伝染性膿痂疹(のうかしん) ~とびひにご注意を~
膿痂疹は、主に子供に、そして夏に流行する皮膚の感染症で、水疱の中の液を触ることによって、まるで火の粉が「飛び火」するように他の部位に伝染することから、「とびひ」と呼ばれています。
この時期に多い膿痂疹は黄色ブドウ球菌による水疱性膿痂疹で、虫刺されやほんの少しの傷がきっかけとなります。
特に鼻の中を触る癖がある子供は、容易に鼻に感染してしまいます。
薬は抗生剤の内服と外用を使用しますが、湿疹になり痒みを伴う場合は、ステロイドの外用を使用することもあります。
3日間抗生剤を内服しても効果がない時には、薬の変更が必要になります。
日常生活では、1日1回は石鹸で優しく洗い、患部はガーゼで保護し、爪を切り、タオルの共用は止めましょう。
患部を覆えば、登園登校は可能ですが、水遊び、水泳は控えた方がよいでしょう。
ニキビ跡の治療
ニキビ跡は大きさもさまざまで、浅いものから深くクレーター状のものまであります。
浅く小さいニキビ跡であれば、『MAX レーザーピール』が有効です。
『MAX レーザーピール』は 2〜3週間毎に3〜5回施術を行い、毛穴の洗浄後細かい粒子のカーボンを塗り込め、レーザーを照射し、レーザーに反応したカーボンの爆裂で皮膚表面に均一化なピーリングを行い、皮膚表面と毛穴を収縮させます。
同時に波長の長いレーザーで真皮層近くの色素やコラーゲン線維に反応させて、お肌の美白や肌全体を引き締めます。
クレーター状のニキビ跡では数回の『高濃度のTCAによるDeep P eel(深いピーリング)』を行うことで改善します。
このTCAによるピーリングはカサブタが10日間程度生じスキンケアに注意が必要ですが深いニキビ跡には有効な治療です。
最近のレーザー事情
レーザーというのは光の一種です。自然の光はいろいろな波長の光が混ざり合ったものです。それに対してレーザーとは単一波長の光のことです。
いろいろな波長が混ざった光を、ある媒体(ルビー、アレキサンドライト、ヤグなど)に当てると単一な波長の光だけを取り出すことができます。
これがレーザーで、その媒体の種類によって、取り出される光には固有の波長があります。
それがレーザーの種類になり、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザーなどと呼ばれます。
そして、それぞれ固有の波長があるため、一つのレーザーはある固有の色にしか吸収されないのです。
ですからレーザーは種類によって効く色が違うのです。レーザーを生体組織に当てると単一の色(水、ヘモグロビン、メラニン)に吸収されて熱を出します。
こうして発生した熱によって、メラニンをこわしてシミを取ったり、毛根こわして脱毛したり、毛細血管をこわして赤いアザを取ったりしているのです。
しかし、熱を出すということは、周囲の正常な組織にも熱が伝わるということです。
近年、この周囲の熱をできるだけ押さえるためにQスイッチといって高いエネルギーのレーザーを極短時間だけ照射する装置ができてきました。
これによって正常組織への熱の影響を減らすことができるようになりました。
さらにIPL(Intense Pulsed Light)といって波長を単一ではなく、ある幅を持った波長に することによって熱による影響をマイルドにしようとすることも考えられました。
また、皮膚の真皮層に熱を加えることによってコラーゲンの再生をうながすことができることがわかってきました。これによってシワ、ニキビ跡、キズアト、毛穴の開き、を改善し、皮膚のキメを整えることができます。
最近では、フラクショナルレーザーといって一平方センチメートルに何十という極細いレーザーを当てて表皮のダメージをできるだけ少なくして、目標とする真皮層に多くの熱を与えるようなものもできてきています。
心房細動と言われて・・・
「先生、健康診断で心電図検査を受けたら心房細動を指摘されました。
このままでは脳梗塞になっちゃうよ、と娘に言われたのですが?…」と、Aさんはとても不安な顔をして聞いてきました。
どうやら、最近になって動悸や息切れも感じるようになっているとのことでした。
心房細動を発症している人は現在全国に70~100万人いるといわれ、決してまれな疾患ではなくなっています。
高齢に伴って罹患率が高くなる疾病で、日本を代表する疫学研究である久山町研究(2007年調査)では、80歳以上の住民の6・1%が罹患していました。
心房細動になると一拍一拍の脈拍が不規則になり、また心臓の収縮や拡張が不十分となり、動悸や息切れを感じるようになりますが、無症状の人もいます。
心房細動は、心臓の一部である心房という部屋の壁が、本来は規則正しいリズムで拍動すべきところを細かく震えるような動きになります。
この状態が持続すると、心房の壁の内側に血液が固まって付着し、いわゆる「血栓症の元」ができます。
ある時に、それが壁から剥がれて心臓から出ていき、脳血管を突然詰まらせることで心原性脳梗塞が発症します。
心房細動の全ての人が心原性脳梗塞になるわけではなく、①心不全、②高血圧、③75歳以上、④糖尿病、⑤脳梗塞の既往歴、これらの5つの条件のうち多くをもっている人ほど発症しやすいことが分かっています。
心原性脳梗塞を発症すると、20%の人が死亡し40%が寝たきりなど介助が必要となり元の生活に戻ることは難しいため、その予防はとても重要です。
予防薬には血液を固まりにくくする抗凝固薬があります。
しっかりと予防治療されると、脳梗塞の発症率を60~80%も下げられます。
無症状の場合は見つけにくいですが、上述した5つの条件が一つでもあり、動悸や息切れがあるのであれば、Aさんのようにまずは心電図検査を、さらには24時間心電図検査などさらに詳しく検査を受けることをお勧めします。
分かっていますか? 近視・遠視・乱視・老視の違い
間違い①運転時に遠くを見る時の遠用眼鏡を遠視の眼鏡
間違い②新聞など近くを見る時の近用眼鏡を近視の眼鏡、と思い込んでいる方が多く、日々困惑しております。
これは完全に間違っております!
(1)遠視は、遠くにピントが合いやすい目(2)近視は、近くにピントが合いやすく、遠くが見づらい目の状態をいいます。(3)乱視とは、簡単に言えば、目の形のゆがみで、物がずれて見える原因にもなります。(4)老視は俗に言う老眼で、加齢で、遠くも近くも瞬時にピントが合わなくなる状態であり、決して近くだけが見づらくなるわけではありません。
カメラのオートフォーカス機能が壊れた状態と考えて下さい。
早い人は30代後半から始まります。特にスマホを長時間やっているとスマホ老眼になるとも言われております。
①②の正解:近視・遠視・乱視・老視にかかわらず遠くを見る目的の眼鏡は遠用眼鏡、近くを見る目的の眼鏡は近用眼鏡ということです!!
睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中に何度も呼吸が止まった状態(無呼吸)が繰り返される病気です。
本人の自覚がなく周りの人から大きないびきや無呼吸を指摘され本人が気付くことが多いといわれています。
多くの場合は空気の通り道である気道が部分的あるいは完全に閉塞してしまうことにより起こります。
SASの代表的な症状はいびきです。
また、良質な睡眠がとれず日中の眠気や物覚えが悪くなるなどの精神的な症状も出てきます。
高血圧や心筋梗塞や脳卒中などを併発することもあります。
SASの検査はご自宅にて行っていただくことが可能です。
SASの治療法はいくつかあり、個々の患者さんにあった治療法を決定することになります。
心当たりの症状がある方は是非医療機関を受診してください。
不老長寿の秘薬
脈拍数(心拍数)は走ったり、人前で緊張したりしたときに多くなり、ドキドキして、つらくなることがあります。ゆったりしていると脈は遅くなります。脈拍数は刻々と変化しますが、5分間安静にした後の脈はいつも大体同じになり、その人固有の脈拍数と言えます。60~70拍/分が普通の脈ですが、医学的には50~100拍/分が清浄範囲と決まっています。昔エライ学者たちが「これぐらいだべー」「そだねー」と決めただけで、特に根拠なく決めました。ところで、動物界を見ると脈が速い小さな動物の一生は短く、脈が遅い大きな動物は寿命が長いことから、「脈は遅いほうが長生きなのではないか」と考えられました。そして今では、脈が正常な人でも、脈が速い人と遅い人では違いがあることがわかってきました。
住民健診を10~20年間続けた調査結果で、脈と死亡率の関係を調べた人たちがいます。どの論文でも「脈が多いと死亡率が(死亡率が高くなる)」そうです。日本でも16年かけて調べた結果、「80拍/分以上の人は、60拍/分の人に比べると総死亡が1.45倍、心臓病死は2.5倍多かった」そうです。脳卒中死は脈の多い少ないで増えたりはしませんでした。ということで、脈は心臓病死に関係していました。
理由としては、脈が多い人のグループにはメタボリック症候群の人が多いため、心臓病が多くなったと考えられています。脈が多いメタボの人は3年間くらいで高血圧を発症することが多く、動脈硬化が進んで心臓病の原因となります。脈を少なくするにはどうするか? 運動選手の脈は遅いので運動習慣をつければ脈は遅くなりそうです。食事を減らして運動をすれば、肥満は解消されることでしょう。「わかっちゃいるけど、やらないでいたこと」を実行すると、健康に長生きできるようです。ちなみに、認知症を予防することとして認められているのは、「高血圧や糖尿病の適切な治療」と「ウォーキングなどの運動習慣」です。これが秘薬のようです。
妊婦とスポーツ
最近、妊娠中でも積極的に、体を動かす方が、妊娠分娩に良い影響を与えるといわれ、妊婦のスポーツが普及してきています。 その目的は、運動不足の解消・肥満の予防・気分転換・体調の維持・持久力の獲得です。 妊婦の体は出産にむけて変化し、体重の増加・背柱のわん曲の増強・重心の移動・関節の緩み・循環血液量・心拍排出量・肺換気率の増加がおこり、身体的負担をまし、運動能力を減退させ、運動に不向きな状態となっています。 その為スポーツを行うには、母体、胎児の状態のチェックが必要であり、又種類も限定されます。 切迫流産早産・妊娠中毒症・多胎妊娠・前置胎盤・羊水過多(少)・胎児発育遅延・内科合併症を持っている妊婦さんは、原則としてスポーツは禁止です。 時期は妊娠16週より35週まで、60分以内、午前10時より午後2時の間(お腹のはりが一番少ない時間)。
週2~3回は行うことが大事です。 妊娠中のスポーツの原則は、母児にとり安全性が高い有酸素運動である。
全身運動で楽しく長続きするものです。
瞬発力のいる運動・体に大きな衝撃を与える運動・関節の深い屈伸を要する運動・記録を競い合うものはさけた方がよいでしょう。 現在行われているのは「水泳・エアロビクス(マタニティビクス)・ジャズダンス・ジョギング・ウオーキング・ヨガ」です。
どのスポーツを選ぶかはお好みです。 但し、必ず産科医・専門のコーチのアドバイスやチェックを受けることが必要です。
お腹がはる・出血・帯下の増加・疲労感・睡眠・食欲の変化・発熱など異常があれば必ず産科医のチェックを受けることが必要です。 スポーツすることが義務だと考えず、調子が悪いと思ったらその日は中止するといった、自分の体へのいたわりを忘れないで、楽しい時を過ごして下さい。
ステイホームでスマホ老眼が急増!!
人間の目の構造は、カメラに似ています。水晶体は、カメラのレンズにあたり、遠くを見る時は薄くなり、近くを見る時は厚くなるように調節しています。老眼とは、この調節力が衰えてくる状態で40歳前後から始まります。しかし、最近は、近くが見づらい・かすんで見える・夕方になると物が見づらい・頭痛・肩こりなどの老眼の症状が、小学生から30代までの若い方にも出てきているのです。
去年からのコロナ禍によりステイホーム時間が増え、スマホに触れる時間が増えているようで、若い人の10人に1人は、15時間以上もスマホを見ているとのことです。こんなに長時間スマホを見ていると、調節力が衰えて老眼と同じ症状が出る、いわゆる「スマホ老眼」になってしまいます。また、下向き姿勢で頬やあごもたるみ、老け顔になるとも言われています。ぜひ眼科で正確な視力検査を受けてみましょう。
自宅で血圧を測りましょう!
病院や健康診断でドキドキして測る血圧~これだけでは高血圧の診断・治療は不十分です。病院だけで血圧測定をしていると、白衣高血圧と呼ばれる病院で測定するときだけ高くなる現象や、逆に仮面高血圧と呼ばれ、病院では正常であるが自宅で血圧が高い状態を見逃してしまいます。その結果、正しい血圧を知らないで薬を飲むと血圧が下がりすぎたりしてめまいを訴えたり、逆に血圧が正常だと思っていても実は不十分だったということになりかねません。
2004年の日本高血圧学会のガイドラインでも、この家庭血圧測定が大きくとりあげられています。装置は上腕カフ・オシロメトリック法を用いたものが推奨されています。
測定部位は、手首や指先のものではなく、上腕部分で測定するものが良いです。測定時間は朝と夜の1日2回。朝は、起床一時間以内、排尿後、服薬前、朝食前に座位1~2分安静にしてから測定。夜は、就寝前に座位1~2分安静にしてから測定します。腕の高さは、枕やタオルを使ってできるだけ心臓の高さに合わせましょう。測定回数は、朝晩少なくとも1回ずつ、できるだけ連日測定しましょう。ここで問題なのは、測定回数が決まっていないことです。朝1回だけ測るのか、2~3回測定して平均値を出すのか?
この疑問については、未だ学会でも答えが出ていません。ですので、血圧の数字を直接高い低いと一喜一憂するのではなく、朝と晩でどちらが高めか? いつもより高くなっているのか? というような傾向を見ることが大切です。
また、自宅で測定する血圧で、135/80mmHg以上は確実な高血圧として降圧治療の対象とする、となっています。昔に比べ血圧を低めに維持することが非常に大切であるというのが現在の高血圧治療の考えです。僕が医師になったときは血圧が160/90mmHgを超えたときから治療開始することになっていましたから意外に厳しい数字ですよ!
「血圧が高めだけど…病院へ行くのは…」というそこのあなた!
まずは、自分で血圧を測ってみてはいかがですか?









