白内障手術
少し前、高齢ドライバーの起こした交通事故がテレビで盛んに報道されていました。それに関連し、十分な視力がないにもかかわらずハンドルを握っている高齢者は決して少なくないと日々感じています。
高齢者講習で視力不良を指摘されて来院し、メガネのレンズを調整しても視力が上がらない場合、その原因で最も多いのが白内障です。白内障の他に病気が見つからなければ、手術することで視力を回復させることが可能です。でも、手術は受診してすぐにできるものではなく、検査や全身状態の確認など、手術を成功させるための準備がいろいろ必要です。そのためまれではありますが、免許更新の日程に間に合わないこともあります。
宿題や年賀状、出掛ける支度など、早めの準備が大切なことは誰でも分かってはいるのですが…。
神経性大食症
「神経性大食症」はほとんどが女性に見られ、文字通り「過食」を症状とするものです。
何かのきっかけから起こることが多く、例えば急激なダイエットから起こったり、ストレス、不安を感じている時に楽になれるということから過食になる事もあります。ある研究によって、急激なダイエットに伴う危険性が明らかになっています。
この研究は、食事の摂取量をいきなり一定期間半分に制限するとどうなるか、というものです。
結果として、次のようなことが起こることが分かりました。
食べることを考え続けるようになるため、日常行動に集中することが困難になる、台所用品やあるいは食べ物と関係の無い物も収集する、自己抑制を欠き、むちゃ食いをする、自己嫌悪、抑うつ、不安、いらつき、ごみ箱をあさる、万引きをする、社会的不適応など、様々な問題が起こることが分かったのです。
特に注意が必要なのは、急激なダイエットをすることによって、かえって食べることに注意が向き、過食を誘発してしまうということです。
そのため、過食しては自分で嘔吐し、また過食をするという繰り返しにおちいる場合も多く見られます。
また、自分の体型に対する評価が厳しすぎる場合や、自分に対する価値観を、主として体重をコントロールすることで保とうとすることもあります。残念なことに、現在の所、薬物療法はあまり効果があるとは言えません。
文献では認知行動療法などで、効果が得られるとの報告があるのですが、実際の臨床場面では困難を伴うことが多いようです。うつ病の方の多くが受診に至らないのと同じ様に、神経性大食症の方の多くが受診せず、苦しんでいるものと推定されます。
ポイントの一つは過食と嘔吐の悪循環を何とか断つ事です。
リラックスする、何か他に興味のあることで気をまぎらわす、自尊心を高める方法を見つける、前向きの考え方をする、などの工夫により、多少なりとも良い影響を期待できる場合があるものと思われます。
疣(いぼ)の治療方法となかなか治らない疣(いぼ)の治療
疣とは俗称で老人性疣贅(脂漏性角化症)、尋常性疣贅、偏平疣贅、伝染性軟属腫など4種類に分けられます。
一般的治療としては液体窒素、ドライアイス、炭酸ガスレーザーなどが行われます。
浅く小さい疣であれば、1ー2回の治療で治りますが、広範囲であったり、深いものでは長期間の治療が必要な時もあります。
原因はそれぞれ異なり老人性疣贅は、皮膚の老化現象で遺伝的な要因と日光紫外線による光老化が要因です。
人やほかの部位に広がることはありませんが、あとの尋常性疣贅、偏平疣贅、伝染性軟属腫3つはウィルスが原因なので、このウィルスが付着した指で掻いたり、タオルなどで拭いたりすることで、ほかの部位に広がったり、また、自分での不適切な治療は、感染部位を広めたり、ほかの方にうつすことになるので、皮膚科または形成外科で診断治療を受けてください。
なかなか治らない疣(いぼ)に困っている方には、色素レーザー(Vbeam)による治療があります。
この治療は疣(いぼ)本体にダメージを与えるのではなく、疣(いぼ)の養う血管にダメージを与えて疣が生育できなくする方法です。
治療後の日常生活にも支障がなく、2~3回の治療で治療の有効性を感じることができます。
とくに足底や爪の周囲の盛り上がり、切り取らないと完治できないような難治性疣(いぼ)に有効です。
3mm程度の疣(いぼ)であれば、一個につき所要時間は5秒程度、料金は2,000~3000円(1照射:1000円)です。
色素レーザー(Vbeam)による治療は保険治療ではありませんが有効な治療です。
費用に関しては疣の症状によって異なりますので医師に相談してください。
肺動脈塞栓症(はいどうみゃくそくせんしょう)をご存知ですか?
肺動脈塞栓症(PE)とは、心臓から肺に血液を送る肺動脈に突然血栓がつまることで、血液の流れが遮断されるために肺での酸素交換ができなくなる病気です。
血液が流れなくなることから血圧が下がってしまい、とても危険な状態になることもある病気と言えます。
その原因の多くは、足のふくらはぎの静脈にできる血栓が急激に肺に流れ込むことによっておきるといわれています。
血栓は長時間の旅行で同じ姿勢をとり続けたときや、手術で数日歩けない場合、更には災害などで長時間身動きが取れない場合におこりやすいといわれています。
血栓ができた時点では症状はでないのですが、一旦動き出したときにその血栓が肺動脈に流れ込み、呼吸困難感や胸痛、めまいや眼前暗黒感が出現するのです。
PEは症状が急におこることから、急性心筋梗塞や解離性大動脈瘤なども考えて診断にあたらなければいけません。
治療は血栓を溶かす薬の静脈内投与が良く効くとされており、診断がつきしだい直ちに投与されます。
血圧が不安定な場合は手術で肺動脈内の血栓を取り除くこともあります。
軽症のものでは内服による抗凝固療法だけで済む場合もあるようです。
この病気は治療と同時に、2回目の塞栓症に対する予防も大切です。
予防方法として2つの方法があります。
ひとつは足の静脈に血栓ができないようにすること、そしてもうひとつは血栓が肺に流れ込まないようにすることです。血栓ができないようにするためには、長時間同じ姿勢をつづけないようにすること、できれば足の指を定期的に動かしたり、数時間おきに歩くこと、また水分補給も重要です。
一方、肺に血栓が流れこまないようにするために下大動脈フィルターが使われることもあります。
これは腎静脈のすぐ下のところにフィルターを留置する方法で、確実に血栓の流出を食い止めますが、長期間おくとめづまりすることが問題となりそうです。
以上簡単に肺動脈塞栓症について解説しましたが、突然、息が苦しくなる病気の一つとして皆さんのご記憶にとどめていただければ幸いです。
今年のインフルエンザワクチン情報
今年も、インフルエンザワクチン接種の季節になりました。 昨年は、例年のような季節性のもの、ではない新たな「新型インフルエンザ」の世界的な大流行があり、新型インフルエンザと季節性インフルインフルエンザの2種類のワクチンがあったうえに、接種対象者の優先順位が決められていたため、大変混乱しました。 しかし、今シーズンのインフルエンザワクチンは、季節性A香港型・季節性B型・新型の3種類の混合ワクチンとなるので、1回のワクチン接種ですむことになります。 また、今シーズンは、国が定めた接種の優先順位もなくなりましたので、どなたでも接種できます。 インフルエンザウイルスは、毎年のように変異しながら流行しますので、ワクチンは、毎年そのシーズンの流行を予測して製造されます。 また、インフルエンザワクチンの発症予防効果は、接種後2週間からおよそ5ヶ月間とされています。 したがって、年齢に関わらず、毎年接種することをお勧めします。
タコとウオノメについて
歩く度に足の裏に痛みを感じることはありませんか?今回はタコとウオノメのお話です。 タコもウオノメも皮膚が硬くなってしまう状態です。
医学用語ではタコは胼胝腫(べんちしゅ)、ウオノメは鶏眼(けいがん)といいます。
わたしたちの皮膚は繰り返し圧力がかかると厚くなっていきます。
これは刺激から皮膚やその下の組織を守るための正常な反応です。
たとえばいつもペンや鉛筆を持っていると利き手の中指などが厚く硬くなります。
この状態がタコで通常痛みは伴いません。
ところが、足の裏の皮膚が硬くなってしまうと、歩くたびに押されるため、次第に奥に入り込んでしまい、痛みが出てくるのです。
表面から見ると芯の部分が丸く見えるためウオノメ(魚の目)という名前がついています。 1度ウオノメができると、歩行の度に押されて奥に入ってしまい、次第に強い圧力がかかるようになるため、自然にはなかなか良くなりません。
さらに痛みのある側の足をかばって歩くうちに腰まで痛くなってしまうこともあります。 ウオノメの治療は硬く入り込んでしまった皮膚を専用のハサミで取り除いていく方法です。
一見痛そうですが、通常、ウオノメ自体には神経は来ていないため、治療時の痛みはありません。
ウオノメを柔らかくする絆創膏も市販されていますが、奥の方にはまり込んだ芯は取れにくいですし、ご自分でハサミやナイフなどで削っている方もいらっしゃるようですが、足の裏側というのは意外と手が届きにくく、かえって刃物で怪我をしてしまう恐れもあります。
またウオノメやタコと思っていても実はウィルス性のイボである場合もあり、これは治療法も異なりますので、医療機関で1度御相談されることをおすすめします。
美味しく食べていますか?
(1)食べ物がつかえる
(2)酸っぱい物がこみ上げてくる
(3)胸やけがする
(4)胸が痛んだり、苦しくなる
(5)咳が続く
(6)声がかすれる
などの症状に悩まされた事はありませんか?
これらは逆流性食道炎の症状です。特に甘い物を食べた後に起こりやすく、胃酸が食道へ逆流することにより起こる病気です。胸痛があるのに心臓は異常がないと言われていたり、喘息がなかなか治らない方に、この病気を合併している場合が多いと言われます。偏食でストレスの多い方、肥満気味の方や高齢者によく見られます。
逆流性食道炎をそのままにしておくと、いずれ食道がんに移行したり、高齢者の肺炎も起こりやすくなります。これは胃カメラで診断しますが、検診などで行うバリウム検査ではほとんどわかりません。治療は胃酸を抑える薬の内服や、腹腔鏡での簡単な手術で症状は著明に改善されます。他の病気の早期発見も含めて、専門医での胃カメラ検査をお勧め致します。
高齢者って、何歳?
世界保健機構WHOの定義では、65歳以上を高齢者と呼びます。近年、日本の高齢における心身の健康調査からは、20年前と比較して、加齢による衰えが、5~10年遅くなった「若返り」現象がみられました。世論調査でも、70歳以上を高齢者と考えると言う意見が多かったそうです。
そうは言っても、寄る年波には勝てませんから、身体が次第に弱っていくのは避けようがありません。「要介護」状態に陥る原因としては、第一位が「認知症」、「脳卒中」、「高齢による衰弱」、「転倒・骨折」、「関節疾患」と続きます。脳卒中のように、突然、健康寿命が終わってしまう場合もありますが、「いくつかの病気が重なって、次第に不調がつのり、だんだん要介護になっていく」という場合が多いと思います。
「要介護」の前段階と言える心身の弱った状態をフレイル(脆弱・もろい)と言います。フレイルには、三つのタイプがあります。①加齢と運動不足で、筋力が衰えて転倒しやすくなる「身体的フレイル」。②うつ病や認知症による「精神・心理的フレイル」。そして、③社会的問題等で、引きこもり、ストレスに弱くなった「社会的フレイル」です。
身体的フレイルのチェックは、体力テストです。世界17ヶ国15万人を4年間追跡調査した結果では、握力の弱い人で死亡リスクが大きくなるそうです。握力が5㎏低下する毎に死亡リスクが16%上昇すると言うことです。握力計がなければ、簡単にできるのは、開眼片足立ち検査でしょう。目を開けて、片方の足で立ちます。挙げた足を着いたり、ケンケンしたりすると終了です。2回やって、良い方が自分の記録です。65歳の平均は、50秒です。足の筋力とバランスを同時にテストできます。握力も片足立ちの時間も、トレーニングで変えられます。自分の未来や寿命を変えられるのかもしれないのです。まずは、けがをしないように、周りを片付けて、片足立ちしてみてください。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)がありませんか?
いぼには大きく分けて、感染しない老人性疣贅と感染する尋常性疣贅、伝染性軟属腫(いわゆる水いぼ)、扁平疣贅などがありますが、今回取り上げるのは、感染するいぼで最も多い尋常性疣贅です。
尋常性疣贅(以下、イボ)は、ヒト乳頭腫ウイルスが感染して起こります。ウイルス性疾患で薬があるものは、エイズ、水ぼうそう、ヘルペス、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザくらいで、残念ながらイボに対して直接的に効果がある内服薬と外用薬はありません。
現在外来で行われている主な保険治療は、液体窒素と漢方薬(ヨクイニン)内服とスピール膏貼布で、液体窒素が治療の中心です。液体窒素はマイナス196度の液体を付けてイボを凍結し、イボに感染した細胞を破壊、壊死させる物理的作用と、凍結で壊死した細胞に対する免疫反応作用により効果を発揮します。施術時には痛みがあり、後日水膨れができることもあります。
ヨクイニンは、イボに対する抵抗力を上げる働きがあります。スピール膏は皮膚を軟らかくするシート状の薬で、イボの部分に貼って1週間後くらいで削りますが、薬がずれて正常の皮膚が剥がれたり化膿してしまうこともありますので、清潔な状態できちんと固定して貼ることが必要になります。
イボは皮膚だけに感染し、他の病気を引き起こすことはありません。ただ、足底のイボが深くなってくると、うおのめのように痛みが出てきますし、指や顔に出てしまうと外見上気になると思います。イボは人から人へ接触して感染しますが、いつどこで誰から感染したのか不明であることが多いので、たまに足底や指を見る習慣をつけていただき、もし、何か見つけた時は早めに皮膚科を受診して下さい。
涙目治療から遠近両用コンタクトの処方まで地域や患者にやさしい眼科医療を目指す
1997年に開院した清水眼科クリニックは、湯の川を中心に道南地区全域、なかでも渡島半島東部地域から訪れる患者も多い。 地域や患者にやさしい医療を目指し、建物はバリアフリー構造で目の不自由な人、お年寄りや車いすなど体の不自由な人でも受診しやすい環境を整えている。
またインフォームドコンセントに努め、患者の目の状態について目の検査機器に内蔵されたカメラで写した画像を見せながら分かりやすい説明を行っている。
診察券を兼ねた「眼の健康手帳」も発行し、視力や眼圧、病名などを明記。自宅に帰って家族にも説明でき、患者も自分の病態を改めて理解できると好評だ。 さらに清水信晶院長は角膜を専門に研鑽を積み、患者への負担が少ない白内障の日帰り手術や、涙道内視鏡による涙目の治療にも積極的に取り組んでいる。
このほか視野計や眼底レーザーなど最新の検査・治療器具を完備し、高いレベルの医療を実践。入院が必要な場合は、市内総合病院とも連携が図られ安心だ。「最近はコンタクトによる障害や、コンタクト使用者の高齢化による老眼の問題も多くなっています。正しい使用法の啓蒙や遠近両用コンタクトの処方などにも力を入れたいと考えています。悩み事があれば気軽にご相談ください」と清水院長は話す。









