動脈硬化から身を守ろう
心臓から拍出される血液を全身の隅々まで送り届ける血管が動脈です。
動脈壁は本来しなやかで弾力性がありますが、加齢とともにしなやかさを失い硬くなっていきます。
これが文字通り「動脈硬化」です。
動脈硬化は避けられない老化現象の一つですが、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満そして喫煙といったリスク因子のある人ほど、その進行は加速します。
やがて動脈壁へのプラーク沈着により動脈が狭窄(きょうさく)して狭心症や下肢末梢(まっしょう)動脈疾患を生じ、突然プラークが破綻して心筋梗塞や脳卒中を引き起こすこともあります。
平成27年の統計によると、心疾患、脳血管疾患、大動脈疾患を合わせると日本人の死因の約25%を占めており、がんとほぼ同じ数の人々が動脈硬化に関連した病気で亡くなっているといえます。
さまざまな臓器障害の原因となる動脈硬化ですが、怖いことに初期にはほとんど自覚症状がなく、症状が現れたときにはすでに重症化していることもあります。
動脈硬化が「サイレントキラー」といわれるゆえんです。
動脈硬化の程度は血圧脈波検査、超音波検査、CT検査などで調べることができます。
胸痛、足の痛み、薬が効きにくい高血圧といった症候が既にある場合には、早めに循環器専門医を受診するのが良いでしょう。
近年は狭心症、末梢動脈疾患などに対するカテーテル治療が盛んです。
これは、手首の橈骨(とうこつ)動脈や足の付け根の大腿動脈から直径2ミリほどの管(カテーテル)を挿入し、狭窄や閉塞した血管をバルーンやステントで拡張するという、体への負担が比較的小さい治療法です。
再発が少ないカテーテル治療を受けるためには、十分な知識と技術を備えた経験のある医師を選ぶことが大切です。
動脈硬化は全身に生じますので、一度動脈硬化による病気になってしまったら、動脈硬化の進展阻止が再発予防に重要です。
そのためには禁煙をはじめとする生活習慣の是正と適切な薬物治療の実践が何より大切です。
アンチェイジングのための中高年の肥満とダイエット
中高年の加齢に伴う代謝の特徴は腹筋量が減少して基礎代謝が低下すること。
(汗をかかなくなる)内臓脂肪が蓄積されること。(お腹が出てくる)インスリンに対する反応が悪くなることです。(糖尿病になり易くなる)
一般に生活習慣病やメタボリックシンドロームという病態としていわれ、この病態の中で肥満対策は大事な予防方法です。
では、肥満対策として、ただダイエットを行うとよいのでしょうか。
もし、運動を行わないでダイエットを行った場合、大きい確率でリバウンドが起こります。
ダイエットを行う場合には適切な運動を行う必要があります。
私たちの体の中の遺伝子の中に『倹約遺伝子』という遺伝子があり、人工的にダイエットなど飢餓状態をつくると摂取したカロリーを素早く脂肪に変換するようになります。
このような流れを予防するためには筋肉を維持して筋肉で燃焼させる必要があるので、ダイエットをしているとき、またダイエットをやめた後も運動する習慣を作り、筋肉量を減らさないようにする必要があります。
現在、よく行われているジョギングやウォーキングを中心にした低強度の有酸素運動は生活習慣病には有効であることは間違いないことですが、このような運動をするためには丈夫な骨と筋肉が必要です。
筋肉トレーニングやウエイトトレーニングは何となく硬派なイメージがありますが、レジストトレーニングは軽いダンベルやゴムのチューブなど身近な負荷素材で筋肉に負荷をかけるトレーニングです。
5〜10分程度の軽いストレッチの後、20分程度の筋力トレーニングを行い、20〜30分のウォーキングを週に3〜4回体調に合わせて徐々に行うことを勧めます。
運動を行わないダイエットはかえって、乾いたスポンジに水を含ませるように、体重の増加を引き起こします。
適切な運動を行いながらダイエットを行いましょう。
私たちは『貯金』はなかなかできませんが『貯筋』はできます。
オシッコの我慢は、とても優れた膀胱健康法
おしっこが近い。
夜中に何度も起きてしまう。
トイレのことが心配で外へ出歩けない。
歳のせいとあきらめる前に膀胱訓練を試してみましょう。膀胱訓練とは、トイレに行きたくなっても我慢をする訓練のことです。おしっこの我慢は膀胱炎になるとか腎臓に悪いといわれた時代もありました。しかし現在は、さまざまな医学的研究から、排尿の我慢で病気にはならないことが確認されています。我慢を続ける時間は特に決まっていませんが、数分程度の我慢から始めて無理のない範囲で時間を延ばしていきましょう。毎日繰り返すことで徐々に排尿の間隔が開いていきトイレの回数が減少します。ただし膀胱炎や尿路感染症の方は膀胱訓練が禁止されています。明らかな排尿痛や下腹部痛、肉眼的血尿を自覚される方は、膀胱訓練を開始する前に必ず泌尿器科へ相談してください。
我慢しようとするけどすぐに漏れてしまう。
漏れるのが心配で膀胱訓練ができない。
頻尿症状が進むと、ほんのわずかな時間でもトイレの我慢ができなくなります。そのような場合には、一時的におむつを利用して我慢をする、または濡れても大丈夫なようにあらかじめトイレで排尿の準備をした状態で我慢をするのも良いでしょう。肛門を強く締めるようにすると我慢しやすくなります。
困ったときには、気軽に泌尿器科を受診しましょう。
どうしても膀胱訓練ができない場合や症状が強い時には、膀胱訓練に合わせて薬を飲んだ方が良い場合があります。また、頻尿の原因はさまざまであり中には排尿障害や膀胱がんなど重大な病気が原因となっていることもあります。膀胱訓練を続けても症状が改善しない時や、排尿困難や残尿感、痛みや出血など頻尿以外の症状がある場合には、泌尿器科を受診しましょう。問診と超音波検査などの簡単な検査により診断、治療が可能です。お困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
5月10日はコメドの日です
「コメドって何?」と、思われたのではないでしょうか。
Comedo(コメド)とは面皰(めんぽう)のことで、毛穴詰まりを意味します。
ニキビは、目に見えない微小面皰から始まります。
そこに皮脂がたまってニキビ菌が増えると白(黒)ニキビになり、炎症が起きてしまうと赤ニキビになります。
つまり、赤ニキビだけを治療しても、最初の微小面皰を治さない限りニキビは治りませんし、さらに炎症が続きニキビあと(瘢痕:はんこん)になってしまうと治す治療法はありません。
命に関わらない等の理由もあり治療法が発展しづらい状況もあった一昔前に比べ、現在、病院でのニキビ治療は世界水準となりましたが、中にはすぐに治ると勘違いして治療を中断してしまう方がいらっしゃいます。
効果が表れるためには最低でも3カ月、そしてその状態を維持するためにはしばらくの間、治療が必要になります。
コメドの日を機会に、きれいな肌を目指しませんか。
妊娠・出産
最近の妊婦さんを診ていると、妊婦・出産・育児の情報誌やインターネットから得た知識で、へたな産科医より最新の情報を持っている方から、常識と思われることさえ知らない妊婦さんと様々です。
今回は妊娠・出産のことを簡単に書いてみます。 まず妊娠しようと考えたら、月経周期が28日の人は、月経開始日より10日目から15日目の間が妊娠しやすい時期です。次の生理が来るまでは、日常の生活・食事・飲酒・運動・薬剤の使用には気をつけ、1週間以上生理が遅れたら産科を受診しましょう。 妊娠したことがわかったら、出産までどう過ごすのか。
食事は、運動は、お産は自然か、陣痛誘発は、無痛分娩は、帝王切開は、産後の母乳は、ミルクを使うのか、母児同室は、病院・医院により違いがあり、医師・助産師に相談して下さい。 お産を軽くする。赤ちゃんをストレスが少なく、元気に生む一番の方法は食事と運動です。妊娠すると赤ちゃんのためといって食べれ食べれといわれますが、それは昔の食べるもののない時代の話で、現代の飽食の時代では、太りすぎにより中毒症になったり、難産の原因になります。10kg前後の増え方で、70kg以上の方は、5kg程度で充分です。 運動は肥満の予防、気分転換、体調の維持、持久力の獲得に適しています。妊娠中のスポーツは全身運動で、水泳や散歩が適していて、瞬発力や全身の深い屈伸のいるものは避けて下さい。
叢生[そうせい](凹凸歯並び)について
今回は叢生(凸凹歯並び)についてお話しします。
一般に八重歯などと呼ばれている叢生(凸凹歯並び)の原因は、「歯の大きさ」と「顎の骨の大きさ」のアンバランスが原因です。
現代人は、よく調理された「軟食」等により「顎の骨」が小さくなる傾向にあります。逆に以前に比べ栄養状態は良くなった為、歯は大きくなる傾向にあり、この為、歯が配列しきれないのでは? と考えられています。
お子さんが将来「叢生」になるかどうかの目安としては、乳歯の前歯を見てください。永久歯に生え代わる直前の5歳頃は乳歯前歯にすき間があるのが良い状態と言えます。
この時期の前歯に「すき間」がない場合は要注意です。詳しくは、かかりつけの歯科医院に御相談ください。
白内障の自覚症状と対策
白内障は目の中の水晶体が濁ってくる病気です
昔は手術に伴う合併症の問題もあり、手術を先延ばしにして物が見えないくらいに視力が低下してから手術を行う、という考えが一般的でした。
しかし、現在では患者さんの職業や生活状態に応じて、いつでも手術ができるようになっています。眼内レンズも健康保険の適応になっていますから、さらに治療が受けやすくなりました。
白内障の自覚症状
白内障のほとんどは両目に起こってきますが、左右の程度に違いがある場合も少なくありません。ただ、両目では互いに見えにくい部分を補ってしまうので、チェックする時は片目を閉じて行いましょう。
■視力低下
少しずつ細かい文字が見えにくくなります。老眼と異なり眼鏡をかけても良く見えません。
■まぶしい
光りが水晶体で乱反射するため、明るいところに出るととても眩しく感じます。照明が煌いて見えたり、夜に車を運転すると対向車のライトが気になることがあります。
■かすみ目
濁りが中心部に及ぶと、目の前に霧がかかったようにぼやけて見えます。進行するといっそうぼやけてきます。
■物が二重三重に見える
核とその周辺の屈折率に違いが出てくるため、片目で見ていて物が二つにも三つにも見えたりします。ただし、両目で見て二つに見える場合は外眼筋まひも考えられます。
■明るいところで見えにくい
光の乱反射や眩しさによって、明るいのに見えにくくなります。また明るいと瞳が縮まるため、水晶体の真ん中の白内障では余計見えづらくなります。
■暗いところで見えにくい
水晶体が濁るため光の入る量が減り、暗いところではより見えづらくなります。
■一時的に近くが見えやすくなる
核の濁りが強くなり屈折率が高まると遠くは見えにくいのですが、近くが見えやすくなる場合があります。老眼の人では老眼が良くなったと誤解する人もいます。これは一時的なもので、そのうち全体に見えにくくなります。
対策
自覚症状があったらまず眼科を受診してください。白内障かどうか、他の病気がないかどうか、当面の対策はどうしたらよいかなどを専門医に相談しましょう。
目が開きづらい方は…眼瞼下垂(がんけんかすい)かも?
眼瞼下垂とは、上まぶたが下がり、楽に目が開かなくなってくるために視界が狭くなり、物が見えづらくなる状態をいいます。
眼瞼下垂には、
①先天性
②後天性
があります。
①先天性眼瞼下垂は、生直後からみられ、あごを上げて下目づかいで物を見るようになります。
②後天性眼瞼下垂は、神経・筋肉・腱膜の異常などでおこります。
神経や筋肉の異常による眼瞼下垂は、動眼神経麻痺や重症筋無力症などの全身疾患と関連がある場合もあるので、特に注意が必要です。
腱膜の異常による眼瞼下垂は、加齢による場合が多いのですが、ハードコンタクトレンズの装用者にもよくみられます。
また、目をよくこすってしまう人にも現れることがあり、その原因としてアトピー・逆さまつげ・花粉症・長時間のパソコン使用・女性のメイクなどが考えられます。
症状が悪化すると、額(おでこ)の筋肉を使ってまぶたを上げようとするため、首から肩にかけての筋肉も緊張し、頭痛・肩こり・吐き気・めまいなどもおきてきます。
眼瞼下垂かどうかのチェック方法として、目をつぶり、両人さし指で両方の眉毛の上を強く押さえてみて、まぶたがうまく開かなければ眼瞼下垂の可能性があります。
まぶたの下がり具合がひどい場合は、手術が必要になることがあります。
手術後は約1週間で傷も落ち着き、まぶたが自然に上がるようになり、視界が明るくなります。
せっかく視力がよいのに、眼瞼下垂があるために視界が暗く感じている方は結構いらっしゃいます。
目が開きづらい、まぶたが重く感じて視界が暗く感じるなどの症状がある方は、一度ご相談下さい。
睫毛(まつげ)ダニとは?
最近テレビなどで取り上げられている睫毛ダニは、睫毛の根元にすみつきます。
睫毛ダニは、ひとたび目の周りが不衛生になると、皮脂や化粧品を食べて活発に繁殖しだします。
《症状》睫毛の生え際がかゆい・ふけのように白くなっている・ゴロゴロする・充血する・まぶたが腫れる・目やにが大量に出る・目が乾く・睫毛が抜けやすくなった、などの症状がある方は、睫毛ダニがいるのかもしれません。
《原因》寝たきりで洗顔ができていない・メイク落としが不十分・洗顔しないで寝る・「アイライン」「マスカラ」「つけまつげ」「エクステ」で睫毛の内側の皮脂腺が詰まっている、などの原因が考えられます。
《診断》肉眼では分からないので自分で見つけるのは困難ですが、眼科では、睫毛を数本抜いて顕微鏡で診察すると見つけることができます。
特に濃いアイメイクやエクステなどをしていて目が乾く症状が強く出ている方は要注意です。
日本人の5人に1人はすみついており、20代の方では2人に1人がすみついているとも言われています。
心配な方は、眼科で調べてもらいましょう。
不老長寿の秘薬
脈拍数(心拍数)は走ったり、人前で緊張したりしたときに多くなり、ドキドキして、つらくなることがあります。ゆったりしていると脈は遅くなります。脈拍数は刻々と変化しますが、5分間安静にした後の脈はいつも大体同じになり、その人固有の脈拍数と言えます。60~70拍/分が普通の脈ですが、医学的には50~100拍/分が清浄範囲と決まっています。昔エライ学者たちが「これぐらいだべー」「そだねー」と決めただけで、特に根拠なく決めました。ところで、動物界を見ると脈が速い小さな動物の一生は短く、脈が遅い大きな動物は寿命が長いことから、「脈は遅いほうが長生きなのではないか」と考えられました。そして今では、脈が正常な人でも、脈が速い人と遅い人では違いがあることがわかってきました。
住民健診を10~20年間続けた調査結果で、脈と死亡率の関係を調べた人たちがいます。どの論文でも「脈が多いと死亡率が(死亡率が高くなる)」そうです。日本でも16年かけて調べた結果、「80拍/分以上の人は、60拍/分の人に比べると総死亡が1.45倍、心臓病死は2.5倍多かった」そうです。脳卒中死は脈の多い少ないで増えたりはしませんでした。ということで、脈は心臓病死に関係していました。
理由としては、脈が多い人のグループにはメタボリック症候群の人が多いため、心臓病が多くなったと考えられています。脈が多いメタボの人は3年間くらいで高血圧を発症することが多く、動脈硬化が進んで心臓病の原因となります。脈を少なくするにはどうするか? 運動選手の脈は遅いので運動習慣をつければ脈は遅くなりそうです。食事を減らして運動をすれば、肥満は解消されることでしょう。「わかっちゃいるけど、やらないでいたこと」を実行すると、健康に長生きできるようです。ちなみに、認知症を予防することとして認められているのは、「高血圧や糖尿病の適切な治療」と「ウォーキングなどの運動習慣」です。これが秘薬のようです。









