涙道内視鏡(るいどうないしきょう)を用いた新しい治療
冬になると涙が多いと気付かれている方も多いと思いますが、涙の分泌は冷たい刺激でより出やすくなっているからです。
涙目の原因はいろいろあり、調べても原因がはっきりしない症候性流涙症も多いです。
しかし一方で、涙が目から鼻へ流れる道である涙道が詰まった「涙道閉塞症」の治療に「涙道内視鏡」が登場し、従来の治療に比べて、安全で成功率が高い治療が可能となってきています。
以前は、ブジーという針金で手探りで詰まった箇所を開通させていましたが、いまでは「涙道内視鏡」により、モニターを見ながら治療することもできるようになりました。
また最近では、「鼻内視鏡」という鼻から涙道の開口部を見ることのできる内視鏡と組み合わせて治療することもでき、治療法は従来と比べて進歩しました。
気になる症状がありましたらお近くの眼科医に相談してみて下さい。
あなたの肺年齢は大丈夫ですか?
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは中年以後に発症し、タバコを吸う方に多くみられる疾患です。
初期症状は、カゼをひいているわけではないのに咳や痰が出る、カゼをひきやすく治りにくい、ちょっとした運動で息切れを起こしやすい、などです。
進行すると平地を歩いても呼吸が苦しくなります。
COPDは肺がんとともにタバコが最も悪さをする肺の病気で、息切れが起こる主な原因は気管支が狭くなるためです。一度狭くなった気管支は元に戻らず、禁煙しなければ徐々に進行していきます。
さらに、肺活量は加齢現象の一つとして徐々に低下していきます。
1秒間に吐き出すことのできる空気の量を1秒量といい、これは非喫煙者の場合でも一つ年をとるごとに30mL前後減りますが、喫煙者では70mL前後減ります。
20歳代で1秒量が同じでも、50歳になると喫煙者と非喫煙者では1000mL近く差が出る計算です。
COPDは放置していると日常生活を送ることも困難になることがあります。
あなたの肺年齢は大丈夫ですか?
前述のような症状がある方は、診察をおすすめします。
胃潰瘍・胃がんの原因は家族内感染?
胃・十二指腸潰瘍、また胃がんの原因の1つとされている「ピロリ菌」。
ピロリ菌の発見から20年以上経過した現在でも、確実な感染経路は特定されていませんが、最近、ピロリ菌感染の予防対策につながる感染経路が、解明されつつあります。
その感染時期の多くは、胃酸の分泌や胃粘膜の免疫機能の働きが不十分な小児期といわれています。
子供の時に飲用していた井戸水も感染源となる可能性があり、上下水道の整備がされていない国や地域では、家族でピロリ菌感染が多いという報告も多数あります。
また、親が噛み砕いたものを子供に与えるような行為を繰り返されると親子感染が起こり、大人になって胃・十二指腸潰瘍、胃がんのリスクを高めているのです。
今までは、胃・十二指腸潰瘍等にしかピロリ菌の除菌治療は、保険での治療は認められていませんでしたが、今年2月、「胃カメラにおいて胃炎の確定診断がなされた患者」にも、保険適用が拡大されました。
親や兄弟に、潰瘍や胃がんの方がいらっしゃる場合、胃・十二指腸潰瘍や胃がんになる前のピロリ菌の検査は、とても重要です。是非、専門医にご相談下さい。
タバコとニコチン中毒
まだ肌寒い北海道ですが、ようやく行楽シーズンになりました。
出かける機会も多くなりますが、たばこを吸う人にとっては喫煙場所を探すのも一苦労でしょう。
また、タバコの害について目にする機会も増え、肩身の狭い思いをすることもあるのではないでしょうか。
北海道は男女とも喫煙率が高いことが知られていますが、当院に受診する患者さんもかなりの率で喫煙者がいます。
特に若い女性でタバコを常習的に吸っている方が多いことは驚きます。
ほとんどは一日10本以下くらいで、いつでもやめられる、と皆さん思っているようです。
でも、そう思いながら、だらだらと何年も吸い続けていませんか?
そして、吸うのをやめたらすぐに体は元に戻る、と思っていませんか?
一度体に蓄えられたタバコの害は、タバコをやめたらすぐに元に戻るというものではなく何年も体に蓄積され、場合によっては取り返しのつかない事になることもあります。
やめられるのならやめたいけど、吸わないと逆にストレスがたまってしまう、とみなさん思っているようですが、そもそもタバコを吸わないとイライラするのはニコチン中毒が関係しています。
タバコを吸っている人は多かれ少なかれニコチン依存症の状態になっています。
長時間タバコを吸わないでいて体の中のニコチン量が減ると、一定の量になるまでニコチンを補充しないとイライラが続くことになります。
これは麻薬の中毒症状と同じですが、実はニコチンは麻薬よりも中毒になりやすいといわれています。
現在ある禁煙用の薬は、何れもニコチンの中毒症状を何とかしようという薬です。
ニコチンパッチやニコチンガムは、別のルートからニコチンを体内に補充することで、ニコチン中毒によるイライラを緩和する方法です。
また、数年前に発売された禁煙補助薬は、ニコチンを含まずに、たばこを吸いたいという気持ちを抑えたり、禁煙によるニコチンの離脱症状(イライラなど)を軽減する薬です。
やめたいけどやめられない…という方は一度禁煙外来をしている医療機関で相談してみてはどうでしょうか。
タコとウオノメについて
歩くたびに足の裏に痛みを感じることはありませんか? 今回はタコとウオノメのお話です。
タコもウオノメも皮膚が硬くなってしまう状態です。
医学用語ではタコは胼胝腫(べんちしゅ)、ウオノメは鶏眼(けいがん)といいます。わたしたちの皮膚は繰り返し圧力がかかると厚くなっていきます。
これは刺激から皮膚やその下の組織を守るための正常な反応です。
たとえばいつもペンや鉛筆を持っていると利き手の中指などが厚く硬くなります。
この状態がタコで通常痛みは伴いません。
ところが、足の裏の皮膚が硬くなってしまうと、歩くたびに押されるため、次第に奥に入り込んでしまうため、痛みが出てくるのです。
表面から見ると芯の部分が丸く見えるためウオノメ(魚の目)という名前がついています。
一度ウオノメが出来ると、歩行の度に押されて奥に入ってしまい、次第に強い圧力がかかるようになるため、自然にはなかなか良くなりません。
さらに痛みのある側の足をかばって歩くうちに腰まで痛くなってしまうこともあります。
ウオノメの治療は硬く入り込んでしまった皮膚を専用のハサミで取り除いていく方法です。
一見痛そうですが、通常、ウオノメ自体には神経は来ていないため、治療時の痛みはありません。
ウオノメを柔らかくする絆創膏も市販されていますが、奥の方にはまり込んだ芯は取れにくいですし、ご自分でハサミやナイフなどで削っている方もいらっしゃるようですが、足の裏側というのは意外と手が届きにくく、かえって刃物で怪我をしてしまう恐れもあります。
またウオノメやタコと思っていても実はウイルス性のイボである場合もあり、これは治療法も異なりますので、医療機関で一度御相談されることをおすすめします。
ピロリ菌をやっつけろ!(慢性胃炎編)
朗報です!
ピロリ菌の除菌治療の対象が拡大して、慢性胃炎の方も健康保険で除菌治療が行えるようになりました。
今までは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・早期胃癌の胃カメラ治療後・他の特殊な病気だけが、除菌治療を保険で行うことができました。
それ以外の方は、ピロリ菌がいても自費で除菌を行っていたのです。
ところが、ピロリ菌と慢性胃炎の発癌の問題が、より明らかになったため、厚生労働省も重い腰を上げて除菌治療を慢性胃炎にも適応拡大したのです。
胃癌とピロリ菌について述べますと、ピロリ菌陰性者からは、ほぼ胃癌は発生しません。
ピロリ菌陽性であるだけで1000人に1人、そして慢性胃萎縮性胃炎の所見があれば400人に1人の割合で胃癌が発見されます。
また、萎縮性胃炎が進行するとついにはピロリ菌も胃の中に住めなくなります。
この時期には、ピロリ菌がいないにもかかわらず80人に1人の割合で胃癌ができます。怖いですね!
そうなる前の除菌治療ということです。
除菌治療とは、抗生物質2種類と胃酸を抑えるお薬を1週間飲むだけです。
初回の治療=1次除菌は約70%の除菌率です。
もしうまくいかなければ、2回目の治療=2次除菌を行います。
2次除菌は約90%の除菌率です。
ともに主な副作用は下痢・軟便です。
1次除菌ではまれに味覚障害が起こりますが、除菌治療後元に戻ります。
2次除菌は、薬の作用でアルコールが分解でピロリ菌の除菌後しばらくして胃酸の逆流症状が強くなる方もいます。
除菌治療により発癌リスクは減りますが、癌にならないわけではありません。
ここを間違わないでください。
除菌後も胃癌検診は必要ですよ!
除菌したので胃癌検診を行わず、残念ながら進行胃癌になっている方もいますので除菌後も胃癌検診は怠らないようにしましょうね!
検査の間隔は除菌後の胃炎の改善状態にもよります。
除菌して安心しきっているあなた! 次の胃癌検診はいつですか?
ちゃんと主治医に確認してくださいね!
我慢していませんか?(老眼について)
老眼の症状が出始める時期と、スポーツ選手の引退する時期が同じ位だと考えたことのある人はいるでしょうか?
例えば、野球なら昨年限りでメジャーを引退した松井秀喜が三十八歳、阪神を引退した金本知憲が四十四歳、サッカーで言えば中山雅史が四十五歳と個人差はあるものの、早ければ三十代後半から四十代で引退する選手が多くありませんか?
目も含め肉体的な運動能力が低下し、何らかの変化が出てくるのがこの時期だと考えて良いのではないでしょうか?
では、老眼はどうしてなるのか、また、どんなものなのか?
原因は加齢からくる様々な変化により、ピントを合わせる調節力が低下して近くのモノにピントが合わせにくくなった状態をいいます。
よく間違われるのが、近視は遠くが見えなくて遠視は近くが見えないといわれることが多いので、遠視を老眼という方もいるようですが、それは間違いで全くの別物です。
老眼の初期症状は、近くが見えないというより頭痛・肩こりといった眼精疲労の症状を訴える方が多いです。
特に視力が良く事務作業やパソコンを長時間使う仕事をされる方は早めにその症状に気付くことが多いはずです。
近視の人は老眼になるのが遅いとか、ならないとかいわれる場合もあるようですが、これも間違いでどんな方でも多少の時期の違いはあっても必ず老眼にはなるものだとご理解下さい。
では、最後に老眼になったらどうすれば良いのか?
生活や職場環境にもよりますが、見えなくはないが頭痛や肩こりなどがひどい場合は、早めに近く用の眼鏡の利用をお勧めいたします。
コンタクトレンズを使っている方は少し度数を落として合わせたり、遠近タイプのコンタクトを使ってみる方法もあります。
この場合眼鏡をかけるよりはっきり見えるとはいえませんが、最近は種類も増えていますので、体験など出来る施設で試してみるのも良いかもしれません。
決して治ることはありませんが、物を見るということを、スポーツ選手のように引退する訳にもいきませんので、それぞれのライフスタイルに合わせたアイテムを用いて、我慢することなく、上手く付き合っていきましょう。
前歯の被せ物(差し歯)について
今回は、前歯の被せ物についてお話しいたします。
現在保険で使用が認められているのは、硬質レジン(樹脂)という材料で、治療費が安いというメリットがありますが、いわゆるプラスチックなので時間が経つにつれて段々と変色してきたり、歯ブラシにより擦り減って光沢がなくなったり、吸水性(水を吸う性質)があるので臭いが付くというデメリットがあります。
このデメリットを補う意味で使用されている材料にセラミック(陶材)があります。
セラミックを使用する被せ物で一般的なのは、メタルボンド(陶材焼付鋳造冠)という物で、中身は金属ですが、外から見える部分にのみセラミックを張り付け(焼き付け)た被せ物で、強度に優れ見た目も良く擦り減ることもありません。
メタルボンドと違うセラミックだけの被せ物(オールセラミッククラウン)もあり、冠全体がセラミックでできていて、永年の使用にも変色せず、健康的な白い歯の輝きで天然歯の美しさを保ちます。
次に最近新しい材料として使用されてきたものにジルコニアがあり、ジルコニアセラミッククラウンとして奥歯やブリッジにも使用されてきています。
ジルコニアは透明でダイヤモンドに近い高い屈折率を有することから、“模造ダイヤ”とも呼ばれ、宝飾品としても用いられているのはご存知のことと思います。
ジルコニアセラミッククラウンは、メタルボンドの中身の金属の代わりにジルコニアを使用したもので、見た目(審美的)にはオールセラミッククラウンに多少劣るものの、土台の歯(または金属)の色が透けるのを防ぐ効果があります。
その他の被せ物としては、ハイブリッドセラミッククラウンというものがあり、セラミックとレジンを混ぜた材料で、オールセラミッククラウンよりやわらかく咬み合う歯に対しては優しいのですが、色調は多少劣り、時間が経つと変色してきます。
今述べてきたように保険適応は硬質レジンだけですが、それぞれの材料に特徴があり、咬み合わせの状態で使用する材料も変わってきますので、担当の先生に相談し健康な口もとを手に入れてください。
眉間から瞼(まぶた)のたるみ ~眉下切開(まゆしたせっかい)方法~
40才頃の眉間の表情皺(シワ)などの小シワの治療方法は、短時間で行えるボトックスビスタ注射治療(5~8万円程度)を行います。
また、その時期から上瞼が下がり気味になってきますが、上瞼のたるみが気になってきたときの治療には埋没法ですが、昔の目の感じに戻したい方には、最近は、眉下切開(30万円程度)を行います。
この治療は眉の下や眉の中で切開する治療法で、女性は眉毛のラインを自分でデザインするので傷跡を目立たなくすることもでき、従来の瞼のたるみ治療の方法をするより、若い時の目のような自然な感じに近くなります。
6カ月程度の効果を期待する方は、各種フェイスリフトなどがあります。
治療方法の選択は専門医と充分相談してお決めください。
各種治療方法は自費診療となります。
歯磨きの補助用具について
みなさんは毎日、歯を磨いていますか?
ほとんどの方が磨いていると答えるでしょう。
歯磨きの他にデンタルフロス、歯間ブラシなどの補助的清掃用具を毎日使っている方はどうでしょうか?
もしかしたらあまり多くはいないかもしれません。
歯ブラシを使う他になぜ補助用具が必要なのでしょうか。
歯垢や食べカスは目に見える歯の表面や裏側だけでなく歯ブラシがなかなか届きにくい、歯と歯の間にたくさん溜まっていきます。
もし、適切な補助用具を使わず毎日、歯と歯の間に食べカスが溜まり続けたらどうなってしまうでしょうか。
おそらく、その部分から虫歯や歯周病や口臭が引き起こる事が考えられます。
歯ブラシだけで磨いた場合は約50%程しかプラークを除去できませんが、そこにフロスなどの補助用具を併用することでプラーク除去率は90%まで上がります。
プラークの細菌は24時間たたないと悪さをしないのでゆっくりと時間の取れる夜の歯磨き時間に補助用具を使った清掃を行うと良いでしょう。
デンタルフロスは、弾力のある細い繊維の束でできている糸を歯の間に入れて繊維の束で歯の間の汚れを巻き取るようにして取り除く道具です。
糸だけのタイプとホルダー付きのものと2種類あります。
ホルダー付きのものは奥歯に使いやすいので、初心者の方にオススメです。
歯間ブラシは、歯と歯の間に隙間が大きく開いている場合や、ブリッジの所などに使用すると効果的です。
歯間ブラシにはL字に曲がったタイプとストレートタイプがあります。
最初は難しく感じますが、慣れれば簡単に行えるようになります。
太さ色々ありますので自分に合ったサイズを使いましょう。
合わないサイズを使ってしまうと歯茎を傷つけることがあります。
事前に歯科医院で自分のサイズを選んでもらって正しい指導を受けましょう。
今日から、歯ブラシの他に補助用具をプラスしてみてはいかがでしょうか?