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乳がんについて

2017/04/24

 1995年には日本人女性の3万1174人が乳がんになっていました。
その頃、それまで日本人女性がなる第1位だった胃がんを越え、現在まで20年近くその座は揺るぎません。
2015年には8万9400人が乳がんになっています。
激増している理由としては、食生活の欧米化、出産数の低下、月経回数の増加(初経が早くなり、閉経が遅くなったため)などが考えられています。

 一方、女性のがんのできる部位ごとの死亡率では乳がんは胃・大腸・肺のがんよりも低く、その予後は他のがんに比べれば一般的に良好と言われています。
しかし、乳がんの死亡率はいまだに増加傾向であり、2015年の日本人女性の乳がんによる死亡者数は1万3800人であります。

 乳がん患者の死亡率を低下させるためには早期発見、早期治療が重要であることは言うまでもありません。
そして、早期発見には検診が欠かせません。
検診には、自分で見たり触ったりして行う自己検診と医療機関で行う乳がん検診があります。
乳がんは、身体の表面近くにできるため、自分で見たり触ったりすることで発見しやすい数少ないがんです。
20歳以上の女性は月1回の自己検診が勧められています。
閉経前の女性では、月経開始から数日の乳房の柔らかい時期に行うと、しこりが見つけやすいと言われています。
自己検診でしこりを見つけた人はもちろん、早期のしこりのない乳がんは自己検診で見たり触ったりしても発見が難しいため、医療機関で行う乳がん検診でマンモグラフィ検査や超音波検査を受けることが大切です。
日本乳癌学会では月に1度の自己検診と、自己検診で異常がなくても40歳以上の方は1~2年に1回の定期的な乳がん検診を受診することも推奨しています。
乳がんは20歳過ぎから認められ、30歳代ではさらに増え、40歳代から50歳代がピークです。
若い女性にとっても、乳がんは決して他人事ではありません。

 乳がん検診を受けたことのない方はぜひ1度、受けたことのある方は、受けたことのない方を誘って乳がん検診を受けることをお勧めします。


Text by 国立函館病院 小室 一輝(2017年4月24日 「北海道新聞夕刊」掲載)

春の眼科検診での視力と色覚検査

眼科2017/04/24

 新学期を迎え、眼科医が学校健診のため小・中学校を訪れます。
視力検査を含め、目の病気が疑われれば、専門医を受診するようにと書かれた健診の結果用紙を子どもたちは学校から頂いてきます。
その中で特に注意しなければならないのが小学校一年生の視力検査の結果でしょう。
小学校一年生にとって視力検査は初めての経験で、やり方も良く理解できていないのかも知れません。
そのため本来の視力より低く出ただけ、ということもあります。

 しかしながらこの年齢で検査結果が悪い場合、遠視や乱視が原因のお子さんも多く見受けられます。
そして、遠視や乱視の場合、弱視(じゃくし)や斜視(しゃし)を伴っている場合があり、この一年生の時期を逃すと後でメガネをかけたとしても視力が回復出来なくなってしまうこともあるため、目にとってラストチャンスの時期だとも言えます。

 簡単に言うと、近視は少なくとも近くを見ている時にはきちんとピントが合った画像が目に入るので弱視になることはありません。
それに対し強い遠視や乱視の場合は近くも遠くもピントが合わず、常にぼやけています。
いつもはっきりしない画像しか見ていないため、放置するとメガネで矯正しても視力がでない弱視になってしまったり、また、斜視を来すこともあります。

 色覚検査は現在、希望者のみ行われています。
プライバシー保護のため一人一人が別々に検査を受けられるようになっています。

 先天性色覚異常は男性で5%と、おおよそクラスに1名いる換算になります。
小学校に上がると消防車の写生を全員でしたりと色使いにも色覚異常の生徒ははっきりと現れることになります。
美術以外の教科でも先生が黒板に書いた字が見づらい、学校の掲示物が読みづらいなどの不具合が出ることもあります。
小学生のうちにぜひ色覚検査も受けてみることを勧めます。

 健康診断で視力検査の結果が悪いときには放置せず、必ず専門医の精密検査を受けましょう。


Text by 清水眼科クリニック 清水 信晶(2017年4月24日 「北海道新聞夕刊」掲載)

眼からわかる全身疾患

眼科2017/04/14

 眼球は直径24mmほどの小さな器官ですが、私たちが得る情報の約90%が視覚からであり、それが障害されると日常生活に支障をきたします。
また、眼の症状から他の病気を発見するきっかけになることもあります。

①散瞳剤をつけて眼底検査をすると、眼科医は動脈と静脈を直接見ることができます。
眼底は体の中で血管を直接見ることができる唯一の部分です。
血管の走行状態や出血から、糖尿病・高血圧症・癌の転移・白血病・SLEなどの膠原病などがみつかることがあります。
特に糖尿病は現代病であり、失明原因の第2位にもなっています。
眼底出血で発見され、血糖値を測定したら異常高値で即、内科に紹介ということも珍しくないことです。

②急な複視(物がずれて見える)や、片側の眼瞼下垂(まぶたが下がる)などの症状の時は、脳梗塞・脳腫瘍・脳動脈瘤による頭蓋内の神経の圧迫・甲状腺の異常・重症筋無力症などの筋肉の病気がみつかることがあります。
特に危険な脳動脈瘤は、くも膜下出血の前ぶれであり、放置すると命にかかわることもあるので、神経の麻痺と判断した場合は、即脳外科に紹介となります。

③目の周りのできものは良性のものがほとんどですが、まつ毛の際で増大していくものの中には基底細胞腫・有棘細胞癌・悪性黒色腫などの悪性の腫瘍もあります。
切除して病理組織診断して初めてわかることも稀にあります。

④目の周りの皮膚は全身の中で一番薄いので、すぐに荒れてしまいやすく、早めに治さないと感染症や色素沈着が長引くので、的確な治療が必要です。

 以上のように、眼に関わる何らかの症状がある時は、放置せずに眼科を受診して下さい。
特に、症状の出ないうちに進行してしまう「緑内障」は失明原因第1位の病気です。
視野検査を受ければ見つけることができます。眼科の検査は痛い検査はひとつもありません。
気軽に「目の検診」を受けて、いつまでも見える目でいられるように、早期発見・早期治療につとめましょう。


Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子(2017年4月14日発行号 「青いぽすと」掲載)

歯根は虫歯にかかりやすい

歯科2017/04/11

 深い歯周ポケットのある歯周病にかかっていらっしゃる方は、歯の動揺や歯肉の腫れ、歯肉からの出血、お口のネバネバ感などの症状で悩まされているかと思います。
歯科医院で歯周病治療を始め、健康な歯肉を取り戻しつつあると、今まで腫れていた歯肉は引き締まっていきます。
逆に歯と歯の間の隙間が拡がるため、食べ物が挟まりやすくなったり、また歯根の露出量が増えるため、冷たい水でしみる知覚過敏症状が起きることがあります。

 このような症状の他に起きる大きな問題点のひとつとして、根面う触(こんめんうしょく/歯根の部分の虫歯)があります。
この歯根部の虫歯は歯周病の方だけでなく、加齢とともに歯肉が下がった高齢者に発症しやすく、60歳以上では2人に1人の割合で発症しているという報告があります。

 歯冠(歯の上の部分)はエナメル質で覆われていて、PHが約5.5以下になると脱灰されるのに比べ、歯根では象牙質が薄いセメント質に覆われていて、PHは約6.7以下になると脱灰されますので、歯冠よりも歯根の方が虫歯にかかりやすいと言えます。

 根面う触がおきやすくなる原因として、高齢になると歯を虫歯や歯周病から守る唾液の量が減るため口腔乾燥症を起こすことがあげられます。
加えて、降圧薬や利尿薬、坑うつ薬等の多種の薬剤の副作用や、糖尿病やシェーグレン症候群でも口腔乾燥症が生じやすくなります。
また、そもそも歯根の形はくぼんでいる部分もあるためブラッシングしにくく、プラークを残しやすいので虫歯にかかりやすいと言えます。

 根面う触の予防には、フッ化物入りの歯磨剤を用いたブラッシングを行い、歯間ブラシや電動歯ブラシの併用も効果があると思われます。
根面う触に対してフッ化物入り歯磨剤を用いた場合、67%のう触予防効果があったという報告があります。
さらにご自身で清掃が難しい部分を、定期的に歯科医院でケアすることをおすすめします。


Text by 北斗歯科クリニック土永 浩史(2017年3月17日発行号 「青いぽすと」掲載)

マイボーム腺

眼科2017/04/10

 こんにちは。今日は“マイボーム腺”についてお話をさせていただきます。

 マイボーム腺という名称はあまり聞き慣れないかもしれませんが、ドライアイを引き起こす原因の一つとして考えられています。

 上下のまつ毛の内側にあり、涙成分のうち脂質を出しています。
しかし、加齢等の影響により機能異常を起こした場合にドライアイを引き起こす原因になる事があります。
出口付近で脂質が固まり蓋(ふた)を作ってしまうと、マイボーム腺梗塞という状態で眼の不快感の原因にもなります。
しかし肉眼では分かりにくいため、眼科での診断が必要です。
治療はホットアイマスク等により1日2回程度温める事で脂質を溶かす方法が有効ですが、やり方次第で逆効果になる事もあるため注意が必要です。

 眼の不快感やドライアイ等気になる方は、まずお近くの眼科へ一度ご相談下さい。


Text by 江口眼科病院 大山 泰司(2017年4月10日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

災害に備えて

脳神経外科2017/03/27

 東北大震災から6年経ちました。
あの時の危機感が薄れてきてはいませんか?

 読者の中には、たくさんの薬を飲んでいる方も少なくないと思います。
そういう皆さんは、災害に備えて薬を準備しているでしょうか?
大きな災害では、いつも通っている病院や薬局が被災した場合、薬が手に入らなくなります(最近の、大災害で実際に起きています)。
薬がないことが、生命の危険に直結することもあります。
血圧は、すぐには命に危険が及ばないと思いますが、災害のような状況では、普段より血圧が高くなります。
そのため、日頃から少し(数日分)余分に薬を手元に置いておく習慣や、自分の薬の情報が分かるようにしておくといいでしょう。

 薬の情報とは、何という薬を、どのように(どれだけの量を、いつ、何回)使用するかです。
薬局からお薬を入手している方は、「お薬手帳」を手渡されることがあります。
その中に、必要な情報が記載されているか、薬局で薬の内容が印刷されたシールが渡され、自分で手帳などに貼るよう指導されていると思います。
また、薬の一覧表が、薬局から発行されることもあります。
これには、薬の名前や使用方法だけでなく、副作用の説明や使用上の注意も記載されていることが多いです。
自分で覚えているという方もいらっしゃるでしょうが、薬の名前には、よく似たものがあり、間違いが重大な結果になる恐れもあります。
正確な情報を保管することをお勧めします。
携帯電話のカメラで撮った処方箋を見せてくれた方がいました。
とても良い方法だと感心しました。

 さらに、薬の情報を、家族にも持っていてもらうと、二重の安心につながるでしょう。
身近に家族がいない方は、遠方の家族に写真をメールで送っておくという手もあります。

 最後に、東北の方たちだけではなく、あらゆる災害の全ての被災者の皆さんにエールを送ります。
「最高の栄光は、一度も倒れないことではなく、倒れるたびに、立ち上がることにある!」
(オリバー・ゴールドスミス)


Text by 函館西部脳神経クリニック 小保内 主税(2017年3月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

汗管腫(かんかんしゅ)

皮膚科2017/03/27

 汗管腫というのは眼の周りに多発するブツブツとした発疹です。
女性に多く、主に思春期以降にできてきます。
大きさは米粒くらいで、数個からもっとたくさん集まってできることもあります。
色は皮膚と同じ色です。
眼の周り、特に下のまぶたに多く見られますが、額や頬にできることもあります。
特に痛みやかゆみなどの症状はありませんが、自然に治ることもありません。
悪性ではないですし、悪性化することもほとんどないので治療しなくてもよいのですが、多発して細かいブツブツになるため、整容的な面で問題になることもあります。

 治療法は、焼いてしまうという方法があります。
ただ、麻酔が必要になりますし、1回で取れないこともあります。
広い範囲の場合には何回かに分けて治療することもあります。
焼いてしまった場合、2週間くらいカサブタになって取れますが、しばらく赤みは残ります。
化粧はできますのである程度隠すことはできます。

 汗管腫に似たものとしてエクリン汗嚢腫(のうしゅ)というものがあります。
これは、女性に多く、やはり眼のまわりに米粒くらいの大きさのブツブツがたくさんできます。
でも、汗管腫は一年中変化しませんが、エクリン汗嚢腫は冬は良くなりますが、夏になると出てくるという特徴があります。
エクリン汗嚢腫は、焼いてもまた出てきたりして、汗管腫よりも治療は困難な事が、多いようです。
やはり似たものとして、稗粒腫(はいりゅうしゅ)というものもあります。
これも女性の眼の周りに多く見られますが、単発していることが多いようです。
これは、小さく切開して、中の袋を出してしまうと取れます。
麻酔をしなくてもできます。


Text by すどうスキンクリニック 須藤 聡(2017年3月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

まだまだ、しもやけの季節です

皮膚科2017/03/13

 しもやけは寒さによる末端の血行障害で、厳冬期よりも昼夜の温度差が10度以上ある初冬と初春に多いといわれています。
特に足指や耳、頬が赤く腫れ、時に水疱(すいほう)となり、温めると痛みや痒(かゆ)みが強くなります。
治療は血行を促す外用剤を優しくマッサージしながら、1日に数回塗布します。
炎症が強い場合には、ステロイド剤を使用することもあります。
重症の場合はビタミンEや漢方薬を内服することもありますが、症状が出る前の秋から始めると、予防効果があるといわれています。
手洗いや発汗後の水分が蒸発することで熱が奪われ、しもやけになりやすくなりますので、タオルで水分をしっかり拭き取ったり、靴下を交換することが大切です。
発熱や関節痛を伴ったり暖かい時期でも症状が続く場合には、他の疾患のこともありますので、その時は皮膚科受診をお勧めします。


Text by うめき皮膚科 梅木 薫(2017年3月13日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

大腸がんを予防しよう

消化器科-2017/02/27

 2012年の北海道の男性大腸がん死亡率(人口10万人あたりの死亡者数)は全国平均より高く、さらに道南は北海道の中でも死亡率がひときわ高い地域です。女性も函館市を含む南渡島では全国・全道平均より高くなっています。では、大腸がんで命を落とさないようにするにはどうすればよいでしょうか?

 がんの予防は、がんにならないよう食事や環境を整える1次予防と、がんになっても早期に発見して治す2次予防に分けられます。まず1次予防ですが、大腸がんのリスクを高めるといわれているものには、加工肉(ソーセージなど)、脂質(油物)、過度の飲酒、喫煙、肥満、が挙げられています。反対に、食物線維、野菜、果物、牛乳を適切に摂取すること、適度に運動すること、これらはリスクを減らすといわれています。一般に食事の欧米化が進むと大腸がんが増加しますが、食事の内容から特定の食物や成分を評価することは困難な場合も多く、必ずしも全ての研究で同じ結果が得られているわけではありません。しかし可能性を考えて日頃これらに気をつけることが大切です。次に2次予防、つまりがんになっても治せる段階のうちに発見するには検診を受けることです。大腸がんの発見には肛門からカメラを入れる大腸内視鏡検査が最も優れていますが、前処置(下剤をかけるなどの検査の準備)が大変だったり、検査中の苦痛の度合いが大きい場合もあり積極的に受けたいと思う方が少ないのが難点です。そのため大腸がんの検診としては便に血が混じっていないかを調べる便潜血反応検査が第一段階の検査として全国的に採用されています。検査で陽性の場合は内視鏡検査に進むことになります。便潜血反応検査は毎年受けることにより大腸がん死亡を60%以上減らすことが証明されています。函館市の場合は年1回40歳以上の方は低額の自己負担で、70歳以上の高齢者の方等は無料で受けることができますので積極的に活用しましょう。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男(2017年2月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)

眼科2017/02/27
  • ものや景色がゆがんだり小さく見えたりする(変視症・小視症)
  • 最近視力が落ちた気がする
  • 色の感じ方が以前と違う、色の違いがわかりづらい(色覚異常)

このような症状を自覚したことはありませんか?

もしかしたらそれは「加齢黄斑変性」の初期症状かもしれません。

加齢黄斑変性とは網膜の中心部に異常が起きる疾患で、加齢や酸化ストレス、喫煙などさまざまな因子が発症に関わっていると考えられています。
放っておくと視力低下することもある怖い病気で、世界的には視覚障害の上位に位置します。

実際に視力が低下するまで進行した人の割合は人口の約1%程度ですが、網膜に前駆病変を持つ予備群は人口の実に約10%に及ぶと報告されています。

検査は視力検査、眼底検査、視野検査、光干渉断層計検査、蛍光眼底造影検査等、個々の患者の状態に合わせて検査を行います。

眼底検査は瞳孔を広げる薬を点眼するため、薬の効果で数時間程度見づらさが出現します。
そのため来院時は車の運転を控え、他の交通手段で受診することをお勧めします。

外来での治療は眼の中に薬剤を注射したり(硝子体注射)、病変部にレーザー治療を行ったりします。

タバコは病気を悪化させるため、禁煙をお勧めしています。

また加齢黄斑変性の予備群と考えられる方には、予防のための薬(サプリメント)の内服を勧めることもあります。

少し前までは有効な治療が少なかった疾患ですが、現在はいい薬が日本でも導入されたため薬剤のみで病気の進行を抑制し、失明を予防できる機会も増えてきました。

しかし早期発見、早期治療が大事なのはどの疾患も共通ですので、冒頭に挙げた症状に心当たりがある方はお近くの医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。


Text by 江口眼科病院 根本 穂高(ほたか)(2017年2月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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