不正咬合は治療する必要があるの?
不正咬合(悪い歯並び・かみ合わせ)は、治療する必要があるのでしょうか?
放っておいてはいけないのでしょうか?
一般的に不正咬合は次のような問題を引き起こす可能性があると言われています。
①虫歯や歯周病
②口臭
③顎関節症(あごの病気)
④歯ぐき・粘膜・舌を傷つける
⑤発音不明瞭
⑥肩こりや頭痛
⑦コンプレックス(恥ずかしくて笑えない)
など…。
一方で歯並び、かみ合わせは悪いが虫歯もないし、今のところ不便は感じていない、という方もいると思います。
しかしながら油断は禁物です。
歯並びも人間の体の一部、常に変化しています。お子さんの時期は成長、大人になると老化という変化が生じます。
年齢を重ねていくうちに不正咬合はさらに崩れていく傾向にあり、悪くなっても良くなることはありません。
中高年以降は歯周病にもかかりやすくなり、不正咬合が悪化し、それが歯周病を悪化させるという悪循環におちいり、体調不良や全身の病気の引き金となったりもします。
また、不正咬合がひどいとしっかりとした歯科治療が受けられないこともあり、歯の寿命を短くしてしまう可能性がありますので注意が必要です。
若い頃はあまり気にならない不正咬合でも、年齢とともに悪化し、虫歯や歯周病などお口の中の病気ばかりではなく、全身の病気のキッカケとなるかもしれないことを知っておく必要があります。
「生活の質」を上げ、健康で快適な人生を送るには正常で健康な歯並び、かみ合わせであるということは非常に重要なことです。
歯並びは一生を通して変化するものです。
それゆえ、今現在歯並びやかみ合わせがあまり気にならない方でも、お口の中に関心を払い、できれば歯科医院へ定期的に通院し、虫歯・歯周病予防に努め、歯並び、かみ合わせの維持に努めることが望ましいです。
また、歯並び、かみ合わせに不安や疑問をいだいている方は、一度矯正歯科医院にご相談されることをお勧めします。
ホクロ(色素細胞性母斑:しきそさいぼうせいぼはん)の手術法
ホクロというのは色素細胞性母斑といって良性の皮膚腫瘍です。
ホクロの手術法ですが、ホクロといっても、形、大きさ、場所でいろいろあります。
その手術法も大きさ、場所で変わってきます。
通常は局所麻酔の注射をして、紡錐形(木の葉のような形)に切除して縫合します。
手術時間は、大きさにもよりますが、普通は20~30分くらいです。
翌日か翌々日からは洗顔やシャワーで濡らしたりできます。
抜糸は通常は1週間ほどです。
抜糸するとしばらくは赤みがあったり、硬かったり盛り上がったりしていますが、徐々に落ち着いてきます。
落ち着くのは3~6カ月くらいかかります。
最終的には白い線のキズになり、目立たなくなってきます。
また、場所や大きさによっては縫い縮めることができないものもあります。
その場合は皮膚をずらしたり(皮弁といいます)皮膚を植えたり(植皮といいます)することもあります。
直径3mm以下の小さなものに関しては、くり抜いたり、焼いたりする方法もあります。
そうすると、初めはカサブタになったり、ジクジクしたりしています。
そして、2週間位すると皮膚ができてきます。
やはり数カ月は赤かったり、へこんだりしていますが、徐々に目立たなくなってきます。
でも、大きなものをくり抜いたり、焼いたりすると皮膚ができるのに時間がかかったり、盛り上がったキズになることもあります。
ホクロの悪性化(癌化)については、ごくまれと考えられています。
ホクロが癌になるのか、はじめから癌として出てきているのかははっきりしません。
一般的には、足の裏、手のひらにあるもの、形がイビツなもの、色むらがあるもの、急に大きくなるもの、出血したり潰瘍化するものなどは要注意です。
魔法の注射?
突然ですが、ボールを投げる動作を思い出してください。
投げる方の腕は円を描くように伸び、反対側の腕は肘を曲げて折りたたまれています。
このようにある動きをするとき、左右の手足は無意識にバランスを保った動きをします。
さらに、関節の曲げ伸ばしにも、曲げる筋肉と伸ばす筋肉が同時に働きます。
肘を曲げる時には、脳は「曲げろ」という命令を腕の前側(力こぶを作る筋肉)に出す一方、腕の後ろ側には「伸ばせ」という指示を出します。
これにより動きがスムーズになります。このように脳が、左右のバランスや、曲げ伸ばしのように相反する動きの調整をしています。
多くの脳卒中では、体半分が動かなくなる障害(片麻痺といいます)が残ります。
このとき、単に片側の手足が動かないだけではなく、左右のバランスや、曲げ伸ばしの調節も変化して、片麻痺からの回復に影響します。
典型的には、病気になった腕は肘が曲がり、足は伸びて突っ張ったような形になり、アチコチの筋肉は固くなります(痙縮[けいしゅく]といいます)。
痙縮は、その後の回復を妨げ、日常生活にも差し支えます。
片麻痺は、リハビリテーションにより改善しますが、発症から半年を過ぎると回復の速度は鈍り、ほとんど回復が止まります。
この原因の一つが痙縮です。
半年以上経った脳卒中後の麻痺が、ボツリヌス菌という細菌から作った注射薬で再び改善していく様子がテレビで放送され、その「注射」についての問い合わせが増えました。
テレビでも、薬の作用は説明していましたが、「改善」が「治る」というように解釈され、あたかも注射だけで片麻痺が治ると考えられているようです。
注射は「痙縮」には有効ですが、麻痺を治す「魔法の注射」ではありません。
固くなった手足を伸ばし、リハビリを行うことで、再び改善する可能性が出て来ます。
注射とリハビリの組み合わせが大切です。
この注射をどこで受けられるかはインターネット上で調べられますので、「脳卒中後遺症、痙縮」で検索してみてください。
悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)
悪性黒色腫は悪性度の高い皮膚癌の一種で、「ほくろの癌」として一般に広く知られています。
一見、黒いほくろに似ていますが、全く別物で、ほくろと思って放置すると手遅れになることがあります。
足の裏、手指にできることが多く、悪性黒色腫を疑う症状があります。
①左右非対称の不規則な形状
②色調は濃淡差が目立ち、不均一
③病巣の境界が不鮮明
④最大径が7mm前後を超える
⑤当初は黒褐色斑としてみられ、次第に拡大し、形状・色調の変化が目立ち進行すると全体ないし一部が隆起して、さらにびらん・潰瘍も生じてくる。
悪性黒色腫はひとたび進行すると非常に治療しがたい皮膚癌です。
手のひら、足の裏などになんだか怪しいと思う変なほくろ・あざがあり、先に挙げた症状の中で少しでも気になるところがあれば、早期発見のため一度皮膚科専門医に診てもらってください。
加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)
今回は加齢黄斑変性についてお話します。
この病気は平均寿命がのび高齢化社会となるにつれて、よくみられる病気となりました。
病気の基礎には老化に伴う網膜の機能低下があり、これが原因で異常血管が発生し網膜に水がたまります。
網膜はカメラでいえばフィルムに相当するため、水がたまると物がゆがんで見えます(歪視:わいし)。我々眼科医は眼底診察に加えて様々な検査を行い、総合的に判断します。
病気の進行を抑える治療として、以前からレーザー治療(光線力学療法)が行われていましたが効果が不十分な症例も多く見られました。
ここ数年で抗VEGF薬を用いた新しい治療も加わりました。
また、昨年末からは抗VEGF薬に新しい薬が承認され、選択肢も広がっています。
ですので、歪視がある方は一度眼科を受診されることをお勧めいたします。
親不知(おやしらず)とは
親不知(おやしらず)が痛くなったり、親不知を抜いたけど大変だったと言った話を耳にする事があると思います。
人間の歯はだいたい生後半年ほどで乳歯が生えてきて5~6歳ころから徐々に永久歯に生え換わり13歳頃になると永久歯の歯並びが完成します。
ところが20歳頃以降にかけて、前から8番目の歯が生え始めることがありこれを親不知と呼びます。
正式名称では「第三大白歯」といいますが、一般的には親不知という呼び方が浸透しています。
どうしてこんな名前がついたのかというと一つは18歳から20歳前後の親元から離れる頃に生え、親が歯の生え始めを知らないという説や、乳歯が永久歯の親と考えると、親不知には対応する乳歯が存在しないので、親がない歯ということで親不知と命名されたという説もあるようです。
親不知が痛くなる原因としては一番後ろに生えてきて、歯ブラシがしにくいところにあることも原因になって他の歯に比べると虫歯になりやすく、また炎症もおこりやすいのです。
軽い炎症が起こっていても体調の良い時には自覚症状はほとんどありませんが、忙しくて疲労がたまっていたり風邪をひいて体調を崩したりしたときに炎症が悪化するのです。
炎症が強い時は歯のまわりだけでなく、喉や顎の関節の周囲も炎症を起こしている為に口を開けることも難しいこともあります。
症状の程度にもよりますが最初にレントゲンで親不知の位置を確認し消毒を行い、当日は処置を行うことが難しいので薬にて細菌の増殖を抑えるため消炎を行います。
その後炎症が治まったら歯を抜くことになりますが、特に下顎の親不知は横を向いてしまっているときや骨に埋まっているときがあります。
その場合は、歯を分割したり歯の周囲の骨を除去しなければならなかったりする為、抜歯後に腫れや痛みが出やすいのです。
親不知に痛みが出た時は、我慢せずに一度歯科医院を受診してみてください。
アレルギー性鼻炎 〜正しくつきあいましょう。
アレルギー性鼻炎は発作的に繰り返すくしゃみ、鼻水、鼻づまりを主な症状とする鼻炎です。
しかし、残念ながら風邪と考えている方や風邪と診断されて治療されている方がおり残念に思っています。
アレルギー性鼻炎は大きく通年性アレルギー性鼻炎(以下通年性)と季節性アレルギー性鼻炎(以下季節性)に分かれますが通年性の原因はダニ、ハウスダスト、カビ、季節性の原因のほとんどは花粉でいわゆる花粉症です。
ダニ、ハウスダスト、カビは布団に多く存在しますので通年で夜寝てから朝方にかけて症状があれば通年性を疑います。
また,花粉は春先、秋口に多く飛びますのでその時期に症状があれば花粉症の疑いがあります。
確定診断には鼻汁中の好酸球の存在を確認し、血液検査で血清IgE検査を調べ原因に対する反応を確認します。
治療には
①原因の回避、除去
②減感作療法
③薬物療法など代表的な治療法です。
原因の回避、除去は当然として基本となる治療はやはり内服薬、点鼻薬による薬物療法です。
花粉症の治療で花粉が飛び始める2週間前から薬物療法を始めると症状が出てから始めるより症状が軽くすみます。
通年性は原因が消えることがありませんから原則的には薬物療法を続けることが必要になります。
残念ながらアレルギーは治癒する病気ではありませんので上手に薬を使用して症状を緩和することが重要です。
鼻は空気中のゴミを取り除き加湿加温して肺に空気を送るという重要な役割がありますのでアレルギー性鼻炎を放置するとその重要な機能が失われてしまいますので風邪を引きやすくなったり蓄膿症(=副鼻腔炎)や中耳炎、嗅覚障害を誘発したり鼻血が出やすくなる、喘息発作が起こりやすくなるなど様々な病気の引き金となります。
アレルギー性鼻炎をお持ちの方は基礎的な病気として安定させることは重要と言えます。
特に小児では特に蓄膿症、中耳炎の予防し治療するためには押さえておくべき病気です。
増えゆく大腸がん
平成23年の日本人の死因の第1位は悪性新生物(いわゆるがん)です。
その内訳をみると、胃がんなどが減少傾向にある一方で大腸がんは増えており、男性で第3位、女性では第1位となっています。
このままいけば男女総計では数年後に胃がんを抜くといわれています。
また地域的にも函館市は北海道の中でも大腸がん死亡率の高い地域となっています。
がんは発症臓器によって悪性度が異なるため、死亡率(単位人口あたりの死亡数)が高いがんが必ずしも罹患率(単位人口あたりの新たにかかる患者数)も高いとは限りません。
しかし大腸がんの場合は死亡率だけでなく罹患率も大変高く増加傾向にあり、2020年には胃がん・肺がんを抜いて第1位になると予測されています。
つまり大腸がんは今後ますます身近で一般的な疾患となっていくのです。
大腸がんで死亡する方はかかる方の約3割といわれており、これは他のがんに比べて治りやすいがんであることを示しています。
実際大腸がんは手術で完治する可能性が比較的高いがんであり、また手術のできない例や再発例でも近年の抗がん剤治療の進歩により長期生存が可能となっています。
しかし100%確実な治療法が存在しない現状で大腸がんで命を落とさないようにするためにはどうすればよいでしょうか?
大腸がんも他のがんと同様に現在でも発病の原因は分かっていませんが、食生活の欧米化による高脂肪食の摂取や食物繊維の不足、さらに運動不足との関係が指摘されています。
まずは日頃の食生活・生活習慣の注意が必要です。
それと同時に、がん検診を適切に受け早期発見・早期治療の機会を逃さないようにすることも大切です。
大腸がん検診は、便潜血検査といって、肉眼ではわからない程度の血が便に混じっていないかどうかを検査します。
この検査は大腸がんを100%発見できるわけではありませんが、1回のみではなく定期的に受けることで大腸がん死亡率を下げる効果が実証されており、毎年受けることが大切なのです。
成人の視力障害原因の第1位は?
現在、成人の視力障害の第1位は糖尿病網膜症です。
糖尿病網膜症は糖尿病に伴う3大合併症の1つで、その程度は様々ですが、場合によっては失明することもあります。
眼の網膜は細い血管で構成されていて、糖尿病により血液中の糖分が増え粘度が高くなると、網膜血管がつまってしまいその結果、網膜に血液が循環されなくなります。
これが原因となって網膜に出血や浮腫を起こしたり、硝子体に出血を起こし、視力が低下すると考えられています。
糖尿病網膜症にならないための一番の予防は血糖のコントロールです。
糖尿病網膜症の進行スピードは人それぞれ異なりますが、血糖のコントロールが悪ければ悪いほど、悪い期間が長ければ長いほど、糖尿病網膜症は早く進行することが知られています。
また、高血圧や高脂血症も糖尿病網膜症の進行の危険因子であることが知られています。
これらを改善するためには内科へ定期通院し、全身管理を継続的に行うことが大事と考えられています。
我々、眼科医は採血データの中でHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を指標にして、網膜症の進行を予想しています。
眼科と内科の連携には糖尿病手帳というものがあり、HbA1cも記載されますので、是非利用してください。
糖尿病網膜症は初期には自覚症状に乏しく、視力の低下など自覚症状が出てきた時には病気がかなり進行していることがあり、場合によっては視力の回復が難しいことがあります。
しかし、早期から眼科を定期的に受診し眼底検査をしていれば、必要な時点でレーザー治療を行え、病気の進行をある程度予防することが可能です。
糖尿病になったら、たとえ自覚症状がなくても、定期的に眼科を受診してください。
また、血糖のコントロールが落ち着いていても、糖尿病網膜症は数十年してから発症することもありますので、最近通院されていない方もこれを期に一度眼科を受診されてはいかがでしょうか。
昨今のインプラント治療について
ここ数年のインプラント治療は治療法、製品の充実とともに様々な症例に対して格段の進歩を遂げています。
保険適用はされませんが、従来のブリッジや入れ歯のように残存歯に負担をかけずに欠損歯を補えるインプラント治療(費用は、数十万~数百万と症例や材質によって異なります)を選択される方も徐々に増えています。
一方で、歯科医師の技術的な問題や、治療に対しての説明不足による患者さんとの意識の相違によって、トラブルも増加しています。
こういった問題を避けるために術前の診査・診断・コンサルテーションが大事になってきます。
歯科医師が考える治療と患者さん自身が希望する治療は必ずしも一致しているとは限りません。
インプラント治療に限らず、ご自身が受ける治療に対してしっかりと理解し納得してから治療に取り掛かることが重要です。