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便秘の定義

内科2015/12/21

 今年の10月、米国消化器学会(AGA)は慢性便秘に関する患者向けガイドラインを発表しました。

 便秘とは、「排便回数が1週間で3回未満の状態」と定義されます。

 この状態が3カ月以上続くと慢性便秘といい、米国では成人の16%、60歳以上では3分の1が慢性便秘を経験していると報告されています。

 主な症状は、排便時のいきみ、残便感、排便に時間がかかる(目安は5分以内です)、硬便、肛門裂傷、腹痛、腹部膨満や腹部不快感などです。

まずAGAが推奨している便秘の解消法は次の五つです。

①果物・野菜など繊維の多い食品を取る。
②速足で歩く、自転車に乗るなど中等度の運動を週に最低2時間半行う。
③水分を多く取る。女性は1日最低コップ9杯、男性は最低13杯(体格の違いを考慮すると、日本人ではやや多い印象です)。
④便意は食後に起こりやすいので、食後の排便時間を確保する。
⑤便意を我慢しない。

 他にも、朝の起きがけにコップ1杯のお水を飲むこと、朝食をきちんと取ることも腸の働きを刺激してくれます。
排便後のウォシュレットでの強すぎる水流や長時間の使用はお勧めできません。
また、適量の油の摂取も、腸での潤滑油となり便を出しやすくしてくれます。
理想の便は、細めのバナナ状の形と軟らかさです。

 下剤を内服して、形のない状態で便が出ている方は、下剤の量が多いのかもしれません。
下剤も、塩類下剤(便を軟らかくする薬)と、刺激性下剤(腸を刺激して動かす薬)に分類され、漢方薬の選択肢もあるのでそれぞれの便秘の状態で使い分ける事が大切です。
便秘の原因として薬剤、特に精神・神経系の薬剤を使用すると便秘の頻度は高くなります。
また、痔(じ)や甲状腺、糖尿病、脱水や電解質異常などが原因となる事があります。
食事や生活習慣を改善しても解消しない便秘の時、軟らかい便、細い便が続く時、便に血が混じる時は、ひそかに大腸がんが進行しているかもしれません。
特に、進行した直腸がんの患者さんの60%以上は、痔が原因と自己判断をして放置していた方たちです。
最近増加傾向にある大腸がんや直腸がんは、早期に発見できれば、がんの中でも内視鏡や手術で完治する可能性が高いがんの一つです。
恥ずかしいと思わずに、気になることがあれば、消化器専門医にご相談ください。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2015年12月21日 「北海道新聞夕刊」掲載)

忘年会を乗り越えろ!(糖尿病編)

内科2015/11/30

 年の瀬も差し迫り、忘年会のシーズンがやってきました。
忘年会・クリスマス・お正月とこれからのシーズンが糖尿病の悪化しやすい時期です。
まずは、毎日の体重測定から行いましょう。
できるだけ1日2回測定し、朝と夜の体重差を1㎏以内に抑えましょう。
血糖を自分で測る器械がない方は、自分の状態の良し悪しは、体重測定が一番です。
毎日体重を測定すると、体重が増えた時に、「やばい! 体重増えた!? なんでだろう??」と自分の生活を見直すきっかけになります。
食事の取り方にもコツがあります。
まずは、野菜が先!野菜を先に取ることで、食物繊維がコレステロールの吸収を抑え、糖質の吸収を遅らせます。
結果血糖値の上昇を抑えてくれます。
また野菜を食べる習慣も付き、早食いの食生活改善、そして食事の量が少し減るようになります。また糖質を取り過ぎないこと。
糖質とは、ごはん・パン・麺類などの主食・イモなどの根菜類・果物・お菓子などです。
ジュース類は糖質の量が多く、しかも急速に吸収され血糖値が急上昇します。
最近では果物も糖度が高く、リンゴ・梨などは、半分が1日量とされていますが、甘みが強ければそれよりも少なくしてみましょう。
お菓子は、できるだけ食べないのが原則ですが、食べるのであれば、毎日3時に漫然と食べるのではなく、1日おきにする・何か体を動かしたときだけにするなどのメリハリが必要です。
この時期は、その日だけ食べ過ぎることがあると思います。
その後よくあるのが、朝抜き・昼そば・夜ドカ食い、のパターンです。
食べ過ぎたので、つい食事を抜いたりして血糖値が上がらないようにと、気持ちは分かりますが、糖尿病の薬を飲んでいる場合、低血糖になりかねません。
また、食事を抜くとどこかでおなかがすいて、やはり最後は食べ過ぎることが多くなります。
この時期は、痩せろとは言いませんが太らないように体重管理に気を付け楽しく年末年始を送りましょう。


Text by はら内科クリニック 原 信彦( 2015年11月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

C型肝炎の治療は新時代へ

内科2015/08/31

 肝臓病の原因は数多くありますが、B型肝炎・C型肝炎に代表されるウイルス性の慢性肝炎は特に気を付けなければならない病気です。
これらは主に輸血など血液を介して感染しますが、感染ルートが不明の場合も少なくありません。
この病気の怖いところは、感染後長年症状のないまま肝硬変や肝臓がんになっていくことです。
今から30年ほど前までは有効な治療法がなく、肝機能をできるだけ維持する治療を行うのが精一杯の時代が続きました。
1980年代にウイルスの排除(追い出すこと)を目的とするインターフェロン治療が始まりました。
しかしインターフェロンは長期間頻回の注射を必要とする上に副作用も多く、その上ウイルス排除の成功率も低かったため満足できる状況とは言えませんでした。
B型肝炎については2000年頃よりウイルスの増殖を抑える内服治療が登場し現在も多く使われていますが、C型肝炎の方はインターフェロンを必要とする時代が長く続きました。

 しかし昨年その状況に風穴があくことになりました。
C型肝炎に対して副作用も少なくウイルス排除の成功率が85%から100%という内服治療薬が登場したのです。
インターフェロン時代の苦労を考えるとまさに夢のような数字といえます。
C型肝炎ウイルスにはいくつかの型があり、発売当初は日本人に最も多い1型に対する薬でしたが、今年に入って2型に対する治療薬も登場し日本のC型肝炎のウイルス型をほぼ網羅できるようになりました。
さらに治療期間も当初の6カ月間から3カ月間に短縮されつつあるなど、次々に新薬が登場しています。
C型肝炎はまさに治る時代に入ったといえるでしょう。

 医療の進歩というよりメーカーの開発競争の成果としての側面も大きいわけですが、結果として多くの患者さんがその恩恵をうけ健康を取り戻せるようになります。
治療には国や道の医療費助成を受けることができますので、消化器病・肝臓病の専門医によく相談しましょう。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男( 2015年8月31日 「北海道新聞夕刊」掲載)

血液疾患の症状

内科2015/07/21

 血液疾患の症状は多くの場合あいまいで、これといった特徴がみられません。
つまり、その症状だけでは体のどこの病気かほとんどわかりません。
しかし、1つの症状だけで間違いなく血液疾患とわかることはないにしても、特定の症状がいくつかみられる場合は血液疾患の可能性が疑われます。

 そういった一連の症状は、血球の減少と関係していることが最も多く、赤血球数の減少(貧血)、白血球数の減少(白血球減少症)、血小板数の減少(血小板減少症)などがあります。
たとえば、疲労感や脱力感、息切れがある場合は貧血の可能性があります。
また、発熱や感染がみられる場合は、白血球が少なくなっている可能性があります。
さらに、出血やあざが起きやすい場合は、血小板が少なくなっている可能性があります。
ときには、血球数の増加に伴って症状が発生する場合があります。
たとえば、赤血球数が増加したり(赤血球増加症)、白血球数が増加したりすることによって血液が濃くなる(血液粘度が増す)と、息切れ、頭痛、めまい、意識障害などの症状が現れることがあります。
また、多発性骨髄腫でみられるように、免疫に関係するタンパク質が増えることによっても血液が濃くなることがあります。

 その他に、血液凝固を正常に保つ物質(凝固因子)に異常が生じると、血液が固まりにくくなって生じる症状(あざや出血がひどくなったり、皮膚に小さな赤色ないし紫色の斑点として現れたりする)、あるいは異常な血のかたまりができて生じる症状(脚の一部が痛みや熱を持ったり、息切れや胸痛が突然生じたりする)が現れる場合があります。
これらの凝固因子が十分つくられない場合、つくられた凝固因子が異常な場合、これらの凝固因子をあまりにも早く使い果たしてしまった場合などには、このような障害が発生する可能性があります。

 気になるところがある方は、医療機関の受診をおすすめします。


Text by 飯田内科クリニックいしかわ 伊達 基( 2014年5月15日 「青いぽすと」掲載)

新鮮な魚ほど危険?寄生虫アニサキス

内科2015/06/29

 アニサキスの幼虫は、体長は2~3cmの半透明の糸ミミズのような体形をしており、アニサキスの幼虫が付着した生の魚介類を食べたとき、ほとんどがそのまま排せつされますが、まれに人の胃や腸壁に侵入し、食後2~8時間後に激しい腹痛や嘔気(おうけ)・嘔吐(おうと)・アレルギー症状を引き起こします。
胃粘膜に進入する「胃アニサキス症」は、一番頻度が高く、胃・十二指腸潰瘍の症状と酷似しています。
腸の粘膜に進入する「腸アニサキス症」は、急性虫垂炎の症状と酷似し、まれに腸穿孔(せんこう)や腸閉塞(へいそく)を併発すると開腹手術となることもあり注意が必要です。
「アニサキスアレルギー」では、じんましんや血圧低下、呼吸不全などアナフィラキシー症状を来した症例も報告されています。
主に寄生しやすい魚は、サバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマ、ホッケ、タラ、マスで、養殖魚にはほとんど認められていません。
これらの魚の内臓に寄生しているアニサキス幼虫が、漁獲後に筋肉に移動します。

 予防方法は、
①60℃で1分以上加熱する(70℃以上では瞬時に死滅します)
②マイナス20℃で24時間以上冷凍する
③内臓は生では食べず、魚を丸体で購入する際は、新鮮なうちに内臓を取り除く
④冷凍魚ではなく新鮮な魚を生で食べる場合は、調理の際、目視で確認し、除去する。
また、料理で使う程度の量や濃度の醤油、ワサビ、ショウガ、ニンニク、酢では、死滅しないので、注意が必要です。

 経過と症状から、胃アニサキス症が疑われる場合は、胃内視鏡を行い、アニサキス幼虫を鉗子(かんし)でつまみ、取り除くことで、速やかに症状は改善します。
アニサキス症は、昔は漁村などに発生する風土病と言われていましたが、生の食材が新鮮な状態で提供されるようになった現在、アニサキス症は増加傾向にあります。
今や、年間7000件以上の報告があり、もはや人ごとではありません。

 魚介類を生で調理、食べるときは十分注意し、また、アニサキス症が疑われるときは、できるだけ胃を空っぽにして、緊急で胃カメラができる状態で専門医を受診する事が大切です。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2015年6月29日 「北海道新聞夕刊」掲載)

貧血について

内科2015/06/08

 貧血とは、血液の中で身体の各組織に酸素を運搬する役割の赤血球、詳しくはその中の血色素(ヘモグロビン)が不足して、運ばれてくる酸素が減るために組織が酸欠状態となる病気です。動悸(どうき)、息切れ、倦怠(けんたい)感などの症状で出現するのですが、徐々に進行した場合には、かなり悪化するまで気が付かないこともあります。いろいろな原因で赤血球は減少しますが、最も多いのが赤血球の主要な原料である鉄分の欠乏による鉄欠乏性貧血です。この鉄分の欠乏にも、食事での摂取量の不足、腸での鉄分の吸収障害、慢性出血による損失などの原因があります。生理による出血、偏食などで若い女性に出現することも多いのですが、その他では、消化管のがんなどで引き起こされることもあり、放置せずに検査治療を受ける事をお勧めします。


Text by 函館渡辺病院 森本 茂男( 2015年6月8日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

本当にただの脂肪肝ですか?

内科2015/05/25

 GWはいかがお過ごしでしたか? まさか体重が増えたりしていませんよね?

 そろそろ健康診断の検査等が行われると思いますが、脂肪肝と書かれそのままにしていませんか?

 たかが脂肪肝でも進行する脂肪肝があります。まずは、脂肪肝でお酒を飲む方は、飲み方を変えましょう。健康飲酒量は、缶ビールは500mℓ、日本酒・ワインは1合、焼酎は25度なら0・6合、ウイスキーはダブル60mℓが適量と言われています。少なく感じるかもしれませんが、これに近づける努力は必要ですし、場合によっては、休肝日を週に1~2日設ける必要もあります。
お酒を飲まない・ただ少し太っているだけという脂肪肝の多くは、単純性脂肪肝と言って進行しないものが多いのですが、中には非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼ばれ、痛くもかゆくもなく、徐々に、肝硬変・肝臓がんと知らないうちに進行する肝炎も隠れていますので気を付けなければいけません。日本での検診受診者を100とすると脂肪肝が35%そのうちNASHは2%程度といわれています(※1)。病態については、生活習慣病が基本にあり、内臓脂肪の蓄積から肝臓の細胞にも脂肪沈着が起こり、脂肪肝となり、そこに鉄の代謝障害・酸化ストレス・脂質過酸化等の要素が加わり悪循環を形成し、NASHという進行性の肝障害がおこると考えられています。頻度は多くありませんが、症状がなく気が付くと進行しており確立した治療法がいまだにありません。まずは、減量が一番効果的です。肥満大国アメリカのガイドラインでは単純性脂肪肝は3~5%の減量・NASHの時は、10%の減量を目標にします。薬物ではEPA製剤(青魚の油)・ビタミンE(抗酸化治療薬)・インスリン抵抗性改善薬等の治療報告はあるもののいまだ内服治療のみでは十分な治療効果はなく、減量を行ったうえで内服治療を行うと効果が表れやすいようです。まずは、節酒・減量・そして検診結果を放置せず、再検査・定期検査を忘れずに!

(※1 日本消化器病学会誌47 2012年)


Text by はら内科クリニック 原 信彦( 2015年5月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

より苦痛の少ない胃カメラへ

内科2015/02/23

 私が医師になった30年ほど前の胃カメラは口から入れるタイプ(経口内視鏡)しかなかったので、検査中ゲーゲーするのが当たり前の光景でした。
時代は変わり、近年は鼻から入れる細い内視鏡、いわゆる経鼻内視鏡が広く行われ楽に検査できるようになりました。
口から入れるのが当然と思われていた胃カメラを鼻から入れようと最初に考えた人は誰だったのでしょうか?
経鼻内視鏡が登場する前から耳鼻科ではのどの奥をみる内視鏡(喉頭鏡)、呼吸器内科では気管支をみる内視鏡(気管支鏡)が使われていました。
それらは当時の胃カメラに比べると細いものでしたが、その分長さも短くて機能的な制限も数多くありました。
1983年のある日、耳鼻科医が気管支鏡を使って鼻から食道まで入れて観察したのが経鼻内視鏡の始まりと言われています。
93年には当時最も細く小児の口からも挿入できる胃カメラが発売され、それを大人の鼻から入れて胃の検査に使う医師が現われました。
いよいよ本格的な経鼻内視鏡の始まりでしたが、当初はまだ画質も粗く、レンズを洗浄する機能がないなどまだまだ経口内視鏡には劣る状況でした。
その後の技術革新とともに機器の改良が進み、現在では昔の胃カメラと遜色なく検査できるまでになっています。

 経鼻内視鏡は鼻炎などの病気を持っているとせまくて挿入できなかったり、通過時に痛かったり、検査後に鼻血が出る場合もありますので経鼻内視鏡がすべてに優れているわけではありませんが、最大の利点は挿入時に舌の付け根に触れることなく挿入できるため嘔吐(おうと)反射(ゲーゲーすること)がほとんど起こらないということです。
検査後、患者さんに尋ねると、ほとんどの方が経口内視鏡に比べて検査が楽だったと答えています。
私自身も実際に経鼻内視鏡で検査を受けてみて、「これで胃がんで命を失わずに済むなら我慢できる範囲」の苦痛だと感じました。今後ますます楽にできる方向へと発展していくことでしょう。


Text by 弥生坂内科クリニック 渡辺 雅男( 2015年2月23日 「北海道新聞夕刊」掲載)

お酒を飲まなくても起こる脂肪性肝炎 ~NASH~

内科2015/01/19

 最近、食生活の欧米化で急増する脂肪肝、かつてはアルコール(飲酒)が主な原因と考えられていました。
しかし、お酒を飲まない人の脂肪肝から発症する肝炎は「NASH」と呼ばれ、将来、肝硬変、肝がんへ進展する危険性があることが分かってきました。
検診で肝機能障害があっても、腹部エコーで脂肪肝を指摘されても、自覚症状がないため放置するケースが多くあります。
軽度の脂肪がたまっているだけであれば、放置していても肝臓に悪影響はありませんが、重度だと脂肪肝に刺激が加わり、脂肪性肝炎「NASH」となることがあるのです。
NASH予防の原則は、脂肪肝からNASHへの進展を食い止めること。
肥満や脂肪肝と診断されたら、食生活の改善や運動で体重を落とすことが重要です。
3kgの減量で、肝機能の改善が見込まれます。
1~2カ月で1kgを目安にすると良いでしょう。肝臓は「沈黙の臓器」で、再生能力が高いため、自覚症状が出たときは病状が悪化していることが多くあります。
定期的な検査で、脂肪肝を疑われたら、まずは生活改善を心掛け、状態の改善が無ければ精密検査が必要です。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2015年1月19日 「北海道新聞みなみ風」掲載)

人には聞けない『痔(じ)』の話

内科2014/12/22

 冬の寒さが原因で痔が悪化することが多いこの時期ですが、20歳以上の日本人の10人に1人は痔だといわれています。

 痔であることが恥ずかしい、まだ痛くはない、お尻を見せたくないと病院を受診しないため、早期のうちに治療できずに悪化してしまうことが多いようです。

 痔は男性の方が多いイメージがありますが、実際は女性にも多く見られます。
女性が痔になりやすい要因として、便秘があります。女性は便意を我慢したり、生理前に女性ホルモンの影響で便秘を起こしやすくなること、また、出産時に強くいきむことにより痔を発症したり、悪化させたりする方も多く見られます。
これから痔にならないように、またこれ以上悪化させないポイントが三つあります。

①トイレで3分以上いきまない
 トイレに新聞や雑誌を持ち込んでいる方はいませんか?
必要以上に時間をかけていきんでしまうこと、また、ウォシュレットで肛門を刺激して無理に便を出そうとすること、肛門を洗いすぎることも肛門に負担をかける原因になります。
まとめて便を出してしまおうと頑張りすぎないことが大切です。

②便秘や下痢をおこさない食生活・生活習慣を心掛ける
 いつもより、30分早起きをして朝食をしっかりとることも大切です。
朝、空の胃の中に食べ物が入った瞬間に、前日まで腸の中に溜まっていた便が肛門の近くの直腸に下りてきます。
そして、直腸の壁を便が圧迫することによって脳に便意が生じます。
するとほんの少しのいきみで便を出すことができます。
少し早起きをすることで、学校や職場へ行く前に、自宅で排便する時間の余裕が生まれます。

③ゆっくりお風呂に入る
 簡単にシャワーで済ませず、入浴して肛門付近の血行をよくすることも大切です。
痔の治療には、生活習慣の改善、薬物治療、手術がありますが、まずは生活習慣を改善し、痔となった原因を踏まえて治療していくことが重要です。
しかし、肛門からの出血は痔だけが原因とは限りません。
出血の1割は、大腸ポリープや大腸・直腸がんが原因の場合があります。
出血や肛門の異物感などの自覚症状が続く時は、きちんと検査をしましょう。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2014年12月22日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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