メマイはこわくない
めまいは感覚的には怖い症状ですが発症パターンを理解して冷静に対処しましょう。
まず、耳の病気によるめまいの代表的な発症パターンは次の3つです。
- 頭を動かしたときのみグルグルしためまいが数秒から数分続くが頭を繰り返して動かす度にめまいは軽くなっていく。
- グルグルしためまいがして同時に聴力低下や耳鳴りが起こる。めまいがおさまると聴力低下や耳鳴りもおさまる。
- グルグルした激しいめまいが1日中続き、1週間おさまらない。
1は良性発作性頭位めまい症
2は有名なメニエール病
3は前庭神経炎という病気です。この3つの病気は耳のめまいで最も多いものです。
一般的に耳の病気によるめまいは眼振という眼が勝手に動く現象が起こりますのでグルグルした激しい回転性のめまいが起こり、嘔吐を伴ったりします。
しかし意識は悪くなりません。
従って激しいめまいや吐き気、嘔吐があっても受け答えの出来る方は脳に障害を起こしている可能性は低いですので慌てる必要はありません。
めまいで受診される高齢者のエピソードとして多いものは「夜中にトイレに起きたら(あるいは起床時に)急にグルグルしためまいがして動けなくなったので救急病院に行って点滴を受けた。
点滴が終わる頃にはめまいはおさまった。
今、めまいはない」このパターンは一時的な脳血流不全のことが多く、内耳の血流は脳血流の一部ですから脳血流が低下すると内耳の血流も低下しますのでグルグルしためまいがします。
高血圧や糖尿病など動脈硬化を進行させやすい疾患をお持ちの方に多いパターンです。
脳の病気ではフワフワ、ふらふらした浮動性のめまいやグルグルした回転性のめまいに加えて眼前が真っ暗になる、意識が悪くなる、手足のしびれがある、呂律(ろれつ)がまわらないなどの症状を伴います。
このようなめまいは脳神経外科の受診をお勧めします。
判断がつかなければ近くの耳鼻咽喉科を受診してみてください。
ノドの違和感~逆流性食道炎
ノドの違和感はアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、咽頭喉頭炎、感冒などの鼻、ノドの炎症性疾患、咽頭がん、喉頭がんなどの腫瘍性疾患、バセドー病や橋本病などの甲状腺疾患など様々な疾患で起こりますが、具体的な疾患が見当たらず症状のみがある患者さんもいらっしゃって耳鼻咽喉科医泣かせの症状でもあります。
そんな中、最近注目されているのが逆流性食道炎です。
胸焼けや食道病変を伴うのが普通ですがそれらの症状、病変を伴わない例もあります。
咽頭、喉頭などの粘膜は酸に弱く炎症を起こしやすいと言われておりノドの違和感を訴える患者さんに逆流性食道炎が認められ、咽頭や喉頭粘膜に炎症性変化が確認されたことで注目されるようになりました。
鼻やノドに疾患が見当たらずノドの違和感がある場合は逆流性食道炎を疑ってみることも必要と思います。
不妊症検査によって妊娠することがあります。赤ちゃんが欲しい方は早めに検査を受けましょう
女性の基本検査には、ホルモンの検査のほかに、卵胞(卵子を包む袋)の発育を診る超音波卵胞測定、卵管や子宮の内部を調べる子宮卵管造影検査、精子の通過性を調べるフーナーテストなどがあり、これらの検査をきっかけに妊娠する方も少なくありません。
●超音波卵胞測定
低温期に超音波検査で卵巣内の卵胞の数や大きさを測ります。
卵胞の大きさが18mmを超えた時点でホルモン検査を行い、E2(エストロゲン)が300、LH(黄体形成ホルモン)が10以下なら排卵となります。
排卵日を正しく予測でき、妊娠しやすい性交のタイミングを指導できます(タイミング療法)。
●子宮卵管造影検査
低温期に造影剤を使ってX線撮影をします。
排卵が順調でも、卵管に狭窄や閉塞があると不妊の原因となるため、必須の検査です。
この検査で卵管の軽い狭窄が解消し、検査後に妊娠することがあります。
検査は排卵前なので、造影剤やX線の影響は心配ありません。
●フーナーテスト
排卵に合わせて性交してもらい、子宮頸管に精子がどのぐらいいるかを調べます。
医師が排卵日を正確に予測するので、この検査で妊娠することがあります。
また、フーナーテストは男性不妊の検査を兼ねます。
一定数以上の精子が子宮頸管にいれば、造精機能(精子を作る働き)に問題はないと分かります。
産婦人科で不妊症の検査を受ける前に、基礎体温や市販の排卵検査薬を使って妊娠しやすい日を選ぶのもひとつの方法です。
しかし、排卵日の特定は難しく、タイミングが分からない、タイミングを選んだのに妊娠できないなど、ストレスを感じる場合もあります。
医師が行うタイミング指導は、科学的根拠に基づく高度な医療テクニックです。
自己流の性交タイミングとは全く異なります。
赤ちゃんが欲しい方は、勇気を出して産婦人科を受診するのが早道でしょう。
ビスフォスフォネート系薬剤を服用しての注意点~顎骨壊死について~
医科で処方されますビスフォスフォネート系薬剤は、悪性腫瘍(癌)の骨への転移、悪性腫瘍による高カルシウム血症、骨粗鬆症に用いられています。
近年、これが顎骨壊死に関わっているとの報告が相次いでいます。
この顎骨壊死はビスフォスフォネート系薬剤を投与されている患者様にまれに起こり、顎の骨が部分的に腐った状態になり、口の中の細菌が感染します。
その場合、
①口の中の痛みや腫れ、膿が続いている
②歯茎に白い硬いものを感じる
③歯がグラグラする
④下唇のあたりがしびれる
などの症状が現れます。
こういったビスフォスフォネート系薬剤による骨壊死は顎の骨以外では見られなく、特に下の顎に起こりやすいと言われています。
口の中の粘膜は傷つきやすく、口の中の細菌が顎の骨に感染する可能性が他の骨に比べ高いためだと考えられています。
また、ビスフォスフォネート系薬剤を投与されている患者様が抜歯などの口の中の外科治療をした場合も顎骨壊死が生じる原因に挙げられています。
ビスフォスフォネート系薬剤は、悪性腫瘍、骨粗鬆症の治療に非常に有用です。
こういった顎骨壊死のリスクがあるので、服用されている患者様はかかりつけの歯科医にあらかじめ伝えておくことが必要です。
そして、どうしても抜歯などの治療が必要であれば、ビスフォスフォネート系薬剤を処方している医師と薬剤師と歯科医が連携を取った上で治療を進めてもらった方が良いでしょう。
先ほども述べましたとおり、この顎骨壊死は頻度としてはまれに起こるものですが、ビスフォスフォネート系薬剤を投与されている患者様はそのリスクを減らすためにも、口の中を清潔に保ち、定期的な歯科クリニックでの口腔清掃をすることをお勧めします。
プラネタリウムと歯科矯正
まったく関係のない2つの言葉ですが両方とも子供たちのために歯科医となってから興味を持ち勉強し始めたことです。
歯科矯正学は、一般になじみがあまりないと思いますが、唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)の子どもたちを医科大学がない地方都市の函館でも高度な優れた治療を受けることができるように歯科大学を卒業後、口腔外科と矯正歯科の医局での9年、米国・カナダでの口蓋裂治療現場を回り、経験。
その後、函館に戻ってきたわけです。
また、プラネタリウムは上映施設のない函館でも子どもたちに自分の技術で見ることができる環境を作ろうと考えて8年前より続けていることです。
両方とも子どもたちに喜ばれている分野ですが、プラネタリウムのほうは、見た子どもから直接、「楽しかった」と言われることが多い分野です。
受験シーズン到来、うちの子は大丈夫?
センター試験も終わり、受験モード真っ最中のお子さんも多いでしょう。
これからの時期は、お子さんの受験・就職はもちろん、親も転勤・転居と生活環境が大きく変化してきます。
その中で、ストレスのため新しい生活環境に対応できず、様々な病気になってしまうことがあります。
今回は、原因不明の下痢や便秘、又は両方を長期間繰り返す病気「過敏性腸症候群」のお話です。
今や、5~10人に1人が、悩んでいるといわれているこの病気は「下痢型」、「便秘型」、下痢と便秘を交互に繰り返す「混合型」の3つに分けられます。
下痢型は 男性、便秘型は女性に多くみられ、10歳代~40歳台の比較的若い世代にかかるケースが多く、風邪や食あたりによる腸炎とは異なり、なかなかな改善しにくいことが特徴のひとつです。
主にストレスが原因とされ、例えば、受験が終ると症状が改善してくるなど、何らかのストレスがなくなることで改善される場合がありますが、実は、自分自身ストレスを感じていないにも関わらず、「過敏性腸症候群」となる方もいます。
そのほとんどが、不規則な生活習慣が原因となっています。
適度な運動、規則正しい食事・排便習慣、良質な入浴、睡眠など、本人自身で少しずつでも改善することがとても重要です。
治療は、このような生活指導のほか、整腸剤や下剤、ストレスの状況によっては安定剤などを処方します。
腸の運動をコントロールする「セロトニン」の働きを抑える内服薬も、新しい治療法の1つです。
また、最近の研究では、感染性腸炎との関連も指摘されています。
それは、過敏性腸症候群の患者さんの多くが、過去に感染性腸炎にかかった経験があり、それが原因で腸粘膜に微細な炎症を引き起こしたり、腸内細菌のバランスを破壊することで、炎症がない人には問題とならないストレスでも、下痢や便秘の症状を引き起こすことがあるといわれています。
今後、これらの研究が進むと、また、今までとは異なった治療法が確立されてくる可能性も大きいでしょう。
下痢や便秘などの自覚症状はあっても、重要視せず病院へ行かないことも多いと思いますが、軽症の段階で適切な治療をすると改善も早く、様々な合併症を防ぐことが出来ます。
また、大腸ポリープ・クローン病・潰瘍性大腸炎・痔、進行した大腸がんやすい臓がんでも、同様の症状が続くことがあるので、十分な注意が必要です。
唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)と歯科のかかわり
唇顎口蓋裂は、胎生期に癒合するはずであった上あごの真ん中部分が離れたままで生まれてくる疾患で、最近では手術や矯正歯科治療の進歩により、治ってしまえば誰も気づかないこともあります。
私が札幌医科大学の口腔外科に勤務していたころは、この疾患を持つ子どもたちが北海道各地から集まっておりました。
しかし、現在ではほとんどが北海道各地方都市の総合病院にいる形成外科医から治療を受けられます。
その中でも、この疾患についてトレーニングを積んだ医師のみにより手術されております。
最近では、出生直後のホッツ床(口蓋裂があるため哺乳が困難な場合に口と鼻を遮断し哺乳を助ける柔らかい樹脂で作った入れ歯のような上顎にはめるプレート)の使用から始まり、歯列矯正治療を終えるケースで考えると、歯科医とは17年間ほどの長い期間付き合うことになるため「こころ」の管理をふくめて、長期の取り組みが必要となります。
この疾患の発生原因は不明で、おおよそ5、6千人に1人の割合で生まれます。
函館の人口は約28万人ですので統計上500名程の患者がいると考えられるということになります。
一昨年、日本口蓋裂学会に当院の統計について報告させていただきましたが、それによると23年間に受診した唇顎口蓋患者さんは、225名でした。
人生80年とすると、23年間の受診者数から算出すると統計上考えられる500名を上回るので函館地区のほとんどの方が当院を受診していることになります。
この疾患へは、言語治療士やその他の医療従事者によるチームアプローチによる取り組み治療がされております。
この疾患の影響により、上あごの発達が悪くなりやすく、反対咬合や乱杭(ラングイ)歯が生じ、矯正歯科を含めた歯科治療が必須のものとなります。
矯正歯科の保険導入については、コロンビアトップ議員の国会質問がきっかけとなり、1982年にようやく保険導入が開始され、まだ30年しかたっておりません。
函館でも良い医療を提供するため、歯科医は頑張っております。
生後6ヶ月までの予防接種
現在日本で子どもに接種出来るワクチンは13種類ほどあります。
いずれも確実に病気を予防出来たり、重症化を防ぎます。
1歳になるまでに接種しておきたいワクチンだけでも6、7種類、しかも複数回接種しないといけませんので赤ちゃんが生まれて忙しくなる前にワクチン接種スケジュールを立てておきたいですね。
去年秋から接種出来るようになったロタウイルスワクチンは、4週間以上あけて2回の経口接種を生後24週までに終了させることになっています。
ロタウイルスは赤ちゃんの重症胃腸炎の原因病原体ですが、このワクチンを接種する事によって重症化を9割方抑えることが出来るとされています。
しかし生後半年までの時期はヒブや肺炎球菌、
DPTといったワクチンと重なるので、日本小児科学会などではこれらのワクチンの同時接種を進めています。
例えば2ヶ月になったらすぐにヒブ、肺炎球菌、ロタウイルスワクチンの同時接種、3ヶ月にはさらにDPTを追加といった具合です。
4ヶ月健診の時にBCG接種を行いますので、健診の1週間前までに肺炎球菌とヒブの3回目、DPTの2回目を済ませておくのが理想です。
ヒブや肺炎球菌、ロタウイルスワクチンは任意接種ですのでどうしても接種しなければいけないワクチンではありません。
しかもロタウイルスワクチンの場合2回で2万5千円程度の費用がかかります(ヒブ、肺炎球菌ワクチンは現在無料)。
いずれ公費の負担が期待出来るかもしれませんが、例年寒くなってくると増えてくるロタの感染症で苦しんでいる子を診ていると是非とも積極的に接種して欲しいワクチンの一つです。
ワクチンといっても経口生、不活化、生ワクチン等があって、ネット上には丁寧に説明している所もありますが、組合わせの難しいワクチンもありますので小児科医と良く相談してスケジュールを組むようにしましょう。
コンタクトレンズの選び方
コンタクトレンズにはハードレンズとソフトレンズがあります。
一般にハードレンズは乱視の矯正力があり酸素透過性も良いとされていました。
しかし、最近は乱視用ソフトコンタクトやシリコンハイドロジェルという酸素透過性の良いソフトコンタクトも発売され、初めてコンタクトを作る方はソフトコンタクトを選ぶことが多くなりました。
さらに遠近両用コンタクトやおしゃれ用のカラーコンタクトもあり、多種多様のコンタクトから自分にあったコンタクトを選ぶことができるようになりました。
ハードレンズを選ぶ方はまず強度近視や強度乱視の方、円錐角膜と言った角膜の病気を矯正する必要のある方に選ばれます。
通常のソフトコンタクトにはないハイパワーの方はまずこちらになりますが、ハードという通りレンズ自体が硬いため初めて付ける時にはちょっとごろごろして涙が出てきてしまいます。
それでも1週間位するとなれてきて、比較的長時間装用しても目に負担が少ないという特徴があります。
ソフトレンズも以前に比べると乱視付きレンズの性能が良くなり中等度の乱視の方までなら問題なく使用できます。
2週間から1ヶ月で交換する使い捨てレンズ(頻回交換レンズ)もあり、レンズに汚れがたまる前に新しい物を目に付ける事ができる種類の物はソフトコンタクトにあります。
また、全く消毒の必要がないという一日の使い捨てレンズ(ディスポレンズ)もあり、お値段はその分お高くはなりますが、気軽に、そして目の健康のためには非常に優れている種類もあります。
目を美しく見せるというカラーコンタクトもあり、若い女性を中心に隠れたおしゃれをするレンズとして人気があります。
コンタクトレンズは異物を目に入れていることになるので、きちんと消毒しないと角膜に傷をつけることがあります。
使用方法の説明をきちんと受けて、正しく使うことが大切です。
この時期気になる『冷え性』
比較的女性に多い「冷え性」。
それは、女性の筋肉量が男性に比べて少ないこと、また、女性ホルモンや甲状腺ホルモンのバランスのくずれやすいこと等が主な原因です。
冷え性を改善するには、まずは生活習慣の改善です。
①運動:毎日の早足で30分ほどのウオーキングは、熱をつくり出す筋肉が増え、下肢の血流が良くなるため効果的です。
②食事:1日3食、バランスの取れた食事が大切です。
特に、たんぱく質やたんぱく質の吸収を助けるビタミンも一緒に摂取することも大切です。
朝食は、消化のの良い温かいものをとることを心がけましょう。
③入浴:足湯や半身浴、また、ぬるめのお風呂にゆっくりつかりましょう。
④保温:手足の保温(手袋や靴下)はもちろん、首元はマフラーをしましょう。
⑤毎日の手足のマッサージや、ストレッチもこころがけましょう。
このような方法でも改善されない時は、甲状腺ホルモンの血液検査をお勧めします。
また、頑固な冷え性は、症状に合わせた漢方薬の治療も検討されますので、お近くの病院で相談されてみてはいかがでしょうか。