逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸の食道への逆流により、食道の粘膜が炎症を起こす病気です。
主な症状は、胸焼けですが、その他に呑酸(どんさん:口まで酸が上がってくる)、のどの不快感、咳などがあります。
胃酸の逆流は、食道下部の括約筋の働きが悪くなって起きますが、その原因は、偏った食事、過食、アルコール、加齢、肥満など色々です。
診断は、症状の問診と上部消化管内視鏡(胃カメラ)での、食道炎症所見の確認で行います。
治療は、内服薬により胃酸の分泌を抑える方法が一般的です。
これにより多くは、症状の改善を認めます。
ただ胃酸の分泌は抑えても、胃からの逆流は、変わりません。
内服薬でも、症状のとれない患者さんには、逆流防止の手術が適応となることもあります。
逆流性食道炎は、不快な症状を伴うだけでなく、食道がんとの関係も否定できません。
適切な診断と治療をお受けになることを、お奨めします。
眼科にも行っておいで ~眼に出る全身の病気~
眼科は文字通り「眼を診る」所ですが、「全身の病気の一部として」眼を診ることも多いです。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病により網膜(カメラのフィルム)の血管が詰まると、出血や浮腫(むくみ)などのせいで視力が下がります。
脳腫瘍や脳梗塞など脳の病気のせいで物が二重に見えたり、視野が暗く欠ける方々がおられます。
アトピー性皮膚炎に伴う結膜炎や白内障、緑内障はあまり知られていないようですが、青少年の未来に大きく関わることがあります。
膠原病(リウマチなど)の方は眼が乾燥してつらい思いをしがちですが、ご年齢のせいと思って我慢していたという話はよく聞きます。
かかりつけのお医者さんに相談したら、きっと「眼科にも行っておいで」と言ってもらえると思いますよ。
在宅療養支援診療所として
早いもので開院3周年を迎えました。
当院の外来では、お子様からご高齢者まで幅広い方々にご来院いただき、在宅療養支援診療所として、可能な限りご家庭と医療が密接にかかわり、頼りになる街のお医者さんを目指してより良い医療を提供できるよう努力をしております。
在宅支援をする上で大切なことがあります。
昔は当たり前だった、「“一家の”かかりつけ医」の考え方です。
なぜ昨今「かかりつけ医」を求めるようになったかというと、現代病と言われている病気(糖尿病・高血圧症・高尿酸血症・高コレステロール血症等)に関しては、患者さんひとりの問題ではなく、一家全体の問題としてご家庭の状況を把握していくことが重要と考えます。
本人はもちろん家族全体の病気や家庭環境等を把握していくことにより、疾病の早期発見や家族内に起きやすい病気の予防法などを細やかに判断することが可能となることもあります。
現代病に限らず、風邪ひとつとっても同じだと考えられます。
特にご高齢者が同世帯に住んでいる家庭でご家族が風邪をひき、ご高齢者の方が感染し、初めは風邪症状だったため軽視していても、その後、肺炎等の重篤症状を併発してしまうという状況も少なくないのです。
地域医療や介護に関しては前述の考え方が非常に重要となってくることもしばしばあります。
他にも、悪性腫瘍等の症状等で痛みのコントロールや病態の観察が必要な状況でも、在宅で暮らしたいという方も年々増加しています。
近年は「入院ありき」の考え方から「在宅ありき」にシフトしていることは間違いありません。
総合病院等を含めた医療連携も行っているため、まずは外来に来ていただいた際に医療・介護に関してお困りのことをお聞きすることができる場所として活用いただければと思っております。
お話をすることで緩和されるお悩みもあるはずです。
各専門スタッフが常駐しておりますので、お気軽にお問合せいただければと思います。
男性の性(26)
前回の続きです。ED治療薬として現在最も多く使用されているPDE5阻害薬は、いずれも服用すれば必ず勃起するという訳ではなく、性欲がある人が服用後、性的刺激を受けた場合に勃起する薬です。
高度の動脈硬化や糖尿病、手術で神経が損傷した場合など無効な場合も有りますが、現在ではED治療薬の第一選択薬と言えます。
元々、狭心症治療薬として開発されたPDE5阻害薬は、狭心症への効果はほとんど認められませんでしたが、偶然、被治験者に勃起機能改善効果があることが判明したためED治療薬として製品化されたものです。
バイアグラが一番最初に発売されたため最も有名ですが、空腹時だと服用後1時間程度で効果が現われるものが食後だと2時間以上かかることもあり、この点が改善されて発売されたのがレビトラです。
ただ、レビトラも高脂肪食の後ではやはり吸収が遅れることと、バイアグラ・レビトラともに作用時間が5時間程度と短く、性交可能時間にやや制限がある薬でした。
医師は処方する時、性交のパートナーにこの種の薬剤を服用していることを告げるように指導していますので、パートナーと相談して性交時間を決めれば問題はないのですが、そう理屈どおりに行かない性交の場合も男女間には有るので、時と人と場合によっては使いにくい薬でした。
そこで、もっと長い作用時間の薬を、ということで開発されたのがシアリスです。次回はシアリスとこれらの薬の使用時の注意点をお話します。
メディカルスキンケアシステム 〜シミ・シワ対策・美肌を維持するために〜
肌を若返らせても、その肌を維持しなければ、台無しです。
『メディカルスキンケアシステム』は若返りの治療(セルリバイブ・ジータ、フォトフェイシャル、レーザーピーリング)と同時に、『サプリメント』と『ドクターメイドのエンビロン化粧品』を使用し、自分の肌の栄養環境を整えて、効果を実感して頂くための治療方法であり、そして、美肌を維持するための治療方法です。
美肌、肌のアンチエイジング(若返り)の治療は栄養環境を整えないで治療しても、満足して頂く効果が実現しないことが考えられます。
そのため、中からの『ビタミン、ミネラル、アミノ酸の補給』と、肌の外からの『ビタミンAとCの補給』は、肌の代謝を高めて張りのある美しい肌を保つために必要です。
エンビロンの『メディカルフェイシャルトリートメントシステム』は、早期に効果を実感できるスキンケアで、最先端の皮膚浸透性の高いビタミンAとC(紫外線で傷ついた皮膚の細胞のDNAを修復する)をイオン導入や超音波導入で効率よく送り込み、ホームケアでは修復困難な肌のダメージを、より短期間に修復し健康な肌へ導きます。
癒されながら、皮膚科学の研修を受けたディプロマによるオーダーメイドのトリートメントシステムをお受けになりませんか。
ワクチンで防げる病気はワクチンで防ぎましょう
Hibワクチンと肺炎球菌ワクチン、子宮頸がん予防ワクチンが来年からの公費接種となることが決まりました。
不活化ポリオワクチンは9月から単独での接種が始まり、11月からは三種混合ワクチンと一緒になった4種混合ワクチンとして接種が出来る予定となっています。
ようやく世界水準のワクチンレベルに追いつきつつあるのですが、未だに知られていないのはB型肝炎の予防ワクチンです。
このワクチンの目的はB型肝炎ウイルスによるがんの予防です。
現在、B型肝炎ワクチンは母親がB型肝炎ウイルスに感染してキャリアとなっている人に限って、母子感染を予防するという目的で行われています。
しかし、世界はすでにすべての子供達にB型肝炎ワクチンをするようになっていて、世界177カ国で生まれた直後からのワクチン接種が始まっています。
B型肝炎ウイルスには3つのタイプがあることが知られていて、今まで日本で広まっていたのは子供のうちに感染してしまうと将来がん化することが懸念されていました。
最近首都圏などで広まっているタイプは成人になって感染しても肝臓がんを発症しやすいと言われ、このタイプが主流になって来ました。
通常の日常生活では感染に至ることは稀ですが、家族内での感染や性的接触による感染などは知られております。
ワクチンは成人になってからも可能ですが、乳幼児期に接種したものは抗体の獲得に優れていると言われ、多くの国では3種混合ワクチンの中に不活化ポリオワクチンと一緒になった5種混合やHibワクチンも含めた6種混合ワクチンという形で普及しています。
日本では残念ながら任意接種扱いで1回5,000円程度で3回の接種が必要です。
でも、これによって将来の癌のリスクの一つは防ぐことが出来るのですから、おたふくかぜや水ぼうそうとともに子供のうちに必要なワクチンとしてご両親にぜひ理解していただきたいと思っています。
現在、2ヶ月からHibワクチンが始まりますので、それに合わせてB型肝炎ワクチンもぜひ接種するようにしましょう。
高齢者の熱中症と水分摂取
「先生、これから暑くなると熱中症が心配なのですが、心臓が悪い私はどれくらいの水を飲んでもよいのですか?」と、心不全で入院したことがあるAさんが聞いてきました。
どうやら、これからの夏を節電のためにエアコンの使用を控えようと考えているとのことでした。
熱中症は毎年梅雨明けから増え始め近年の患者数は増加しています。
平成22年度の統計調査によると、特に高齢者の熱中症では重症化する例が多く、熱中症全死亡者数の約8割が65才以上、死亡者数のピークは75才から89才の後期高齢者でした。
若い人の熱中症はスポーツや労働中に屋外で発症することが多く、独居または配偶者との2人暮らし、家にエアコンがないなどの特徴がありました。
高齢者特有の原因としては、不快な高温多湿環境に気づくのが遅れる、発汗機能が低下しているため体温調節が鈍化していることなどがあります。
熱中症の予防には、室温湿度の管理と水分補給が重要です。
節電に協力もしたいところですがエアコンや扇風機を適切に使用し、湿度計付き温度計を居室に置いて、室温28度以下、湿度60%以下に明確に定めて管理しましょう。
飲水は、口渇に気づいた時はかなり脱水が進行している場合が多いため、一日の食事以外の水分量をあらかじめ決めておき、定期的に飲むようにすることが大切です。
夜に緑茶やコーヒーを飲むと就寝後のトイレが増えますので、カフェインを含まないお茶や水の補給が良いでしょう。
高齢者ではAさんのように心臓病のために医者から水分摂取量を制限されている人もいます。
飲水増量が過度となり浮腫や心不全を発症させないようにすることが重要です。
まずは飲水量を100ml増量して体重や浮腫が増えないことを数日間確認し、大丈夫であればさらに100mlずつ慎重に増量していきます。
さらに重要な点は、夏が終わる頃には発汗量が減少しているので飲水量も元に戻すことを忘れないことです。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の新しい治療薬(テリパラチド)について
人の骨の中では、常に古い骨が破壊、吸収され、新しい骨が造られています。
これを「骨のリモデリング」といいます。このバランスがくずれ「破壊と吸収」の方が「形成」より亢進(こうしん)すると骨粗鬆症になってしまいます。
今までの骨粗鬆症治療薬は骨吸収を抑制するものがほとんどでしたが、最近、副甲状腺ホルモン誘導体のテリパラチドが使用可能となり、骨形成促進剤として注目されています。
研究によると、テリパラチドの24カ月投与で腰椎骨密度は13%上昇し、椎体骨折の発生率を65~80%減少させたとのことです。
実際に私が使用した経験では、かなり早期から腰背部痛の軽減がみられ、日常生活動作が改善しています。
テリパラチドの使用法は毎日自己注射するタイプと1週間に1回、病院で注射するタイプがあり、患者さんの条件により選択することができます。
泌尿器科とは?
ひにょうきか・・・未だに馴染みのないかたも多いと思います。
「ひ」は秘密の”秘”ではなく、分泌の”泌”です。
「し尿器科」も間違いです。
シモの方、あるいは性病専門?
そうではありません。
腎臓、尿管、膀胱、前立腺など尿に関するすべての臓器に関する専門科です。
また、受診してみたいのにどんな診察や検査をするのか、よくわからず不安だ。
陰部をだしたり恥ずかしいと尻込みしているかたも多いかと思います。
症状によりますが、局部そのものを露出しないと診察できない場合は、とても少ないです。
多くの場合は、一般的な採尿と腹部エコー検査で大丈夫です。
泌尿器科医は聴診器のかわりにエコーを多用することで、多くの情報を得ることができます。
肛門から指をつっこむような羞恥心を抱く診察も、ぼくはめったなことでは必要ないと考えます。
恥ずかしいことも苦痛もありませんので、もっとお気軽に泌尿器科医へ相談してみてください。
みずむしのお話
暖かい季節になると足の裏や指の間がムズムズとかゆくなってきたり、皮がむけてきたりすることはありませんか?
今回はみずむしのお話です。
みずむしは白癬菌というカビが皮膚に寄生することによりおこる感染症です。
この菌は高温多湿の環境で活発になるため今の時期に目立ってくるのです。
『足の裏や指の間の皮がジクジクしてめくれてくる』、『カサカサして皮が厚くなる』、『爪が変色してくる』などが代表的な症状です。
かゆみは無いこともあり、また上記の症状があってもみずむし以外の皮膚病であることもあり、診断は顕微鏡検査で行います。
治療はタイプよって異なり、外用剤だけの場合、飲み薬を併用する方法、専用の機器で爪を削るなどさまざまです。
治りにくいと言われていた爪みずむしに効果のある治療法も出て来ました。
白癬菌自体の感染力は強くはありませんが、みずむしの人が素足で使用したスリッパや浴室の足ふきマット、カーペットなどは感染源となります。
スリッパは共用しない、マットやカーペットはこまめに取り替えたり掃除機をかけるなど、感染を広げない注意が必要です。
足以外にも手や股、体や頭にみずむしが出ることもあります。
自分の足からだけではなく、飼っている動物や、最近では格闘技などのスポーツ中に試合相手から感染する外国からきた白癬菌もあります。
近年では女性のみずむしも増加しています。
温泉やスポーツクラブに行ったり、ブーツを履いたりなど、ライフスタイルを反映してのことと推察します。
みずむしは放置すると傷口から雑菌が入り足が腫れてしまったり、爪みずむしの場合では歩きにくくなったりなど生活に支障がでることが少なくありません。
感染するかどうかは白癬菌に対する免疫力の違いによるもので、みずむしイコール不潔ということではありませんので恥ずかしがる必要はありません。
疑わしい症状のある方はお早めに検査、治療を受けられることをお勧めします。