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片頭痛

脳神経外科2020/03/30

 「働き方改革」が叫ばれるこの頃ですが、昔程ではないまでも「頭痛で仕事を休むなんて」というような社会的空気に負けて、頭痛を我慢している方が、まだまだ多いかもしれません。

 最近は頭痛に限らず、痛みは積極的に治療する傾向にあります。痛みのメカニズムが解明されてきて、我慢した結果、痛みに敏感になることが分かってきたからです。たかが頭痛と思わずに、ぜひ、医療機関に相談して下さい。

 典型的な片頭痛では、脈拍に一致した拍動性の激しい痛みと強い吐き気で、体の動きに伴って痛みが増強するという特徴があり、しばしば仕事や学校を休まざるを得なくなります。しかし、持続は長くても3日、多くの場合は一晩寝れば落ち着いてしまうため、一人で我慢していらっしゃるのではないでしょうか。非常に特徴的に聞こえる症状ですが、頭痛と吐き気という組み合わせは、くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍などの生命に危険を及ぼす病気と似ています。したがって、確定診断には検査で器質的疾患のないことの確認が必要とされています。治療には幾つもの有効な薬があります。但し、それらで片頭痛の痛みが完全に取れる訳ではありません。そこで、痛みが消えない患者さんに「痛いけど、寝込まずに仕事はできる」のような「痛みのためにできなかったことができるようになること」を治療目標にするよう勧めています。

 国際疼痛学会による「痛み」の定義には、体の感覚だけでなく、心が関わるということが書かれています。「痛み」は、体に危険が迫っていることを知らせるサインと考えられますが、その原因や、迫っている危険が分からないことによる不安が「痛み」を強くします。逆に、不安が減れば、「痛み」が軽くなることもあります。片頭痛の本当の原因、メカニズムには未解決のところがたくさんあります。診断がついても、問題解決とはいきませんが、頭痛で困っている方は、一人で悩まずに医療機関に相談することで不安が減るのではないでしょうか。


Text by 函館西部脳神経クリニック 院長 小保内 主税( 2020年3月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

気管支喘息の知っておきたい生活指導

小児科2012/08/01

 喘息は治療に時間のかかる病気です。
従って薬だけに頼ることなく、ある程度自分で喘息に打ち勝つ強い身体を作っていかなくてはいけません。

 喘息の治療には3本柱があるといわれています。
まずは環境整備(原因の除去)です。
アレルゲンと呼ばれる塵や埃、ダニの死骸などを徹底的に除去する事が大事です。

 次に重要なのは鍛錬療法です。
自律神経のバランスが崩れても発作が起きることがあります。
この自律神経を鍛える事により発作の起こりにくい身体を作っていきます。
乾布摩擦や水かぶり等で皮膚を鍛えると自律神経の調子がよくなり、風邪を引きにくくなるという効果も期待できます。
乾布摩擦は皮膚の弱い子にはお勧め出来ません。
水かぶりは入浴時に、でも冬の寒い時期は出来ませんね。
自律神経を鍛える他、日常鍛錬しておいてほしい事に、腹式呼吸の訓練や喘息体操等があります。
発作が起きると気管支が細くなるため吸いこんだ古い空気を肺から出すことが出来なくなります。
同時に新しい空気が吸えなくなり次第に呼吸が苦しくなってしまいます。
この古い空気をしっかりと吐き出せれば発作時の苦しさを軽減することができます。
その為には横隔膜を腹式呼吸によって鍛えておかなければいけません。
腹式呼吸の簡単な訓練は伸ばし歌を歌ったり楽器を吹いたりするのが良いでしょう。
機会があれば紹介しますが喘息体操をするのも良いでしょう。
また水泳が喘息児にとって良いと言われます。
その理由として、乾燥していない、埃がほぼ無い環境である、目標が立てやすい等があげられます。
精神的な鍛錬にもなるのでお勧めです。

 喘息は薬物による治療だけでなく原因の除去や鍛錬も非常に重要です。
薬も大切ですが自分で喘息を治すという意思も強い身体を作っていきます。
専門的な知識がなくても出来る事なので自宅で是非行ってみてください。


Text by 五稜郭ファミリークリニック小児科 石坂 仁( 2012年8月1日 「ダテパー Dr. Dr.プリーズ」掲載)

遠近両用コンタクトレンズと老眼

眼科2019/10/28

 眼科の診療は、ほとんどが顕微鏡をのぞきながらの診察になりますが、涙目の検査をするときなど、肉眼で患者さんにすごく近づいて行うことがあります。50歳を超えると、そのように近づいて検査する時、患者さんの目を見るのが辛くなってきてしまいました。老眼の始まりです。

 近視用のコンタクトレンズをしている方で老眼になってくると面倒くさくなってきてやめてしまう方も多く見受けられます。

 しかし、最近では「遠近両用コンタクトレンズ(以下CL)」という物があり、遠くから近くまではっきり見ることができるようになってきました。

 はたして遠近両用CLの仕組みはどうなっているのでしょうか?

 遠近両用CLはあの小さいコンタクトレンズの中に、遠くが見える度数と近くが見える度数が同心円状に並んでいます。そして、遠くにピントの合う光と近くにピントの合う光の二つの光が常時目に入ってくるのですが、遠くを見ようと思った時・近くを見ようと思った時、それぞれに目的の光情報を頭の中でピックアップして、いらない光情報を半分カットしています。それ故、逆にピントの合っていない光情報も、常に目の中に入っているためちょっとにじんだように感じられてしまいます。ですからレンズの大きな普通の眼鏡に比べて全てがすっきりというわけにもいかないのが実情です。それでも数日するとその見え方にも慣れてきて違和感が次第に消えていきます。

 自分も初めて遠近両用CLに替えてみたときには、近くの文字がぐっと見やすくなり、診察の時も患者さんの目がよく見えるようになりました。

 最近はゴルフをするのにスコアカードが見えない、老眼鏡をかけるのはファッション的に格好悪いので遠近両用CLを希望しますというような、50歳になってCLを初めて使う方も増えています。


Text by 清水眼科クリニック 清水 信晶( 2019年10月28日 「北海道新聞夕刊」掲載)

歯列矯正を受ける時期はいつが良いの?

矯正歯科2013/12/20

 歯列矯正のタイミングは、乳歯と永久歯が混在しているお子さんの時期の治療(1期治療)と、永久歯列完成期に行う仕上げの治療(2期治療・本格矯正)に通常分けられます。
しかし、乳歯列期でも治療した方が良い場合や、永久歯列が完成する中学・高校生以降になってから一気に行った方が良い場合など、タイミングは症状によって異なり、必ずしも早く始めたほうが良いとは限りません。

 永久歯が全部生えそろった時点できちんとした歯並び・かみ合わせにするために、今何をすべきかと考え、治療方針を決定する必要があり、目先のことだけを考えていてはまったく対応できません。
そして、歯並びの状態だけではなく、お口の衛生状態、ご家族のご事情、親御さんや治療を受けられるご本人の気持ちなどを総合的に考え、治療のタイミングや装置の選択を行います。

 あごの成長や歯の生え変わりが激しいお子さんの時期の歯列矯正は、不確定な要素が多く、ある面、大人より治療が難しい時期ともいえます。
しかし、その変化に富んだ時期だからこそ可能になることも数多くあります。
あごの成長を利用した治療が可能であったり、歯の動きが早かったり、歯を抜かないで済んだり、歯や歯グキへの悪影響を回避できたり数多くのメリットが挙げられます。

 歯列矯正の場合、早期治療は必ずしもベストとはいえず、早期発見、長期管理、短期治療(短期といっても年単位)が基本となります。
お子さんの歯並び・かみ合わせが気になるようでしたら、まずはお早めに矯正歯科医へご相談されることをお勧めいたします。
できれば小学校低学年までには1度はご相談されるのがよろしいかと思います。

 ちなみに歯グキがしっかりしていて健康な方であれば、大人の方でも歯列矯正は可能です。
最近では、裏側矯正やマウスピース矯正など目立たない矯正装置も考察されており、周囲の視線を気にしないで歯列矯正が受けられるようになっております。


Text by ふるた矯正歯科 古田 樹己( 2013年11月15日 「青いぽすと」掲載)

ドライアイ

眼科2008/08/13

 最近、外来では目の乾燥を訴える方を多く見かけます。これはドライアイ(乾性角結膜炎)から来る症状です。

 黒目(角膜)や白目(結膜)は常に涙の膜で保護されております。涙は外からのばい菌をやっつけたり、黒目への栄養を運ぶ働きがあります。ドライアイとは、その涙の量が少なかったり、涙そのものの働きが悪くなるために目の表面に傷が出来てしまう病気で、女性に多いといわれています。

 原因は、加齢性変化はもとより、シェーグレン症候群【自己免疫疾患(膠原病)の一つで、主に唾液腺や涙腺などの外分泌腺が慢性炎症をおこす病気。その結果、主として外分泌腺の機能の低下をもたらす】に代表されるような全身疾患の一症状としてドライアイを呈する場合もあります。精神安定剤やその他の薬によって涙の量が減る事や、中には原因の分からない場合もあります。それに近年、パソコンやTVゲームの普及に伴い目を酷使するため同様の症状を訴えるケースも増えております。

 症状は先に述べた目の乾きはもちろん、ゴロゴロしたり(異物感があったり)、熱く感じたり、充血、かゆみ、目の痛み、目の疲れやまぶしく感じたりと様々です。また夕方になると充血がひどくなったり冬場の暖房などにより悪化する傾向があります。

 治療は人口涙液や角膜保護剤などの点眼を用いるのが一般的です。症状のひどい方には特殊なプラグや外科的処置で涙の排水口である涙点を閉鎖するなどの処置が必要な場合もあります。また、暖房の使用時には室内を充分に加湿したり、夏場でもエアコンの付近を避けるなどの予防策も効果があります。とにかく目を乾燥させない様心掛ける事が大切です。

 北海道は他の地域より乾燥しやすいため外での作業をしたときなど、一年中たえず症状を訴える方も少なくありません。前述のような症状が気になる方は一度眼科での精密検査を受けてみられてはいかがでしょうか?


Text by 吉田眼科病院 岡田 佳典(  「」掲載)

春の健診で視力の結果が悪かったら

眼科2013/04/22

 新学期を迎え、我々眼科医も学校健診のため小・中学校を訪れます。
視力検査を含め、目の病気が疑われれば専門医を受診するようにと、健診の結果用紙を子供たちは学校からもらってきます。
その中で特に注意しなければならないのが小学校一年生の視力検査の結果でしょう。
小学校一年生にとって視力という検査は初めての経験で、やり方も良く理解出来ないかもしれません。
そのため本来の視力より低く出ただけということもあります。

 しかしながらこの年齢で結果が悪い場合、遠視や乱視のお子さんも多く見受けられます。
そして、遠視の場合、弱視(じゃくし)や斜視(しゃし)を伴っている場合があり、この一年生の時期を逃すと後でメガネをかけたとしても視力が回復出来なくなってしまうこともある、目にとってラストチャンスの時期だともいえます。

 簡単にいうと、近視は少なくとも近くを見ている時にはきちんとピントがあった画像が目に入るので弱視になることはありません。
それに対し強い遠視の場合は近くも遠くもピントが合わず、常にぼやけてしまいます。
いつもはっきりしない画像しか見えていないため視機能(ものを見る力)が発達することができなくなります。
そのため放置するとメガネで矯正しても視力が出ない弱視になってしまったり、また、斜視を来すこともあります。

 用紙に斜視と書かれている時もあります。
斜視は片目が正面を見た時に、もう一方の目が他の方向を向いてしまって視線が外れている場合です。
常に視線が外れている場合や、時々外れている場合、また、疲れた時などにちょっとだけ外れる場合など程度はさまざまです。
視力を矯正するだけで治ることもあり、早期に検査・治療が必要な場合もあります。

 健康診断で視力の結果が悪いときには放置せず、必ず専門医の精密検査を受けましょう。


Text by 清水眼科クリニック 清水 信晶( 2013年4月22日 「北海道新聞夕刊」掲載)

おりものの話

産科婦人科2010/03/21

 最近おりものが多い。臭いが気になると言って受診する方が増えてきています。

 おりものとは、外陰・膣・子宮・卵管などからの分泌物、漏出液・浸出液が生理的に、あるいは病的に増加したもので、診察して多いなぁと思っても気にしていない人や、何もないのに多いと言う方もいて、感じ方に個人差があります。

 規則的に月経がきている成熟期の女性では、膣は主に卵胞ホルモンの働きで酸性になっていて、細菌の増殖をおさえています。
これを膣の自浄作用といい、頸管炎などによる粘液の増量・精液・月経血・過度の膣洗浄等で低下します。

 おりものには、生理的な排卵・妊娠・ピルなどホルモン剤の服用・子宮膣部ビランによるもの、病的な炎症性の性感染症である淋病・クラジミア感染症・トリコモナス症・性器ヘルペス・尖圭コンジローマ他、細菌性膣炎・卵管炎・バルトリン腺炎・腫瘍性の子宮頸膣部癌・子宮体部癌・外陰癌・頸管ポリープによるものがあります。

 おりものが多い時、それが異常かどうかの判断は、色は白い、膿のよう、水のよう、赤い、臭い他、かゆみ、痛み、腹痛、腰痛等はあるのかというところから検査をすすめます。

 小児期のおりものの異常は、外陰・膣の炎症に伴っておき、外陰の不潔・下着の刺激・外傷・膣内異物などが原因でおきます。

 更年期から老年期の女性にみられるおりものの異常は、ほとんどが卵胞ホルモンの低下による性器の萎縮によるものですが、子宮癌によることもあり、放置せず検査を受けることが必要です。


Text by 松浦 敏章( 2005年11月 「タウン情報誌JAM「教えて、先生!!」」掲載)

糖尿病の気がある、と言われていませんか?

 日本人は、欧米人に比べインスリン分泌が弱く糖尿病になりやすいといわれ、今や40歳以上の5人に1人は糖尿病かその予備軍であるといわれています。背景としては、ここ10年くらいの総カロリー摂取量は変わらずに、自動車の保有台数と脂肪の摂取量が増えています。つまり、食事量ではなく食事の質が変化し、かつ歩かなくなったことが一因といえます。

 糖尿病はどんな病気でしょうか?血糖値が高くなる病気なのですが、全身の細い血管を壊していく病気と思って下さい。長い年月をかけ、あまり症状を出さずに、徐々に血管を傷害していきます。脳に起れば脳梗塞、心臓に起れば狭心症・心筋梗塞、眼に起れば眼底出血のため視力低下し、腎臓に起れば腎不全となり透析が必要になります。これが、サイレントキラーと呼ばれるゆえんです。

 それでは、どうすれば糖尿病を早期に発見できるのでしょうか?糖尿病の初期には自覚症状はありませんので、まず採血して調べることです。その採血にもコツがあります。糖尿病の初期の段階では、空腹時には正常で、食後の血糖値だけが高くなることが多いのです。その為、糖尿病が心配で受診される際は、食後1~2時間後の血糖値を調べてもらって下さい。そこで少し高いようならば、改めて糖尿病の精密検査を受けましょう。

 糖尿病の精密検査は、糖負荷試験と呼ばれ、空腹で行う検査です。空腹で受診し、空腹時に血糖値を取り、その後甘いブドウ糖液を飲んでもらい、30分後、1時間後、2時間後にそれぞれ血糖値を測定する検査です。合計4回採血され2時間かかる検査ですが、これで糖尿病かどうか診断します。

 境界型と呼ばれる糖尿病と正常者の間に位置する人=糖尿病予備軍であれば、体重を5%程度低下させ、1日30分運動すると糖尿病になるリスクを減らすことができます。

 最近太り気味で糖尿病が心配な方は、まずは食後血糖から調べてみませんか?


Text by はら内科クリニック 原 信彦(  「」掲載)

まぶたの劣化は老化のバロメーター

眼科2022/05/31

 マスク時代の今、第一印象は「目」で決まりますから、まぶたの劣化で老けた印象になってしまいます。以下の①~④がまぶたの劣化の主なものになります。

上まぶたには、目を開く役割があり、持ち上げる腱膜や筋肉が伸びてしまうと①眼瞼下垂になり目が開き切らない状態になる。②上まぶたの(痩せ)くぼみは、目の周りのハリを保つ皮下脂肪・コラーゲン・エラスチンの減少と筋肉の衰えによるもので、三重や四重にもなることもある。③下まぶたの目袋のむくみ・たるみは眼輪筋を下がらないように押さえているスジのような「リガメント」が緩むことにより、緩んだ分だけ下に外にたるみが大きくなり、まるで雪崩の様に、どんどん目袋は膨らみ下にたれる。④目の下のプヨプヨは眼球を保護するクッションの役割をするための脂肪の塊が前側に出てきてしまったことにより、元には戻らない。

 ①~④の症状は、もちろん加齢が原因なのですが、特に若い頃から美容に関心があり、目の周りもグリグリとマッサージなどを習慣的に行ってきた方に多くみられます。一生懸命お手入れすることが、かえって劣化の原因になってしまうなんて悲しいですが、顔は必要以上に触らないことです!顔の表情筋は幅広の平ゴムと思って下さい。パッティングやマッサージで伸びきったゴムは縮むことができなくなる➡皮膚を持ち上げることができなくなる➡たるんで下がりブルドッグ顔になる、という結果になってしまいます。特に目の周りの皮膚は全身で一番薄い皮膚です。目の周りのマッサージを続けていると、瞼の皮膚も伸びきって目が開きづらく①眼瞼下垂になり視界を邪魔する場合は手術が必要になることもあり眼科にご相談ください。②③④対策で劣化をなるべく遅らせるには、マッサージの習慣をやめましょう!


Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子( 2022年5月23日 「北海道新聞夕刊」掲載)

爪水虫の内服治療には、抵抗がありますか?

皮膚科2022/07/26

爪水虫の内服薬で肝機能障害が起きることがあることを多くの方がご存じのようで、外用薬での治療を選択される方が圧倒的に多いのですが、果たしてそれでよいのでしょうか。 爪水虫が外用薬で治るかどうかは、爪水虫の程度、毎日きちんと塗れるか、そして爪の伸びる速度がかかわります。

症状が軽度であれば治る確率は高いのですが、重症なものではなかなか難しく、数年外用してもほとんど変化がない方もいらっしゃいます。そして毎日の外用は、塗る爪の本数が多くなったり、また高齢で腰が曲がらなくなると難しくなっていきます。特に爪が厚くなっている場合は、薬が浸透するように爪を薄く削るというひと手間も加わります。

爪の伸び方は個人差がありますが、やはりご高齢の方ほど爪の伸びが遅く、治りが遅い傾向があります。 水虫の原因は真菌(かび)で、爪の下に多くいます。内服薬だと爪と接する皮膚から薬が浸透しますので効果が高いのですが、外用薬の場合は、爪の状態により薬が下まで届かないこともあり効果が不安定です。

もし内服薬で肝機能障害が起きたとしても、軽症が多く、ほとんどが内服薬の中止により回復していきます。最近は3か月だけ内服し、内服薬終了後も爪に薬が留まるため、内服終了後は2か月に一度程度の診察だけで経過をみていく薬もあります。

爪水虫は以前よりも治る疾患になりましたが、内服薬と比較すると外用薬の効果は遅く完治する可能性も低く、そして塗る手間や通院回数を考えると、内服治療を最初から除外するのではなく、どちらが自分の生活に合っているかで検討してみてもよいのではないでしょうか。どうしても内服薬に抵抗があるという方は、最初は外用薬から開始して、効果がなければ内服薬に切り替えるという方法もあります。


Text by うめき皮膚科 院長 梅木 薫( 2022年7月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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