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カワムラ歯科クリニック  たからまち総合診療クリニック 

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MR(麻しん風疹混合)ワクチン2期は早めに打ちましょう

小児科2017/06/26

 2015年に日本はWHOから麻しん排除宣言を受けました。
これは、MRワクチンが2回、接種率95%以上がお父さんお母さんの努力の結果でなされたためです。
しかし、国内からの麻しんの発生はほとんどなくなりましたが、海外から持ち込まれる麻しんの流行が相次いでおります。

 昨年8月に関西空港から広がった麻しんの流行は関西空港関係者で33名の感染者を出しました。
平成28年では最終的に161名の麻しんの報告がありました。
持ち込まれた麻しん発端者の渡航先は東南アジアがほとんどで、2回の麻しんワクチン(MRワクチンを含む)を接種して発症した人は15%程度だということが分かっております。

 今年になっても5月28日までの段階で165名の麻しんが報告されております。
現在は流行が続いている所はありませんが、これまでに10以上の報告がみられる都府県は、山形、東京、三重、広島となっております。

 昨年の流行時にはMRワクチンの入荷が一時的に制限され、1歳台でのワクチンを優先させざるを得ませんでした。

 MRワクチン2期は、来年小学校に入学するお子さん、つまり年長さんに行うとされており、6歳になってから行うというものではありません。
まだ、接種を行っていない年長さんは、出来るだけ早期にワクチンを受けるようにしてください。
日本脳炎のワクチンの連絡がきているお子さんはMRワクチンとの同時接種も可能ですので、併せて行ってください。

 今年の夏休みに東南アジア方面に旅行を計画されている大人の方も、麻しんに罹ったことが明らかか、麻しんワクチンを2回接種している人以外は、渡航前に麻しんワクチン単独か、MRワクチンを打つことをお勧めしております。
ひとりひとりの方が、麻しんに対して強い警戒感を持っていないと、1000人に一人といわれる麻しんでの死亡を防ぐことができません。
小さな命を守るためにも、格段の注意が必要です。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝( 2017年6月26日 「北海道新聞夕刊」掲載)

知らないと損をする介護保険

介護2016/10/03

 先日、父の介護をしていた母が倒れました。
元気な母と思っていましたが今年で80歳、介護疲れがたまってのことでした。
搬送先の病院の配慮で、父も母の体調が回復するまで入院させていただき、二人そろって退院することができました。

 恥ずかしながら、訪問看護師の私は「大丈夫」と話していた母の言葉をうのみにし介護保険の申請をしていなく、慌てて申請した次第です。

 「転ばぬ先の杖」ではありませんが、「転ばぬ先の介護保険」です。
介護保険は住み慣れた自宅で療養生活を送るため、介護する人の負担を軽くするために作られた制度です。
いろいろなサービスがありますが、訪問看護では健康管理や薬の管理の他、点滴や経管栄養等も行います。
夜間でも心配なことがあれば相談を受けたり、自宅に訪問するサービスもあります。
まずはお近くの包括支援センターや支所にご相談ください。


Text by 訪問看護ステーション あまりりす 森山 浩美( 2016年10月3日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

乾き目なのに涙目 結膜弛緩症

眼科2018/10/29

 白目(強膜 : きょうまく)の表面は結膜(けつまく)という薄い膜で覆われています。その結膜は黒目(角膜 : かくまく)から始まって外側へのび、数センチ外側でUターンして赤目(瞼 :まぶた)の表面から瞼の縁まで戻ってきます。両手で薄い透明なビニール袋を持っている状態を想像してみてください。そのビニール袋の中に涙がたまっていて瞬きをする度に角膜の表面を涙が覆って潤してくれます。
 年齢とともにこの結膜が緩んでだぶついてきてしまう方があります。この状態を結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)と言います。結膜弛緩症になると緩んできた結膜は、下瞼の縁からはみ出して角膜の上まで飛び出して、下瞼の縁から白目の固まりが盛り上がって見えるようになっています。
 この状態になると、結膜の折り返し部分に涙をためることができないため涙があふれて涙目になってします。でも逆に、折り返し地点に涙がちゃんとたまっていないということは瞬きをしたときに涙が黒目をきれいに覆うことができず、すぐに涙が蒸発してしまいます。ですから、結膜弛緩症の方の問診票を見ると、「涙が多い」、「目が乾く」の両方に丸がついている場合がよく見られます。
 そのほかに、シブシブする、イズい、目やにがたまる、涙が目尻にあふれるので目尻の皮膚が肌荒れする、といった症状も出てきます。
 治療法としては、結膜を引っ張って張りを持たせた状態で強膜に縫い付ける結膜縫合術(けつまくほうごうじゅつ)を行います。程度の重い場合には結膜を一部切り取ってから縫い付ける場合もあります。
 涙目だけれど乾き目、シブシブする、朝目やにがたまっているという方は一度眼科を受診して結膜の状態をチェックすることをお勧めします。


Text by 清水眼科クリニック 清水 信晶( 2018年10月29日 「北海道新聞夕刊」掲載)

糖尿病あれこれ

 これから忘年会・クリスマス・お正月、嫌でも食べる機会が増え、体重も増えそうな気配がします。
日本人の糖尿病は、盆と正月に悪くなると言われています。こんな時に、あれこれ考え、できることから実践しませんか?

 まずは食事について。時代は低糖質。ご飯1膳=うどん1玉=6枚切りの食パン1枚半=角砂糖14個分の糖質です。
角砂糖に換算されると、とても怖い感じがします。ここで言いたいのは、この程度の糖質は普通の生活で十分消費できるので、ここに糖質を重ねないようにするのがポイントです。まずは500mℓペットボトルの清涼飲料水。角砂糖17個程度の糖質を含んでいます。これは不要ですよね! あとは、外食時のセットメニュー、ラーメン+半チャーハンなど、確かに魅力的ですが、追加した炭水化物が、さらに角砂糖を追加していることになります。角砂糖を20個もいれた紅茶は飲めないですよね?
炭水化物の重ね食いにはご注意を!

 運動について。以前は20分以上かけないと脂肪燃焼しないと言われていましたが、現在では10分の運動を繰り返すことでも効果があると分かってきています。

 目標は30分を週5日もしくは10分3回を5日間。ハードルが高ければ少なくてもかまいません。バス停1駅手前!少し歩きましょう! また有酸素運動ではなくても筋トレも効果があり、血糖値が下がりやすくなります。歩くのが苦手であれば室内で腹筋や腕立て伏せ、ラジオ体操またはストレッチをして背中の筋肉を大きく動かすのも効果的です。これから雪が降るので、転倒の危険もあり、室内での運動もお勧めです。

 最後に毎日体重計に乗りましょう。1日2回の測定がお勧めです。少しでも増えると食事の見直しができて、あまり体重が大きく増えたりしなくなります。体重は、量らないと、あっという間に2~3㎏簡単に増えますよね? 体重が2㎏増えたら2ℓのペットボトルが自分の体についたことになります! このようにしてダイエットのモチベーションを維持し頑張りましょう。

 あきらめないこと、少しずつでも変えていけば時間とともに良くなるはずです。
 そう!明日からではなく、今日からスタートしましょう!


Text by はら内科クリニック 原 信彦( 2017年11月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

「高い技術」と「温かい心」で地域連携を推進 道南圏の基幹病院としての役割を担う

病院紹介2011/03/09

 1860年(万延元年)に道内初の官立病院として発足し150周年を迎える。
81年に救命救急センターとして認定されたのをはじめ、地域災害拠点病院などのほか、2006年には病院機能評価「Ver・5」を取得し、07年には道南地域では初めて地域がん診療連携拠点病院に指定された。
古くから「函病(かんびょう)さん」の名で親しまれ、道南圏における基幹病院として中心的役割を果たしている。 00年に新築移転したのを機に屋上にヘリポートを設置し、専従の救急医を配属するなど、救命救急センターを充実させた。
年間の救急患者数は約2万件、救急車搬入は約4500台を数え、365日24時間態勢で対応している。
総病床数は734床(一般598・感染症6・結核30・精神100)、ICU8床、HCU22床、人工腎臓センター30床を有する。
また高度医療に対応できるさまざまな最先端機器を整えている。
最新のMRIやCTをはじめ、RI(核医学検査)、マンモグラフィ、悪性腫瘍に対して定位放射線照射ができるリニアック(高エネルギー放射線治療装置)、最高水準の放射線治療ができるIMRT(強度変調放射線治療)、子宮頸がん治療などに効果を発揮するRALS(高線量率膣内照射装置)を導入している。
がん拠点病院及び救命救急センターであるため、その専門医療は多岐にわたる。
がん治療では各種悪性腫瘍に対し各科による専門診断・治療を行っているが、道南圏において悪性リンパ腫や白血病、骨髄腫などの血液疾患に対応できるのは同院しかないため患者が集中している。
産婦人科では10年11月に先進医療である腹腔鏡下子宮悪性腫瘍(子宮体がん)手術ができる施設として、道内では大学病院以外では初めて認定された。 循環器内科では09年の心カテーテル総数は800例で、うちPCI(経皮的冠動脈形成術)は306例と、道内有数の実績がある。心臓血管外科は急増する大動脈瘤に対して全国に先駆けて大動脈瘤センターを開設し、09年の腹部・胸部大動脈瘤の手術は122例、うちステントグラフト挿入術は86例あった。
呼吸器外科では肺がんなどに対し低侵襲手術であるVATSを積極的に取り入れている。
消化器疾患に対しては、07年1月より外科と連携して消化器病センター化し、外科疾患の場合に患者にとって消化器内科からの移行を便利にした。
消化器病センターは、同病院最大の入院患者数を誇る重要な診療科となり、消化器内視鏡などの検査件数および内視鏡治療件数などは合わせて年間8000~1万例に及ぶ。 1階には問診コーナーのほか「なんでも相談コーナー」を新設し、診療のみならず接遇や施設に対する意見なども受け付けている。
患者情報室「フォルテ」では医療情報が入手しやすい。
道南医療地域連携ネットワーク「道南メディカ」を立ち上げ、各医療機関と医療情報を共有することで重複した薬の処方や検査を避けるなど患者負担の軽減につなげている。
10年4月に就任した木村純院長は「良質な急性期医療を提供することが当院の担うべき最も重要な役割です。
そのために必要なのは『高い技術』と『温かい心』です。地域の各医療機関や住民と密に連携をとりながら常に向上を目指した研鑽を続ける所存です」と話す。


Text by 市立函館病院 併設・救命救急センター( 2011年3月 「ホームドクター」掲載)

慢性疼痛(とうつう)について

心療内科2008/08/13

 「痛み」と言うと、どなたでも例えば、歯が痛んでつらい思いをしたというようなことがあると思いますが、それは一時的なものであり、治療を受ければ治るということが分かっているので、あまり問題になることはありません。
しかし、もしもその痛みが延々と果てしなく続くとしたら、その苦痛は耐えがたいものになるでしょう。
効果的であるはずの治療を受けているのにもかかわらず続く、あるいは原因が分からず、延々と続く、そのような痛みは「慢性疼痛」と呼ばれています。

 このような痛みのひとつの例として「幻肢(げんし)痛」があります。
これは、例えば、切断されて無くなってしまったはずの腕が痛むというものです。
何らかの原因で腕に痛みが生じた場合、腕の切断によって痛みの原因が無くなったはずなのに、「同じように腕が痛む」ことがあります。一度体験した痛みが、その原因が無くなっても同じように起こることがあるわけです。

 慢性の痛みには、現在の痛みの他に、過去の痛み、未来の痛みも関係していることが特徴的です。
現在痛むということだけではなく、ずっと前から同じように痛み続けてきたという記憶、これからもずっと同じように痛み続けるであろうという恐れや不安が苦悩を深めます(過去の痛み、未来の痛みも体験しているともいえます)。

 神経科が慢性疼痛にかかわるのは、慢性の痛みが主な症状である神経科の病気が存在するということ、慢性疼痛には「うつ」が伴いやすいということ、適切な治療を受けているにもかかわらず痛みが続く場合、その中には神経科的な治療が効果的な場合があることなどの理由によります。

 薬物治療では、うつの治療薬や精神安定剤が効果的な場合があります。
薬物療法以外には、リラクゼーション、認知行動療法なども行われます。

 その名が示す通り難治性である場合が多いわけですが、あきらめずに、根気良く治療を続ける必要があります。


Text by ゆのかわメンタルクリニック 久保田 修司(  「」掲載)

ピロリ菌を除菌したあなたに

内科2013/11/25

今年の2月より慢性胃炎についてもピロリ菌の除菌治療の保険適用が認められました。
ピロリ菌を除菌すると胃がんの発生は3分の1になるといわれています。
また、若い方が除菌すると、さらに胃がんの発生率が低下することも分かってきました。
胃がんの一次予防は、ピロリ菌の感染予防・除菌です。
2次予防は、早期発見、早期治療です。除菌後の問題点は何でしょうか?
それは除菌しても、胃がんがゼロにならないことです。
除菌して安心した結果、検診を怠り、発見が遅れてしまうこともあります。
ピロリ菌の除菌後の胃がんの発生について、除菌後に新しく出来た癌と除菌後に認識可能になった癌があります。
後者は除菌後2~3年後の早期に発見されるタイプで、除菌するときカメラで見えないくらいの小さな癌があり、その後2~3年でようやく見えるサイズになったものと考えられます。
このようなこともあるので、除菌後も胃カメラによる検査が必要になります。
では、どのくらいの頻度で検査を行うべきでしょうか?
これについては、除菌後も胃粘膜が萎縮(老化)した状態が続いているなら、1年に1度は継続して行うべきです。
また、ピロリ菌の除菌により、胃粘膜が正常になってくるようであれば、癌化の確率は減るはずなので2~3年に1度の検査でよくなると思います。
当院でも、ピロリ菌の除菌後に癌が見つかった方がいます。
毎年受けられている方は1センチ大の早期胃がんで見つかり、おなかにメスを入れることなく、胃カメラで治癒切除ができました。
逆に除菌後5年以上経過して久しぶりに胃カメラを行った方は、残念ながら進行がんになっていました。
ご本人には胃の症状はありませんでした。
このようなことがあるので、除菌後も 主治医の先生に確認して、胃カメラでの経過観察を行ってくださいね!
さて、来年は何月に胃癌検診を行いますか?


Text by はら内科クリニック 原 信彦( 2013年11月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

男性の性(17)

泌尿器科2010/03/19

 去年の流行語に『草食系』とか『草食男子』というのがありました。Wikipediaによると、「協調性が高く、家庭的で優しいが、恋愛に積極的でないタイプの男性」とあります。

 草食動物の牛や羊やウサギには何となくセックスに淡白で小食、というイメージがあるので『草食系』という言葉もだいたい当たっているかもしれませんが、一方、馬も草食動物だけど精力の強さや性器の大きさを揶揄した『馬並み』という言葉もあるし、映画『ロッキー』の主役ロッキー・バルボアのリングネームは『イタリアの種馬』。
種馬と言う言葉を人間に使う場合は“女をとっかえひっかえする精力旺盛な色男”と言う意味だし、食欲に関しては大酒飲みの大食いに対して鯨飲馬食と言う言葉もあるから、馬だけは草食動物でも例外らしい。

 それはともかく、明治の文明開化前までの日本人の食生活は、山間部などで鳥や鹿やウサギを例外的に食する以外はほとんど草食+魚食であり、その後も昭和30年代後半まではほぼ同様であったことを考えると、肉食が一般的になったのはつい最近であることが分かります。
四方を海に囲まれ魚介類が豊富に獲れ、コメと言う世界一おいしい主食があり、さらにその品種改良に努めたことと、四つ足に対する殺生を嫌う国民性のためだと思います。

 もし、草食=恋愛(セックス)に積極的でない、肉食=恋愛(セックス)に積極的、という図式が本当なら、日本人は元々『草食系』で恋愛に積極的でなく、高度成長期からバブル絶頂期までの3〜40年間に肉食が進み恋愛(セックス)にも積極的になったけど、最近、元々の日本人としての性質を取り戻しつつあるという事になります。

 それでは、実際の性生活は日本と他国では、また、昔と今ではどう違うのでしょうか?
それともあまり違わないのでしょうか?(つづく)


Text by 岡本ひ尿器科医院 岡本 知士( 2010年4月 「タウン情報誌JAM「教えて、先生!!」」掲載)

胃がん予防のためにピロリ菌検査を

2016/06/27

 わが国のがん死亡数(2014年)で、胃がんは男性第2位で女性第3位です。
胃がんの年齢調整死亡率は減少をしていますが、胃がん死亡数は年間約5万人で横ばい状態です。
特に70歳以上の高齢者における胃がん死亡数が急増しています。
胃がんの99%はピロリ菌感染者から発生しており、未感染者における胃がん発生は非常に低率です。
従って、ピロリ菌は胃がんの原因で、胃がんはピロリ菌感染症と称される由縁です。

 胃がんは胃の粘膜に発生して胃の外へ向かって浸潤します。
この浸潤の深さによって早期胃がんと進行胃がんに分けられます。
また、組織像の違いから分化型と未分化型に分けられ、未分化型の方が早く進行します。

 早期胃がんの中には、深達度、大きさ、組織型によっては内視鏡によって切除できるものがあります。
それ以外の早期胃がんや進行胃がんは外科切除となり、他臓器への浸潤があると切除ではなく抗がん剤治療となります。
早期胃がんの予後は非常に良好ですが、進行胃がんの5年生存率はリンパ節転移があると50%、他臓器転移があると5%です。

 胃がんは早期に発見すれば予後が良好なことから、わが国では胃がんの二次予防(早期発見早期治療)としてバリウム検査や内視鏡による検診が行われています。
近年、ピロリ菌の除菌治療が胃がん発生を抑制することが明らかとなり、胃がんの一次予防(原因除去)としてのピロリ除菌が注目されています。
わが国では2013年にピロリ菌感染胃炎に対する除菌治療が保険適用となり、感染者は全員が除菌治療を受けることができるようになりました。
ただ、除菌治療だけでは胃がんを完全には予防できません。
従って、ピロリ菌を調べて、陽性であれば除菌治療を行い、その後定期的な内視鏡検査で胃がんの早期発見を行うことが胃がん予防の最善策です。

 ご自分のピロリ菌感染の有無を調べることが胃がん予防の第一歩です。


Text by 国立函館病院 加藤 元嗣( 2016年6月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

コンタクトレンズ、痛い目にあわないための10ポイント!

眼科2014/06/02

 日本のコンタクトレンズ(CL)装用者は1500万人を超え、国民の10人に1人はCLを装用し、また、そのCL装用者の10人に1人には眼障害が起きているのも現実です。

①装用感がよいソフトCLの方がハードCLより、眼に傷ができても気付きにくいために重症になってしまうことが多くあります。

②寝ている間は涙の分泌が減っているため、CLを入れっぱなしにするのは傷ができやすく大変危険です。ですから1週間の連続装用の使い捨てCLが一番眼障害の発生率が多くなっています。

③その次は2週間交換タイプのClです。使用期限を守らず、ケア方法が間違っていることが原因です。

④外した時が一番汚れているのに、洗わずにそのままケースに入れると細菌が繁殖し、感染の原因になります。外したときは必ずこすり洗いをしてClをよくすすぎ、保存ケースも毎回洗い、新たに保存液を注いでからCLを保存して下さい。

⑤2週間という期限も必ず守りましょう。CLには酸素を取り込めるように沢山の穴が開いています。2週間タイプのClは特に汚れが付きやすいCLなので、その穴には2週間経ったら汚れがついてしまい酸素を通しづらくなります。そのために、汚れと酸素不足で角膜に傷がつきやすくなるのです。よってワンデーの使い捨てが一番安全です。

⑥また、長時間と長年のCL装用の積み重ね時間により、眼は酸素不足を起こし、CLをのせている角膜の内側の内皮(ないひ)細胞が死滅していきます。この内皮細胞は、一度死滅すると二度と戻らない細胞です。その数が減り過ぎると失明することもあるのです。眼科で内皮細胞のチェックをしてもらと安心です。

⑦最近流行のカラーCLは、酸素を通す部分の透明な面積が少ないので、最も酸素を通さないソフトClとなっており、障害が多くなっています。また、ネット通販のカラーCLでは色素が出てきて角膜を溶かす障害も多く起きています。

⑧取り換えない保存液・汚れたCLケース、水道水の使用などからアカントアメーバに感染し、角膜が真っ白に溶けてしまうこともあります。ずさんなCLの使い方や保存方法の代償は大きいのです。保存ケースも2~3ケ月で新品に取り換えましょう。

⑨CLは眼鏡とは違い、直接眼の中に入れる高度管理医療機器です。心臓に埋め込むペースメーカーと同じ危険度です。

⑩自分の涙を吸い取ってしまうソフトCLは、ドライアイの原因にもなり得ます。角膜保護点眼などを眼科で処方してもらうのがよいでしょう。

以上の10ポイントを忘れずに、痛い目にあわないCLライフを送りましょう!


Text by 藤岡眼科 藤岡 聖子( 2014年5月16日 「青いぽすと」掲載)

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