インフルエンザワクチン今年は…
今年もすでに11月。2年前の今頃は新型インフルエンザ(現在は新型とは言わず通常の季節型インフルエンザとして取り扱われるようになりました)の流行で、皆さんはとても不安に思われたことでしょう。
今年もすでに東京都や山口県などで局所的な流行が散見され、インフルエンザの流行はすぐそこまで来ているようです。インフルエンザを予防する手段として、手洗いうがいなどの一般的なウイルス感染などを予防する方法の他に、予防接種を行うという方法があります。
インフルエンザの予防接種は今年、特に子供の接種の対象・方法と量に大きな変化がありました。まず対象・方法ですが、今までは生まれてすぐのお子さんも予防接種としては可能でしたが、今年から6カ月以降のお子さんが接種の対象になりました。
接種量は年齢によって大きく変化し、6カ月から3歳までは1回0・25mlで2回接種、3歳から13歳未満は0・5mlで2回接種となりました。
13 歳以上では従来と同じ0・5mlで1回ないし2回接種です。インフルエンザワクチンは他のワクチンと違い、インフルエンザに罹(かか)らないことを目標としたワクチンではなく、あくまでも重症化を防ぐワクチンです。
子供にとって重症なインフルエンザ脳炎・脳症は、インフルエンザワクチンによって防ぐことはできません。
とくに、小さなお子さんで、三種混合ワクチンや麻しん・風疹混合ワクチンなどを後回しにしてまで接種しなければならないものでもありません。
必要であれば、他のワクチンと同時接種を行うことは可能ですので、接種を行うかかりつけ医に相談してください。昨年までありました新型インフルエンザ対策としての補助は今年はありませんので、特別に補助を行なっている市町村以外は全て有料となっています。
接種量が増えたことから、接種料金も昨年から上がっている所が大半と思われますので、接種を希望される方は早めにご相談されるといいと思います。
不整脈:心房細動のお話
高齢化の時代とよくいわれますが、循環器疾患の領域においても、不整脈、特に心房細動の患者さんが増加していると報告されています。
心房細動は、心房(大動脈から一旦心臓の中に血液をためる部屋)が規則的に収縮しないために、心室(動脈へ血液を送り出す部屋)との連動した一定の拍動ができない状態です。
そのために、無症状の場合もありますが、動悸や、めまいを、又、時には失神発作を発症することがあります。
更に、左心房内(大動脈から脳や全身の動脈へ送る左心室の前にある血液を溜める部屋)に血栓を生じ、その血栓が外れて脳梗塞や、全身の動脈血栓症を発症する原因になる場合があり、脳梗塞の約3分の1が心房細動によるもの、といわれています。心房細動によって起きる頻脈による動悸や息切れに対しては、抗不整脈剤を使用する場合もありますが、一方、逆に除脈になる場合にはペースメーカーといわれる除脈を予防する器械を体内に植え込む場合もあります。一方、脳梗塞の予防は重要です。
現在、一般的にはワーファリンという抗凝固剤が使用されますが、ワーファリンの服用について「循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2009年改訂)」によって、心不全、高血圧、高齢(75歳以上)、糖尿病、脳卒中の既往がある場合には、ワーファリン服用を薦められる、とされています。いずれにせよ、心房細動の発生は、生活習慣病の一環として起きる場合が多いと考えられますので、その予防には、普段から、日頃の食事や運動など、生活習慣を良好に保つことが最も大切であり、さらに、患者さんによってそれぞれ事情が異なりますので、治療方法等については、かかりつけの先生に相談されることをお勧め致します。
メディカルスキンケア2011 美肌・アンチエイジングは三位一体 外からのケア、中からのケア、心のケア
老化による『しみ・しわ・たるみ』の治療は、レーザー治療、光・高周波治療、シルエットリフト、ピーリング、クリーム、ジェルなどの『外からの治療』、サプリメント、点滴治療を併用することで効果的な栄養素を直接送り込み、外からの治療効果がより一層改善される『中から治療』、また、ヘム鉄、アミノ酸、ビタミンB群を中心にしたストレスに耐える体づくりをする『心のケア』が大切です。ストレスは、血液中のアミノ酸、リンパ球を減少させ、肌の抵抗性を低下させ、肌を乾燥させ、そしてアトピーを悪化させ、肌の老化を加速させるからです。 現在行われている老化による『しみ・しわ・たるみ』の治療、レーザートーニング、フォトフェイシャルなどのレーザー・光・高周波治療は、すぐに化粧ができ、痛みが少ない施術です。併用する美肌の点滴療法では、ビタミン、ミネラルに加えプラセンタ『人の胎盤から抽出した各種アミノ酸、酵素、核酸など細胞活性因子』を追加してさらに大きな効果を得ています。 こんな所が気になる方に
- 不規則な生活による慢性的栄養不足の方
- お肌のトラブルが気になる方で、仕事が忙しく時間がない方
- 最近疲れやすく、お肌の老化が気になる方
- その他いろいろ試してなかなか効果が見られない、上記の疾患で悩んでいる方
通常、週に1回ペースで継続されることが理想です。所要時間は30~60分程度です。 ワンランク上の美肌治療は、サプリメント外来に基づくヘム鉄、アミノ酸、ビタミンB群、コエンザイムなどの服用、高濃度のビタミンC、ミネラル、細胞活性因子の点滴療法と同時に、しみ・しわのIPL(光)・RF(高周波)・レーザートーニング治療でストレスによって疲れた肌の免疫能力を改善させるメディカルスキンケアと肌老化予防の時代です。
手のしびれについて
上肢のしびれの原因は多岐にわたり、脳から脊髄の中枢神経、さらに頸部から手までの末梢神経のいずれの部位の異常でも「しびれ」は生じます。ただ手に限った「しびれ」であれば「手根管症候群」と「肘部管症候群」が頻度も高く、代表的な疾患です。「手根管症候群」は女性に多く、手作業の多い職種の方によく見られます。
母指(親指)から示指(人差し指)、中指のしびれが主症状ですが、急性期には痛みを伴うこともあります。
正中神経が手関節の掌(手のひら)側で圧迫されることが原因です。「肘部症候群」は男性に多く、重労働の職種で変形性肘関節症を合併している場合が多くあります。
小指のしびれから始まり、進行すると握力の低下や手指の運動障害が生じます。
尺骨神経が肘関節内側で圧迫されることが原因です。
両疾患とも正しい早期診断と手指の機能障害を来さないように適切な治療が必要です。
赤い尿がでたら
赤い尿は、ご存知のとおり血尿といいますが、二種類あります。自分の目でみてはっきりと赤いことがわかる肉眼的血尿と、みためは正常ですが検診や病院の検査でたまたま指摘される顕微鏡的血尿です。 どちらも何らかの病気が潜んでいるサインを示していることがあります。 さて、検診などで尿潜血反応が陽性で、2次検査を受けるように勧められる場合があります。
厳密にいえば、顕微鏡的血尿とは違いますが、潜む病気を見落とさないようにしようという観点からみれば、これも顕微鏡的血尿に含めて結構です。 ちなみに、尿は腎臓で作られ、尿管という細い管を通って膀胱に貯まります。
そして尿道を通り排泄されます。
これらの経路を尿路と言います。尿路のどこに異常があっても、最終的にでてきた尿は赤くなります。
尿が出始めから終わりまで赤いか、終わり頃だけ赤いかなど色調の変化があるかどうかは、尿路のどこから出血しているか予想の参考になるので、気にしてみてください。(女性の場合は、そこまでみるのは難しいことがありますが。)顕微鏡的血尿の場合は?
尿路の腫瘍や、慢性腎臓病のサインであることがあります。慢性腎臓病は進行すれば慢性腎不全にいたる注目されている病気です。
とくに心配する病気がなくても、尿潜血だけ陽性になるかたがいます。
肉眼的血尿の場合は?
膀胱炎でも血尿は起こりますが、注意しないといけないのは血尿以外の症状がないときです。(例えば排尿時の痛みや頻尿など)
これは膀胱腫瘍など重大な病気のサインであることが多いです。
腫瘍があっても、血尿は自然に止まります。
病気が治ったかと勘違いして放っておくかたがいますが、その間に腫瘍は成長するので治療が難しくなることがあります。 いずれの場合でも、潜む病気を見逃さないように専門医の受診をお勧めします。
頸動脈エコー
頸動脈はあまり聞きなれない言葉だと思います。
体に触ってトントンと動く動脈は手首のところの「橈骨動脈」を思い起こす人が多いことでしょう。
スイミングスクールでは首に手を当てて脈を測るように言うところもあります。
喉仏の斜め上横にトントン触れるのが頸動脈です。
この血管だけをわざわざエコーで検査するのが頸動脈エコーです。 何がわかるのか?
頸動脈は皮膚のすぐ下にあり、比較的長い部位を観察できる大血管なのです。
痛いこともなく、画像として血管の中を見ることができ、どれくらい細くなっているかをパーセント表示で見ることができます。
動脈壁の内側にニキビのような盛り上がりができて、中にコレステロールなどがたまっているものを粥腫(じゅくしゅ)と呼びます。
粥腫ができているならば全身のほかの動脈も動脈硬化しているだろうと予測されます。
こうして評価した動脈硬化が重症だと「心筋梗塞や脳卒中がおこりやすいほど動脈が細くなっている」と考えられます。 ですから、すでに病気を起こしている人ではなく、高血圧、糖尿病や脂質異常症などの患者さんで「動脈硬化がどれくらい進んでいるか」とか、「将来、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすいかどうか」を知りたいときに役立つ検査です。
体の中の一部の血管を観察しているだけですべての血管を見ているわけではありませんが、「全身の血管を代表して硬化度を見せてくれている」と考えてください。 悪玉のLDLコレステロールが高いために、これが血管壁の中にたまって粥腫ができている場合には、新しいやわらかい粥腫だとコレステロールを下げる薬で小さくすることができます。
狭窄が強い場合には血をサラサラにする抗血小板薬で脳梗塞を予防することもあります。
いちばん良いのはきれいな血管を見て、その後、動脈硬化を起こさないように注意することだと思います。
薬物治療ばかりではなく肥満、運動不足、禁煙など生活習慣の改善は非常に大事なことです。
ロコモ(ロコモティブシンドローム、運動器症候群)
整形外科は運動器を主な対象としています。
運動器は、手足や背骨など体を支えて思い通りに動かす(運動や移動)、骨・関節・靭帯・軟骨、脊椎・脊髄、筋・腱、末梢神経、脈管系などから成る運動に係わる器官で、身の回りのことを含めて社会生活を送るために不可欠なものです。ご存じの通り日本は65歳以上の人が人口の20%以上を占める高齢化社会を迎え、今後この比率はさらに増加すると予想されています。運動器の障害で整形外科を受診される65歳以上の方は少なくありません。ロコモ(ロコモティブシンドローム)とは、主に加齢による運動器障害のため、移動能力の低下をきたして(足腰が弱った状態)要介護になる危険が高い状態です。
要介護や寝たきりになった方の4人に1人は運動器障害が原因だと言われます。
ロコモをきたす代表的な疾患は
- 脊柱管狭窄による脊髄・馬尾・神経根障害
- 変形性関節症・関節炎による下肢の関節障害
- 骨粗鬆症それにともなう骨折
などがあります。
背骨や関節の変形は加齢とともに生じ、運動痛や関節の働きの低下をきたし、そのまま進行すると寝たきりになることもあります。
そしてこれは、けがや疾患と異なり、程度の差こそあれ年齢を重ねればすべての人に起こりうる問題です。以下の項目のどれかに該当すればロコモです。
- 家の中でつまずいたり滑ったりする
- 階段を上るのに手すりが必要である
- 15分ほど続けて歩けない
- 横断歩道を青信号で渡りきれない
- 片脚立ちで靴下がはけない
- 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
- 家のやや重い仕事(掃除機、布団の上げ下ろしなど)が困難である
ロコモの予防としては各種のトレーニングが大切ですが、運動器はやり過ぎると損傷され不足しても衰えてきます。
内容や程度が大事です。
心当たりの方は我々整形外科医にどうぞご相談ください。
入れ歯ってどう?
「この間、歯医者に行ったら抜歯しなければならなくて、その後はいよいよ入れ歯だと言われた」 初めて入れ歯を入れることになった方は不安を持たれ、「ついに入れ歯か」とひとつの人生の節目のように捉える方もいらっしゃいます。
そして、入れ歯を入れることで大きく変わることは咬合力が以前と比べ、格段に落ちてしまうことです。 上下とも入れ歯を入れていない方の咬合力が、男性で53.86kg、女性で41.06kgです。
1本歯を抜いてその両隣りに歯があるケースで入れ歯を入れた場合の咬合力は男性で23.57kg、女性で17.28kgとなり、かなり落ちてしまうことがわかります[山崎(1960)]。
さらに、上下の総入れ歯では男性8.76kg、女性で6.44kgとなり、およそ6分の1の咬合力となってしまいます。
歯が無くなっても入れ歯があるから大丈夫とはなかなか安心できません。 かといって、抜くべき歯を抜かないでそのまま放置しておくのも考えものです。
特に、歯周病になっている歯が周囲の骨を吸収することが多いわけですが、それが長引けば歯を抜いた後の骨の山(顎堤といいます)が小さくなり、入れ歯が安定しにくい症状も出てくることもあります。 また、歯の無いところを放置すると食べにくいだけでなく、発音が上手にできなかったり、見た目が悪かったりと問題があります。
多くの場合、咬み合わせが乱れてくるわけです。 大切なのはそういったところまで歯を放置しないことと定期的なケアが必要だと思います。
ただ、現在では入れ歯だけでなくインプラント(人工歯根)による治療がありますので、今まで以上に患者様にご満足いただけるのではないかと思います。
目もメタボ!? 太っていなくてもメタボ!?
近年欧米諸国と同じく、過栄養や運動不足の生活になったため、わが国では高血圧・高脂血症・糖尿病などのメタボリックシンドローム(メタボ)が急増しています。
しかしながら検診を受けていない方も多く、視力低下で眼科を受診してはじめてメタボがみつかる方もいます。
目薬で瞳を広げて眼底検査をすれば、眼科医は網膜の血管の様子を直接のぞくことができます。
眼は身体のなかで唯一、血管を直接観察できる臓器なので、実は眼底検査から動脈硬化、高血圧や糖尿病が発見されることも多いのです。
また、視界が狭くなったと受診した方の中には、視野検査などで頭の中の動脈瘤や腫瘍が発見され、即、脳神経外科で手術となり一命を取り留めた方もいます。
意外にも眼科受診がきっかけで全身の病気が発見されることは多いのです。 目のメタボは主に『糖尿病網膜症』と『加齢黄斑変性』ですが、いずれも失明原因になる病気です。
メタボと聞くと肥満をイメージしますが、アジア人は極端な体重増加がなくても糖尿病になりやすい人種です。
身長170cmで体重87kgのアメリカ人と体重72kgの日本人が同じ割合で糖尿病を発症するということで、太っていなくても油断はできないのです。
『糖尿病網膜症』も発見さえ早ければ、網膜光凝固などの治療で進行予防ができますが、糖尿病とわかっていても一度も眼底検査を受けていないために網膜症がすでに悪化してしまって、視力が戻らない方も多くいるのが現実です。
また、『加齢黄斑変性』はタバコを吸う人が吸わない人に比べて、3倍もかかりやすくなっています。
わが国の加齢黄斑変性は10年前に比べ確実に増えていますが、眼底検査をしないとわからないため放置され、視力が下がったまま固定してしまいます。 人間は80%以上の情報を目から取り入れているのです。
目は2つあるために片方の視力低下に気付かないようですが、一生見える人生を送るために早期発見が必要です。
眼科の検査は痛い検査はひとつもなく、目のメタボから身体のメタボも発見できるのですから、40歳以上の方は検診と考えてぜひ一度眼科を受診してみてください。
急にわきばらやしたっぱらが痛くなったら
今回お話するのは、この痛みがからだの中心よりも左右どちらかに寄った場合です。 転げまわるような、死ぬかと思うような激しい痛みが急にやってきたら…尿管結石も考えなくてはいけない病気のひとつです。 いわゆる七転八倒の苦しみですが、慌てて救急車を呼んで病院にいくものの、着いたらけろっと治まってしまい、ばつの悪い思いを経験したかたもいるかもしれませせん。
このように痛みがあっても、30分以内にすっかり治まることも特徴のひとつです。
痛みが長時間に及んだり、高熱を伴うことも稀にありますが、ほとんどの結石は、正しい診断と鎮痛処置などをおこなっていけば大事には至らず、治療できます。このような痛みの際は、泌尿器科もお忘れなく。