自律神経失調症について
身体的な病気が無いのにもかかわらず様々な症状が出現する場合、「自律神経失調症」と言われることがあります。「自律神経失調症」というのは本来正式な病名ではないのですが、自律神経の機能が働き過ぎたり働きが悪かったりでバランスが崩れている、機能的に失調している状態という意味で習慣的に使われています。
基礎となる身体的疾患が無いということは、全く異常が無いとか、気のせいだとかということではありません。これからは次第にそのような症状の発現に関与する病態が明らかになってくるでしょう。
身体的な症状としては頭重感(ずじゅうかん)、めまい、口渇、身体の冷え及び火照り、痛み、動悸、立ちくらみ、息切れ、はき気、心窩部(しんかぶ)の不快感、ふらつき、発汗の異常(過多、冷や汗など)、肩凝り、倦怠感、その他実に様々なものがあります。身体の一部が冷たくて他の部分が熱い、異物感、何か動くような感じがする、といった奇妙な症状が見られることもあります。不安感、注意集中困難、意欲低下、憂うつ感、記憶力低下などが見られることもありますが、これらが目立つ時に は神経症やうつ病などの疾患を考える必要があります。
脈波検査、サーモグラフィ、心電図、などの自律神経機能検査で異常が見られる場合もありますし、それでも異常が見られない場合もあります。
このような状態に対しては、一般的に精神安定剤(抗不安薬とも呼ばれています)、自律神経調整薬が有効ですが、自律訓練法などの自己コントロール法が奏功することもあります。また、心理的な影響を受け易いので、ストレスを減らす工夫によって軽快する可能性があります。
何か知らないうちに負担がかかっていないか、今までの過ごし方で良いのかを見直す時期、あるいは今までの自分が変化していく、言葉を変えれば一層の成長が求められている時期にあるのだという視点も必要かもしれません。
自分でコントロールすることが困難であり、症状が続く場合には気軽に治療を受けるようにして頂きたいと思います。
産科医のひとりごと
この20年で、産科学は非常に進歩を遂げました。でもまだわからない事も沢山有ります。一つはいつ陣痛が始まるのか、ということです。
よく妊婦検診で10ヶ月に入った妊婦さんにいつ頃生まれますか?と聞かれる事がありますが、診察で、子宮口が開いている。
柔らかくなっている、赤ちゃんが下がっている、等を診て判断しますが、正確にいつという事は解りません。
陣痛が、なぜ、どのように始まるのかが解らないのです。
解れば、ご主人の休みを何時にとるか、お産の手伝いのためお母さんに何時に来てもらうか、予定が立てやすいのですが。もう一つは赤ちゃんの事です。
お母さんのおなかにいるうちに、できるだけ正確に赤ちゃんの事を知りたいということです。突如お腹のなかで死ぬ赤ちゃんがいます。
妊娠中も、お産の時も何も異常がなかったのにハンデキャップを持って生まれてくる赤ちゃんもいます。
超音波による発育の確認、形のチェック、胎児の心拍のモニタリングによるチェックなどで、情報を少しでも多く集め、出来るだけ正確に赤ちゃんの状態をつかもうとしていますが、まだ解らない事、出来ない事があります。今後新しい検査器械の開発。新たな研究により、より正確に子宮内の胎児の状態がわかるようになる事を願っています。
ドライアイ
「目がショボショボする」「目に何か入っているような感じがある」「起きた時に目が痛い」などの症状を自覚されたことはありませんか?
もしかしたらそれはドライアイの症状かもしれません。
ドライアイは簡単にいえば乾燥で眼球の表面が不整になり、不快な自覚症状がでる病気です。
原因は単純に涙が足りないということだけでなく、涙の蒸発しやすさや、まばたきの度に起こる摩擦、目の表面の炎症などによっても引き起こされます。
症状は乾燥感とは限らず、異物感や痛み、かゆみなども起こり得ます。
市販の目薬は一時的に症状を軽くしてくれますが、根本的な解決にはなりません。
ドライアイ症状の多くは、しっかり点眼治療をすれば改善します。
症状が気になっていたけれども放置していた、諦めていた方はぜひ一度眼科にご相談くだ さい。
アレルギー性結膜炎の原因(アレルゲン)を調べてみませんか?
アレルギーは、通年性と季節性のものがあります。
通常、通年性アレルギーはハウスダストなど年間を通じて空気中にある物質により起こり、鼻炎症状が強く、目の症状は軽いことが多いです。
一方、季節性のアレルギーは一定の時期に出現する花粉などが原因で起こるアレルギーであり、皮膚のかゆみ・鼻水・くしゃみ・涙目・目の充血など、目にも症状が強く出ることがあります。
季節性アレルギーはいわゆる花粉症ですが、地方によって植物の種類や、花粉の飛ぶ時期が違います。
北海道地方ではスギ花粉の飛散がきわめて少なく、シラカンバやテンサイが花粉症の原因物質(アレルゲン)として見られます。
しかし、ここ道南地方は唯一スギ花粉の飛散が見られる土地で、すでにスギ花粉の飛散が始まっています。
花粉症のアレルゲンとして4〜6月はスギ・シラカンバ・ハンノキ・ヒノキ・イネ、7〜9月はイネ・ヨモギ・ブタクサ・テンサイなどの花粉の飛散が多いとされています。
しかし、温暖化により今までは東北地方の花粉アレルゲンだったアカマツ・りんごなどが道南地方では4〜6月に飛散するようになってきています。
また、口腔アレルギー症候群といって、(左下の)花粉症がある方が、(右下の)果物、野菜などを食べた時に、花粉症と同じ症状になるのに加え、口腔内にピリピリ感が発症することがあります。
口に入った途端にのどの腫れや痒みで気づくのですが、蕁麻疹や喘息など重症化しやすいので注意が必要です。
よって、重症化を回避するためにもアレルギー性結膜炎になったことのある方は、1度自分のアレルギーの原因をちゃんと血液検査で調べておくことをおすすめいたします。
シラカンバ → りんご・もも・さくらんぼ
イネ科 → トマト・メロン・スイカ・オレンジ
よもぎ・ブタクサ → メロン・スイカ・りんご・セロリ
MR(麻疹・風疹[はしか・ふうしん])ワクチン
来年の4月から、MRワクチンの2回接種が始まります。1回目は生後12~24ヵ月に。2回目は小学校に上がる前の1年間(年長さんに)に行うことになります。
この変更には、1回目にMRワクチン接種をしていないお子さんは2回目は打てないという取り決めと、麻疹あるいは風疹のワクチンを打ってしまっているお子さんに対しては、来年の4月以降にそれらの単独接種ができなくなり、MRワクチンの追加接種も、公費ではできないという取り決めが追加されました。
現在1歳を越えて、麻疹あるいは風疹の両方あるいは片方を打っていないお子さんは、早急にワクチンを受けてください。
1歳の誕生日が来年の4月以前で近いお子さんは、主治医の先生とよく相談して、単独でするかMRワクチンでするかのどちらかを選択してください。
詳しくは、各市町の予防接種担当係にお聞きください。
よくある良性皮膚腫瘍 ~石灰化上皮腫(せっかいかじょうひしゅ)と眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)
■石灰化上皮腫皮膚の下に石灰のような硬いものができる良性の皮下腫瘍です。
毛母腫ともいわれ毛根から発生してくる腫瘍です。
比較的若い人に多く、小児の眼の周囲、腕、頚などによく見られます。
通常は特に症状はなく、皮膚の下にコリコリとした硬いものが触れるだけです。
時に炎症を起こすこともあり、そうなると痛みが出てきます。
この腫瘍は良性で、ゆっくりと大きくなってきますが、自然に治ることはありません。
また、軟膏や内服薬で治ることもありません。
細菌が入って化膿すれば腫れてきます。
治療法は、手術による切除が普通です。
年齢と腫瘍の大きさによりますが、小学生低学年以下では全身麻酔が必要なこともあります。
それ以上でしたら局所麻酔でも可能です。■眼瞼黄色腫まぶたにできる黄色い皮膚腫瘍です。
上のまぶたの内側に出ることが多く、中年以降の年齢に多く見られます。
高脂血症、抗コレステロール血症の方に出やすいといわれています。
炎症を起こしたりすることもないので、痛みなどの症状は特にありませんが、徐々に腫瘍が大きくなってきます。
この腫瘍も良性ですが、薬での治療はできません。
治療は手術による切除です。
まぶたという場所ですのであまりに大きいものはそのまま縫合できなくなり、植皮などが必要になることもあります。
また、良性ですが、再発の多い腫瘍ではあります。
デンタルインプラントについて
歯科で使用されるデンタルインプラントの素材としては、ほとんどのメーカーでチタンが採用されています。
チタンの性質として金属アレルギーがでにくく、身体に対して有害な作用を及ぼしにくく、海水や酸に対して高い耐蝕性を示すため心臓のペースメーカーや、人工関節などで使用されている素材です。
デンタルインプラントの特徴としては、失った歯の部分にチタン製のデンタルインプラントを埋め入れて、歯本来の機能や見た目を取り戻す治療法のことをいいます。
失った歯の部分を治療しますので、周囲の歯に負担をかけることがなく、これまであった歯と同じような役割を果たしますので、噛む力を分散させ、その他の自分の歯を守ることにもなります(保険適応外の治療になりますので歯科医院にてご確認ください)。
二人目以降の赤ちゃんができない場合も不妊治療の対象になります
「不妊」は、赤ちゃんが一人も授からない状態と思われがちですが、二人目以降の赤ちゃんがなかなかできない場合も、「続発性不妊」といって、不妊治療の対象となります。
続発性不妊の場合、ひとりお子さんが授かっていることで、「自分たち夫婦は不妊ではないので、いつかできるだろう」と様子をみるうちに二年、三年と時間が経ってしまうことがあります。しかし、次のお子さんを望み二年経っても妊娠しない場合には、何か不妊の原因が隠れている場合が多いものです。
続発性不妊の原因
ご夫婦によって原因はさまざまですが、次のようなことが考えられます。
| ●女性側 |
内分泌・体質の変化による排卵障害 排卵を司るホルモンの分泌は精神的・肉体的ストレスと深く関係しており、子育てによるストレスが関係している場合があります。また、三十代とくに三十五歳以上の方の場合には、年齢的に卵巣機能が低下して、排卵がうまくいっていない場合があります。 卵管や子宮の原因 出産時の子宮・卵管の炎症などにより、卵管の通過障害(卵管因子)が起きたり、子宮内膜の条件が悪くなっていることがあります。あるいは、不妊の原因になる子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)や子宮内膜症が進行している場合もあります。 |
| ●男性側 |
精子数の減少 男性の場合、仕事などでの過労や精神的・肉体的ストレスで精子数が減少したり、活動性が低下する場合があります。 |
このように、ご夫婦ともに年齢が高くなるほど、赤ちゃんができにくくなる心配があります。二人目以降の赤ちゃんを望んでから一~二年経っても妊娠しない場合には、早めに不妊原因を特定して、治療を受けるに越したことはありません。ぜひ、積極的に不妊外来を受診するようにお勧めします。
歩く時の足の痛みは要注意
季節はずれの雪も消えて遅い春がやっと来た。
春、運動を開始するにはウォーキングが安全で最適。筋肉量が増加して基礎代謝量が高まり、内蔵脂肪は効率よく燃焼され、貯まった脂肪エネルギーが燃えやすい効率的な身体が造られる。 さて、歩いているときに足が重くしびれてだるくなり、歩けなくなってしまった苦い経験はありませんか。この特徴的な症状が「間欠性破行」。 「腰部脊柱管狭窄症」では、腰椎の加齢的変化で神経スペースの脊柱管が狭くなり、「間欠性破行」を生じる。
一定の距離を置くと、足がしびれてだるくなり歩けなくなるが、腰を曲げて前かがみになると症状が改善する。
この「間欠性破行」は、閉塞性動脈硬化症でも生じる、足の血流が悪化するのが原因。病状が進むと安静にしていても、足が痛み、指先の色が紫色や蒼白になる。
更に放置すると足が壊死し、足の切断を余儀なくされる怖い病気でもある。 間欠性破行を年齢のためと簡単に考えず、レントゲン、CT、MRI、温度をはかるサーモグラフィーや血管壁の硬さや脈波をはかるABPIなどの検査を受けることが大切。
早期であればいずれの疾患でも、内服や注射療法で治療することが出来る。このような症状の方は、早く整形外科で受診することをお勧めする。
赤ちゃんがなかなかできません。不妊治療はどのような治療法がありますか?
原因に伴いさまざまな治療法があります。
高度不妊治療は安全性が高く確立された治療法です 不妊治療の現状から見ると、ほとんどの患者さんが、若いうちに子どもができなくても、いつかできると思い、自分が不妊症である現実を自覚せず、その結果治療が遅れ、30代後半になりあわてて診察に訪れる傾向にあります。
早めに不妊症を発見し適切な治療を受けることは、妊娠できる可能性が高まることにつながります。 原因に伴う治療法はさまざまですが、不妊治療の主な内容は、性交タイミング指導と人工授精の一般不妊治療、体外受精や顕微授精などの高度不妊治療に分かれます。 性交タイミング指導は、基礎体温やホルモン検査、超音波検査による卵胞計測などにより、排卵日を予測したり、人工的に排卵させるなどして、排卵に合わせて性交のタイミングを指導する治療法です。
この治療法の重要なポイントは、排卵時期を正確に見極めることです。 人工授精(AIH)は、パートナーの精液を洗浄濃縮した後、細い管で精子を直接子宮の中に注入する治療法です。
AIHの目的は、「受精が行われる場である卵管膨大部に到達する精子の数か少ない場合、子宮の内腔に直接、精子を送り込んであげることで、卵子に到達する精子の数を増やす」ことです。
性交タイミング指導と同様に、排卵時期を正確に特定することが重要です。 これらの一般不妊治療で良い結果が得られなかった場合には、体外受精や顕微授精といった高度不妊治療に移行します。
体外受精は簡単に言うと、卵巣から卵子を体外に取り出し、培養液の中でパートナーの精子と受精させ、その受精卵を子宮に戻し妊娠を試みる方法です。 体外受精や顕微授精というと、理解不十分から人為的に遺伝子を操作するものと誤解する人が少なくありません。
しかしこの過程は、体内で行われる自然受精・妊娠となんら変わりはありません。 国内では、1983年に体外受精第1号赤ちゃんが誕生以来、高度不妊治療の進歩は目覚ましく、2007年には生まれた赤ちゃんの約50人に1人、1万9595人が誕生しています。
日本産婦人科学会生殖内分泌委員会の報告では、体外受精児の奇形発生率は自然妊娠児と差がなく、さらに6~13歳までの追跡調査を行った研究でも、予後に自然妊娠の子と差がないことが明らかになっています。「体外受精で誕生した赤ちゃんは、自然妊娠児となんら変わりません」ということです。









