マウスピース矯正とは?
歯科医学の飛躍的な進歩により、「見えない・目立たない矯正」と称される矯正治療法が数多く生まれています。
そのひとつにマウスピース矯正があります。
マウスピース矯正は、患者さんの歯型に合わせて製作した透明なマウスピースを定期的に交換しながら歯を動かす治療法で、ワイヤーを用いた矯正治療とはまったく異なる治療法です。
最大の特長は取り外しが可能であることと、金属色の装置が外から見えないため見た目を気にせず歯列矯正を受けられることです。
食事の際は装置をはずしますので、食物が装置にはさまったりする不快感がなく、お口のケアがしやすく、虫歯や歯周病になるリスクも減らせます。
さらに、矯正装置が舌やほおの内側へすれたりする違和感がほとんどありません。
楽器をやられている方や成人式、挙式・披露宴などを控えている方などにも最適といえます。
マウスピース矯正にも数多くの種類の治療法があります。
その中でも「インビザライン」という治療法がいま世界的に注目を浴びております。
アメリカ発祥のこの治療法は対応可能な症状の範囲が広く、以前はマウスピース矯正では治せないとされていた症状の方でも対応できるようになってきております。
その都度手作業でマウスピースを作る他のマウスピース矯正とは異なり、インビザラインは3次元コンピュータ画像技術を駆使して、インターネット上で矯正歯科医が治療プランを作成し、治療の最終段階のマウスピースまでデザイン、製造します。全世界で210万人以上の方々がインビザラインの治療を受けられており(2012年12月現在)、東京や大阪にはインビザライン専門の矯正専門歯科医院があるほど日本でも広がりをみせております。
道南においても歯列矯正は珍しいことではなくなってきておりますが、マウスピース矯正はあまり知られていないのが実情です。
インビザラインをはじめとするマウスピース矯正にご興味のある方は、矯正歯科医院へご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中に何度も呼吸が止まった状態(無呼吸)が繰り返される病気です。
本人の自覚がなく周りの人から大きないびきや無呼吸を指摘され本人が気付くことが多いといわれています。
多くの場合は空気の通り道である気道が部分的あるいは完全に閉塞してしまうことにより起こります。
SASの代表的な症状はいびきです。
また、良質な睡眠がとれず日中の眠気や物覚えが悪くなるなどの精神的な症状も出てきます。
高血圧や心筋梗塞や脳卒中などを併発することもあります。
SASの検査はご自宅にて行っていただくことが可能です。
SASの治療法はいくつかあり、個々の患者さんにあった治療法を決定することになります。
心当たりの症状がある方は是非医療機関を受診してください。
眼瞼下垂(がんけんかすい)
眼瞼下垂の治療は、一般には局所麻酔で瞼を上げる筋肉(眼瞼挙筋)を短縮して、瞼(まぶた)のたるんで余っている皮膚を取る手術です。
この治療によって、視野も広くなり、夜間も見えやすくなります。
手術時間は両側約90分、外来手術が可能です。
また、この手術で眼精疲労が軽減し、後頭部の血行がよくなり、肩こりや頭痛が改善することがあります。
目は二重瞼や奥二重になり、外観的には黒目の露出が高くなるため元気そうに見えます。
自分に眼瞼下垂があるか判定する簡単な方法は、数年前の写真と現在の写真を比較することです。
眼瞼下垂の原因は先天的(生まれながらの眼瞼下垂)、後天的(外傷、病気、加齢など)によって起こります。
最近話題になっている原因として、コンタクトを長年装用していたことによると思われる眼瞼下垂も認められます。
また、顔面神経麻痺や非常にまれですが、重症筋無力症の初期症状のこともありますので専門医に診て頂くことが大切です。
イボについて
小さなお子さんから大人まで、イボに悩まされておられる方が多いと伺っています。
皆さんの身近にもいらっしゃいませんか?
イボには他の部分や他の人にうつるウィルス性のイボと、年齢や紫外線の影響でだんだんに増えてくる種類のイボがあります。
イボは医学用語では疣贅(ゆうぜい)といい、ウィルス性のイボには手足の関節部分や末端に生じる盛り上がっていて少し硬いイボ(尋常性疣贅)や直径1~2ミリの子供に多くでき、潰すと白い塊がでてくるミズイボ(伝染性軟属腫)、手の甲や顔面に多発する扁平性疣贅などがあります。
ウィルスによる病気には『水ぼうそう』や『はしか』など他にもありますが、これらは1度感染すると体に免疫ができるため、通常一生に1回しか罹りません。
しかしイボのウィルスに対しては、すぐには免疫ができません。
治療は古くからある漢方薬のハトムギまたはヨクイニンなどがよく用いられますが、イボが増え続けるときや薬を服用しても治りにくいときは皮膚科を受診してください。
尋常性疣贅や扁平疣贅では少し痛みはありますが液体窒素(-196℃)で凍結させる方法が一般的です。
通常1度では治りませんが週1回位通院して手当てをうけていると次第に治ってゆきます。
治りにくい方や痛みを感じやすい方は局所免疫治療法を選択することもあります。
ミズイボの場合は専用の器具を使い内容を圧出します。
ウィルス性のイボは痛みや痒みがなく、命にかかわる病気でもありませんが、ブツブツは不快なものですし、放置すると増えてきたり他人にうつったりします。
またウオノメやタコと間違えてほじくったりすると、広がってきたり、傷口から皮膚表面にいる細菌が入って二次感染をおこす心配もありますのでご注意ください。
ピロリ菌を知っていますか?
ピロリ菌という名前を聞いたことがありますか?正式な名前はヘリコバクターピロリといって、人の胃の中に住み着いて悪さをする細菌です。
胃の中には、強い酸性の胃酸がありますが、ピロリ菌は酸から胃を守っている粘液層の中に住みつくことで胃酸の影響を避け、更に自らウレアーゼという酵素を出して胃液の中の尿素を分解し、アルカリ性のアンモニアを作り出して自分の周りの胃酸を中和して生き延びています。
この、ピロリ菌が作り出すアンモニアや、人側のピロリ菌をやっつけようとする免疫の働きで胃の中に炎症が起こります。
ピロリ菌は、多くは5歳以下の子供のときに感染して、治療しない限り胃の中に住み続けて炎症を起こすのがほとんどですが、最初のうちあまり症状はありません。
炎症が長く続くと胃の表面が薄くなってきて、(萎縮といいます)萎縮が進むと胃もたれや胃痛の原因になったり、癌の原因になったりするといわれています。
大人になってからピロリ菌に感染した場合、激しい胃の痛みなどの症状が出ることがあります。
ピロリ菌の感染については衛生環境が大きく影響していると考えられており、現在の40代よりも上の年代では感染率が高く、その下の年代では感染率が下がってきています。
胃カメラなどでピロリ菌に感染している疑いがある場合は、検査をして陽性であれば内服薬による治療が出来ます。
抗生物質を2種類と胃酸を抑える薬を1週間内服するのですが、きちんと飲まないとうまく治療できないことがあります。
また、抗生物質に対して抵抗性の菌であった場合、きちんと薬を飲んでもピロリ菌がうまく消えないこともあります。
そのときは薬の種類を変えてもう一度、治療にチャレンジすることが出来ます。
ピロリ菌の検査方法は、胃カメラで調べる方法や、血液や便で検査する方法、呼吸中の尿素を調べる方法などがありますが、人によって出来ない検査もあるので、お近くの病院で相談してみてください。
ピロリ菌を除菌したあなたに
今年の2月より慢性胃炎についてもピロリ菌の除菌治療の保険適用が認められました。
ピロリ菌を除菌すると胃がんの発生は3分の1になるといわれています。
また、若い方が除菌すると、さらに胃がんの発生率が低下することも分かってきました。
胃がんの一次予防は、ピロリ菌の感染予防・除菌です。
2次予防は、早期発見、早期治療です。除菌後の問題点は何でしょうか?
それは除菌しても、胃がんがゼロにならないことです。
除菌して安心した結果、検診を怠り、発見が遅れてしまうこともあります。
ピロリ菌の除菌後の胃がんの発生について、除菌後に新しく出来た癌と除菌後に認識可能になった癌があります。
後者は除菌後2~3年後の早期に発見されるタイプで、除菌するときカメラで見えないくらいの小さな癌があり、その後2~3年でようやく見えるサイズになったものと考えられます。
このようなこともあるので、除菌後も胃カメラによる検査が必要になります。
では、どのくらいの頻度で検査を行うべきでしょうか?
これについては、除菌後も胃粘膜が萎縮(老化)した状態が続いているなら、1年に1度は継続して行うべきです。
また、ピロリ菌の除菌により、胃粘膜が正常になってくるようであれば、癌化の確率は減るはずなので2~3年に1度の検査でよくなると思います。
当院でも、ピロリ菌の除菌後に癌が見つかった方がいます。
毎年受けられている方は1センチ大の早期胃がんで見つかり、おなかにメスを入れることなく、胃カメラで治癒切除ができました。
逆に除菌後5年以上経過して久しぶりに胃カメラを行った方は、残念ながら進行がんになっていました。
ご本人には胃の症状はありませんでした。
このようなことがあるので、除菌後も 主治医の先生に確認して、胃カメラでの経過観察を行ってくださいね!
さて、来年は何月に胃癌検診を行いますか?
眼からわかる全身疾患
眼球は、直径24mmほどの小さな器官ですが、私たちが得る情報の約90%が視覚からであり、それが障害されると日常生活に支障を来します。
また、眼の症状から他の病気を発見するきっかけになることもあります。
①散瞳剤をつけて眼底検査をすると、眼科医は動脈と静脈を直接見ることができます。
眼底は体の中で血管を直接見ることができる唯一の部分です。
血管の走行状態や出血から、糖尿病・高血圧症・癌の転移・白血病・SLEなどの膠原病などが見つかることがあります。
特に、糖尿病は現代病であり、失明原因の第2位にもなっています。
眼底出血で発見され、血糖値を測定したら、異常高値で即、内科に紹介ということも珍しくないことです。
②急な複視(物がずれて見える)や片側の眼瞼下垂(まぶたが下がる)などの症状の時は、脳梗塞・脳腫瘍・脳動脈瘤による頭蓋内の神経の圧迫・甲状 腺の異常・重症筋無力症などの筋肉の病気が見つかることがあります。
特に危険な脳動脈瘤は、くも膜下出血の前触れであり、放置すると命に関わることもある ので、神経の麻痺と判断した場合は、即、脳外科に紹介となります。
③目の周りのできものは良性のものがほとんどですが、まつ毛の際などで増大していくものの中には、基底細胞腫・有棘細胞癌・悪性黒色腫などの悪性の腫瘍もあります。
切除して病理組織診断して初めて分かることもまれにあります。
以上のように、眼に関わる何らかの症状がある時は、放置せずに眼科を受診して下さい。
また、症状の出ないうちに進行してしまう「緑内障」は失明 原因第1位の病気です。
視野検査を受ければ見つけることができます。
眼科の検査は痛い検査はひとつもありません。気軽に「目の検診」を受けて、いつまでも 見える目でいられるように、早期発見・早期治療につとめましょう!
胃ろう(PEG)について
高齢化社会を迎え、嚥下障害などにより、食事摂取が困難な方や、誤嚥を繰り返したことにより肺炎(誤嚥性肺炎)を繰り返される方が最近増加していることが実感されます。
いろいろ工夫され、嚥下食の改善、経管栄養、補液の補助などさまざまな試みがなされております。
これらの治療後、どうしてもうまくいかないなどの理由で、胃ろうの造設を依頼されることがあります。
胃ろうは体表から胃内に直接栄養を送り込むための入り口を、腹部に設けるものです。
通常は内視鏡を胃内に挿入したうえで、体表から穿刺したうえで、造設いたします。
合併症には出血、腸管損傷による腹膜炎、術後感染などが報告されており、栄養状態や全身状態の悪い方に行うので慎重に施行する必要もあります。
最近はいろいろ新聞やTVなどでも胃ろうの功罪についての記事や特集を目にします。
胃ろうを他院で造設したが、1回も使わなかったので抜いてほしいとの相談も受けました。
介護施設の入所のために、胃ろう造設が要件であったり、社会的な面で要求されることも増えてきております。
患者さんは判断できない場合が多いですので、ご家族が十分検討、考慮したうえで造設するかどうかを決めていただきたいと思います。
マイボーム腺機能不全
よくならない異物感、目の周囲のかゆみ、ドライアイ、その症状「マイボーム腺機能不全」かもしれません。
マイボーム腺は、まぶたの縁にある油の工場で、涙の成分に油を加えて、涙の蒸発を防いでいます。
ですので、この機能が落ちると涙が蒸発しやすくなり、ドライアイになります。
また、油の出口が詰まると、ばい菌がついたり、ただれがおきて目の不快な症状を引き起こす可能性があります。
このようなことを防ぐためには、マイボーム腺を日頃からケアする必要があります。
簡単な方法として、やけどしない程度に電子レンジなどで1分ほど温めた蒸しタオルをまぶたの上から数分間あてる方法があります。
この際に軽くまぶたをマッサージするとなお効果的です。
眼の健康のために、お肌だけでなくマイボーム腺のケアもしてみませんか。
あなたは、あと何年目を使いたいですか? 〜角膜内皮細胞〜
洞爺に行ってきました。今朝(10/14)、洞爺湖越しに見える羊蹄山はきれいに雪化粧していました。
ところで…羊蹄山から出た光は私の眼のなかの、角膜、前房水、水晶体、硝子体を通過したのち光を感じる網膜に到達し、網膜から脳に信号が届けられます。
光の情報が正確に網膜まで届くためには角膜、前房水、水晶体、硝子体は透明でなければなりません。
ちなみに水晶体が濁った状態が白内障です。
今回の主役、角膜内皮細胞は、角膜を透明に保つ役割を担った細胞です。
角膜の主成分はコラーゲンで、コラーゲン線維が整然と並ぶことで透明性を維持しています。
角膜の裏側には前房水があり、常に角膜内に前房水からの水分がしみこんできます。
角膜内の水分が過剰になるとコラーゲンの並びがくずれ透明性を失うため、過剰な水分を角膜内皮細胞せっせと排出しています。
角膜内皮細胞は生まれた直後には35万~40万個あるとされ、年齢とともにゆっくり減少していきますが、眼が障害を受けると大きく減少します。
角膜内皮細胞には再生する能力はないため、障害を受けるたびに減る一方です。
正常眼では1平方mmあたり3000個ありますが、減少して500個以下になると角膜は透明性を失い、濁ります。
角膜内皮細胞は、角膜を透明に保つ役割を担っているのに、再生しないという点で、最も大切にしなければいけない細胞のひとつなのです。
角膜内皮細胞を減らす原因は、眼のけが、緑内障発作やぶどう膜炎などの病気、眼の手術、コンタクトレンズの不適切な使用が知られています。
最近、コンタクトレンズのなかでもカラコン(カラーコンタクトレンズ)による眼障害問題になっています。
一般的なコンタクトレンズは眼に悪影響の少ない材質になっていますが、現在中高生のあいだに広まっているカラコンは粗悪なつくりのものが多く、よほど厳密に管理していかないと角膜内皮細胞を減らしていきます。
そうはいうものの、未成年者は将来のことよりも今現在のことを重視するのはある程度理解できます。
子供達の眼を守るのは、子供達の将来を考えられる家族、教育関係者、医療従事者の責任です。