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失神

内科2011/06/27

「先生、今朝の朝礼で長い時間立っていたら倒れてしまいました。頭を打ってすぐに気がついたのですが…」と、心配そうに言うAさんの額には、失神時に床にぶつけて出来た内出血による大きなこぶがありました。

 失神は、救急外来を受診する患者さんの3.5%と言われ、再発率も20―30%と、けっして稀な疾患ではありません。失神の原因は多く、

①心原性(不整脈、器質的心疾患)
②神経調節性失神症候群(神経調節性失神、血管迷走神経反射、頸動脈洞過敏症候群、咳嗽[がいそう]、排尿、排便など)
③起立性低血圧(自律神経障害、薬剤、アルコール、出血、下痢など)
④脳血管性(盗血症候群、過呼吸)

などがあります。

 これらの中で特に危険なのは①の心原性失神です。心室頻拍や心室細動などの頻脈性不整脈による失神は、突然死する危険性も高いため除細動器を体に植え込むことでその予防ができます。ブロックなどの除脈性不整脈による失神には、ペースメーカーを植え込む治療法もあります。失神をおこす器質的心疾患には、狭窄性弁膜症、心筋梗塞、心筋症、心房粘液腫、大動脈解離、大動脈炎、心タンポナーデ、肺塞栓症などの致死的な疾患もあり、精密検査が必要になります。

 一方、②③④は比較的軽症で、頻度の多い神経調節性失神症候群は、長時間の立位姿勢、痛み刺激、肉体的または精神的ストレスなどが誘因となりますが、予後の良い場合が多く過度に心配する必要はありません。

 失神の原因疾患が軽症だったとしてもAさんのように失神時に頭部を強打した場合は、CTやMRIなどで頭頚部の精密検査が必要になります。前駆症状から失神を予知できる場合には、その場でしゃがみこむことで転倒による外傷を最小限に防ぐことができます。

 失神の再発予防としては、日常生活の睡眠不足や運動不足の防止、過度の減量の防止、アルコールを控えることなどが大事です。また降圧薬を服用している場合には、薬の種類、量、内服時刻などの調節が必要になりますので担当医へ必ず相談してください。


Text by 関口内科 関口 洋平( 2011年6月27日 「北海道新聞夕刊」掲載)

疥癬(かいせん)はこわくない

皮膚科2011/06/20

疥癬はヒゼンダニが皮膚の最外層である角質に寄生する疾患です。
主に指間や脇の下、陰部などの軟らかい皮膚に感染し、その後アレルギー反応により他の部位にも皮疹が出現し、夜間強いかゆみを感じるようになります。
ほとんどが病院や高齢者施設で発生し、看護や介護する人に感染してしまうことがあります。
診断のために、皮疹をとって顕微鏡で虫・卵・糞を確認しますが、どこに虫がいるのかを考えて検査をすることがとても重要です。
他の病気を媒介することはありませんが、肌が触れると感染することがあり、知らないうちに家族に感染させてしまうこともあります。
現在、内服での治療ができるようになり、簡単に治るようになりましたが、治療が遅れると虫がいなくなっても、痒みだけが長期間残ってしまうこともあります。
早目の治療をお勧めします。


Text by うめき皮膚科 梅木 薫( 2011年6月20日 「みなみ風」掲載)

これからは、細いだけじゃない、よく見える内視鏡

内科2011/06/06

 ここ数年、特殊光観察による強調画像を用いた胃・大腸カメラが普及してきました。
血液中のヘモグロビンに吸収される波長の光を照射することにより、食道・胃・大腸の粘膜表面の細かい血管構造を描き出し、正常粘膜とがんとをカメラで区別することができるようになりました。 すなわち、いままでの胃カメラや大腸カメラでは、見逃されることが多かった小さな病変が、この新しいカメラを使用することによって見つけやすくなったばかりでなく、がんを含めた腫瘍の大きさの範囲、深さ(進行度)が、詳細にわかるようになってきました。
胃カメラが、直径5~6mm程度の細さになっただけではなく、胃カメラ・大腸カメラの性能もこのように日々進歩しています。 一般のクリニックでもここまで精密な検査ができるようになったことに驚き、感謝しながら診療を続けている毎日です。


Text by 鈴木内科外科クリニック 大原 眞理子( 2011年6月6日 「みなみ風」掲載)

乾き目なのに涙目 ~結膜弛緩症(けつまつしかんしょう)~

眼科2011/05/30

白目(強膜:きょうまく)の表面は結膜(けつまく)という薄い膜で覆われています。
その結膜は黒目(角膜:かくまく)から始まって外側へ伸び、数㎝外側でUターンして赤目(眼瞼:まぶた)の表面から瞼の縁まで戻ってきます。
両手で薄い透明なビニール袋を持っている状態を想像してみてください。
そのビニール袋の中に涙がたまっていて瞬きをする度に角膜の表面を涙が覆って潤してくれます。年齢とともにこの結膜がゆるんでだぶついてきてしまう方がいます。
この状態を結膜弛緩症(けつまくしかんしょう)と言います。結膜弛緩症になるとゆるんできた結膜は上の方に上がってきて、下瞼の縁からはみ出して角膜の上まで飛び出して、下瞼の縁から白目の固まりが盛り上がって見えるようになっています。この状態になると、結膜の折り返し部分に涙をためることが出来ないため涙があふれて涙目になってします。
でも逆に、折り返し地点に涙がちゃんとたまっていないということは瞬きをしたときに涙が黒目を綺麗に覆うことが出来ず、すぐに涙が蒸発してしまうということです。
ですから、結膜弛緩症の方の問診票を見ると、「涙が多い」と「目が乾く」の両方に丸がついている場合がよく見られます。そのほかに、シブシブする、イズい、目やにがたまる、涙が目尻にあふれるので目尻の皮膚が肌荒れする、といった症状も出てきます。治療法としては、結膜を引っ張って張りを持たせた状態で強膜に縫い付ける結膜縫合術(けつまくほうごうじゅつ)を行います。
程度の軽い場合には引っ張って強膜に縫い付けますが、程度の重い場合には結膜やその下にあるテノン膜を切り取ってから縫い付ける場合もあります。涙目だけれど乾き目、シブシブする、朝目やにがたまっているという方は一度眼科を受診して結膜の状態をチェックしましょう。


Text by 清水眼科クリニック 清水 信晶( 2011年5月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

かくれ糖尿病は大丈夫ですか?

内科2011/05/30

ゴールデンウィークも終わり、体重計に乗ってため息をついている方はいませんか?健康診断で、血糖値が少し高めの方はいませんか?血糖値は常に変動しているので1回の血糖測定で正しい判定はできません。
一般的に糖尿病の初期では空腹時血糖が正常であることが多いため空腹時の血糖値だけでは大丈夫とはいえません。
「糖尿病が心配だ~ひょっとすると…」と思って悩んでいる方はブドウ糖負荷試験という精密検査を受けてみませんか?これは早朝空腹時に行う検査です。
ご飯を食べない状態で病院に来ていただき、はじめに空腹時の尿検査・採血(血糖値)を行います。
その後すぐに砂糖水(ブドウ糖水溶液)を飲み、その30分後、1時間後、2時間後にそれぞれ同様に尿検査と血糖値の採血を行います。
砂糖水を飲んだ30分後には、みんな血糖値が上がります。
その後1時間→2時間と時間が経過すると正常な人は血糖を下げるインスリンの働きで血糖値が下がってきます。
逆に糖尿病の人は1時間→2時間と血糖値が上がってきます。
境界型糖尿病の人は(いわゆる糖尿病予備軍)1時間、2時間ともに糖尿病ほど血糖値が上がりはしないものの正常に低下しない状態になります。
ブドウ糖負荷試験の正常値は、空腹時で血糖が110mg/dl未満かつ2時間値が140mg/dl未満です。
空腹時で126mg /dl以上、もしくは、2時間値で200mg/dl以上であれば糖尿病型と診断します。
どちらにも属しなければ境界型(予備軍)となります。
このようにして正常か糖尿病なのかを区別する検査です。
糖尿病であれば早期に治療に取り組めますし、もし糖尿病予備軍と分かれば、まじめにダイエットに取り組むいいチャンスと思って下さい。また糖尿病および予備軍ではコレステロールや血圧の管理基準が通常より厳しくなりますので、なおのこと「糖尿病なのかどうか?」白黒はっきりつけてみてはいかがでしょうか?


Text by はら内科クリニック 原 信彦( 2011年5月30日 「北海道新聞夕刊」掲載)

摩擦と矯正装置

矯正歯科2011/05/23

 医学の進歩についての話をよく耳にしますが、歯科矯正装置もいろいろな工夫により大きな進歩を遂げています。 一例をあげれば、以前のものでは、ブラケットといわれる歯に装着する装置に歯を並べるための金属線をくくりつけるために細い線や小さな輪ゴムを使っていましたが、矯正装置に強い摩擦が生じるため歯が移動しにくくなるという側面がありました。
しかし、最近ではキャップのように装置自体にくくりつける仕組みを組み込むものが増えています。 この装置ですと摩擦が少なくすべりがよいため、痛みが減り、歯の動きがスムーズになり、結果的に治療期間が短くなります。
また、くくりつける時間が削減されるため、チェアタイム(座っている時間)も短くなるなど「削減効果」が顕著に現れます。
また電力会社や、自動車産業などに比べれば非常にわずかなものですが、金属線をはずすときに捨てる部分がでないのでエコという面でも効果があります。


Text by みはら歯科矯正クリニック 村井 茂( 2011年5月23日 「みなみ風」掲載)

ニキビ跡の治療

形成外科2011/05/17

 ニキビ跡は大きさもさまざまで、浅いものから深くクレーター状のものまであります。
浅く小さいニキビ跡であれば、『MAX レーザーピール』が有効です。
『MAX レーザーピール』は 2〜3週間毎に3〜5回施術を行い、毛穴の洗浄後細かい粒子のカーボンを塗り込め、レーザーを照射し、レーザーに反応したカーボンの爆裂で皮膚表面に均一化なピーリングを行い、皮膚表面と毛穴を収縮させます。
同時に波長の長いレーザーで真皮層近くの色素やコラーゲン線維に反応させて、お肌の美白や肌全体を引き締めます。
クレーター状のニキビ跡では数回の『高濃度のTCAによるDeep P eel(深いピーリング)』を行うことで改善します。
このTCAによるピーリングはカサブタが10日間程度生じスキンケアに注意が必要ですが深いニキビ跡には有効な治療です。


Text by 五稜郭大村美容形成クリニック 大村 勇二( 2011年5月17日 「みなみ風」掲載)

男性の性(22)

泌尿器科2011/05/06

 昔は、高貴な家に生まれた子供は跡継ぎを早く確保するため早婚が一般的でしたが、日本の江戸時代の大奥のような性技指導システムがないところでは、男側がまだ性に目覚めていない時期の早婚が、重大問題に発展することも珍しくありませんでした。 フランス革命で処刑された悲劇の王妃マリー・アントワネットとその夫(ルイ16世)は、14歳と15歳で結婚していますが、結婚後11年間子供が生まれませんでした。
原因としては二人の趣味性格の不一致・不仲説が一般的ですが、実は結婚当初、ルイ16世は性的なことに全く興味を示さず(性に目覚めていなかった?)、狩猟や当時の精密機械である錠前づくりに熱中して、妻のマリー・アントワネットを放任していたそうです。
夫に相手にされないアントワネットは舞踏会や賭博に興じ高価な衣装や装飾品に莫大な浪費を重ねたり、お気に入りの男達を宮廷内で寵愛したため、民衆からの人気は凋落するばかりでした。 その後、やや遅れたとはいえルイ16世もちゃんと性に目覚めたようですが、包茎(おそらく真性)だったせいで、気恥ずかしさからもう存分に女としての魅力を振りまくアントワネットに接することが出来なかった、というのが11年間子供が出来なかった真相のようです。 包茎手術の歴史は古く、ユダヤ教徒の割礼や古代エジプトのパピルスにも当時の手術の模様が描かれています。
当然、ルイ16世の時代でも包茎は外科手術によって治るものでしたが、恐怖心から手術を受けることをためらい国を揺るがす事態にまで発展してしまったのでした。 その後、見るに見かねたアントワネットの兄がオーストリアからフランスを訪れ、手術を受けるようルイ16世を説得し、ルイ16世も手術を受け入れたので、普通の夫婦生活が得られ4人の子供に恵まれましたが、その頃にはフランス革命のまっただ中。
二人はロベスピエールによりギロチン台の夜露と消えてしまったのでした。
4人の子供のうち3人は早死にし、残された一人の王女はオーストリアに逃れました。
歴史の運命は皮肉なものです。(つづく)


Text by 岡本ひ尿器科医院 岡本 知士( 2011年6月 「タウン情報誌JAM「教えて、先生!!」」掲載)

不活化(ふかつか)ポリオワクチン

小児科2011/04/25

 みなさんはポリオワクチンにも口から飲む生ワクチンと注射でする不活化ワクチンの2種類があるのをご存知ですか? 現在、日本のすべての自治体で行われているポリオワクチンの接種にはポリオウイルスから強い毒性をなくし弱毒化した生ワクチンを6週間以上間をあけて2回飲んでもらうという方法がとられています。 昭和35年から36年にかけてのポリオの大流行の時は旧ソ連からポリオワクチンを緊急輸入して流行を防いだという実績のあるワクチンのおかげで、昭和55年以降野生のポリオウイルスでのポリオの発生がなくなりました。
しかし、一方でワクチンに由来するポリオの発生が平成19年度には4例、平成 20年度には7例発症するなど、ワクチン由来のポリオの発生が問題となるようになりました。 平成22年には、ワクチン由来でのポリオの発生がない不活化ワクチンに早期に切り替えをするよう小児科学会から要望書が出され、ワクチンメーカーでの臨床試験が進んではいますが、製品化され多くの子供達がその恩恵を受けるためにはあと数年の時間が必要です。 小児科医の有志たちは、この要望に応えるべく、独自に不活化ポリオワクチンを輸入して接種を始めるという行動をとっています。
世界中で認められているワクチンですから、安全性に問題はありませんが、国の承認を受けていないために、万が一事故が起こった場合の補償が限られること、接種方法が筋肉注射なので、1歳前のお子さんであれば、太ももに注射しなければならないことなどは知っておくべきでしょう。 一般的にはポリオの生ワクチンは安全性、効果ともに問題はないのですが、どうしても心配な保護者の選択肢を増やしてあげたいという思いが、小児科医の心を動かしているものと思われます。
現在、私の知る限りでは道南地区では接種を行えるところが1ケ所、準備が整いあとはワクチンが届くのを待っているところが1ケ所あります。
不活化ポリオワクチンを受けさせたいと思われるのであれば、ご自身でもよく勉強され気持ちを決めてご相談ください。


Text by かみいそこどもクリニック 渋谷 好孝( 2011年4月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

うつ病①(身体症状)

心療内科2011/04/25

 「うつ」はもっとも広く見られる精神科の症状の一つです。
「赤ちゃんもうつになる」と言われるくらいですから、赤ちゃんから後期高齢の方に至るまで、うつにならない年代は無い、と言えるでしょう。 うつの症状には精神的なものと、身体に現れるものとがあります。
精神的にはマイナス思考になる、考えが進まない、過去のことをクヨクヨと考え続ける、ゆううつ、など、良く知られているものです。 一方、うつ病では、ホルモン、自律神経、免疫を介して、多くの身体的な問題が現れます。
自覚的には頭痛、めまい、のどが詰まる、耳鳴り、口が渇く、苦みを感じる、味がしない、頚部や肩のこり、息苦しさ、胸の圧迫感、動悸、胃のもたれ、腹部の膨満感、食欲低下、頻尿や排尿困難、四肢の冷感、ほてり、発汗、頭痛や頭に何かかぶった感じ、など実に様々な症状が起こることがあります。
このほか、痛みが生じたり、痛みに対して敏感になって、元々あった痛み(腰痛や下肢痛など)を強く感じる、ということも起こることがあります。 これらは一般的な症状ですが、「胸のあたりが重苦しく、かたまりがあるようだ」、「(うつが)このあたりに限局している」、などの変わった表現になる場合があります。
身体的な感覚が典型的なうつ病をあらわすことがあり得るのです。 実際の身体的な変化としては、唾液の分泌低下、胃の緊張低下、便秘、体重減少などが起こることがあります。
また、ある種の癌にかかりやすい、糖尿病にかかりやすい、狭心症や心筋梗塞にかかりやすい、かかった場合にその死亡率を高める、というようなことも起こります。 大切なのは、精神的な問題と身体的な問題が同時に起こり、それらが互いに影響しあうということです。
心と身体は結び付いていると言われますが、うつ病はまさしくそれを表していると言えます。


Text by ゆのかわメンタルクリニック 久保田 修司( 2011年4月25日 「北海道新聞夕刊」掲載)

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