知覚過敏(ちかくかびん)
知覚過敏という言葉を聞いた事があるでしょうか?
虫歯でもないのに歯がしみる事ってないですか?
その多くが知覚過敏と考えられます。
原因は様々ですが、以下のような場合は知覚過敏を起し易くする可能性があります。
- 歯周病により歯の根が露出している。
- 歯の根が露出しその部分を歯ブラシで強く磨いている。
- 歯ぎしり、くいしばりで過剰な力が歯に加わり、歯茎の近くの歯の表面が剥がれている。
対処法としては
- 知覚過敏用の歯磨き剤を使う。
- 専用の薬で歯の表面をコーティングする。
- くびれた部分を埋める。
- 以上の方法で改善しない場合は歯の神経を取る。
知覚過敏は正しいブラッシング法をマスターすると防ぐことができます。
放っておくと症状がひどくなる場合もありますので、思い当たる方はお近くの歯科医院へご相談下さい。
成人の注意欠陥・多動性障害
そわそわ、もじもじしてじっとしていられない、手足をいつも動かしている、ぼんやりして忘れっぽい、かんしゃくを起こしやすい、というような症状があり、それが生活に差し支えるほどであれば、注意欠陥・多動性障害と診断される場合があります。
注意欠陥・多動性障害というのはもともと子供の障害ですが、成人にもあります。症状は大まかに不注意、多動性、衝動性、に分けられます。
不注意の面では、仕事でのミス、忘れ物、約束や期日を守れない、片付けるのが苦手、仕事や作業を順序立ててすることが苦手、などの特徴があります。
実例をあげますと、ある人はこのように言っています。
「会議の時に困ることがあります。時々、会議中に別のことを考えてしまい、気が付くと何が話題になっているのか分からなくなっているのです」と。
そういうわけで、突然まとはずれな発言をしてしまうことがあります。
また、ある子供は「終業式の日、帰りにブランコがあるのが見えた。
ブランコに乗っていると、もう、そばに置いてある通信簿の入ったもののことはまったく頭になくなっていた」と言っています。
大変大事なものだとは分かっていても、家に帰ってから持っていないことに気が付いたのです。
多動性について大まかには、落ち着きがないタイプとぼんやりしやすいタイプがある、といえますが、多動が目立たないといっても、よく観察するとしばしば手足を動かしていたり、あまり長い時間はじっとしていられなかったりすることがあります。
衝動性というのは、思ったことをすぐ口に出して相手を傷つけてしまう、衝動買い、かんしゃく、というようなことです。
原因について確かなことは分かっていませんが、脳内の神経伝達物質であるドパミンとノルアドレナリンの問題が推定されています。
現在使用されているのは、ノルアドレナリンの問題を改善する薬で、最近処方できるようになっています。
『しあわせ』な矯正歯科治療
昨年今年と、当院で矯正歯科治療を受けた口蓋(こうがい)裂患者さんの資料を整理して某大学の大学院生と一緒に指導を含めて論文にまとめており、昨年は1編、今年も3月に提出予定です。一応わたしもその大学の非常勤講師となっておりますが、若い院生と一緒に論文を書いていると、自分も本当に勉強している感じがしております。矯正歯科の技術は、その人独自のものであるという面もあることから、矯正歯科に携わる歯科医の中には自分の技術を「芸術」とか「アート」と表現する人も少なくありません。
しかし「医学が科学の一分野である」ということは、万人が認めるところであり、矯正歯科学を含めた歯科学も当然科学の一分野です。
最近EBM(Evidence Based Medicine)という言葉が良く使われ ています。
聖路加国際病院の福井次矢先生は「〝適切な診療〟とは、つまるところこれまで行われてきた研究についての質の高いエビデンス(検証結果)を医療従事者が知っているかどうかにかかっている。
治療効果・副作用・予後の臨床結果に基づき医療を行うというもので、専門誌や学会で公表された過去の臨床結果や論文などを広く検索し、時には新たに臨床研究を行うことにより、なるべく客観的な疫学的観察や統計学による治療結果の比較に根拠を求めながら、患者とも共に方針を決めることを心がけるべきだ」と述べております。矯正歯科の分野のなかで、口唇顎口蓋裂児(こうしんがくこうがいれつじ)の治療は、15年以上にわたり歯科医と患者さんが関わりあう治療ですので、医学の進歩の把握やEBMの実践、高度な治療技術の習得が当然必要です。
しかし治療により得られた結果が、患者さんおよびその周りの家族の方々に喜んでもらえたか、その患者さんの「しあわせ」に関与できたかどうかを数値で測ることは不可能ですが、謙虚に考え、受け止め、考え続けなければならない問題です。
子どものワクチンは不要不急ではありません
新型コロナウイルスの流行もようやくひと段落したようですが、病院に行くと感染が心配でとワクチンまで遅れ気味になってしまっている子どもたちが増えてきています。
ワクチンは公費で賄われるものですが、接種時期を外れてしまうと、公費にはならなかったり、回数がしっかり打てなかったりなどの弊害が出ますので、注意が必要です。四種混合ワクチンで問題になるのは百日咳です。昭和40年代後半から副反応が問題となり、昭和50年にいったん中止となりました。接種年齢を変更して、ワクチンを再開しましたが、接種率の低下が止まらず、百日咳での死亡が増加したことがあります。現状のワクチンでも、ワクチン効果を上げるために接種回数を増やす議論がされているくらいなので、接種の遅れで百日咳の流行が懸念されます。2020年1月から北海道全体で131件、市立函館保健所管内で4件、渡島保健所管内で2件の百日咳の報告があります。
ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンで予防できる細菌性髄膜炎は5カ月以降にその頻度が増えるといわれていますので、2カ月、3カ月、4カ月で3回の接種を終了することが肝要です。この2つのワクチンによって、ワクチンで予防できるタイプの細菌性髄膜炎はほぼゼロとなりました。
MRワクチン(麻しん風疹混合ワクチン)の1期は1歳から2歳未満。2期は小学校入学前の1年間とされていて、接種遅れに対する救済措置はありません。麻しんの流行があると一定の割合で死亡例が出ますし、風疹の流行があると先天性風疹症候群の発生が懸念されます。
多くの子どもたちがしっかりとワクチンを打つことで、流行がなくなり、安心して生活できます。コロナの影におびえて、予防できる感染症で子どもが不利益にならないようにお願いいたします。
メタボリックシンドロームと目
食欲の秋、ついつい食べ過ぎてしまう季節になってしまいました。
ところで、最近メタボリックシンドロームという言葉をよく聞くようになりました。
太っている人を見ると「メタボだね」と略して言うこともありますが、では、メタボって何でしょうか?
肥満症や高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病は、それぞれが肥満―特に内臓に脂肪が蓄積した肥満(内臓脂肪型肥満といいます)ーが原因であることが分かってきました。
このように、内臓脂肪型肥満によって、さまざまな病気が引き起こされやすくなった状態を『メタボリックシンドローム』といい、何でも横文字にするのは日本人の悪い癖ですが、簡単に訳すと、メタボリック:新陳代謝、シンドローム:症候群(=病気の集まり)という意味です。
これらの病体は目にもいろいろな病気を引き起こします。
特に眼底に出血を来して、目がかすんで視力が低下してしまうことが多いのです。
例えば、 高血圧では眼底に出血や白斑(白斑=白いしみ)、視神経の浮腫(腫れ)を起こす高血圧網膜症を来たします。
高脂血症は眼底の動脈硬化を来すため隣を走っている静脈を圧迫して血がしみ出してしまう病気:網膜静脈閉塞症(へいそくしょう)を起こすこともあります。
この病気になると、ある日突然視力が低下して、目の前の半分くらいが暗くぼやけるようになってしまいます。
一番怖いのは糖尿病でしょう。糖尿病でもやはり出血や白斑を来しますが、目の中間部に出血する硝子体出血を起こして突然見えなくなったり、網膜の上にクモの巣みたいな膜が張って来ると網膜はく離を起こしたりして放っておくと失明することもある状態にまでなることがあります。
これらの病気は、眼科だけではなく、内科の先生と連携を取って治療していく必要があります。
男性の性(20)
性的に魅力的な体型というのは、男性と女性では感じ方がかなり違うようです。
男性から見て性的に魅力的な女性の体型は千差万別で、痩身長躯・豊満短躯・痩身短躯・豊満長躯と大雑把に分けると4タイプ、もちろん規格を著しく逸脱している場合、魅力的と感じる人は少ないのが現実ですが、どの体型が魅力的かは、オトコにとって『人の好みは十人十色』だと思います。 ところが女性から見た男性の、性的に魅力的な体型を、いわゆるタレントや俳優の人気投票などで見てみると例外なく痩身長躯が圧倒的で、身長についての好みは自分の身長との釣り合いを考えれているのか、好みにややばらつきがあっても、肥満体型の著名人が性的魅力上位にランクされることは滅多にないようです。 女性にとって、性的な意味でオトコはよくオオカミに例えられます。『オトコはオオカミなのよ〜、気をつけなさ〜い』『あなたもオオカミに変わりますかあ〜』(作詞はどちらも阿久悠)などと、ピンクレデイーや石野真子が歌うずっと以前から、道草した赤頭巾ちゃんを、おばあさんに化けて食べてしまうのもオオカミでした。
オオカミほど『飢えた』とか『痩せた』という形容詞がぴったりな動物はないような気がします。
女性にとってオオカミは恐怖の対象で危険だけど、裏腹に性的に魅力的なのではないか?と思ってしまいます。 今年の性機能学会雑誌8月号に『肥満と男性不妊』『肥満と勃起機能障害』という2つの演題が紹介されていました。
聖路加国際病院からと東邦大学大森病院からの報告です。
どちらも、肥満は男性不妊や勃起障害の危険因子のひとつとなりうるという内容でした。 若年女性(つまり妊娠・出産前の女性)が痩身男性に性的魅力を感じるのは、動物の本能としての生殖・種保存の観点からすれば当然なのかもしれません。
まさに『処女の直感は鋭い!』。(続く)
ブルーライトは、何が悪い??
最近、ブルーライトカット眼鏡が売り出されていますが、ブルーライトとは、LEDをバックライトに使う液晶モニターから多く発せられている光です。
モニターは明るいほうが見やすいと思われがちですが、明るいとブルーライトがいっぱい入っているので、「眼精疲労」を引き起こします。
また、肌にとっても紫外線同様に悪影響を及ぼし、くすみやクマができると言われています。
20年前に比べると、LEDディスプレイの普及により、あらゆるデジタル機器からブルーライトを知らぬ間にたくさん見ているので、「①網膜へのダメージ②目の疲れ③目の痛み」などを引き起こします。
以上のことから「パソコン作業はなるべく長時間しないように控える。
ディスプレイの輝度を調整する。ブルーライトカットのフィルターやメガネを使用する」などして、健康的な生活を送れるように心掛けましょう!!
定期巡回・随時対応型訪問介護看護制度
「施設から在宅へ」という言葉を一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか?
今後、ますます在宅での介護の重要性が増していくと考えられますが、介護度が高くなればなるほど、1日を通して何回も支援が必要となり、従来の訪問介護制度では対応しきれない部分があります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、24時間を通して1日複数回の定期的な巡回と必要時にコールをして対応する随時対応で要介護高齢者の安心と安全を守るサービスです。
利用料は介護度別に月々一定額に設定されており、安否確認等の短時間の訪問も可能な為、その方に合った臨機応変なサービスを行う事ができます。
ただし、要支援1・2の方はこのサービスを利用することはできません。
利用に際しては、担当のケアマネージャーにご相談下さい。
うつ病③(経過と再発予防)
うつ病がどういう経過をたどるか、どのように再発を予防するか、というお話です。
3カ月から4カ月で症状が消失し、1年ほどで薬も中止することができる、というのが普通の経過かもしれません。
しかし、いろいろな要素が影響して必ずしもこのようにはいかない場合も多く見られます。
なかなか改善しない場合、薬を減らしたり中止したりするとすぐに悪化する場合、一時軽快してもある期間でくり返される場合など、様々な経過があります。
その要素とは、ごく簡単に言えば、体質といわれるもの、性格、ストレス、嫌な記憶(「トラウマ」と呼ばれることがあります)などですが、これらが微妙に影響しあって先行きの違いが生じてきます。
また、一度うつ病が起こると、回数を重ねるごとにうつ病が起きやすくなる、ということもいわれています。
さて、このようにさまざまな経過がある中で、どのように再発を防いだら良いのでしょうか。
服薬を続けることが一つの方法ですし、もちろんストレスは小さいのに越したことはありません。
また、物事の考え方、感じ方にあまり大きな偏りはない方が好ましいことも分かります。
状況の変化に柔軟に対処できる方がより良いでしょう。
しかし、うつ病の場合、一つ大切なことがあります。状況に応じて、あるいは状況に関係なく、以前の「抑うつ」が浮かんできて、それに引きずられる場合があるのです。
それは気分であったり、考えであったり、不快な身体の感覚であったりするわけですが、このような再体験に引きずられないようにすることが必要です。
それには不快な体験をただ避けるのではなく、例えば良く観察し、それを言葉で表す、その上で今していることに集中する、という仕方が最近勧められています。
このような方法は、実は大昔から東洋で行われていたものなのですが、様々な状況に応用されるようになってきています。
息苦しさについて
階段を登ったとき、坂道を歩いたとき、平坦な道を歩いている時に息が切れていませんか?もし皆さんの中に、息切れで同年代の人と同じように歩けない方がいたら、病気が隠れているのかもしれません。今回は肺が原因の息切れの中で最も多い「慢性閉塞性肺疾患」についてお話しします。
「肺気腫」と「慢性気管支炎」を合わせて慢性閉塞性肺疾患と言います。「気管支ぜんそく」も含みますが、病態が少し違うので一般的には区別されています。慢性閉塞性肺疾患では、息吸った後「吐く」ことが上手くできず、吐き始めの吐く量が正常な人と比べ少ないのが特徴です。息が吐けないと、肺の中に空気がたっぷり存在していても、とても苦しいのです。試しに、息を吸ったところで止めてみて下さい。そのまま少しだけ吐いて、また吸う。ずっとそのまま小さな呼吸でいると、とても苦しいですよね。その状態で坂を登ろうにも、苦しくて登れないと思います。こ
れが慢性閉塞性肺疾患の方の呼吸状態のイメージです。実際には肺自体の機能も低下していて痰もあるので、もっと苦しいと思います。
慢性閉塞性肺疾患の肺では、両肺あわせて3億あるともいわれる直径0.2ミリ程の「肺胞」という臓器の一部が破壊されています。また、肺胞に空気を送り込んでいる気管支(空気が通るホース)の内側表面の粘膜に、常に炎症が起こり、粘膜が腫れて分泌物が出ますので、痰が発生し、気管支内腔径が細くなります。
日本には40歳以上の人口の8.6%、約530万人の患者さんが存在すると推定され、死亡原因の9位、男性に限ると7位を占めています。 主たる原因は長期にわたる喫煙であり、喫煙者の15〜
20%が慢性閉塞性肺疾患を発症します。治療によっても元に戻ることはありませんが、呼吸苦を軽減する薬剤が開発されており、年々改良されています。









