リンゴ病は子供だけの病気ではありません
リンゴ病はヒトパルボウイルスB19というウイルスの感染です。
2~12歳くらいの子供に多く、両頬の赤み、四肢のレース状の赤みが特徴的です。
発熱などの全身症状が出ることは殆どありませんが、赤血球が壊されることがありますので、貧血の人や妊婦が感染した時には注意が必要です。
発疹が出て気が付いた時には感染力はありませんので、隔離や出席停止は必要ありませんが、予防ができないことにもなります。
最近多くみられるのが、両親など大人への感染です。
大人の場合は、頬が赤くなることはありませんが、手足の腫れが強く出て、痛みを伴い関節が動かせなくなることがあります。
その時は、腫れを治す内服薬がありますので、早目に病院を受診して下さい。
お子さんがリンゴ病になってから1週間前後は、症状が出ないか気を付けましょう。
ピロリ菌は万病の元?
「かぜは万病の元」。ささいな病気でも軽く考えず早目に治さなければ、より重大な病気をひきおこすと警鐘を鳴らした言葉です。
胃潰瘍の原因菌として一躍有名になったピロリ菌(正式にはヘリコバクター・ピロリ菌)は1983年にヒトの胃から発見されました。
胃液中の酸はその殺菌作用によって細菌感染に対する防御機構として機能すると考えられており、「胃の中に細菌は存在しない」という当時の医学常識を覆す画期的な発見でした。
日本人は人口の約50%が感染しており、除菌療法が2000年に胃潰瘍と十二指腸潰瘍に、その後胃MALTリンパ腫、早期胃がんの粘膜切除術後の胃などにも保険適用となりました。
消化器系疾患では他にも胃がん、胃ポリープ、萎縮性胃炎などとの関連性が判明しています。
一方、最近の研究でピロリ菌は、意外な疾患にも関係することが分かってきました。
特発性血小板減少性紫斑病という血液の病気でピロリ菌陽性例に除菌治療を行うと半数以上で病状が改善するため、現在は治療の第一選択となり保険適用にもなりました。
また原因不明の慢性じんま疹はピロリ菌を除菌すると 30%前後の例で症状が改善するとされています。
その他にも、心筋梗塞などの虚血性心疾患、パーキンソン病・アルツハイマー病などの神経疾患、肺がんなどの呼吸器疾患、鉄欠乏性貧血、糖尿病、自己免疫疾患、眼科疾患、婦人科疾患など、当初の想定を超えた広範囲な疾患でピロリ菌感染との関連性を示唆する報告があります。
これらの関連性は現時点ではまだ確定的ではないものもあり、保険適用もない疾患が多いですが、今後の研究が期待されるところです。
ピロリ菌の除菌療法は一週間の内服ですが、最近は耐性菌の増加により成功率が70%前後に低下しています。
しかし一回目で不成功の場合も二次除菌として有効な治療薬が保険適用となっており、最終的には90%以上の方で除菌は可能です。
除菌を希望する場合は専門医とよく相談するのが良いでしょう。
加齢性眼疾患の予防法
加齢による目の病気の中で
- 翼状片(白目の膜が黒目に伸びて入る)
- 白内障
- 黄斑変性症(網膜の一番まぶしさを感じる所の変化)
は、紫外線=活性酸素で進行することが知られています。
サングラスも有効ですが、体内から活性酸素を減らすためには、ビタミンA・C・Eと亜鉛・銅が有効です。
特に、黄斑変性症には、目に害のある青色光を吸収するルテイン、抗酸化作用のあるアスタキサンチンが有効です。
緑黄色野菜に含まれるルテインは、毎日、ほうれん草でサラダボールに2杯も食べないと効果がありません。
アスタキサンチンも金魚など魚の赤色色素なので、この二つはサプリメントでとり入れることをお勧めします。
さらに抗酸化作用のあるω(オメガ)3系の油脂である魚油・亜麻仁油・しそ油を料理でとり入れるとよいでしょう。日々『抗酸化』を意識してバランス良い食事を摂り、足りない物をサプリメントで補うことで加齢性疾患の予防を心がけてみて下さい。
目薬でも治らない目の不快感は?
目の乾き、かすみ、涙目、ゴロゴロする、しょぼしょぼする、などの不快感は、60歳以上になるとほとんどの方が感じているようです。実は、これは涙と深い関係があります。
健康な目は、下まぶたにたまった涙がまばたきによって持ち上げられ、眼球の表面を覆います。
歳を取ると涙の量が少なくなったり、涙の質が悪くなったりするために充分に眼球表面を潤すことができなくなるのが「ドライアイ」です。目の乾きがあるとこすれる原因になり、先に述べたような不快感が出るので、眼球表面を保護する点眼薬をつけなくてはなりません。
「ドライアイ」は目をつぶっていると症状が軽く感じるのがポイントです。
それに比べて目をつぶってもずっと不快感がとれない病気に「結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)」というものがあります。
人は1日に1~2万回もまばたきをしているので、歳を取るにつれ結膜(白目の表面の薄い膜)のたるみができてしまうのです。
結膜のたるみができてしまうと、このたるみが邪魔をして下まぶたに涙がたまることができなくなり、涙があふれたり、涙が正常に眼球表面を覆えなくなり、乾き目になったりします。
この「結膜弛緩症」は軽い症状の場合は、ドライアイと同じような点眼治療でも効果がありますが、不快感が続いている場合にはたるんだ結膜を縮める手術が効果的です。
表面麻酔をして痛みを感じなくしてから、たるんだ結膜の部分に熱を加えて縮ませることができます。
これは切開して縫い縮める方法よりも術後の痛みも少なく、外来で10分前後で終了する手術方法です。
下まぶたのすぐ内側に透明な膜のような物がたるんで見える方、目の不快感が取れない方は、結膜弛緩症かもしれませんので一度眼科を受診してみてはいかがでしょうか。
X線検査
福島の原発事故で改めて放射能放射線に対し不安をもった方も多いと思います。
最近X線検査をはじめ医療被曝に関してご相談を受けることがあります。
X線は電磁波の放射線で画像診断検査にはX線写真CT透視シンチグラフィーPETなどがあり、また癌の治療に用いる放射線治療があります。
X線検査は病気を発見診断し治療を行うため大変重要な情報を提供してくれます。
X線被曝は確かに人体に有害ですが一方で患者さんに大きな利益(メリット)を与えてくれます。
逆にいえば患者さんの利益が放射線による障害やリスクより十分に大きいと考えられる場合のみX線検査は実施されます。
我々は大地空気食べ物や宇宙線から年間平均2.4mSvの自然放射線を浴びながら問題なく日常生活を送っています。
200mSv以上のX線を1度に全身に浴びない限り身体に何らかの症状は現れません。
これはX線検査でありえない線量ですし例えば手のX線検査で他の内臓への影響はほとんどありません。
医療被曝に関しては(A)被曝量(B)被曝の影響が重要です。
(A)被曝量:X線検査で正面の頚椎0.03mSv(以下同単位)腰椎0.49股関節0.55大腿骨0.05胸部0.05程です。
(B)被曝の影響
①ある程度の線量(しきい線量)を超えると影響が出るもの≪確定的影響≫:影響の種類臓器によって異なり白内障、白血球減少などがあります。
胎児への影響は臓器が作られる妊娠2~8週に100~200mGy被曝するとありえます。
通常のX線検査でこれを超えることはありませんが妊娠の可能性がある女性は事前に必ず医師にお申し出ください。
②≪確率的影響≫:被曝線量に応じて影響がありうるもので発癌、白血病、遺伝的影響などが考えられていますが今のところ通常検査の被曝で明らかな影響がでた確実な報告はありません。
もちろん医師や医療機器メーカーは医療被曝を軽減させるため真剣に努力すべきですし慎重でなければなりません。
X線検査を受ける前に少しでも不安や不明な点があれば遠慮なく医師にご相談ください。
お肌の老化予防と美肌を維持するための『メディカルエステ』エレクトロポレーション/ソノフォレーシス
痛みなく、高分子のアミノ酸、胎盤エキスなどを導入することができるエレクトロポレーションとビタミンA、ビタミンCなどを導入することができるソノフォレーシスが、お肌の老化予防と美肌を維持することで注目されています。
30~40代の女性に多く見られるシミシワの原因は紫外線、老化などがありますが、多くの方に女性ホルモンのアンバランスや肌のビタミン、ミネラルの不足が関係しているといわれています。
エレクトロポーションやソノフォレーシスを施行することによってお肌の栄養環境が変わり、顔全体、特に冬の目の周囲のしみ、しわ、乾燥に効果があります。
また、光治療やレーザートーニングなどのシミシワの治療前や治療後にエレクトロポレーションやソノフォレーシスを行うと、より良い効果と治療後の効果の持続が期待できます。
男性の性(25)
『男性の性』という抽象的であいまいなタイトルですが、性機能(勃起障害、性交障害、不妊)、性器(陰茎、陰嚢、精巣、精巣上体、精管、前立腺、精嚢腺)、男性更年期障害(遅発性性腺機能低下に伴う諸症状)といった医学的な話題と、男性の性(さが~性格、性向、性質、たち)について、ざっくばらんに書き綴っているコラムです。 今回はダテパーでの第1回目ですので、皆さんが1番関心があるかもしれないと思いつつ、何故か今まで書かなかった勃起機能改善薬(ED治療薬)について書くことにします。
ED(勃起障害)の治療は、1998年(日本では1999年)にバイアグラが発売されたのを境に大きく変わりました。
それまでのED治療は心理療法(カウンセリング)、体外陰圧補助具、海綿体注射、ホルモン補充療法、手術、漢方薬などでしたが、バイアグラの発売は、多くのEDで悩む患者さんにとっての福音となりました。
心臓病(特に狭心症や心筋梗 塞)、重症肝臓病、重度の高血圧・低血圧、網膜色素変性(進行性の夜盲症)等の病気がなければ、問診票に記入し簡単な診察と場合によっては心電図や血液検査だけで、バイアグラの処方を受けることが出来るようになりました。
その後、バイアグラの欠点を補うようなレビトラやシアリスが発売され、現在日本ではバイアグラ25mg・50mg、レビトラ5mg・10mg・20mg、シアリス10・20mgの計3種の薬剤と5種の用量が選択できるようになりました。
特にシアリスは勃起機能改善効果が36時間持続し(他の2剤は5時間程度)、時間を気にすることなく性交できるようになりました。ただこれらの薬剤は狭心症の治療に使われる硝酸薬(ニトログリセリン)と併用すると血圧が下がり時には死に至ることもあります。 次回はこれらの薬剤使用時の注意点などを書きたいと思います。
顔の腫瘤(しゅりゅう)と黒子(ほくろ)
顔の腫瘤としてよく見られるものに粉瘤があります。
米粒大のものから大きいものは半球状に隆起します。
少し圧迫すると悪臭のある粥状の内容物が出てきます。
炎症を起こすと周囲が赤くなり、痛みを起こし、切開排膿治療を行わなければならないため約2〜3週間かかりますが、炎症を起こさない小さいうちに摘出すると約1週間で治療ができて傷跡も小さくて済みます。 また、黄色腫という30歳代から瞼の周囲に出現してくる乳白色の平坦な腫瘤があります。
高脂血症によって生じるといわれていますが、痛みも痒みもないため、放置してしまうことがほとんどですが、徐々に増大するため、小さいうちにレーザー治療などで摘出することをお勧めします。 黒子は多くは色素性母斑といわれるもので、黒色の斑で点状のものから小豆大のもの、また平らなものから隆起しているものまであります。
とくに摘出する必要のない黒子もありますが、短期間に大きくなってきたり、また、頻繁に出血するようであれば、診察を受けてる必要があります。 年齢が高くなると今まであった黒子が徐々に大きくなったりしますが、特に問題のある症状ではありません。
しかし、頻繁に痒みが起こり始め、血がでやすくなったりするようであれば、形成外科、皮膚科の専門医の診断を受けてください。 またー
- 黒子なのかシミなのかわからない色のむらや凸凹、部分的に乾燥したように皮膚が度々剥けてくるようなとき
- 黒子やシミが治ってはまた生じ、赤みやかゆみを起こすとき
- 黒子やシミの下にしこりがあるとき
- 鼻、口の周囲の黒子で、以前からあるけれども最近大きくなって小豆大になってきた方
このような症状のある時は専門医の診断を受け、保険治療を受けることをお勧めいたします。
男性の性(24)
今回も包茎の話を続けます。米国では新生児期にかなりの割合で(2005年の報告では61%)包茎手術が行われていると紹介しましたが、もちろん日本ではそんなことはないので、多くの男児(70~80%)が程度に差はあれ仮性包茎であり、就学後でも約10%が真性包茎といわれています。
真性包茎でも副腎皮質ホルモンクリームを塗布し入浴時に包皮の翻転を少しずつ試みていくうちに亀頭が露出することも多いのですが、どうしても包皮が翻転できず亀頭が露出しない場合、仮性包茎でも尿路感染や亀頭包皮炎を繰り返す場合や、包皮が翻転でき亀頭が露出しても包皮口が狭く元に戻しにくい場合(元に戻せない状態が続くと亀頭・包皮が腫れて嵌頓包茎という状態になり早急に処置が必要になります)、は手術が必要になります。
小児の包茎手術は全身麻酔が必要な場合が多いので、1泊入院で行う施設が多いようです。
成人の(正確には第2次性徴終了後の)包茎に関しては、真性包茎の場合は当然手術が必要ですが、仮性包茎でも包皮口がやや狭く勃起時に疼痛や不快感があるものも手術が適応となります。
また包皮が著しく過剰で性交時(膣挿入後のピストン運動時)支障がある場合も手術した方が良いと思います。
その他、前回少し触れましたが、 性行為感染症の予防については、包茎手術が効果があるという意見とそうでない意見があります。
効果があるという意見は、仮性包茎の場合、性交時の包皮小帯部の微小損傷が意外と高頻度であることや性交時の接触面積が大きいことを理由に挙げていますが、そうでないとする意見は統計学的に差が無いことを理由としています。
包茎手術を受けたグループと受けていないグループでは、HIV感染症が受けていないグループで70%も高率だったという南アフリカの報告もあります(2005年)。
早漏防止効果については、心理療法や薬物療法、トレーニング等、他の治療が無効な場合にのみ試みるべきと思います。
ノロウイルスに注意
冬に流行する胃腸炎の原因のひとつにノロウイルス感染症があります。
特徴は、下痢だけでなく吐き気や嘔吐などの症状が出やすいことです。
感染してから症状が出るまで1~2日くらいで、数日で治まることがほとんどです。 ノロウイルスに対する薬はなく対症療法が中心で、嘔吐や下痢による脱水症状を起こさないようにすることが大事です。
しかし、強い下痢止めで完全に下痢を止めてしまうと治りが悪くなることもあります。
排泄物を片付けた後は消毒をきちんとする事が大事ですが、アルコール消毒は効果がなく、塩素系の消毒薬が有効とされています。
自宅にある漂白剤を薄めたもので代用できますが、消毒後は水拭きすることが必要です。 手指などの皮膚の消毒には使えないので、手洗いを念入りにして、水でしっかり洗い流すことが大事です。