妊娠期の口腔ケア
妊娠すると体の変化が起こりますが、そのうちの1つに酸っぱいものが欲しくなるなど、嗜好に偏りが生じることがあります。
これはホルモンバランスや唾液の量の変化が影響を及ぼしているといわれています。
また、つわりはほとんど症状の無い方から、吐くことが多くて脱水症状になり、点滴を受ける方まで個人差があるようです。
つわりがひどければ、歯ブラシを口の中に入れるのが大変困難になります。
妊婦さんの歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)からは、増加するエストロゲン(卵胞ホルモン)を好む歯周病原細菌が多く検出されます。
また、プロゲステロン(黄体ホルモン)も増加することで炎症が起こりやすくなります。
これらは歯肉炎を起こし、妊娠性歯肉炎といわれています。
このような歯肉炎を防ぐために、歯科医院でのメンテナンスを行っていきたいところですが、つわりがひどい場合はなかなか歯科医院まで来院されるのが困難です。
その場合はご自身でのセルフケアが必要になりますが、まずは安静にして体調が良い時間帯に歯磨きをするのがいいでしょう。
歯ブラシは小さめの物を選んで小さく動かし、歯ブラシが舌に当たるのを避け、嘔吐感を少なくします。
歯磨き粉は臭いと味の刺激の少ないものを使い、顔を下に向けて歯磨きし、歯磨きの後はぶくぶくうがいをします。
メンテナンスが十分でなければ、歯肉炎だけでなく虫歯も悪化しがちです。
妊娠していない方に通常処方される痛み止めのお薬は、妊娠中の服用は避ける必要がある場合があります。
痛みが生じて痛み止めのお薬が必要な場合は、歯科医院でご相談の上、処方していただいた方がいいでしょう。
貧血に注意しましょう
病院にはかかったことがなくても、年一回保健所などで健診を受ける方が増えているようですね。ご自分の健康に気を使われる方が増えているということだと思います。
健診でも必ずチェックされる項目に貧血があります。赤血球の下にヘモグロビンという項目があります。このヘモグロビンが男性で十四mg/デシリットル、女性で十二mg/デシリットル未満に下がった状態を貧血といいます。血液がうすくなった状態と考えていただけば分かりやすいでしょう。普通は貧血が進むと息切れや倦怠感(けんたいかん)、さらに動悸、胸痛などが出てくるといわれますが、実際にはヘモグロビンが七mg/デシリットル台でも症状が全くない方もいらっしゃいます。臓器に酸素を運ぶのはすべて赤血球(ヘモグロビンを含む)が行っていますから、貧血になるとすべての臓器の働きに支障がでる可能性があるというわけです。
貧血の原因は多岐にわたりますが、日常よくみられるのは鉄欠乏性貧血です。鉄が足りなくなるために起こる貧血です。女性に多く、鉄分を補えば改善が見込めます。ただし鉄剤は吸収をよくするために空腹時に服用するのが原則ですが、おなかの不快感を訴える方も少なくありませんので注意が必要です。さらにお薬が飲めない方には注射剤もありますが、漫然と注射しつづけると鉄過剰になり肝臓の病気になってしまうこともあります。そうならないためにも常に体内鉄量の目安である血清フェリチンを計測してもらうようにすると良いでしょう。
また鉄剤を服用すると便が黒くなります。黒くなっても心配はないのですが、あらたな胃潰瘍による出血などを見落としかねない(胃の出血があると便が黒くなる)こともあり注意しておきたいところです。
鉄欠乏性貧血以外にも慢性炎症や悪性腫瘍にともなう貧血、さらに白血病を含む血液疾患にともなう貧血などもあり、貧血からたどっていく病気がたくさんあるのです。
健康診断の結果をケースにしまいこんだままの方は是非もう一度見直してみてはいかがでしょうか?
マウスピースで歯並びは治せるの?
マウスピースを用いた歯列矯正が注目を集めつつあります。
これは、透明で取り外し可能なマウスピースを定期的に交換しながら歯を動かす治療法です。
ワイヤーを用いた矯正の時にみられるような痛み・違和感がきわめて少なく、見た目を気にせずに歯並びを治すことができ、また、お口のケアもしやすく、虫歯や歯周病のリスクが抑えられます。
しかし、「マウスピースで歯並びを治せるの?」「軽いデコボコしか治せないんじゃないの?」と、疑問を抱く方々(歯科医を含めて)も多いのが実情です。
そう思われるのは仕方がないことです。
なぜなら、マウスピース矯正といっても数多くの治療法があり、そのほとんどが軽い症状にしか対応していないからです。
しかし、重い症状にも対応できる唯一の治療法が「インビザライン」です。
「インビザライン」とは、3D画像処理、3Dプリンターなど最先端技術を活用し、歯の移動をシミュレーションして、治療計画を決定、治療の最終段階のマウスピースまでデザイン、製造を行い、治療を進める画期的な歯列矯正法です。
軽度の症状にしか対応できない他のマウスピース矯正とは大きく異なります。
「インビザライン」は、今現在、全世界で250万人以上の方々が治療を受けられており、日本でも全国的に広がりをみせつつあります。
東京、大阪など大都市にはインビザライン専門矯正歯科があるほどです。
以前は、マウスピース矯正は、ワイヤーを用いた矯正と比べて治療期間がかかりすぎる、仕上がりが良くない、治せる症状が少ないなどといわれておりましたが、「インビザライン」は日々改善、改良がなされており、治療期間、仕上がりに差がなくなってきており、抜歯が必要なほどの重い症状でも対応できます。
症状が重い場合、マウスピースのみで対応しづらいこともありますので、詳しくは「インビザライン」に詳しい矯正歯科医にご相談下さい。
春からのダイエット
冬が終わり、春物の服を着た時に「あっ」と思ったあなた!
サンサン(3・3)運動を知っていますか?
「体重3kgの減量・3cmのウエスト短縮」。
2006年の日本肥満学会の宣言です。
この妥当性は、メタボリックシンドロームからの脱出率の差で理解することができます。
3kgの減量ができた方はメタボから76%脱出(未達成は46%)、ウエスト3cm短縮達成者は73%(未達成者は45%)です。
また、血圧・血糖・脂質の併存疾患ゼロへの改善は、3kg達成群で46.9%(未達成群13%)3cm短縮達成群では44%(未達成群では11%)とかなり良いデータを示しています。
医学では、BMI値25以上を肥満といい、そのうえで健康障害(高血圧等)を合併しているときに肥満症と呼びます。
BMIとは、体格指数(Body Mass Index)といい、体重(kg)を身長(m)の2乗で割ったものです。
体重68kg、身長1.65mでは、68÷(1.65×1.65)=25となります。
食事療法については、主にエネルギー制限食と糖質制限食があります。
エネルギー制限食とは、バランスの良い食事を全体的に量を減らして食べる方法です。
BMIが25~30では25Kcal×標準体重、BMI30以上なら20Kcal×標準体重で摂るべきカロリーを求めます。
糖質制限食とは、最近注目を集めている食事療法で、ごはん・パン・うどんといった炭水化物(糖質)を非常に少なくしてタンパク質・脂質を主体にして食事をする方法です。
たとえば、食事量に制限をせずに糖質を制限しただけの方が、脂質を少なくカロリーも制限した食事よりも体重減少に成功したという報告もあり、短期的には効果が良い報告が多いようです。
しかしながら、いまだに脂質異常の悪化や長期的なデータについては懐疑的な部分が多く、極端な糖質制限は現時点では勧められません。
私見としては、一時的に糖質制限を利用し、少し減量できたらカロリー制限に移行するのが良いのかもしれません。
3kg・3cmと数字を聞くと、なんとなく達成できそうな気がしますね。
いずれにしてもダイエットに王道なし!
今日からがんばりましょう!
涙目の治療には
涙は上瞼(うわまぶた)にある涙腺〈るいせん〉から出て来て目を潤すと、目頭にある涙点(るいてん)から鼻涙管(びるいかん)、涙嚢(るいのう)を通って鼻の穴=鼻腔(びくう)に捨てられます。
そのどこが狭くなっても涙目になってしまいます。
また、白目の表面の結膜(けつまく)がたるんでくるとそこへ涙がくっつくような感じも出ます。
涙目の手術療法としては、
- 結膜を引っ張って伸ばす〈結膜縫合術〉
- 小さくなった涙点を切り広げる〈涙点切開術〉
- 鼻涙管にシリコンチューブを入れて狭くなったところを広げる〈涙道チューブ挿入術〉等を行います。
- 頑固な涙目や鼻涙管に膿がたまっている涙嚢炎(るいのうえん)の場合には涙嚢と鼻腔の間の骨に穴を開けてトンネルを造る〈涙嚢鼻腔吻合術(るいのうびくうふんごうじゅつ)〉を全身麻酔でしなければならないこともあります。
こちらで拝見しても全然涙がたまっていないのに涙目を訴える方もいます。
そういう方は白内障を患っている方が多く、白内障でぼんやりしている感覚が涙目に感じてしまう事もあるようです。
また、下瞼の皮が余って目の方向にめり込んでくる眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)の場合には余った皮を切り取る手術が必要になります。
生後1~2ケ月の赤ちゃんの涙目や目やにを相談される事もあります。
赤ちゃんの涙目の原因として多いのが先天性鼻涙管閉鎖症(せんてんせいびるいかんへいさしょう)と眼瞼内反症です。
いずれにしても自然に治ってくる事があるので、程度にもよりますが、鼻涙管閉鎖症の場合は生後6ケ月くらいまでは、眼瞼内反症の場合でも幼稚園くらいまで様子を見る事もあります。
それでも治らないようであれば、鼻涙管閉鎖症の治療用の針金で突っついて詰まったところを開通させる涙道ブジー法、眼瞼内反症の場合にはホッツ法という手術をする事もあります。
LEDディスプレイから出る『ブルーライト』は何が悪い?
最近、ブルーライトカット眼鏡が売り出されていますが、ブルーライトとは、バックライトにLEDを使う液晶モニターから多く発せられている光です。モニターは明るいほうが見やすいと思われがちですが、明るいとブルーライトがいっぱい入っているわけで、それが「眼精疲労」を引き起こします。また、肌にとっても、紫外線同様に悪影響を及ぼし、くすみやクマができると言われています。
一方、ブルーライトによる良い面もあります。ブルーライトは、身体のリズムにも関係しています。海外旅行の時差ボケを解消するためには、太陽の光を浴びた方が良いのですが、これは「明るい=朝=目覚める」「暗い=夜=眠る」という体内のリズムに大きな影響を与えているのです。このリズムにちゃんと従い、昼間に太陽の強い光を浴びると、夜ぐっすり眠れます。しかし、現代社会では、朝から晩まで長時間パソコンやスマホなどをずっと触っているので、パソコンを長時間やった後に寝ようと思っても寝付けないことがあります。
ご自分では、頭を長時間使っていたからだと思うでしょうが、実は長時間ブルーライトを見ていたせいで、まるでずっと昼間の明るい中にいるように体内リズムがなってしまい、今が夜だとは認識できなくなってしまうせいなのです。
この体内リズムの崩れによって「①睡眠障害②肥満③がん④精神不安定」などの影響がでます。
また、20年前に比べると、LEDディスプレイの普及により、あらゆるデジタル機器からブルーライトを知らぬ間にたくさん見ているので、目にも影響があり「①網膜へのダメージ②目の疲れ③目の痛み」などを引き起こします。以上のことから「パソコン作業は、なるべく長時間しないように控える。ディスプレイの輝度を調整する。ブルーライトカットのフィルターやメガネを使用する」などして健康的な生活を送れるように心掛けましょう!!
パソコンやスマホ使用の多い方で症状がある方は、眼科にご相談下さい。
地域包括ケアシステムについて
地域包括ケアシステムをご存知ですか?
これは、「重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で暮らせるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供されるシステム」のことです。
少し前の時代では、家族が介護をしていたため、自宅で亡くなる方が大半だったと思います。
現在は、介護サービスが充実しているため、介護の全般を家族がしなくてもよいわけですが、不安はありますよね?
そこで、不安を少なくする方法のひとつとして、入院から自宅介護に切替える際、退院前にケアマネージャーとともに訪問看護師にもご相談ください。
病院まで伺い安心して退院できるよう環境を整え、必要なサービスの提供をアドバイスすることができます。
医療ケアや、体調に不安のある場合は、私たち訪問看護師が主治医の指示のもとご自宅まで訪問しサービスを提供いたします。
心配はあるかもしれませんが、やっぱり自分の家はいいものですよ。
自宅での介護を少し考えてみませんか?
成人の視力障害原因の第1位は?
現在、成人の視力障害の第1位は糖尿病網膜症です。
糖尿病網膜症は糖尿病に伴う3大合併症の1つで、その程度は様々ですが、場合によっては失明することもあります。
眼の網膜は細い血管で構成されていて、糖尿病により血液中の糖分が増え粘度が高くなると、網膜血管がつまってしまいその結果、網膜に血液が循環されなくなります。
これが原因となって網膜に出血や浮腫を起こしたり、硝子体に出血を起こし、視力が低下すると考えられています。
糖尿病網膜症にならないための一番の予防は血糖のコントロールです。
糖尿病網膜症の進行スピードは人それぞれ異なりますが、血糖のコントロールが悪ければ悪いほど、悪い期間が長ければ長いほど、糖尿病網膜症は早く進行することが知られています。
また、高血圧や高脂血症も糖尿病網膜症の進行の危険因子であることが知られています。
これらを改善するためには内科へ定期通院し、全身管理を継続的に行うことが大事と考えられています。
我々、眼科医は採血データの中でHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を指標にして、網膜症の進行を予想しています。
眼科と内科の連携には糖尿病手帳というものがあり、HbA1cも記載されますので、是非利用してください。
糖尿病網膜症は初期には自覚症状に乏しく、視力の低下など自覚症状が出てきた時には病気がかなり進行していることがあり、場合によっては視力の回復が難しいことがあります。
しかし、早期から眼科を定期的に受診し眼底検査をしていれば、必要な時点でレーザー治療を行え、病気の進行をある程度予防することが可能です。
糖尿病になったら、たとえ自覚症状がなくても、定期的に眼科を受診してください。
また、血糖のコントロールが落ち着いていても、糖尿病網膜症は数十年してから発症することもありますので、最近通院されていない方もこれを期に一度眼科を受診されてはいかがでしょうか。
陰のうが大きくなってきたら・・・
陰のうの中には生殖器官として重要な精巣があります。
陰のう全体が腫れたときは、精巣に関係なく浮腫によることが多いです。
片側の陰のうが腫れたときは、痛みの有無にかかわらず泌尿器科専門医を受診したほうがいいです。
小児や高齢だと陰のう水腫によることが多く、小児は手術が必要なこともあります。
痛みのない腫れで重大な病気があります。
精巣腫瘍(がん)という病気です。
20代の若い年齢に多いですが、4才以下あるいは高齢でも発生する腫瘍です。
恥ずかしいからと親にも話さなかったり、受診しなかったりしますので、お子さんに腫れていないか聞いてみるといいでしょう。
大人の方は、たまにお風呂で触ってみる。
左右をくらべて大きさ、しこりがないかどうかチェックするといいでしょう。
たかが便秘、されど便秘
便が硬い、出づらい、なかなか出ない、などいわゆる便秘症は罹患している方の大変多い疾患といえます。
高齢者に多く、またホルモンや体の構造の影響から男性よりも女性が多くなります。
便秘はその原因から続発性便秘と特発性便秘の二種類に大別されます。
続発性便秘は薬剤の副作用や大腸癌など特定の原因があるもの、特発性便秘は大腸に目に見える異常はなく腸の動きや機能の異常が原因のものです。
便秘になった時まずなにより大切なことですが、大腸癌など大腸の通過障害が原因の場合は腸閉塞になる危険が迫っているサインのため、専門医を受診してそのような異常がないことを確認する必要があります。
特に、最近急に便秘になった、便が細くなった、血便がある、などの場合は大腸癌の症状の可能性がありますので早急に専門医を受診しましょう。
続発性便秘の原因となりやすい薬剤の種類は広範囲に及びますが、精神・神経系に作用する薬剤などではその頻度が高くなります。
他にも甲状腺ホルモンや電解質異常などの隠れた病気が便秘の原因の場合もありますので、担当の先生とよく相談しましょう。
一方便秘の大多数は目に見える異常のない特発性便秘ですが、これはその方の体質だけでなく生活習慣とも密接な関係があります。
水分や野菜・果物・穀物など繊維分の多い食物を十分にとり便の性状を良くする、十分な運動をして腸の動きを高める、などが大切です。
それでもうまく便が出ない場合は下剤を服用することになります。
下剤は大きく分けて塩類下剤(便を柔らかくする薬)と刺激性下剤(腸を刺激して動かす薬)に分類されます。
それぞれの方の便秘の性状によって使い分けることが有効ですが、両者を併用することもあります。
便秘が高度になると、糞便性イレウスといって硬くなった便自体が原因となって腸閉塞となり重症化することもあります。
「たかが便秘」と軽く考えず毎日排便があるよう日頃から調整を心がけましょう。









