脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)
脂漏性角化症は、あまり聞いたことのない病名かもしれませんが、良性の皮膚腫瘍でかなりよくある疾患です。
多くは褐色で表面がやや脂っぽく見えザラザラしています。
老人性イボなどと呼ばれることもあります。
形は円形に近く、褐色で皮膚から盛り上がっています。原因は紫外線の影響や皮膚の老化と言われています。
発生する年齢は男性では40歳代以上、女性では30歳代以上です。
大きさは数㎜のものから3〜4㎝位のものまでいろいろです。
色は薄い茶色から黒色に近いものまであります。
発生する部位は手のひら、足の裏以外はどこでもできますが、多いのは顔、頭、背中などです。
皮膚からの盛り上がり方は、わずかに盛り上がったものから硬くしこりのように盛り上がったものまであります。
表面はザラザラしたり、毛穴のような点々がたくさん見られることもあり悪性を心配して来院される方もいます。
1個だけあったり、多発していたりすることもあります。
また頭にある場合は、クシなどで傷つけて出血することもあります。
平らなシミ(老人性色素斑)と混在することもあり、シミが盛り上がってきて脂漏性角化症になることもあります。
本来は良性で悪性化することはないと言われていますが、悪性のものとの区別が難しいこともあります。
その場合には検査が必要なこともあります。治療は、かゆみがあったり大きいなど不便がある場合は取ることになります。
取るには手術で切除したり、電気メスやレーザーで焼いてしまったり、液体窒素で凍らせて取ったりします。
悪性の心配がある時は一部を取って検査に出すこともあります。
社会不安障害について
不安という言葉は、日常的には何か悪いことが起こりそうな気がかりな気分を指し、医学用語としては「漠然(ばくぜん)として対象がない恐れの感情」を意味します。もちろん珍しいものではなく誰でもが持つ感情ですが、それが質、量ともに健康な人と異なる状態のとき、それを不安障害と呼びます。
不安障害の中には、強くて持続的な「全般性不安障害」、発作的な「パニック障害」、手を洗わなければ気がすまないなどに代表される「強迫性(きょうはくせい)障害」、そして、強いストレス状況の後に発生する「外傷後(がいしょうご)ストレス障害[PTSD]」等といったものがありますが、対人場面、社交場面で強い不安が生じ、過度の緊張、苦痛を感じてしまう「社会不安障害」もその中のひとつです。
「社会不安障害」という名前は比較的新しいもので、これまでは対人恐怖、社会恐怖などと呼ばれていたものです。この障害を持った人たちが苦手なのは例えば次のような状況です。「よく知らない人に電話する」、「店に物を返品する」、「レストランなど家の外で食事する」、「幾人かを前に報告する」、「他の人たちが既に着席している部屋に入る」、「会議で発言する」等々。
このような場面では、自分でもおかしいと思いながらも強い不安を感じてしまうため本来の能力を発揮できませんし、何とかこのような状況を避けようとするため不自由な毎日を送らなければなりません。
「恥ずかしがり屋」とか「内気すぎる」といわれるような人は、大体この診断に該当してしまいます。その程度にもよるので全員が治療が必要なわけではありませんが、あまりつらい状況をそのままにしておくと、「うつ病」や「アルコール依存症」といった別の問題が起きてしまうことも少なくありません。
「性格のせいだから」と諦めずに、困っている方は精神科医へ相談してみることをお勧めします。
C型肝炎をやっつけろ!
以前のC型肝炎の治療は、インターフェロンと内服薬の併用療法で、24~48週間インターフェロンの副作用[発熱・全身倦怠(けんたい)感・食欲不振・貧血など]を耐えて治療していました。しかしながら、現在とても良い薬が開発され、内服薬を服用するだけで12~24週でC型肝炎が治る時代になってきています。非常に副作用も少なく、その程度の軽いものばかりです。C型肝炎は遺伝子型で、1型・2型に分けられます。
日本人のC型肝炎の70%は、1b型というインターフェロンの効きにくいウイルスでした。2014年7月にインターフェロンを使用しない内服治療薬①アスナプレビル・ダクラタスビルの併用療法が認可され、さらに2015年6月には、第2世代の②ソホスブビル・レジパスビルの併用療法、さらに2015年9月には③パリタプレビル・オムビタスビル・リトナビルの併用療法が認可されました。一方、遺伝子型2型に対しては、2015年3月に④ソホスブビル/リバビリン併用療法が認可されました。
各々の国内臨床試験におけるSVR率(ウイルスの消失率)と薬剤の特徴を示します。
①の薬剤は、投与期間は24週・治療終了時92%、24週後84・7%、ウイルスの変異に弱い
②の薬剤は、投与期間は12週・治療終了時100%のウイルス消失率。
高度腎機能障害者には使用できない。副作用も軽微で、最も高頻度の副作用は鼻咽頭炎の29%であり、他には頭痛が7%、全身倦怠が5%、皮膚掻痒(そうよう)が4%程度です。その為、現在の主流のお薬です。
③の薬剤は、12週の投与期間、治療終了時91~98%の消失率。ウイルスの変異に弱い
④の薬は2型ウイルスに対する唯一の内服治療薬です。投与期間は12週間。治療終了時のウイルス消失率95~98%。高度腎機能障害者には使用できない、といった特徴です。治療の対象も、以前はインターフェロンが効かなかった人など条件がありましたが、現在では非代償性肝硬変(進行した肝硬変の状態)を除くすべてのC型肝炎症例がこれらの抗ウイルス療法の治療対象となりました。
いままだ治療に二の足を踏んでいる方は、一度肝臓専門医を受診してはいかがでしょうか?
[出典]日本肝臓病学会C型肝炎治療ガイドライン(第5版)2016年5月より抜粋
病状に対してわかりやすい説明を心がける 骨粗しょう症の予防・診断・治療に努める
函館市亀田支所にほど近い江端整形外科医院。
初代院長の江端章氏が開設してからすでに40年を超えるが、古くから通っている患者はいまだに多い。2008年には2代目となる江端済(わたる)院長が着任した。
江端院長は函館中央病院などで、主に変形性膝関節症など膝の疾患、整形外科領域の腫瘍に関する治療に携わってきた。同医院は膝関節、腰痛など整形外科疾患全般や関節リウマチの診断、各種リハビリテーション、骨粗しょう症の検診・治療などに対応している。
「きちんとした診断を行うよう努め、病状に関してわかりやすくていねいにご説明するよう心がけています。またどこの科を受診したらいいかわからないという患者さんの相談にも応じ、適切なアドバイスができるよう努めています」と、江端院長は話されました。手術が必要と思われた場合は、函館中央病院や函館五稜郭病院などと病診連携を利用して紹介している。腰椎牽引器や神経障害に有効な低周波治療器、マイクロ波治療器などの物理療法を中心に疾患の緩和や改善、リハビリを実施している。
「骨粗しょう症の予防や進行させないための治療を積極的に行い、少しでもADL(日常生活動作)を改善して、現在の生活を維持できる診療を目指しています」と話す。
諦めない胃がんの治療
以前と比べて減少傾向にはあるものの、年間12万人以上発症、毎年4万人が亡くなっている胃がん。20代の若さで発症する方もいますが、50代で急増、70〜80歳で発見される方も年々増えてきています。
平均寿命が延び高齢者人口が増えていることもあり、70歳以上の胃がん患者数は、以前の2倍まで増えています。
以前は年齢で治療を諦めていた胃がんの治療も胃カメラ検査機器の進歩による苦しくない胃カメラで、早期の段階での胃がんの発見もできるようになりました。また、身体に負担のかかりにくい手術や新薬の開発などにより、高齢者でも新しい治療の選択肢が増えてきています。
粘膜にできた胃がんは、進行すると深く潜りリンパ管や血管を通ってリンパ管や肝臓・腹膜など他臓器へ転移します。粘膜にとどまっている早期の胃がんは、手術でお腹を切らなくても胃カメラで粘膜内のがんを切除する「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)」で治療できます。
リンパ節転移が疑われる場合でも腹腔鏡やロボット手術など術後の身体への負担も大幅に軽減されています。 がん治療の薬も、ここ数年で目覚ましい進歩を遂げています。
「HER2タンパク質」を持っていると抗がん剤の他、がん細胞だけを狙い撃ちする「分子標的治療薬」を使用できます。
既に手術できない状態で発見された約2割の方がこのタンパク質を持っているといわれており、この薬が著効できれば手術で病巣を切除することも可能となる場合もあるのです。
このタンパク質を持っていなくても、多種の抗がん剤の組み合わせや最近胃がんへの適用も拡大した「免疫チェックポイント阻害薬」の使用より、治療効果は確実に上がっています。 抗がん剤の副作用を軽減する薬も開発されており、また分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬は、効果が高いだけではなく副作用も起きにくいメリットがあります。 ただし、胃がんは予防も大切です。
胃がんの主な原因はピロリ菌ですが、喫煙や過剰な塩分摂取も発生のリスク要因とされています。
ピロリ菌は 採血・検尿・検便・呼気検査・胃カメラでの病理検査でチェックすることができます。
ピロリ菌がいる場合は1週間の内服薬で除菌しますが、除菌後も安心してはいけません。
除菌前に胃がんにつながる胃炎に進行していると除菌後にも胃がんになることもあるため、除菌後も定期的な胃カメラ検査を受けることが大切です。
痛くない中耳炎(ちゅうじえん)~滲出性(しんしゅつせい)中耳炎~
今回は滲出性中耳炎という「痛くない中耳炎」で滲出液という液体が貯まってしまう中耳炎についてお話します。
滲出性中耳炎は小学校入学前のお子さんとお年寄りに多い病気です。
症状は軽い難聴や耳閉感(耳がつまった感じ)ですが痛みがないため気づきにくく放置されていることがよくあります。
主に風邪、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎などで鼻と耳の交通が悪くなって耳の換気が悪くなることで起こります。
鼻の調子が悪い状態が続いているお子さんは滲出性中耳炎になっている可能性があります。
鼻の病気に伴って起こることが多いので鼻の状態を的確に把握して鼻の治療をしっかり行うことがポイントです。
多くは薬で改善しますが改善しない場合は鼓膜切開や鼓膜換気チューブ留置を行うこともあります。
心当たりのある方は耳鼻咽喉科を受診されることをお勧めします。
新鮮な魚ほど危険?寄生虫アニサキス
アニサキスの幼虫は、体長は2~3cmの半透明の糸ミミズのような体形をしており、アニサキスの幼虫が付着した生の魚介類を食べたとき、ほとんどがそのまま排せつされますが、まれに人の胃や腸壁に侵入し、食後2~8時間後に激しい腹痛や嘔気(おうけ)・嘔吐(おうと)・アレルギー症状を引き起こします。
胃粘膜に進入する「胃アニサキス症」は、一番頻度が高く、胃・十二指腸潰瘍の症状と酷似しています。
腸の粘膜に進入する「腸アニサキス症」は、急性虫垂炎の症状と酷似し、まれに腸穿孔(せんこう)や腸閉塞(へいそく)を併発すると開腹手術となることもあり注意が必要です。
「アニサキスアレルギー」では、じんましんや血圧低下、呼吸不全などアナフィラキシー症状を来した症例も報告されています。
主に寄生しやすい魚は、サバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマ、ホッケ、タラ、マスで、養殖魚にはほとんど認められていません。
これらの魚の内臓に寄生しているアニサキス幼虫が、漁獲後に筋肉に移動します。
予防方法は、
①60℃で1分以上加熱する(70℃以上では瞬時に死滅します)
②マイナス20℃で24時間以上冷凍する
③内臓は生では食べず、魚を丸体で購入する際は、新鮮なうちに内臓を取り除く
④冷凍魚ではなく新鮮な魚を生で食べる場合は、調理の際、目視で確認し、除去する。
また、料理で使う程度の量や濃度の醤油、ワサビ、ショウガ、ニンニク、酢では、死滅しないので、注意が必要です。
経過と症状から、胃アニサキス症が疑われる場合は、胃内視鏡を行い、アニサキス幼虫を鉗子(かんし)でつまみ、取り除くことで、速やかに症状は改善します。
アニサキス症は、昔は漁村などに発生する風土病と言われていましたが、生の食材が新鮮な状態で提供されるようになった現在、アニサキス症は増加傾向にあります。
今や、年間7000件以上の報告があり、もはや人ごとではありません。
魚介類を生で調理、食べるときは十分注意し、また、アニサキス症が疑われるときは、できるだけ胃を空っぽにして、緊急で胃カメラができる状態で専門医を受診する事が大切です。
前歯の位置と笑顔の関係
笑顔が素晴らしいポスターでは、上唇(うわくちびる)が、大きなU字型をしており、歯ぐきは見えず、歯のカーブは唇よりはやや小さいU字型をしています。顔を横から見ると、鼻の先端とあごを結んだ直線(E―ライン)より唇が接するか、やや後退しております。
矯正歯科治療で歯並びを直す場合、かみ合わせを治すのはもちろんですが、口の周りの組織の調和を考えた治療目標を立てます。
この歯の位置を目標位置まで動かすため、従来はヘッドギアやチンキャップなどを使用しておりましたが、インプラントを利用して、以前よりも目的の位置に動かすことへの本人の負担も軽減され、早く治療が終えられるようになってきています。老化を含めた歯槽膿漏や、骨や筋肉の変化などから矯正歯科治療後、歯は安定したところをさがして自然に移動し、さらに安定します。従いまして、歯と周りの調和がとても大切なのです。
最先端近視治療《イントラレーシック》
イントラレーシックは新しい屈折矯正手術として、世界的に非常に評価の高い術式です。
■レーシックとは
マイクロケラトームというステンレスのブレードを使用して角膜に切り込みを入れ、フタ状のフラップと呼ばれる部分を作成し、エキシマレーザーで角膜を削り近視を治します。
■レーシックとイントラレーシックの違い
角膜を削ってフラップを作る際に、高精度な医療用レーザー(イントラレーザー)を使用します。
マイクロケラトームよりもフラップを薄く作成できるため、レーシックで対応できなかった重い近視の方に対しても手術ができるようになりました。
■イントラレーシックの利点
イントラレーザーを使用しフラップを作成するため直接角膜に触れませんので、感染症の心配はほとんどありません。
イントラレーザーは一定の深さにエネルギーが放出され、角膜の円弧に沿った、精密で厚さが一定な滑らかなフラップを作ることができます。
フラップの作成の精度が上がった事で、術後の裸眼視力の回復を早めてくれました。
また、イントラレーシックで作成したフラップ面はレーザー照射による蒸散の影響により接着するまでにレーシックよりも多少時間がかかります。
しかしフラップのエッジ部分が垂直になっているため、フラップをはめこむような形でしっかりと元に戻せるので、ずれたりシワになったりする心配はほとんどありません。
以上のような点からイントラレーシックは安全性の高い、よりクオリティーの高い屈折矯正手術といえます。
従来のレーシックでも十分な成果を上げてきましたが、より安全で効果が高い方法に進化していったわけです。安心して安全にそして確実な成果を得られるように、患者様のニーズを織りまぜながら、医師と相談して納得いただける方法を選択してください。
そして手術後は眼鏡のない生活をエンジョイしてください。
妊婦とスポーツ
最近、妊娠中でも積極的に、体を動かす方が、妊娠分娩に良い影響を与えるといわれ、妊婦のスポーツが普及してきています。 その目的は、運動不足の解消・肥満の予防・気分転換・体調の維持・持久力の獲得です。 妊婦の体は出産にむけて変化し、体重の増加・背柱のわん曲の増強・重心の移動・関節の緩み・循環血液量・心拍排出量・肺換気率の増加がおこり、身体的負担をまし、運動能力を減退させ、運動に不向きな状態となっています。 その為スポーツを行うには、母体、胎児の状態のチェックが必要であり、又種類も限定されます。 切迫流産早産・妊娠中毒症・多胎妊娠・前置胎盤・羊水過多(少)・胎児発育遅延・内科合併症を持っている妊婦さんは、原則としてスポーツは禁止です。 時期は妊娠16週より35週まで、60分以内、午前10時より午後2時の間(お腹のはりが一番少ない時間)。
週2~3回は行うことが大事です。 妊娠中のスポーツの原則は、母児にとり安全性が高い有酸素運動である。
全身運動で楽しく長続きするものです。
瞬発力のいる運動・体に大きな衝撃を与える運動・関節の深い屈伸を要する運動・記録を競い合うものはさけた方がよいでしょう。 現在行われているのは「水泳・エアロビクス(マタニティビクス)・ジャズダンス・ジョギング・ウオーキング・ヨガ」です。
どのスポーツを選ぶかはお好みです。 但し、必ず産科医・専門のコーチのアドバイスやチェックを受けることが必要です。
お腹がはる・出血・帯下の増加・疲労感・睡眠・食欲の変化・発熱など異常があれば必ず産科医のチェックを受けることが必要です。 スポーツすることが義務だと考えず、調子が悪いと思ったらその日は中止するといった、自分の体へのいたわりを忘れないで、楽しい時を過ごして下さい。









